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それは砕けし無貌の太陽のようです
16
:
◆HQdQA3Ajro
:2021/10/16(土) 00:08:15 ID:jePDeZ3M0
「そんなこと――」
「だから通報しなかったんだろ」
「違います! 私は――」
「金づるを失ったら困るからな。知っている、それくらい。知っているんだ、俺は。よく知っている。
だからもう、邪魔をするな。書いてやる、書いてやるから。だから、そうだ、俺には――」
「先生、聞いてください、先生――」
「俺には――」
そうだ、俺には――。
「クスリが――」
「先生!!」
心臓に、衝撃を受けた。
「――私、決めました」
両肩をつかまれていた。
「私が、してみせます」
強く、痛むほどに、つかまれていた。
「クスリなんかに頼らなくても書けるように、私がしてみせます!」
顔を、上げそうになった。いま、目の前にいる女の、その顔を見るために。確かめるために。
すんでのところで、踏みとどまった。背けた顔の、その先で、店の親父が、こちらを見ていた。
俺の視線に気づいて親父は、厨房の奥へと逃げるようにひっこんだ。
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