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冬に百物語をするようです
1
:
◆.LuQ4TdvBw
:2020/11/23(月) 12:25:23 ID:3oiUhbt.0
障子戸で仕切られた和室。不釣り合いなミニシャンデリアが煌々と室内を照らす。
エアコンが静かな音を立てて暖かい空気を室内に作る。
そして4人の男女が集まって正方形を作るように座っていた。
その中央には100本のろうそくとチャッカマン2本。2本の懐中電灯と卓上ライト。
どこにでも売られているろうそく。だがまだ火はつけられていない。
戸が静かに開かれると四人の顔が一斉にそちらに向けられる。
夕日と中庭を背にしてスマホを片手に持った背の高い男が部屋に入ってきた。
( ゚д゚ )「さっきブーン、主催の奴から電話があって大事な用事ができて遅れてくると言われた」
男がほぼ初対面の四人にそう伝えると女の一人が気まずそうに斜め下に視線を映した。
lw´‐ _‐ノv「ブーンが百物語の主催なのに?」
視線を男に向けたままの女が問う。男は「ああ」と短い返事をして眼鏡の男と女の間に敷かれた座布団に座った。
(-@∀@)「素直さん、用事なら仕方ないですよ。僕と来る予定だった歯車君もお母さんが事故で入院してこれないと言ってましたし」
眼鏡の男が遅刻する主催に対して当たり障りのないフォローを入れながら、友人が来れなくなったことを告げた。
_
( ゚∀゚)「え!?その友達のお母さん大丈夫なのかよ?」
「事故」と聞いて反射的に男が話に割り込んで聞く。
(-@∀@)「自転車がだめになったけどお母さんはケガ一つなくピンピンしてるそうですよ。検査入院だから心配しなくて良いって言ってました」
_
( ゚∀゚)「ケガがなくって良かったけど大変だなぁ。あ、俺も友達のギコ、あっ、冨佐ギコていうんだけど
『今日の朝、爺ちゃんがいきなり大阪から遊びにきたから来れない』って伝言されたぜ」
(#゚;;-゚)「椎名さんと津出さんが部活の緊急ミーティングで遅れるって言ってた……」
51
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/01/24(日) 18:36:31 ID:M7F/TnyY0
偽田「この前もここで犬の死体があったんだ。見てよ。この傷口」
興奮して早口で語る偽田君は手で犬の腹の傷口を開いたんです。
中は空洞でした。でも赤い肉がグロテスクで吐き気がしましたよ。
目を背けるために僕は顔を空に向けました。
偽田「それに傷口を触っても血の一滴もつかないもにゃ。こんなに大きな傷なのにどこにも血が流れてないもにゃ。
宇宙人はすごいもにゃ!ここで何度もキャトルミューティレーションをしているもにゃ!
だけど姿は見せないもにゃ!すごいもにゃ!」
興奮して笑う偽田君。僕は限界でした。歯車君の手を引いて叫びながら林を抜けて一目散に僕の家に駆けこみました。
心配する母に二人で泣きつき、気が付くと僕は自分の部屋のベッドで寝ていました。
歯車君は親が迎えに来てくれて僕が寝ている間に帰っていました。
起き上がった僕に母が「明日からおばあちゃんの所に行くからしばらく学校はお休みね」と言う言葉に
僕は僕達が宇宙人の実験場を見つけたのがバレたせいだと思いました。
実際は犬の死体を見たという僕達の言葉を信じた母が警察に通報して、あの場所で警察が死体を発見したからなんですけどね。
高い木々に吊るされたお腹がぽっかり空いた犬の死体達を。
犯人は捕まっていません。だって宇宙人の仕業ですからね。
偽田君は僕よりも長く学校を休みそのまま冬休みになり学校が始まった時には転校していました。
52
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/01/24(日) 18:37:52 ID:M7F/TnyY0
(#゚;;q゚)「うぅ……トイレはどこに……」
( ゚д゚ ;)「こっちだ。案内する」
lw´‐ _‐;ノv「私も付き添うよ」
ふらつくでぃを支えるようにシュールが寄り添う。二人を連れてミルナが部屋を出た。
_
( ゚―゚)「どこがとっかかりやすい宇宙人の話なんだ。グロイ話じゃねーか」
(-@∀@)?「理科の授業で鶏の頭の解剖とかしたじゃないですか。それに比べたらこの話くらいなら大丈夫でしょう?」
不思議そうなアサピーに顔をしかめるジョルジュ。
_
( ゚―゚)「いやいやいや、大丈夫じゃなかっただろ。あの話でなんでアサピーが宇宙人にハマったのかまったく分からないし」
(-@∀@)「恐怖を感じたからこそ宇宙人から身を守るために研究していたんです。
ですが調べていくうちに凶暴な宇宙人だけではないと分かりましたからね!宇宙は広大で人間には計り知れないものです。
それと同じだけ宇宙人にもいろいろな種族や考えがあるんですよ。NA〇Aや各国の軍も宇宙人の研究をしているといいますし、
日本が研究に遅れないように僕は常に勉強を欠かさないんですよ。
ジョルジュさんが言っていたアブダクションもキャトルミューティレーションを行うため混同されがちです。
アブダクションで連れ去れた人間は実験体にされることもあるんですが、宇宙人が人間とコミュニケーションをとるためでもあるんですよ。
僕の仮説なんですけど宇宙人に比べれば遥かに知能が低い人間に興味を持つということは宇宙研究が宇宙人もまだ進んでいないんですよ。
だから地球人の太陽系惑星研究はきっと宇宙人にとって目からうろこのはずですよ。
これを宇宙人に発表すれば彼らは驚くと同時に自分の研究を発表してくれるとおもんですよ。
まずは僕達は宇宙語がどんなものか知る必要があり――」
_
( ゚―゚)(地雷踏んでしまった)
53
:
名無しさん
:2021/01/25(月) 02:01:41 ID:gVz0AdSM0
otsu
54
:
名無しさん
:2021/01/25(月) 12:27:59 ID:1cqK8ScA0
言うほどグロくなかったかなー
55
:
名無しさん
:2021/01/27(水) 23:05:27 ID:pgC2DNX20
俺は好きだぞ。アサピーの話。
56
:
名無しさん
:2021/01/28(木) 00:17:43 ID:IOtI5gec0
乙です
シュールの話した現実と陸続きだけどなんか変、みたいなの大好き
57
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/01/30(土) 16:53:12 ID:x.5VIKvY0
( ゚∀゚)「ろうそくは皆が出てる間に消しといたからな。俺たちはいつでも再開していいぞ」
( ゚д゚ )「11話目に進むが、でぃの方は大丈夫か?」
(#゚;;-゚)「うん。さっきの話は家で犬を飼ってたから感情移入しちゃって……。もう大丈夫」
( ゚д゚ )「そうか。他の奴も休憩が必要になったらいつでも言ってくれ。じゃあ、11話目を語ろうか」
皆は隣の市の思永(しえい)小学校が少子化で4年前に廃校になったのは知ってるか?
戦前からの学校で歴史が長く、平成になると鉄筋建てになり戦前の木造校舎の面影は残っていない。
もう築30年になるが廃校になるまで避難場所に指定されていた頑強な建物だった。
廃校になって2年が経った頃、廃校を利用した商業施設化の話があがった。
見積もりを兼ねた下見をしに行った2人のリフォーム業者と3人のベンチャー企業の会社員が廃校に行ったんだ。
廃校になってまだ二年ほどだから大きな傷みはなかった。
これなら大きな改修工事は少なくて済むと思っていたんだが三階の廊下の床に一か所だけ穴があった。
丸くぽっかりと開いた穴。人一人が通れそうな大きさだった。昼間で明かりが窓から入っているのに穴の中は何も見えなかった。
貫通していれば二階の床が見えるはずなんだ。貫通していないなら抉れた床の断面くらい見えるはずなのにそれすら見えなかった。
「なんですかね?この穴?」
リフォーム業者の若い従業員Aが面白半分で身に着けていたボールペンを穴の中に入れた。音もなく吸い込まれるボールペン。
「なに勝手なことやってんだ!」
この五人の中で一番年を取っているリフォーム業者Bが怒鳴る。
「こんな穴があるという報告はなかったのですが……」
会社員達は事前に用意されていた建物の資料に載っていない謎の穴に戸惑いを隠せない。
58
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/01/30(土) 16:54:42 ID:x.5VIKvY0
「今日はもうダメだ。変なことが起きる日は日が悪い。皆さんも今日は帰ったほうがいい。今日はダメな日だ。」
穴に興味深々で近づこうとする若い業者Aを無理やり引き離そうとする業者B。
「これって幽霊とか心霊現象というやつでしょうか?」
j会社員の一人Cが口を開いた。
「俺は幽霊や妖怪なんて信じてないが、俺の先輩や世話になった大工達から『変な事』が起きた日は仕事はするなって言われているんだ。
『変な事』が起きた日に仕事を続けると事故が起きるってな」
業者Bが業者Aに言い聞かせるように言った。
「でも今日中に報告書を出さないと上が……」
会社員達はいきなりできた穴のせいで下見ができなかったなんて上司に報告できるわけがない。
彼らの味方をするかのように穴は静かに小さくなっていき、手のひらくらいの大きさになると何かが飛びだしてきた。
皆が飛び出した何かに目を奪われている間に穴は消えてしまった。カチャンと音を立てて飛び出したモノが床に落ちる。
恐る恐るそれを従業員Aが手に取ると自分が穴に入れたボールペンだった。それには無数の小さな穴がいくつも開いていた。
「今日は仕事にならねえ。上に文句を言われるなら俺が動けなくなるくらい体調が悪くなって下見できなかったことにしてくれればいい」
もう誰も仕事を中断することを反対できなかった。たかがボールペンだがプラスチックを貫通する針だ。
それに全身を貫かれるなんて拷問でしかない。一歩足を出した途端にあの穴が開いて自分が吸い込まれるかもしれない。
そう思うと普通の床が怖いものになってしまったんだ。
学校から出るまで皆怯えて歩いていた。それからリフォーム業者は別の業者に変更されて話が進められたんだが、
ベンチャー企業の役員が脱税で逮捕されたことで廃校商業化の計画は中断された。
廃校は今もそのまま残っている。あの穴は学校のどこかでぽっかりと開いて獲物を待っているかもしれないな。
ミルナがろうそくを消した。
59
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/01/30(土) 17:00:55 ID:x.5VIKvY0
(-@∀@)「今回はミルナさんが体験した話じゃないんですね」
( ゚д゚ )「11話目は親父が体験した話にした」
lw´‐ _‐ノv「A、B、Cの誰かか?」
(#゚;;-゚)「リフォーム業者のBがお父さんっぽいですね」
( ゚д゚ )「会話に交じってないEだ」
_
( ゚∀゚)「Dも会話に交じってないぞwこれがクイズだったら当てるの難しいヤツだw」
「おーい、ミルナ。入るぞー」
障子越しに声がかけら返事も待たずに戸が開いた。男が廊下に立ち、両手に一つずつ重箱をもっていた。
( ゚д゚ )「デミタスおじさん?」
(´・_ゝ・`)「ミルナ、おじさんじゃなくてお兄さんだろ。久しぶりだね。元気にしてた?店に来てくれないからお兄さんさみしいよ。
これね。差し入れ。父さんにミルナの友達が来てるから、みんなのために晩飯をもってきてくれって電話があったから頑張って作ってきたよ」
_
( ゚∀゚)「ミルナの知り合い?」
( ゚д゚ )「この人は俺の父さんの弟の盛岡デミタスおじさん」
(-@∀@)「苗字が……?」
(´・_ゝ・`)「苗字が違うの気になる?男の子に興味持たれてもなー。あ、シャイで聞けない女の子達が可哀そうだからちゃんと言っておくね。
僕、結婚しててね。婿入りしたから奥さんの苗字を名乗ってるんだよ。あとおじさんじゃなくてお兄さんだからね」
60
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/01/30(土) 17:07:53 ID:x.5VIKvY0
デミタスは座っているミルナに重箱を渡して彼の隣に座った。
( ゚д゚ )「もう帰ってもらってもいいんですが」
(´・_ゝ・`)「えー、せっかくはるばる五分くらい歩いて来たのに。父さん、あ、ミルナから見たらじいちゃんね。じいちゃんから聞いたよ。
百物語してるんでしょ?せっかくだから一話くらい語らせてよ」
( ゚д゚ )「 (´・_ゝ・`)「眼鏡君、今って何話目?五人でやってたの?さみしいでしょ〜。僕が一話くらい語っても大丈夫でしょ?
え?もしかして100話目ゲット?」
(-@∀@)「……11話目が終わったところです」
ミルナが何か言おうとしているのを無視してデミタスが質問を繰り出す。その勢いにアサピーがひいていた。
(´・_ゝ・`)「ということは12話目か〜。ちょっと中途半端だなー。まあいいか。皆は13階段って知ってる?知らない?
今の高校生って死刑囚が階段を13段登って死刑台に立つことを知らないのかー。死刑囚が使う階段は13段。
そういう理由で13段ある階段は不吉なんだよ」
(#゚;;-゚)「‥‥‥」
でぃがデミタスの今までの態度から「この人を入れて大丈夫なのか」と不安なまなざしをミルナに向ける。
( ゚人゚ )「(ごめん)」
ミルナは声を出さずに口を動かし、自分の顔の前で両手を合わせて謝った。
61
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/01/30(土) 17:11:24 ID:x.5VIKvY0
(´・_ゝ・`)「ある小学校の体育館は二階が倉庫になっているんだけどそこに繋がる階段が13段あるんだ。
13段の階段・踊り場・13段の階段・二階の倉庫。二階の倉庫は今回の話とは何の関係もないんだけどねー。
夜中の4時44分44秒に13段の階段を上がって踊り場の鏡を覗くと自分の死に顔が見えるんだよ。
僕はクラスのヤンキーに言われて一人肝試しで試したことがあるんだけど本当に映っててさー。
すんごい苦しそうな顔をして禿げてたよ。そりゃあんなにツルッツルな頭してたら苦悶の表情になるわってくらい頭が禿げてたよ。
いやー、あれを見て禿げあがりそうだったね。年をとったらツルピカ!
それから僕はフサフサを維持するためにスカルプシャンプーと育毛剤の愛用者になったよ。
今は安くスカルプケア用品が手に入るけど当時は働くおじさん向けで高いし種類も少ないし売っている場所も限られてたから苦労したよ。
若い時に頑張ったおかげで今があるんだよ。皆も髪は大事にしようね!」
デミタスが白い歯を見せて笑った。そしてろうそくを吹き消した。
62
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/01/30(土) 17:13:51 ID:x.5VIKvY0
(´・_ゝ・`)「みんな、またね!」
そしてデミタスは颯爽と部屋から出て行った。
lw´‐ _‐ノv「なんだあの禿げは」
(-@。@)「ミルナさんの……おじさん」
( ゚д゚ )「血縁者と思いたくない」
_
( ゚ ゚)「若い時から頑張ってもO字禿げ……フサフサの維持は険しいな」
(#゚;;-゚)「えーっと、えーっと、せっかくだからお重箱開けてみましょう」
重箱の上から一段目「わかめとゴマのおにぎり」二段目「クルミといかなごのくぎ煮」「昆布の佃煮」「大豆と人参の煮物」
三段目「ささみのチーズフライ」「サーモンのソテー・チーズソース味」
_
( ゚∀゚)「おっ!茶色ばっかりだけどうまそう!」
(#゚;;-゚)「これ全部手作りかな?」
( ゚д゚ )「おじさん、あんな人だけど雇われ料理人だから味は大丈夫だ」
(-@∀@)「もう一つのお重も同じ中身でしたよ」
lw´‐ _‐ノv「これ全部髪にいい食材と言われているな」
63
:
名無しさん
:2021/01/30(土) 18:06:38 ID:9KE1fVKU0
デミタス……
64
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/02/13(土) 22:58:11 ID:n46WLpJg0
(-@∀@)「ご飯もいただきましたし、次の話に入りましょうか」
_
( ゚∀゚)「おっしゃ。次は13話目だな。おじさんに割り込まれる前はミルナだったから次は俺の番だな」
(#゚;;-゚)「これからも後から来る人もいるだろうし、何話、話したか忘れないようにしようね
lw´‐ _‐ノv「忘れたらろうそくを数えよう」
( ゚д゚ )「話が進むほどろうそくを数えるのが面倒になるがそれが一番正確だな」
_
( ゚∀゚)「ろうそくもらって、と。まずは皆に質問だ。
3D画面のRPGゲームをよくプレイするか?」
_
( ゚∀゚)「俺は部活で忙しいから、たまに友達の家で交代しながら遊ぶくらいだ」
(-@∀@)「僕はよくしますよ。リアルでどこまでも行けるような景色がすごいですよね」
(#゚;;-゚)「私は動画でプレイを見るくらいね」
lw´‐ _‐ノv「一人ジェンガ派」
_
( ゚∀゚)「シュールさん以外は3D画面のRPGで「見えない壁」があるのは分かるよな」
(-@∀@)「どこまでも行けるように見えて実は透明の壁があってキャラが通れないようにしているあれですね。
透明の壁でゲーム進行に不必要な場所は通れないよう制限をしてますよね」
_
( ゚∀゚)「そう、それ。ゲームの演出でもないかぎり普通なら透明の壁は通れないんだ。
だけどどんなゲームでもふとした瞬間、奇跡の確立で透明の壁をすり抜けて進むことができることがあるらしい」
65
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/02/13(土) 23:06:18 ID:n46WLpJg0
( ゚д゚ )「ゲームのことは詳しくないが、それは裏技というやつか?」
_
( ゚∀゚)「いや、裏技じゃない。普通、ゲームでの演出や使う予定で作ったフィールドが使われなかったとか
理由がない限り、透明の透明の壁を越えた空間は作られてないことがほとんどだ。
3Dといっても立体絵みたいに奥行きがあるように見せてるだけだからな」
(#゚;;-゚)「奇跡的な確率で本当は通れないその透明の壁を越えたらどうなるの?」
_
( ゚∀゚)「真っ黒な画面をただひたすらプレイキャラが進むだけさ。
だけどよーく見ると気が付くはずだ。
黒いテレビ画面に映る自分の後ろで
闇よりもっと黒い影が手を伸ばしてこちらの首を絞めようとしているのを……」
66
:
名無しさん
:2021/02/14(日) 13:19:09 ID:nQwC0TqM0
ウオオ…
真っ黒いバグフィールドとかその時点で苦手だからビビった
67
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/02/26(金) 16:01:51 ID:lSWiE8SA0
(#゚;;-゚)「次は私の番ね。今回は友達のおばあちゃんの家に招待された時に体験した話よ」
_
( ゚∀゚)「友達のばあちゃんの家に行くって響きがなんかわくわくするな」
(-@∀@)「百物語の内の一話でなければ知らない町での冒険を期待しちゃいますよね」
( ゚д゚ )「俺はじいちゃんの家が近いから特別感はあまりないな」
_
( ゚∀゚)「それはそれでいいことあるだろ。お袋が勉強しろとかうるさいときはこっちに逃げれて」
(-@∀@)「ミルナさんのおじいさんの家は古くて雰囲気があっていいですよね。気軽に行ける別荘みたいですよね」
lw´‐ _‐ノv「男子〜、ちょっと静かにしなよー。とか女委員長の定番を言う流れが来たので乗った」
(-@∀@)「ふひ、すいません」
68
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/02/26(金) 16:04:20 ID:lSWiE8SA0
高校を入学したての時って友達グループを自然と作るでしょ。
その時、同じグループになったのが「まみこちゃん」。
二人で会えば話が盛り上がるような親しさはないけど仲が悪くて喧嘩するような相手でもない。
学校の外で遊ぶことはない学校内の友達だったわ。
1学期の終業式が終わってグループの皆と集まっている時に夏休みにどう過ごすかの話になったの。
「まみこちゃんは夏休みはどこか旅行とか行くの?」
友達の誰かがまみこちゃんに話を振ったら彼女はいつものほんわかとした笑顔でこう言ったの。
从´ヮ`从ト「私はおばあちゃんの所へ行くん。今年は人魚餅の巫女さんを頼まれてるから」
「にんぎょう持ち?」
从´ヮ`从ト「人形じゃなくてマーメイドの人魚よ。お餅を搗いて配る漁村のお祭りみたいなん。
おばあちゃんが住むところは、毎年12歳と15歳の子が人魚餅を作って巫女さんが集落の人に配るん。
その配る役をおばあちゃんところから頼まれたんで行くんよ。皆も来てみる?
ばあちゃんが『集まる人が少のうなったで友達も連れてきよ』って。巫女さんは綺麗な着物を着るから多い方が華やかでええと」
巫女さんになれるとかきれいな着物って興味を引く言葉に釣られてグループの皆が行きたい。
皆で行こうって話になったんだけど……当日の待ち合わせ場所に来たのは私と前の話に出た女未ちゃんだけ。
| l| ゚ー゚ノl「でぃちゃん!良かったー!日にちが近づいてくるとだんだんと行けないって連絡が入ってくるし、
約束の時間がもうすぐなのにまだ誰も来ないから行くのは私だけかと思ってたんだよ〜。
もしかしたらハブられた!?なんてちょっと思ったし」
「私も一人だけかとドキドキしながら来たよ。女未ちゃんがいてよかった〜!」
从´ヮ`从ト「お待たせ〜。でぃちゃんと女未ちゃんが来てくれることになってよかった。
他の子から家族との用事とかで来れないって断られちゃったから。二人ともお父さんの車に乗って」
69
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/02/26(金) 16:09:48 ID:lSWiE8SA0
私と女未ちゃんはまみこちゃんのお父さんが運転する車に乗って漁村に行ったの。
漁村と言ってるけど数十年前に村同士が合併して町になっているから正確には漁師の集落といったところかしら。
今回の祭りは漁師たちの文化や記憶が途絶えないようにシニア世代の人たちを中心に行事を残す活動をしてるんだって。
初日はおばあちゃんの歓迎を受けて新鮮な山菜料理をごちそうになったわ。
巫女さんになる人は前日になま物を食すのはだめだからって。
翌日は朝から人魚餅作りをしたの。お餅を配る巫女は人魚餅ができるまで材料にも触ってはいけないって言われて
私と女未ちゃん、まみこちゃんは見ているだけだったけど。
おばあちゃんが蒸かしたもち米は神社の境内に運ばれていった。
私たちみたいな見学人以外は袴姿の15歳の男の子達が数人と男性が二人がいたと思う。
男の人が指示して餅つきは全部男の子達がしていたわ。
从´ヮ`从ト「15歳の男の子がこうして餅を作って、神主さんが作った魚の餡を12歳の女の子が餅に包んで丸めるん。
それが人魚餅よ。あんまり美味しくないけど無病息災、不老長寿を願って食べるんよ」
| l| ゚ー゚ノl「魚の餡?あんこじゃなくて?」
从´ヮ`从ト「人魚の肉に見立てた魚をまるごと潰したものを餅に包むん。だから人魚餅。私も12歳の時にしたんだけど
生のまま丸ごとつぶした魚をそのまま餅で包むから気持ち悪いし嫌やったわー」
「えっ……生の魚って骨ごと?」
从´ヮ`从ト「骨も内臓もまるごと。丸めた餅はまた蒸かして粗熱がとれたら竹皮に包んで巫女さんが配るんよ」
| l| ゚ペノl「それって……私たちも食べるの?」
从´ヮ`从ト「巫女さんは海の神の遣いだから魚を食べないんだって。
海の生き物を海の神の遣いの巫女さんが食べたら神様に怒られるって」
70
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/02/26(金) 16:12:17 ID:lSWiE8SA0
「だから昨日は山菜料理だったのね。美味しかったけどやっぱり海の町に来たら魚料理がいいな」
从´ヮ`从ト「お餅を配り終わったら巫女さんもお仕舞いだから魚料理を食べてもいいよ」
| l| ゚ー゚ノl「やった!魚料理が楽しみ」
| l| ゚ー゚ノl「そろそろ着替えに行こうね。こっち来てん」
まみこちゃんに誘われて神社の事務室に簡易的に作られた更衣室で巫女衣装に着替えたの。
巫女の衣装の定番って白の着物に赤い袴でしょ。
だけど渡された衣装は浦島太郎の乙姫みたいな姿って言えばイメージしやすいかな。
水色や桃色の着物と花柄の帯で綺麗だったわ。だけど巫女のイメージとは違うよね。
お餅が独特だから衣装も独特といえばそうなんだろうけど。
竹皮に包まれた餅は袋に入れられていて他の巫女さん達に混ざって私たちもそれを持って地図に書かれた家々を回っていったの。
| l| ゚ー゚ノl「ここは三件並んでるし私たちは三人。一人一軒を行ったらすぐに終わるね」
そこで私たちは一度分かれてそれぞれ別の家にお餅をもっていくことになったの。
私は一番奥の行き止まりの家に行ったの。
チャイムを鳴らすと「はーい。ちょっと待ってね」と大人の女性の声がインターフォン越しに聞こえたわ。
少し待つと同じ年くらいの女の子が出てきたわ。
|||д|||「……」
前髪が長くて顔が分からないけどすごく陰気な雰囲気の子だったわ。
「えっと人魚餅をどうぞ」
その子から魚の生臭さと汚れた犬の匂いがしてあんまり関わりたくはなかったから
早く渡してしまおうと袋をさしだしたんだけど受け取ってくれなかった。
ぼそぼそと呟いて私に背を向けると階段を上がって行ってしまったの。
家の人には渡せなかったお餅をどうしようかと悩んで動けずにいると奥から女の人が出てきたわ。
女「遅くなってごめんなさいね。揚げ物の途中だったから目が離せなくて」
「あっ、これ人魚餅です。渡すように言われて来ました」
女「ありがとう。かわいい巫女さんが持って来てくれたって言ったらおじいちゃんが喜ぶわ。
だけど一人で留守番をしてると家で留守番する自分と買い物とかするもう一人自分がいたらいいのにって思うわ」
71
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/02/26(金) 16:15:59 ID:lSWiE8SA0
背筋がひんやりとしたわ。さっきの女の子は幻なの?って。
从´ヮ`从ト「でぃちゃん。渡せれたん?」
| l| ゚ー゚ノl「でぃちゃん。次まわりに行くよ」
女「あら、次があるのね。お餅ありがとうね」
私達が背を向けて次に行こうかという時だったの。
閉まりかけたドアから「あら嫌だわ。床が濡れてる。お水なんて持ち歩いてないのに」という女の人の声が聞こえた。
(#゚;;-゚)これで私の話はおしまい。
でぃが慣れた手つきでろうそくを消すと同時に部屋の電球が点滅を繰り返す。
五人の視線が和室に不似合いなミニシャンデリアに向けられる。
「電灯切れか?」「最初のときみたいな演出じゃないの?」
「このチカチカの仕方はスイッチじゃできませんよ。ミルナさん、もう古い電球をかえたほうがいいですよ」
「私、殺されて食われたの」
「そうだな。祖父に交換するように言っておく」
「あ、明かりが消えた」
ついにミニシャンデリアの光が消えて頼りないろうそくの火が五人の姿を照らす。
( ゚д゚ )「すまん。じいちゃんに予備の電灯がないか聞いてくる。懐中電灯と卓上ライトがあるからそれをつけてくれ」
_
( ゚∀゚)「ああ、頼む。待ってるからさ」
ジョルジュがスマートフォンで明かりを足し、あらかじめ準備されていた懐中電灯のスイッチを入れる。
(#゚;;-゚)「ごめんね。もう限界……あっ。あっ、時間の方ね。門限が近いから帰らせてもらうね」
でぃは取り繕うようにスマホで時間を確認して皆に帰ることを告げた。
(-@∀@)「僕もそろそろ帰らせてもらいますね。部活以外で遅くなると母がうるさいもので」
lw´‐ _‐ノv「私はまだ残れるからもう少し話をしよう」
( ゚д゚ )「そうか。来てくれてありがとう。ブーンには俺から伝えておくよ」
ミルナとでぃ、アサピーの三人が部屋を出た。
72
:
名無しさん
:2021/03/03(水) 19:36:42 ID:4sL6p/Go0
きてたか、sage進行だとたまに気付かないな
乙
73
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/06/12(土) 23:12:48 ID:oROaQqpI0
ミルナが頭を掻きながら部屋に戻ってきた。
( ゚д゚ )「じいちゃんに電球を聞いてきたんだがなかった。交換は明日になる」
lw´‐ _‐ノv「それは仕方ない」
_
( ゚∀゚)「電球って買い置きしないよな。暗くなったけど灯りはあるから移動は困らないから続けようぜ」
lw´‐ _‐ノv「そうだな。二人が帰ってしまったが百物語は続けよう。4話目は私から話すぞ」
私の家には叔父の形見の火鉢があるんだ。叔父は幽霊が憑いているなどのいわくつきの骨董品集めが趣味でな。
叔父が亡くなった後、いわくつきのモノだと気味悪がられてほとんどは骨董屋に流れていったよ。
骨董品屋に鑑定してもらって値がついたものだけが親戚に形見分けされたよ。
その一つがうちにあってね。
「セミの火鉢」と言わている。値がついたといっても火鉢自体は5千円くらいだけども。
最初の持ち主は冬が大嫌いだった。陶器の火鉢をオーダーメイドしてセミが鳴くほど部屋が暖かくなるようにと
セミの絵を描かせた。ごくごく普通のセミの絵だよ。誉め言葉で言われる生きているような絵とは程遠かったものの
だけど持ち主は冬になると好んで火鉢を使っていた。
その火鉢が使われるようになって幾度かの冬のある日、彼の妻がその火鉢で火を焚くとセミの鳴き声が聞こえるというんだ。
シャンシャンシャンシャン
「ねえ、あなた、セミが鳴いたような音がするわ。テレビの音かしら?」
なんて妻が言っているうちにセミの鳴き声は徐々に小さくなっていったそうだ。
主人は聞こえていなかったから空耳だろうと聞き流され、妻も何かの音がそう聞こえたんだろうと思った。
74
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/06/12(土) 23:13:34 ID:oROaQqpI0
また別の日は「ミーン、ミンミン」とセミの鳴き声がする。妻がまたセミの声がすると言うと持ち主がこういった。
「蝉の声なんて聞こえないよ。本当に鳴いているならセミは一週間の命さ。すぐに聞こえなくなるよ」
妻は最初に鳴き声を聞いた日を含めて6日間、セミの声を聞いた。7日目の昼、家で飼っていた金魚が全て死んでいた。
それから妻はセミの鳴き声が聞こえると一週間後を気にするようになった。
セミの鳴き声が聞こえて一週間後に誰かが死んでいる。
死んだのは近所の子供だったり、テレビでよく見る有名人だったりした。
近所の子供の死と火鉢のセミをつなげるのはともかく、直接会ったこともない有名人の死なんて偶然と言ってもいいものだろう。
だけど恐怖の穴に落ちた妻は完全に火鉢を怖がった。冬に生きたセミはいない。
なのに冬にセミの鳴き声が聞こえると一週間後に誰かが死ぬ。まるで死神が憑りついているようだ。
蝉の鳴き声が聞こえだしたのはこの火鉢が来た後だ。では火鉢のセミのせいではないのか?いや、この火鉢のセミのせいだ。
そんな考えを妻が口にするたびにバカなことと笑う持ち主。だが妻は火鉢が恐ろしいものに見えた。
翌年にも持ち主は火鉢を出して使おうとしたんだが、妻が離婚か火鉢かという二択を迫る事件が起きた。
主人は火鉢を気に入っていたが、妻がいないと何もできない人だった。妻に離婚されないように仕方なく火鉢は知人に譲ったんだが
巡り巡って私の家に来たんだ。うちはマンションだから火鉢が使えないから押し入れにしまってある。
lw´‐ _‐ノv「これで話はおしまいだ。ろうそくを消そう」
75
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/06/12(土) 23:19:35 ID:oROaQqpI0
( ゚д゚ )「付喪神だろうか?セミの声がする火鉢。……因果関係は実際のところ、どうなんだろうな」
lw´‐ _‐ノv「気になるなら使ってみるか?粗大ごみに出すとお金がかかる厄介物だから無料で譲ろう」
_
( ゚∀゚)「セミが鳴いたらヤバイことが起きるなら無料でも俺はもらいたくないぜ」
( ゚д゚ )「本当に知っている人が亡くなるなら俺も遠慮する」
lw´‐ _‐ノv「ふふふ……次はミルナの話だな」
( ゚д゚ )「じゃあ次の話を始めよう」
じいちゃんが教えてくれた話なんだが、江戸時代も怖い話が流行っていたそうだ。
本所の七不思議で足洗い屋敷という話があるんだが二人は知っているか?
「いや、聞いたことがない」
「本所すらオレは分かんねーや」
……そうか。聞いたことがないか。本所は東京にある地名だ。同じ本所の七不思議でもおいてけ掘の方が有名だから影に隠れてしまうな。
簡単に話すと屋敷の天井から大きな足が出てきて「足を洗え」と言うんだ。
足を洗うと何もなかったかのように消えるんだが、洗うのに手を抜くと屋敷中の天井を踏み破ってしまうんだ。
「それが家に出たのか?」
ああ、出たけれども足じゃなかった。じいちゃんの家の床から大きな手が生えてきたんだ。「手を洗ってくれ」と。
じいちゃんが桶に水を張り、汗だくになって手拭いで手を洗ってやると何もなかったかのように消えていった。
76
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/06/12(土) 23:52:39 ID:oROaQqpI0
( ゚д゚ )「たくさん話をしたと思うんだが、まだ17話か。100話まで気が遠くなるな」
lw´‐ _‐ノv「5人だった時でも1人あたり20話話す必要があったから仕方ない」
_
( ゚∀゚)「3人だと沢山自分が話しているのにロウソクを消しても消しても減らない気がするw」
♪ピロリローリー ライス 米 白米 皆 こめ〜 ピーひゃららー♪
_
( ゚∀゚)「……なんだ、今の」
lw´‐ _‐ノv「ああ、私の電話の着信音だ。ちょっと失礼する」
( ゚д゚ )(米の着信音があるのか)
シュールが電話に出るために部屋からでた。
_
( ゚∀゚)「……シュールさんの話の時に突っ込まなかったけど4話目って言ってたな」
( ゚д゚ )「ああ。シュールさんが話した回数はあれで三回目だ。多分だが4回、自分が話したと数え間違えたんだろ」
_
( ゚∀゚)「なんか話数もだけどいろんな錯覚が起きてるよな。変なものが見えたり、聞こえたり……」
( ゚д゚ )「幽霊の正体みたり枯れ尾花と言われている。こういう事を含めて百物語なんだろう」
_
( ゚∀゚)「ところでさ、他の奴はまだ来ないのか?ブーンがあちこちで誘ってるから途中で誰か来ると思ってたんだが……」
( ゚д゚ )「ブーンが「たくさん声をかけたから少なくとも10人は来ると思うお」って言ってたが……」
_
( ゚∀゚)「でも俺たちの友達が当日に四人くらい来れなくなったからなー。ブーンも来ないし切り上げてもいいんじゃないか?」
77
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/06/13(日) 00:43:29 ID:kCsBpYck0
lw´‐ _‐ノv「おまたせ。友達が百物語の会場が分からないと電話してきたから場所を教えておいた」
lw´‐ _‐ノv「もう少し時間がかかるから先に17話目をしよう」
( ゚д゚ )「次は18話じゃなかったか?」
lw´‐ _‐ノv「たしか5人で2週して10話の話が終わった。3週目はミルナのおじさんが途中で入ってきたから私が15話目になったんだ」
_
( ゚∀゚)「途中で順番が変わったし、アサピーも帰ったからややこしくなるけど3週目も5人が話をしたんだ。
んで、ミルナが16話目で次は17話だ」
_
( ゚∀゚)(参加者が来るのか。せっかく来てくれるし百物語の中断が言いづらくなったな)。
( ゚д゚ )「……そう言われてみればそうか。会の途中でろうそくが風で消えていたから無意識に一つ多く数えていたようだ」
lw´‐ _‐ノv「複数人で集まった場所で数え間違えすることを怪奇現象にしてしまう話は多いな」
_
( ゚∀゚)「それってあれだ!あ、この話は17話目としてオレにさせてくれよ」
78
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/06/13(日) 00:44:34 ID:kCsBpYck0
「雪山で4人が遭難してしまった。
このままでは確実に死んでしまうと4人が考えたはじめた時に山小屋を発見した。
息も絶え絶えに小屋に入る4人。凍死しそうな寒さなのに山小屋には暖房設備がなかった。
あったのは非常食のみ。
寝れば確実に凍え死んでしまうと考えたリーダーがこんなゲームを提案した。
「4人が小屋の四隅に座り、五分毎に東周りに歩いて、肩をタッチしよう。タッチされた人はタッチした人と交代して次の角へ向かう。」
なんとか誰も寝ずに朝が来た。運よく救助隊が山小屋にいる4人をを発見して保護した。
「全員ご無事でよかったです」
「寝ないように4人でゲームをしてまして」
とリーダーがゲームの内容を説明する。
少しの間をおいて救助隊が答える。
「そのゲーム、5人でなければできないよ!4人じゃ1人目は2人目の場所へと移動している。
4人目は2人分移動しないと1人目の肩を叩ける事は在り得ない!」
79
:
名無しさん
:2021/06/13(日) 08:08:19 ID:boeHd6mY0
おっ
80
:
名無しさん
:2021/06/13(日) 20:28:22 ID:ml2cHdh60
参加者出たり入ったりなのがなんかヒヤヒヤするな…
81
:
名無しさん
:2021/06/14(月) 00:07:15 ID:VB8e2zQg0
乙。夜中に見るんじゃなかった。
電灯が切れたところ、めっちゃ怖い。
82
:
名無しさん
:2021/06/14(月) 04:19:55 ID:9vgBHEdc0
うーん…
83
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/07/10(土) 23:35:37 ID:ToOsemy.0
lw´‐ _‐ノv「それって……たしか五人で山のぼりしていて小屋にたどりついたけど一人が低体温症で死んだ。
生き残った四人が四隅に立ち一人が壁に沿って進む。角に立つ人にタッチしたらタッチされた人が歩く。
すると四人目は一人目が最初に立っていた角に立つ人がいないから成立しない。
ではこのゲームができたのはなぜ?実は死体が……ということが重要だったのでは?」
_
Σ( ゚∀゚)「えっ!?これって四人なのに五人でしか成立しないゲームが成立してしまった!
もう一人は誰!?っていうもやもや系の怖い話だろ?」
( ゚д゚ )「これは有名な話だから色々なパターンがあるな。
この怪奇現象は暗闇で感覚がなくなったから人にタッチするまで多く歩いたせいで起きた。と現実的な見方もある」
lw´‐ _‐ノv「人の数だけ真実があるということか。バーローに怒られそうだ」
_
( ゚∀゚)「ちょっwバーローは口癖wそんな呼び方したら真実は一つっていう探偵のファンに叱られるっす」
〜〜〜〜〜〜
( ゚д゚ )「ハンザ―さんの話になってずいぶん話が脱線してしまった。そろそろ百物語の続きをしよう」
lw´‐ _‐ノv「次は真実を話して進ぜよう」
「もったいないおばけって知らない者はきっといないだろう。
多分、チビ時代に親や幼稚園などから一度は聞いたことあると思う。
かいつまんで説明すると食べ物を好き嫌いして残すとその食べ物が食べて欲しい一心で真夜中に化けて出てくるという。
私は好き嫌いをしたことがないから、もったいないお化けの全身を見たことがない。
だけどそのお化けらしき目は見たことがある。あれは六つ(むっつ)の時だった。
当時、私の親戚は農家が多くて「田植えだ」「畑の収穫だ」と一族で集まることが多かった。
当然、大人だけでなく子供も手伝いとして集まるから収穫時期は食事の時間も賑やかだった。
84
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/07/10(土) 23:37:07 ID:ToOsemy.0
人参を育てる農家の親戚をAちゃんとしよう。彼女は人参農家の子なのに人参を含め野菜が嫌いな子だった。
白米ですら「白くて嫌」という不届き者で私の中で関わりたくない子だった。
皆で草抜きをした後の食事の時間、サッと食べれるように野菜スティックやおにぎりが用意された。
当然、Aちゃんは嫌がる。周りが食事をしている中でふてくされてフォークで野菜スティックをつついては涙していた。
大人が食べるよう勧めたりするけどAちゃんは嫌がる。
最後はフォークが投げ捨てられて、使われていない取り皿へ音もなく不時着した。
……
…………
私はAちゃんが投げたフォークが弧を描いて取り皿に落ちようかというときに目を見つけた。
それは皿に落とされた生卵みたいだった。白目が生の白身。それで黄身にあたる部分が人間の目だった。
スローモーションのようにフォークが目の中央に向かって落ちていく。そしてフォークの切っ先が目を突いた。
目は逃げずフォークに刺されて消えてしまった。
そんな異常事態に関わらず周囲は普通だった。Aちゃんの親や大人達は行儀の悪いAちゃんを叱る。
彼女は更にふてくされて席を立ち泣きながら部屋を出て行く。その音をノイズのように聞いていた。
85
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/07/10(土) 23:39:01 ID:ToOsemy.0
子供心にも分かる現実感のない出来事が起きてしまったことにおにぎりを持って私は固まっていた。
「……目玉」
集まっていた子供の誰かが呟いた。それを聞いて私は「ああ、あれはきのこの幻覚じゃないんだ」と思った。
「もったいないさんは見てるんだよ。ちゃんと食べてるかお皿に擬態するんだよ」
いつもは寝てるかお菓子を食べてる静かな認知症のばあちゃんが呟いた。
「ばあちゃん?もったいないさんって?」
目玉に気が付いた子達がばあちゃんに声をかけたり、もったいないさんのことを聞く。
だけど、ばあちゃんはもうデザートの田舎饅頭に夢中で返事をしてくれなかった。
この事件は子供たちの中で年長者が「きっともったいないお化けのことだよ。
皆は好き嫌いしちゃだめよ」と言って締めくくった。
その数か月後、Aちゃんは左目を失明したと親戚たちの噂になっていた。
あの目玉事件からAちゃんを含め一家で集まりに来なくなったけど子供たちの間でも噂になったよ。
「Aちゃんはもったいないさんの目をフォークで刺したから、もったいないさんに目を食べられたんだ」って。
静かにろうそくの火が消される。
86
:
名無しさん
:2021/07/11(日) 01:07:49 ID:m93NMLJc0
otsu
87
:
名無しさん
:2021/07/12(月) 09:36:50 ID:s2fh.lXE0
乙乙
毎話楽しみにしてます
好き嫌いって舌が過敏なのが原因とかもあるだろうし、とょっと可哀想なところもあるな…
88
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/07/16(金) 22:18:55 ID:Nv8FtLoA0
ピンポーンと玄関のチャイムが三人がいる部屋まで響く。
( ゚д゚ )「この時間に……ブーンか?」
lw´‐ _‐ノv「主催なのに遅刻だからな。もう来てもおかしくない」
_
( ゚∀゚)「俺達、話を進めず待ってるから迎えに行って来てくれよ」
( ゚д゚ )「ああ、ちょっと見てくる」
ミルナが立ち上がって部屋をでた。
しばらく後に部屋のドアが開かれるとミルナと背の高い女が廊下に立っていた。
_
( ゚∀゚)「……(D、いやEカップはありそうだ)」
∬´_ゝ`)「えっ、あれ、いない。えっ!場所間違えたかしら!?」
lw´‐ _‐ノv ( ゚д゚ ) 「「?」」
∬´_ゝ`)「えっ?ウソッ!?やだ!私ったら住所間違えちゃった!?弟達に頼まれて来たのに。
うわー!やだっ!よそ様の家に間違えて上がったなんて恥ずかしい!」
lw´‐ _‐ノv「よく分からないが、米つけ。ここはブーンが主催する百物語の会場で
ブーンが私達を含め大勢を呼んでいるらしい。だから私達にも誰がいつ来るのか分からない。」
∬´_ゝ`)「えっ?そうなの?あっ、だけど弟達から怖い話大会の場所にいるから姉ちゃん来てよってメールに
書いていたからここに来てると思うんだけどね。でも、どう見てもいないわ。ごめんね。ちょっとメール確認するわ」
_
( ゚∀゚)「……(オレは胸以外に興味は薄いが、あの腰からヒップのラインから目が離せない。いや、胸・腰・尻の三位一体の
究極的なバランスがオレの目を釘付けにしているんだ)」
89
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/07/16(金) 22:20:03 ID:Nv8FtLoA0
――
――――五分後、
∬´_ゝ`)「ごめんね。タクシーが来るまでここで待たせてもらって」
lw´‐ _‐ノv「もう遅いし女性が外で立ってるのは危ない。ちょっと趣味の悪い部屋でよければいくらでも貸しますよ」
( ゚д゚ )「シャンデリアに畳は趣味が悪いと思うが、俺のじいちゃんの家だから俺のセリフで……」
_
( ゚∀゚)「よく似てる字だけど宝島1丁目と宝鳥1丁目を見間違えて来たとはついてないっすねー」
∬´_ゝ`)「しかも今日に限ってタクシーが出払っててココに来るのが一時間以上かかるって。やれやれね。
ところで君たち、百物語してるんでしょ?弟達の怖い話大会でする話をタクシーが来るまで聞かせてあげようか?」
_
( ゚∀゚) lw´‐ _‐ノv 「「ぜひお願いします」」
( ゚д゚ )「いいんですか」
∬´_ゝ`)「間違えて入った家でも怖い話大会をしてたんだから何かの縁でしょ。
私、看護師だからけっこう霊体験とかあるのよ。ほら、ろうそく何本かちょうだい」
90
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/07/16(金) 22:22:39 ID:Nv8FtLoA0
さあ、準備が整ったわ。私の一話目の題は「巡回するナース」よ。
私の病院は医師と看護師二人と看護助手一人で夜勤をするの。
医師は緊急時にすぐ動けるように待機だから巡回は看護師と看護助手がするのよ。
夜は交代で見回りとナースコールの対応、一人は仮眠って役割分担してるんだけどね。
ナースステーションに一人待機する必要があるから巡回は一人ですることになってるわ。
時々、巡回していると足音が一つ増えてることがあるのよ。
同じスピードで少し後ろからついてくる足音。後ろを振り返っても誰もいない。
霊感が強い子が言うには古いナース服を着た女性が不安そうに後ろをついてくるのよ。
足はないのに足音を立てて、ね。噂では新人看護師だったけど事故で亡くなり仕事に未練があって出るとか
新人看護師が巡回中に心臓発作で死んでしまい死んだ自覚がなくて彷徨っているとか色々言われているわ。
∬´_ゝ`)「私なら死んだら家族の所へ行くわね。死んでまで仕事はしたくないもの」
彼女は火のついたろうそくを消した。
( ゚д゚ )「なんで二種の噂とも新人看護師が出ると言われているんです?」
_
( ゚∀゚) 「ん?そういやなんでだろうな。普通に看護師とかナースでいいのに」
∬´_ゝ`)「ああ、それねー。これを言うと蛇足になっちゃうんだけどね。
話をした時に巡回は一人でするって言ったでしょ。
だけど新人ナースが入ったら仕事を教えるために必ず先輩ナースが付き添うのよ。
新人は自然と仕事の時に先輩の後ろをついて歩くのよ。
もしも彼女が熟練の看護師なら私達の前を歩くか追い越すか、幽霊でも意思があるなら好きに歩いていくでしょ。
だけどずーっと後ろをついて歩くから新人で時間が止まった子なのよ」
lw´‐ _‐ノv「ずいぶんと人間臭い幽霊だ」
∬´_ゝ`)「元々、人間だからね。でも、死んで何をすればいいか分からないからって仕事したいとは思わないわ」
91
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/08/03(火) 21:46:40 ID:R8lH1vKo0
続けて話すわよ。今回も病院で伝わってる話。
病院の待ち合い所や面会ホールに本が並べてあるでしょ。
あの中にね。読むと苦しみが無くなる本があるんですって。
題名は「家族の童話 0(ゼロ)」よ。え?そうね「家族の童話シリーズ」は「家族の童話1〜12巻」よ。
だけどなぜか「家族の童話 0」がいつの間にか他の本に混ざって並んでいるのよ。
その本の内容だけどね。読んだ人は「普通の童話だったよ」って言うのよね。
本を読んだ人から内容を聞いてもなぜか覚えていないのよ。読み終わった直前で聞いても「あれ?なんだったかな」って
不思議そうに首をかしげていたわ。でも表情は今まで見たことないくらい穏やかなのよ。
そう。そうね。そんなに怖くないでしょ。童話を読んで童心にかえったから穏やかな気持ちになった。良いことよね。
でも、長生きしたいなら読まないほうがいいかもね。
この本を読むと翌日に死んでいるのよ。本を読み終わったときのような穏やかな表情を浮かべて静かに……ね。
∬´_ゝ`)「霊感が強い子によると『家族の童話 0』の表紙は赤い靴を履いた女の子が光を放つ黒塗りの人間に抱きかかえられている絵なのよ。
これって「赤い靴」の救済話を絵にしてると思うの。赤い靴でずっと踊る罰を受けた女の子を神が慈悲を持って救うってシーン。
人間って死ぬことだけが救いじゃないはずなのよ。それならなんで医療は発展しているのかってことになるでしょ。
だから私は本が好きじゃないのよね。健康な人間による贅沢で浅はかな考えなのかもしれないけど……」
92
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/08/03(火) 21:47:57 ID:R8lH1vKo0
( ゚д゚ )
_
( ゚∀゚)
lw´‐ _‐ノv「二人とも美人に見とれてないで感想なり怖い話なり語るべきだろう」
( ゚д゚ ;)「オレは見とれているわけでは……」
_
( ゚∀゚)「お……お、お(っぱい)おおおっぶねえ。本音が爆発するとこだった」
∬´_ゝ`)「あっ、ごめん。二回も病院の話なんて面白くなかったわよねえ」
_
( ゚∀゚)そ 「めめめっ、めっちゃくちゃよかったです!!(おっぱい!)」
lw´‐ _‐ノv「……なんかやましい匂いが」
くっくどぅどぅどぅ くっくどぅどぅどぅ
くっくどぅどぅどぅ
∬´_ゝ`)「あ、私の電話だわ。呼んでたタクシーにここに着いたらチャイムは鳴らさずに電話してって言ってたのよ」
( ゚д゚ )「きりのいいところで迎えがきましたね」
_
( ゚∀゚)そ「えっ!?ここでお別れ!?」
∬´_ゝ`)「残念だけどお別れね。短い時間だけど楽しかったわよ。待ち合わせに使わせてもらってありがとう」
lw´‐ _‐ノv「女性が一人で夜道に立っているのは危ないのでこんな家でよければいくらでも」
( ゚д゚ )「それは俺のセリフで……ああ、玄関まで送ります」
93
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/08/03(火) 21:49:56 ID:R8lH1vKo0
彼女が立ち上がるとミルナも見送りのために立ち上がる。
引き留める言葉が見つからないジョルジュが小さな声を漏らした。だが二人の耳には届かず来たときと同じように障子戸をあけて出て行った。
lw´‐ _‐ノv「ブーンはいつ来るんだろうな」
_
( ゚∀゚)「……オレ、ちょっといってくる!愛のためにチャリ全開で空飛べるぜ!」
lw´‐ _‐ノv「今なら一緒にタクシー乗れるんじゃないか?」
_
( ゚∀゚)「乗れなかったら最後の恋のため全力で追うわ!ブーンによろしく言っといてくれ!」
lw´‐ _‐ノv「はいよ」
シュールは勢いよく走るジョルジュの背に手を振って見送った。
94
:
名無しさん
:2021/08/04(水) 00:56:33 ID:0aJDRNa.0
乙デス
95
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/09/06(月) 21:59:25 ID:KGZxybk20
ミルナが新しい参加者を連れて戻ってきた。
( ゚д゚ )「まあ、座ってくれ。俺の友達のヒッキーだ。今は俺とシュールだけだが、もう少ししたらブーンが来ると思う」
lw´‐ _‐ノv「どうもシュールです。わたしの友達も来る予定だ」
(-_-)「あっ、ど、どうも。ヒッキーで、え?ヒッキーで、自己紹介、良かった?」
lw´‐ _‐ノv「名乗りもなく話だけしたお姉様がいたから気にしない」
(-_-)「は、はあ。い、いいの?ぼ、ぼくこんなの初めてで」
( ゚д゚ )「気楽にしてくれ。皆、好きなように語ってここで過ごしていった」
(-_-)「じゃ、じゃあ、そのよろしく」
lw´‐ _‐ノv「さてと。早速、怖い話は用意できているか?まだなら私から話そうか」
(-_-)「いきなり!?あっ、おおお、お願いします」
lw´‐ _‐ノv「よきぞ」
(-_-)そ「よきぞ!?」
96
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/09/06(月) 22:00:35 ID:KGZxybk20
「私の親戚たちは農家が多いと前の話でもしたな。農家はとにかくお祭りが好きだ。
祭りには五穀豊穣の祈りも含まれているからとても大切なんだ。
正月を含め祭りには餅つきが定番で親戚の家には代々受け継がれる石臼がある。
その中の石臼のひとつに変わった話があるんだ。
必ず臼に水を溜めておくこと。水が干からびると竜神の怒りで干ばつが起きるというんだ。
普通、臼に水なんて張らないものなんだ。水を溜めれば餅のひとつも作れなくなって臼の意味がない。
だけどその石臼を所有する親戚のおじいさんが若いころのことだ。
近所に池が作られる時に水を絶やさないようにと出来上がった池の中に沈めてしまった。
池に沈める前は竜神を怒らさないよう律儀に毎日水の確認をしていたらしい。
先祖代々の臼に水道のない時代は水汲みも苦労したし干からびることもあった。
それから解放されたかったから池を作るときに頼んで沈めたということだった。
それからおじいさんの近隣の田畑は水に困らなくなった。めでたし。めでたし」
(-_-)「めでたしって。え?それで……終わり?」
97
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/09/06(月) 22:01:18 ID:KGZxybk20
「まあ。普通はこれで終わり。小学生に教える地域の伝説なんてこれで終わりの方が良い。
ここから先は私達血縁者に伝わる話。その親戚のおじいさんが若い時は戦後すぐのこと。
いつの時代も怖い話は人気で、若かったおじいさんは仲間に水を絶やしてはいけない石臼の話をした。
戦争に負け神も仏もないと嘆く若者達だ。怖い話をするのに怖い話を信じていなかった。
誰からともなくおじいさんの石臼の水を捨てて竜神など迷信だと確かめようという話になった。
実際に石臼はバラック小屋の土間に置かれて水が張られていた。
長い間、水の入れ替えをせず水の補充だけされていたから苔が生えた石臼。はっきりと言えば捨ててもいいくらいの代物だ。
そんな石臼、見ても怖くはない。だから「こんなものに怯えるなど日本男児の恥よ!」と
血の気が盛んな若者が力任せに石臼を押し倒してしまった。
鈍く大きな音を聞きつけて田畑で仕事をしていたおじいさんの母親や近隣のおばさん達が集まってきた。
泡をくって驚くおじいさんの母親達と意気揚々と迷信を信じる愚かさを説く若者達。
当事者じゃないから少し冷静なおばさんが石臼に向かって指をさしてこういった。
「ねえ、あれ、石臼から何か流れてるわよ」
そこから次々におばさん達が異変を口にしていく。
「水じゃないの?あの石臼に水を溜めて火が上った時に使うって××さんが」
「でも変よ。踏みならされた土とはいえ水なら吸収されていくでしょ。それに色も……」
「ねえ、なんだか鉄の臭いがしない?」
石臼ほどではないが何か大きな音がした。皆の視線が一点に集まった先には石臼を倒した男が倒れていた。
……その男は全身の血が抜かれたかのように全身が真っ白になって息も止まっていた。
大慌てで呼んだ医者の診断では眩暈か転んだかして土間の石臼に頭をぶつけて出血多量でショック死になっていた。
彼の死を嘆いたおじいさんはその石臼を池に沈めて竜神さまを誰も怒らさないように祈りを込めて池に沈めたんだ。
これで本当にお終い。
98
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/09/06(月) 22:04:20 ID:KGZxybk20
(-_-)「ん、あの、っけっきょっく、結局、石臼が倒れて流れてたのって水?ですか」
lw´‐ _‐ノv「水かもしれないし血かもしれない」
(-_-)「ミルナ君。どういうこと?」
( ゚д゚ )「この話に出る医者の話を信じるなら石臼に頭をぶつけた事故。
おばさん達の見たものから推理するなら竜神の怒りで血を抜き取られて石臼から流し捨てられたってことだろう」
(-_-)「???結局、事故?竜神のたたり?干ばつはどこ?」
( ゚д゚ )「百物語の一話として考えるなら竜神のたたりだろうな。干ばつはこじつけになるが体の水、つまり血がない状態だろう」
lw´‐ _‐ノv「うーむ、私は話の受け取り手の想像に任せる話がうまくできないな。じいさんが教えてくれた時は怖かったんだが」
((-_-))ガクガク「えっ。ぼく、もしかしてまた変な事言った!?ぼく、本読めないから!!読めなくて!文とかできなくて!」
( ゚д゚ )「落ち着け。ヒッキー。誰も責めてないからな」
lw´‐ _‐ノv「ヒッキーは本を読むと眠くなる系か。私も寝る前の読書でよく眠れるタイプだ」
((-_-))ガクガク「っち、ちがくて。ぼく。ほんがだえなんえす」
( ゚д゚ )「ヒッキー、少し休憩しよう。落ち着いてから今日は帰った方がいい」
((-_-))ブルブル「だ、だ。だけど話したくて。今日ならきっと分かってくれるかもって」
lw´‐ _‐ノv「まあ米つけ。米搗きをすると心が安らぐぞ。道具がないからパントマイムになるが、ヒッキー私の真似をすると良いぞ」
【シュールによる米搗きのレクチャーが始まった】
99
:
◆.LuQ4TdvBw
:2021/09/06(月) 22:16:36 ID:KGZxybk20
読んでくださりありがとうございます。
ぼちぼちと怖い話を練っているため更新が遅いですが最後まで書きたいと思ってます。
それではまた次の話の時にもよろしくお願いします。
100
:
名無しさん
:2021/09/06(月) 23:02:03 ID:/GGn8OwI0
乙
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