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ξ゚⊿゚)ξツンちゃん夜を往くようです

774名無しさん:2023/01/30(月) 23:07:29 ID:.eE0h2Dw0


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ξ゚⊿゚)ξ

 ――家の中を掃除して、整理して、はたと小さな置き時計を見る。
 時刻はそれでも昼さえ越えておらず、ツンがやるべき仕事はあとひとつしか残っていなかった。

 ツンは暖かなリビングから書斎兼物置きとなっている別室へと場所を移した。
 薄暗い部屋だった。窓はあったが陽射しは皆無で、しっとりした寒さが肌を舐めるようだった。

 中に入り、扉を閉めると部屋の暗がりがさらに色濃くなった。
 ツンは目を慣らしてから中を進み、背の低い本棚から数冊を抜き取ってそのタイトルを検めた。
 英語、フランス語、ロシア語、中国語のそれらには、およそ日記を意味する題が載せられている。

ξ゚⊿゚)ξ(……これはまだ、読んでないわね)

 ツンは諸々の日記を持って窓際の机に向かった。
 朽ちかけている椅子にゆっくりと腰掛け、他人の日記を静かにめくり始める。

 このレンガ小屋は終末期を迎えた患者の隔離場所である。
 そんな場所に置かれた日記など、ぶっちゃけ縁起のいいものではない。

 しかし、彼女はそういったものを好んで読み進めていた。
 ここに来てからずっとそうして、人間の最期の感情を咀嚼し続けていたのだ。
 そこに『人間の死』への共感など無く、彼女はただ、好物としてそれを摂取していた。

ξ゚⊿゚)ξ「――……」

 興味深い、面白いものとして。
 即ち、人間という生物への知的好奇心を満たす為に。
 掃除の時に古いジャンプとか読んじゃうノリで。

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