[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
ξ゚⊿゚)ξツンちゃん夜を往くようです
754
:
◆gFPbblEHlQ
:2023/01/30(月) 22:04:47 ID:.eE0h2Dw0
≪1≫
ソ連シベリアを横断する世界最長の鉄道へ向けてラッパを吹く。
戦争で死んだ父を弔うため、これから戦地へ向かう兵士のために。
シーン少年はこの習慣を2年と続け、列車の汽笛を聞き逃すまいと常に耳をそばだてていた。
いくつもの山を越え、山彦混じりに聞こえてくる「ぽぉーう」という音。
少年はただそれだけを合図にし、来る日も来る日もラッパを持って町外れへと駆け出すのだった。
( ・-・ )(……聞こえた!)
汽笛の音は、早朝の配達仕事の傍ら耳にすることが多かった。
今朝も配達はあと1件というところで汽笛が聞こえ、シーンは尚更往路を急ぐこととなった。
配達先は町の中央にある教会。2人の男が、シーンの到着を待ちかね表に出てきていた。
( ・-・ )「おはようございまーす! 配達です!」
( ^ν^)「やぁおはよう。列車には間に合うのかい?」
( ・-・ )「転ばなければ、何とか!」ゴソゴソ
彼らのもとに滑り込むなり、シーンはショルダーバッグを開けて最後の配達物を彼らに手渡した。
男たちはサインと引き換えにそれを受け取ると、白息を繰り返すシーンをすぐさま送り出した。
£°ゞ°)「そろそろ薬が切れる頃だろう。あとで来なさい」
( ・-・ )「分かりました! またあとで!」ダッ
シーンは急いで走り出し、町を出て、タイガの山林を一目散に抜けていった。
程なく峠に出たシーンは、息を整えるのも忘れて山下を一望した。
(;・-・ )(よし、間に合った……!)
広大な雪景色を分かつ黒い線。列車の線路にくっと目を凝らす。
雪の具合からして列車はまだ来ていない。シーンは安堵し、そこでようやく息を整えた。
そして十秒と経たないうちに、彼はまた慌ただしくバッグを検めて自前のラッパを取り出した。
分厚い手袋を外してラッパを構え、簡易的に音を取り、口周りの筋肉を入念にほぐして列車を待つ。
――やがて、シーンの耳朶が音を捉えた。
規則正しい地響きが山間の向こうからかすかに聞こえてくる。
音の輪郭は秒ごとに鮮明になり、確かなものとなっていく。
列車が近い。シーンは確信をもってラッパを構え、最後に一度、息を吸った。
.
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板