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ξ゚⊿゚)ξツンちゃん夜を往くようです

569名無しさん:2021/12/20(月) 19:47:16 ID:xDJkNY0g0





『……皆さんが静かになるまで2分かかりました。
 今の2分を魔物に与えたら、恐らく殆どの生徒が成す術なく殺されるでしょう』

 生徒がみんな死ぬ、なんて例えを軽々しく出せる教職者はそう居ない。
 教頭という立場であれば尚更言葉は選ぶだろうに、選んだ結果がこの切り口なら大したものだ。
 先ほどの騒ぎが尾を引いて教頭を「カッケぇ〜」と茶化す生徒も居たが、居るので仕方ない。

『それは教師も同じです。情けない話ですが、魔物が出ても私達では皆さんを守れません。
 自分の身は自分で守る。その為にも今はとにかく落ち着いて、複数人で協力して行動することです』

『さっきのような発言こそが、こういった緊急事態中における最大の障害物なんです。
 幸い国の動きは迅速ですから、集団行動を乱すような言動は謹んで――』

 特定の生徒を悪者にする発言すら解禁して行われる切実な注意喚起。
 だがその言葉尻はまたしても遮られ、今度は放送室から校舎全体に向けての呼び出しがあった。

 天井付近のスピーカーから大きなノイズと荒い呼吸音が流れ出てくる。
 誰かのイタズラという感じではない。事の緊急性はその息遣いだけで理解できた。

『……しゅ、集会中に失礼します。手が空いている教師は至急、職員室に戻って下さい』

『電話対応が間に合っていません。また来校されている保護者の方も多く、……』

 その途端、教頭はマイクに顔を寄せて言った。

『全校集会はここまでとします。皆さんはここでしばらく待機してください。先生方は集まって』

 私は教頭のアドリブを完璧な判断だと思った。
 しかし彼の即断は生徒から反感を買ったらしく、こちらもまたザワザワと騒ぎ始めてしまった。

 それを横目に教師陣が打ち合わせを終え、各種対応のため体育館を後にしていく。
 教師は半分居なくなったが、残った精鋭コワモテ教師が怖かったのでみんな黙った。

ξ゚⊿゚)ξ …

 以降30分、ひどく居た堪れない沈黙が続いた。
 自分だけが仲間になれないその群れの中で、私はずっと息を殺して顔を伏せていた。

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