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ξ゚⊿゚)ξツンちゃん夜を往くようです

568名無しさん:2021/12/20(月) 19:38:28 ID:xDJkNY0g0


「――おい!!!! 勇者軍? がなんか動くらしーぞ!!!!!!!!!!!!!!」

 瞬間、教頭の話を台無しにするようなおちゃらけた声が体育館に木霊した。
 実際その声は大騒ぎを目論んだ陽キャの煽動であり、続く言葉もバズ狙いの大声だった。

「なんか全員に配るとか言ってっけど……これロボットじゃねええの!!??!!!!?!?」

「……うわマジじゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「戦争がはじまる……ってコト!?!???!?」

 端に居た教師が数人動きだし、クソ陽キャ生徒とそれに反応した奴らを懲らしめに向かう。
 前者は体育館の外に連行され、後者も整列からつまみ出されて怖い体育教師の近くに座らされた。
 それは10秒足らずの一幕であったが、当の魔物である私をビビらせるには十分なイベントだった。

ξ;゚⊿゚)ξ(し、心臓に悪い……!)ズキズキ

 非日常感に狂った人間、実際目の当たりにすると恐怖しかない。
 デビルマンみたいな展開が他人事ではないとよく分かった。みんな平和に生きよう。

 しかし、一度火が点いた民意はそう簡単には静まらなかった。
 先のイベントに扇動された全校生徒が一斉に噂話を始め、形のない喧騒で体育館を震わせる。
 大人数が打ち合わせもなく同じ行動を取るのは壮観ではあったが、いや本当に居心地が悪い。

 勇者軍が動く。ロボットが配られる。戦争が始まる。
 いや待てなんだロボットって。私だって頭が沸騰しかけてるんだが。情報が足りなすぎる。

ξ;゚⊿゚)ξ(くっ……! 私だけ出遅れてるのだわ、情報弱者なのだわ……!)

 だが残念なことに私はコミュ障である。この状況で聞き込みができるほど機敏ではない。
 華奢で可憐で美少女だしな。
 今は周囲の会話を盗み聞きする程度で抑えておこう。私は魔物だ、ボロを出す訳にはいかない。

ξ゚⊿゚)ξ …!

 そんな感じでキョロキョロしてると、視界の端にまゆちゃんが映った。
 どうやら彼女は私の方をずっと見ていたらしく、その視線に応えると小さく手を振って返してくれた。
 陽キャの扇動から始まった騒ぎに気をやられたのだろう。彼女は苦笑いで首を傾げていた。

ξ゚⊿゚)ξ(むっ、セカイ系の気配……!)

 『黙れ』という旨の放送が入るまでの数秒間、私達は日常を求めて目を合わせたまま過ごした。
 そこには大変ジュブナイルな質感があり、よかった。

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