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ブーン系ビブリオバトル 投下スレ

75 ◆YA2dQ7l6ss:2020/09/28(月) 00:45:17 ID:56cYcIKE0
しかしこれは、結局長い言い訳だったのだろうか。
自虐的な物語や作風に人の仄暗い厭世観を投影していたから、そう感じてしまっているだろうか。

どこにでもある不安で死を迎える腹積りに、きっと私は変貌してしまったのだろう。

一家心中でもしたかったのかもしれない。
誰しも抱えるぬるい希死念慮にかまけて、私はこの痩身の中で未だ産声を上げれずにいる自意識に発破を掛けて、
おざなりにしていた破壊衝動を外へ……外へと、擲ちたかったのかもしれない。

最近は、彼らの世界を夢に見る。
最近は、彼らの世界を夢に見る。

無気力で内向的な女子大生や厭世的な自叙伝で大成したエッセイスト、承認欲求のルサンチマンを捻じ曲げて、精神病が痼疾してしまった社会人もいる。
大学生的な素人文士が清らかな麗人とまみえるシーンは、涙無しには想起できない。

私の器は割れていない。
割れない。
世の中は不公平が蔓延している。

記された想像上の世界には色が全く無いのだから、モノクロの空の下で干涸らびた心を備えた登場人物は、怠情で退廃的な心根に目を瞑り、それでも足を止めてはならないのだ。

私の前には認知症の老婆が人工呼吸器を付けて眠っている。
その隣には頭頂部の一部が歪に陥没した、男顔の女性が涎を垂らしながら車椅子に固定されている。

私はそれを眺めている。

黒く腐り欠けてしまった自らの足の小指が目に写る。
左腕の前肢で瘤状に膨れた青い静脈を脈動させながら、私は空いているもう片方の腕に無感動な空言を宿らせる。

疲れてしまった。ひどく、ひどく、疲れてしまった。
否、悟ってしまったが故であろう。


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