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ブーン系ビブリオバトル 投下スレ

149 ◆IzspstRIW2:2020/09/30(水) 23:13:27 ID:9RI6pSp20
目を覚ましたら夜だった。完璧な夜だ。
瞼の内側のほうがまだ明るいと思えるほどに辺りは暗闇に包まれていた。

そして闇を殺す明かりが灯る。四角い小さな画面が僕を呼ぶ。
蜘蛛の子を散らすように夜はちりぢりと逃げていく。

夜が更けてから僕に電話をかけてくるような相手は、一人しかいなかったものだから、
画面に浮かぶ番号も確かめずに耳へと押し当てた。

(´・_ゝ・`) 「やぁ」

『こんばんは』

(´・_ゝ・`) 「正しい挨拶だ。だって辺りはこんなにも真夜中なんだもの」

『私はね、今日も長い夜を持て余してるの』

(´・_ゝ・`) 「そうだろうね、そうでなきゃ僕に電話なんてしてこないだろう?」

『だからね、夜を楽しめるような暇つぶし、無いかしら』

(´・_ゝ・`) 「夜が明けなければいいのにって思えるような?」

『そうね。朝が来なければいいと思えるくらい、楽しい夜を過ごしたいわ』

(´・_ゝ・`) 「そうだなぁ」

(´・_ゝ・`) 「ああ、じゃあこういうのはどうだろうか」

(´・_ゝ・`) 「こぢんまりとした扉が君の前にある」

(´・_ゝ・`) 「暖かな色の光が隙間から零れている、品のある扉さ」

(´・_ゝ・`) 「そっと扉を開けると、カランカランとベルが鳴り、店主はこう言うんだ」

(´・_ゝ・`) 「やぁ、ようこそバーボンハウスへ、ってね」

『あら、お店のお話なのかしら』

(´・_ゝ・`) 「そう、街角の小さなバーの物語だ」

『おもしろそうだわ』

(´・_ゝ・`) 「ここには胸踊る冒険はない。闘志溢れる戦いもなければ謎解きもない」

(´・_ゝ・`) 「ただ、皆お酒を飲んで酔っ払うだけの話なんだ」

『シンプルね、最高だわ』


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