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( ・∀・)カリスマ美容師と地縛霊のようです川д川
81
:
名無しさん
:2020/09/12(土) 01:16:40 ID:lKdadgyg0
乙です
このモララーはマジイケメン
ツンの出自が気になる
82
:
名無しさん
:2020/09/12(土) 09:05:25 ID:nMBd0ysc0
待ってました!
83
:
名無しさん
:2020/09/13(日) 20:42:37 ID:Vh4M5yNM0
うわあ素敵な話だ
めちゃ支援しちゃうね
84
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:48:58 ID:dpCq/qMw0
乙ありがとうございます
楽しんでもらえるように頑張ります
第3話投下します
85
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:49:21 ID:dpCq/qMw0
「じゃあ、カンパーイ!」
「ねえ、誰かサラダ取り分けてよ。こっちのポテトサラダも」
「女子頼むわー」
「えー、私そういうの苦手ー」
「いやいや、こういうのはしぃに任せるべきでしょ!」
86
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:49:43 ID:dpCq/qMw0
(;*゚ー゚)「えっ……うん……いいけど……」
「おーっ、さすがしぃちゃん!」
「女子力たかーい、いいお嫁さんになれるよー」
(;*゚ー゚)「あはは……」
(*゚ー゚)(……こういう取り分けとか苦手だし、やりたくないなぁ)
(*゚ー゚)(でもせっかく盛り上がってるのに、そんなこと言ったら空気壊しちゃうよね……)
87
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:50:23 ID:dpCq/qMw0
料理の取り分けはいつも私の担当。
女の子の愚痴に共感して相槌を打ったり、男の子の自慢話を盛り上げるのも私の担当。
だって私は『女の子』だから。
(,,゚Д゚)「はい、しぃさんの分」
(*゚ー゚)「え?」
(,,゚Д゚)「しぃさん、みんなの分取り分けてばっかりで、自分の分取れてなかったでしょ」
(*^ー^)「う、うん! ありがとう!」
88
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:50:50 ID:dpCq/qMw0
でも、そんな人ばかりじゃない。
私に気付いて、優しくしてくれる人もいる。
大丈夫。きっとこの人は、私自身を見てくれる。
(,,゚Д゚)「来週、ここのケーキバイキングに行こう」
(*゚ー゚)「あ……私、甘いものはちょっと……」
(,,゚Д゚)「え、マジで? 嘘だろ?」
(,,゚Д゚)「『女の子』だったら、普通スイーツとjか好きじゃん」
(* ー )「……」
89
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:51:34 ID:dpCq/qMw0
可愛いって褒めてもらえるのは、すごく嬉しい。
髪を巻くのも、ふんわりした服も、全部私が望んでやっていることだから。
だけどたまに息苦しくなる。
私はみんなが望む『女の子』でいなくちゃいけないの?
.
90
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:51:56 ID:dpCq/qMw0
第二話『スタッフ:椎名しぃ』
.
91
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:52:18 ID:dpCq/qMw0
ξ; ゚⊿゚)ξ「ううう……疲れた……足が……足が棒よぅ……」
ξ; -⊿-)ξ「顔洗う気力もないわ……このまま寝ちゃお……」
ξ -⊿-)ξ スピー
(# ・∀・)「コラーッッ!!!」
ξ; ゚⊿゚)ξ「ヒエッ」
92
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:52:48 ID:dpCq/qMw0
(# ・∀・)「あ・れ・ほ・ど! メイクは必ず落として寝るようにと言っただろう!?」
ξ# ゚⊿゚)ξ「はいはいわかったわよ! わかりましたわよっ!」
ξ#∩⊿∩)ξ" クレンジング ゴシゴシ
(# ・∀・)「ゴシゴシ擦らない! 目元のメイクにはアイメイクリムーバーを使う!」
ξ# ゚⊿゚)ξ「ああもう、うるっっさいわね!!」
93
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:53:15 ID:dpCq/qMw0
【美容室 Moral】
ξ# ゚⊿゚)ξ「まったくもう……面倒臭いったらないわ……」
(*゚ー゚)「ツンちゃん、どうしたの?」
ξ ゚⊿゚)ξ「昨日メイク落とすのが面倒臭くて……」
(*゚ー゚)「わかる! 疲れて帰ったとき面倒臭いよねー」
ξ* ゚⊿゚)ξ「そうよね!? 私もそのまま寝ようとしたんだけど、怒られちゃって」
(*゚ー゚)「怒られたって、誰に?」
ξ; ゚⊿゚)ξ「あっ……いや……ど、同居人」
(*゚ー゚)「へー、ツンちゃんルームシェアしてるんだ」
ξ; ゚⊿゚)ξ「あは、あはは……」
94
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:53:39 ID:dpCq/qMw0
(*゚ー゚)「でもきちんと落とさないとダメだもんね。面倒臭いけど、ちゃんとアイメイクリムーバーも使ってるよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「目元専用のクレンジングだっけ。あれってそんなに大事なの?」
(*゚ー゚)「大事だよー! 目の周りの皮膚は薄いから、普通のクレンジングだと刺激が強いんだよ」
(*゚ー゚)「0.6mmだったかな。たまごの薄皮と同じくらいなんだって」
ξ; ゚⊿゚)ξ「えー、そんなに!? 知らなかった……」
(*゚ー゚)「まぁ、私もたまに落とさないまま寝ちゃうけどね」
ξ ゚⊿゚)ξ「しぃちゃんでもそういうことあるのね。意外」
(*゚ー゚)「……そう?」
ξ ゚⊿゚)ξ「だってしぃちゃん、美容とか完璧そうだし……ほら、女子力高いじゃない」
(*゚ー゚)「……そんなこと、ないよ」
95
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:55:35 ID:dpCq/qMw0
( ・∀・)「しぃくん、そろそろ時間だったね。上がって大丈夫だよ」
(*゚ー゚)「あ、はい!」
(*゚ー゚)(ふぅ……今日も疲れたなぁ)
(*゚ー゚)(ギコくんとの待ち合わせは19時だし、ゆっくり着替えて……)
(*゚ー゚)(あれ? LINEがきてる)
『バイト早めに終わったからもう着いた〜! 待ってる!』
(;*゚ー゚)(えっ!? ま、待ってるって、まだ18時半なんだけど!)
(;*゚ー゚)(もう、なんでこうせっかちなのよ!!)
96
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:55:59 ID:dpCq/qMw0
ξ; ゚⊿゚)ξ「うぅ……もう足がパンパン……」
( ・∀・)「ふくらはぎの真ん中辺りを押すといいよ。承山というツボがあってね」
(;*゚ー゚)「お、お疲れさまですっ!」 ドタドタドタ
( ・∀・)「お疲れさま」
ξ; ゚⊿゚)ξ「お、お疲れさま!」
ξ ゚⊿゚)ξ「……しぃちゃんどうしたのかしら。随分急いでたけど……」
( ・∀・)「待ち合わせでもしているんじゃないのかい?」
97
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:56:24 ID:dpCq/qMw0
(;*゚ー゚)「ギ、ギコくん!」
(,,゚Д゚)「おー、お疲れ。じゃあ行こっか」
(;*゚ー゚)「え? あ、うん……」
(*゚ー゚)(……人を急がせておいて、一言謝るとかないわけ? 流石に言ったほうがいいよね)
(,,゚Д゚)「今日の店さー、全然予約取れなくて。やっと今日取れたんだ」
(*゚ー゚)「あ、そ、そうなんだ」
(;*゚ー゚)(うぅ……言うタイミング逃した……)
(;*゚ー゚)(……もういいや。気にしないようにしよう)
98
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:56:47 ID:dpCq/qMw0
(,,゚Д゚)「内装も料理も洒落てんなー。しぃ、こういうの好きだろ?」
(*゚ー゚)「うん」
(,,^Д^)「やっぱりな! 女の子ってこういう店好きだもんな」
(,,^Д^)「予約取るの本当大変だったんだぜ? 感謝してくれよー」
(*゚ー゚)「……うん。ありがとう、ギコくん」
(*゚ー゚)(そんなに恩着せがましく言われるなら、別に来たくなかったよ)
(*゚ー゚)(それにここ、友達と来たことあるし……)
99
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:57:52 ID:dpCq/qMw0
(,,゚Д゚)「あ、そうだ。しぃ、来週って予定開いてる?」
(*゚ー゚)「来週? 空いてるけど……」
(,,゚Д゚)「よかった! 実は連れていきたいところがあってさ」
(*゚ー゚)「連れていきたいところ……? ご飯屋さんとか?」
(,,^Д^)「それは内緒! 楽しみにしてて!」
(;*゚ー゚)「ま、待って待って。せめてどんな服着ていけばいいのか教えて」
(,,^Д^)「なんでもいいよ。しぃは何着ても可愛いって」
(;*゚ー゚)「いや……そういう話じゃなくて……」
(;*゚ー゚)(もしも高級なお店に行くんだったら、普段着だと私が恥かくんですけど……)
100
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:58:23 ID:dpCq/qMw0
(;*゚ー゚)(結局どこに行くのか教えてもらえなかった……)
(*゚ー゚)(高級店は……多分ないかな。ギコくん、そういうのに詳しくないし)
(*゚ー゚)(そもそもご飯屋さんだったらあんなにもったいぶらないよね……遊園地とか水族館?)
(*゚ー゚)(だったら普段着でも大丈夫かな。写真も撮るだろうから、ちょっと華やかなアクセサリーもつけよう)
(*゚ー゚)(……あ、このネックレス……前にギコくんが買ってくれたやつだ)
(*゚ー゚)(……これ着けていったら、ギコくん気付いてくれるかなぁ)
101
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:59:24 ID:dpCq/qMw0
(;*゚ー゚)「えっと……ここって……」
(,,゚Д゚)「拝鳴山! 初心者向けの山だから、しぃでも登れるよ」
(,,^Д^)「ほら、前に外デートもしたいねって話したじゃん。嬉しいだろ?」
(;*゚ー゚)「それは覚えてるけど、まさか登山なんて……私体力ないし、それに今日ヒー……」
(,,^Д^)「いいからいいから、早く行こうぜ! 日が暮れちゃうよ」
(;*゚ー゚)「あ、待って! ギコくん!」
(*゚ー゚)(……『嬉しいだろ?』って)
(*゚ー゚)(登山、元々ギコくんの趣味じゃない)
(*゚ー゚)(私のためみたいな顔して、自分の趣味を押し付けないでよ……)
102
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 21:59:50 ID:dpCq/qMw0
(,,゚Д゚)「いやー、すっかり秋だなぁ」
(;*゚ー゚)「そうだね……」
(;*゚ー゚)(足、さっきからずっと痛い……絶対ヒールのせいだ……)
(;*゚ー゚)「ギ、ギコくん、待って」
(,,゚Д゚)「え、どうかした?」
(;*゚ー゚)「ちょっと足が痛くて……休憩させてほしいな」
(,,゚Д゚)「えー? しぃは体力ないなぁ」
(,,゚Д゚)「まぁ、『女の子』なら仕方ないか」
(# ゚ー゚)「っ……」
103
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:00:17 ID:dpCq/qMw0
(# ゚ー゚)(私ヒール履いてるのよ? こんな靴で歩けるわけないって、見てわからないの?)
(# ゚ー゚)(ギコくんっていつもそう。可愛い可愛いって口ばっかり、細かいところなんてひとつも見てないくせに)
(,,゚Д゚)「しぃ? どうしたの?」
(# ゚ー゚)「なんでもない」
(,,゚Д゚)「いや、顔つきすごいし……明らかになんかあるじゃん。何? 俺何かした?」
(# ゚ー゚)「……、……もう歩きたくない。帰りたい」
(;,,゚Д゚)「は? なんで怒ってんの?」
104
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:01:32 ID:dpCq/qMw0
(# ゚ー゚)「そんなに山が好きなら、ギコくん一人で登りなよ。私は帰る」
(;,,゚Д゚)「いやいや、待ってよ。何が気にくわないの? 意味わかんないんだけど」
(*゚ー゚)「わかんないならいいよ。それと、しばらく連絡しないで。一人で色々考えたいの」
(;,,゚Д゚)「は? なあ、今日のしぃおかしいよ。どうしたんだよ」
(*゚ー゚)「今日はありがとう。じゃあね、ギコくん」
105
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:02:27 ID:dpCq/qMw0
【美容室 Moral】
ξ; ゚⊿゚)ξ「……で、別れちゃったの!?」
(;*゚ー゚)「別れたわけじゃないよ! その、冷却期間っていうか……」
ξ; ゚⊿゚)ξ「いやいや、それ彼氏くん絶対フラれたと思うって!」
(;*゚ー゚)「え? どうして? ちゃんと『一人で考えたい』って言ったし、普通わかるでしょ?」
ξ; ゚⊿゚)ξ「いや……普通って言われても……」
「あの、すみません」
ξ ゚⊿゚)ξ「あ、すみません、もう閉店で……」
(;*゚ー゚)「……!!」
106
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:02:52 ID:dpCq/qMw0
(;*゚ー゚)「ギコくん!? なんで!?」
(;,,゚Д゚)「だってしぃ、LINEの返事くれないじゃん! 電話も出てくれないし……」
ξ; ゚⊿゚)ξ「へっ? えっ? この人が!?」
ξ; ゚⊿゚)ξ(ちょっと待ってよ……もしかしてこれ、修羅場ってやつじゃない……?)
ξ; ゚⊿゚)ξ(やだ〜〜!! 面倒臭い! 逃げたい!)
107
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:03:16 ID:dpCq/qMw0
( ・∀・)「お客様、申し訳ありません。本日は営業を終了しておりまして……」
ξ* ゚⊿゚)ξ「モラ、いや店長! ちょうどいいところに!」
ξ* ゚⊿゚)ξ「この人しぃちゃんの彼氏で、積もる話があるみたいなんです」
ξ* ゚⊿゚)ξ「あとは掃除だけだし、しぃちゃんにはもう上がってもらったほうが……」
( ・∀・)「なら、ここで話すといいよ。他のお客様もいないからね」
ξ; ゚⊿゚)ξ(あぁ〜〜! 藪蛇〜〜!)
108
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:03:43 ID:dpCq/qMw0
(*゚ー゚)「……話すことなんて、何も……」
(,,゚Д゚)「俺、やっとわかったんだ。しぃが怒ってた理由」
(*゚ー゚)「え?」
(,,゚Д゚)「気付けなくてごめん……俺鈍いからわからなくて」
(*゚ー゚)「ギコくん……」
(,,゚Д゚)「しぃ、あのときさ――――」
(,,゚Д゚)「――――生理だったんだろ?」
109
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:04:28 ID:dpCq/qMw0
(*゚ー゚)「…………は?」
(,,^Д^)「友達に話したら『あの日じゃね?』って言われてさ、なるほどなーと思って。生理とかよくわかんないけど、痛かったりで大変なんだろ?」
(,,^Д^)「でも俺に当たるのはやめてくれよー。まぁ女の子は感情的っていうもんな、仕方ないか!」
ξ ゚⊿゚)ξ「……うわ……」
( ・∀・)「……」
(* ー )「……いい」
(,,゚Д゚)「へ?」
(*;ー;)「もう、いい」
110
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:05:20 ID:dpCq/qMw0
(;,,゚Д゚)「し、しぃ? なんで泣いて……」
(*;ー;)「……っ」
(;,,゚Д゚)「あっ!? しぃ、待てよ!」
( ・∀・)「君は行かなくていい。ツンくん! しぃくんを頼んだよ!」
ξ; ゚⊿゚)ξ「わかった!」
(;,,゚Д゚)「え、いや、でも俺、しぃを追いかけないと……」
( ・∀・)「いいからいいから」
( ・∀・)「男同士で話すっていうのも、悪くないと思うよ?」
111
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:05:47 ID:dpCq/qMw0
ξ; ゚⊿゚)ξ「しぃちゃん!」
(*;ー;)「ツンちゃん……」
ξ; ゚⊿゚)ξ「もう、探したわよ……しぃちゃんって足早いのね、びっくりしちゃった」
(*;ー;)「昔陸上やってたの。こんなに早く見つけるなんて、ツンちゃんも足早いんだね」
ξ; ゚⊿゚)ξ(私は文字通り飛んできたからね……)
112
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:06:49 ID:dpCq/qMw0
ξ ゚⊿゚)ξ「……ねえ、あれはちょっと彼氏くんが可哀想よ。『もういい』じゃ何もわからないじゃない」
(*ぅー;)「でもギコくんだってひどくない? 店長もいる前で勝手に生理呼ばわりして、その上ヒス扱いよ?」
ξ; ゚⊿゚)ξ「いや、まぁ……あれはデリカシーなさすぎてひいたけど……」
ξ ゚⊿゚)ξ「でも、文句があるなら言葉で伝えなきゃ。彼氏くん悪い人じゃなさそうだし、ちゃんと聞いてくれるわよ」
(*゚ー゚)「どうしていちいち言わなきゃいけないの? 普通に考えたらわかることじゃない」
ξ ゚⊿゚)ξ「『普通』『普通』って……しぃちゃん、今までずっとそうしてきたの? 彼氏くんにも友達にも、ずっと?」
ξ ゚⊿゚)ξ「なるほど、ストレス溜まるわけだわ。ていうかそれなら、しぃちゃんも悪い」
113
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:07:52 ID:dpCq/qMw0
(*゚ー゚)「……え?」
ξ ゚⊿゚)ξ「自分の普通を他人に押し付けて、それが違ったら不貞腐れるのはただのわがままよ」
(# ゚ー゚)「私、わがまま言ったりしてないよ。普通に常識的なことを……」
ξ ゚⊿゚)ξ「ほら出た『普通』。しぃちゃんの普通なんて誰もわかんないよ、エスパーじゃないもの」
ξ ゚⊿゚)ξ「勝手に期待して、勝手に落胆して、それはわがままでしょ」
(# ゚ー゚)「そんなのっ……」
『えー、しぃってそういう子なんだ。なんか想像と違うわ』
(;*゚ー゚)「……あ……」
(;*゚ー゚)(周りに色々押し付けられて、それを嫌だと思ってたのに)
(;*゚ー゚)(私も、周りに同じことをしてたの……?)
114
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:12:57 ID:dpCq/qMw0
(* ー )「……ツンちゃん。私の話、聞いてくれる? くだらないことなんだけど」
ξ ゚⊿゚)ξ「うん。いいよ」
(* ー )「……私、女子力高いとか、女の子らしいとか、ずっと言われてきたの」
ξ ゚⊿゚)ξ「うん」
(* ー )「最初は嬉しかったけど……女の子だからって、色々押し付けられるようになって」
(* ー )「料理が下手なことに驚かれたりとか……少しでも怒ったら、見た目と違うって引かれたりとか」
(* ー )「それが、すごく苦しくて」
ξ ゚⊿゚)ξ「……うん」
115
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:13:21 ID:dpCq/qMw0
失望されるのが嫌だった。
相手が落胆した瞬間の、私を見る目がどうしようもなく怖かったから。
相手の希望に添えるように、一生懸命『女の子』を演じてきた。
(*;ー;)「嫌われるのが怖かったの」
(*;ー;)「だから言いたいことがあっても、言わずに我慢してた」
(*;ー;)「でも、それってさ、逃げてただけだよね」
(*;ー;)「自分ばっかり守って、周りと向き合わなかったってことだよね……」
116
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:13:43 ID:dpCq/qMw0
(*;ー;)「うー……うぐ、うぅ……」
ξ -⊿-)ξ「大丈夫よ、しぃちゃん」 ギュッ
ξ -⊿-)ξ「きっと分かり合えるから。一緒に戻って、ちゃんと話そう?」
(*;ー;)「うん……」 ギュッ
ξ -⊿-)ξ(しぃちゃんの気持ち、私はわかる)
ξ -⊿-)ξ(……しぃちゃんが今感じてる怖さも、わかる)
117
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:14:24 ID:dpCq/qMw0
『はあ? 誰に向かって意見してんの?』
『テメーは黙って従ってればいいんだよ!』
ξ ⊿ )ξ(……自分の気持ちを伝えるのって、すごく勇気がいるし、怖いから)
ξ ⊿ )ξ(……だから私は、できなかった)
.
118
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:14:51 ID:dpCq/qMw0
( ・∀・)「さて、ギコくんとやら」
(;,,゚Д゚)「あ、はい」
( ・∀・)「しぃくんから僕のことを聞いてるかい?」
(,,゚Д゚)「店長のモララーさんですよね? 『ちょっと変わってるけど天才肌の人』って聞いてます」
( ・∀・)+ 「流石しぃくん、これ以上ないほど正解だ。なにせ僕は天才だからね!」
(;,,゚Д゚)(『ちょっと変わってる』の部分には触れないんだ……)
119
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:15:40 ID:dpCq/qMw0
( ・∀・)「とまぁ、アイスブレイクはこの辺にして」
( ・∀・)「ギコくんはしぃくんのどこが好きなんだい?」
(*,,゚Д゚)「え? そりゃやっぱりふわふわして女の子らしいところですね。弁当も作ってくれるし、俺の家に来たときは掃除もしてくれるんですよ」
( ・∀・)「へえ、そうなんだ」
( ・∀・)「君、しぃくんの内面には全然興味がないんだね」
(,,゚Д゚)「……え?」
120
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:17:23 ID:dpCq/qMw0
( ・∀・)「だってそうだろう? 見た目やしてもらったことばかりで、内面のことなんてひとつも挙げてないじゃないか」
(;,,゚Д゚)「いや、ちゃんと中身も好きですよ!」
( ・∀・)「具体的には?」
(;,,゚Д゚)「それは……えっと……」
( ・∀・)「では質問を変えよう。しぃくんは君のために色々してくれたそうだけど、君は彼女に何か提供したかい?」
(,,゚Д゚)「ああ、それなら色々してあげましたよ」
(,,゚Д゚)「洒落た飯屋にも連れて行ったし、登山にも連れて行ったし」
121
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:19:04 ID:dpCq/qMw0
( ・∀・)「それ、しぃくんは喜んでいた?」
(,,゚Д゚)「へ?」
( ・∀・)「僕の知る限り、しぃくんがお洒落な店や登山に行きたがってるところなんて見たことがないんだよ」
( ・∀・)「君、彼女に喜んでもらおうと考えて計画したことはあるかい?」
( ・∀・)「『彼女をエスコートできる良い彼氏』を演じたいだけなら、それに彼女を巻き込むのは良くない」
( ・∀・)「しぃくんは好き勝手に動かせる人形じゃないし、君を飾るアクセサリーでもないんだから」
122
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:19:32 ID:dpCq/qMw0
(;,,゚Д゚)「いや、俺はそんなこと」
( ・∀・)「そうそう。先週しぃくんが出勤したとき、歩き方がどうもおかしくてね」
( ・∀・)「尋ねてみたら『ヒールで山登りしたから足を痛めた』と言われたよ」
( ・∀・)「君、しぃくんがヒールを履いていることに気付いていたかい? ひょっとして足を痛めてることにも気付かなかった?」
(;,,゚Д゚)「……」
(;*゚ー゚)『ちょっと足が痛くて……休憩させてほしいな』
(;,,゚Д゚)(俺、足を見ようともしなかった)
(;,,゚Д゚)(体力がないせいだって決めつけて、歩かせようとした)
123
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:20:16 ID:dpCq/qMw0
(;,,゚Д゚)「俺、しぃに謝らなきゃ」
( ・∀・)「そうか。ならちょうどいいね」
(,,゚Д゚)「え?……あ……」
(;*゚ー゚)「……ギコくん……」
(;,,゚Д゚)「しぃ、あの……」
(;*゚ー゚)「えっと……」
(;,,>Д<)「「ごめん!!」」(>ー<*;)
124
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:20:50 ID:dpCq/qMw0
(;,,>Д<)「俺しぃのこと考えてなかった! 自分の好みとか考えを押し付けてばっかりだった!」
(;*>ー<)「私、自分から何も言わないくせに文句ばっかりだった! 察してほしいって甘えてた!」
(;,,゚Д゚)「……え?」
(;*゚ー゚)「えっと……?」
(*,,゚Д゚)「……ぷ。ははっ」
(*゚ー゚)「ふふっ……」
125
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:21:36 ID:dpCq/qMw0
(,,゚Д゚)「俺たち、もっと話し合わないといけなかったんだろうな」
(*゚ー゚)「そうだね。でも今からでも遅くないよ」
(,,゚Д゚)「じゃあ……改めてよろしくな、しぃ」
(*゚ー゚)「うん。よろしくね、ギコくん」
126
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:22:05 ID:dpCq/qMw0
(,,゚Д゚)「あ、そういえばそのネックレス」
(*゚ー゚)「?」
(,,゚Д゚)「なつかしいな。前に俺がプレゼントしたやつだっけ」
(*゚ー゚)「……」
(;,,゚Д゚)「え、あれ? そうだよな? 違うやつだった?」
(*゚ー゚)「ううん、合ってるよ」
(*^ー^)「気付いてくれて嬉しい。ありがとう」
127
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:23:28 ID:dpCq/qMw0
( ・∀・)+ 「やれやれ、一件落着だね。流石僕」
ξ ゚⊿゚)ξ「はぁ、疲れた……まったく、人の恋路に首突っ込むもんじゃないわね……」
( ・∀・)「ツンくんもご苦労だったね。超過分は残業代につけておくよ。それとビールもね」
ξ* ゚⊿゚)ξ「人助けは気持ちがいいわ!!」
( ・∀・)「その清々しいくらいの現金さ、わかりやすくて僕は好きだよ」
128
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:24:21 ID:dpCq/qMw0
〜〜翌日〜〜
(,,゚Д゚)「モララーさん! 昨日はありがとうございました!」
(,,゚Д゚)「それで、折り入ってお願いがあります!」
(,,゚Д゚)「俺を弟子にしてください!!」
( ・∀・)「うーん。それはまた、なぜ?」
(,,゚Д゚)「俺、モララーさんに惚れました!!」
( ・∀・)「おいおい、君にはしぃくんがいるだろう」
(,,゚Д゚)「いや、そういうんじゃないです! 同じ男として惚れたって意味です!」
( ・∀・)「ジョークだよジョーク。君、頭固いね。あとちょっとうるさい」
129
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:24:46 ID:dpCq/qMw0
( ・∀・)「急に弟子と言われてもね……」
(,,゚Д゚)「お願いします!」
( ・∀・)「……弟子というのはつまり、ここのバイトになりたいということでいいかな?」
(,,゚Д゚)「はい! 色々学ばせてください!」
( ・∀・)+ 「ようこそ、美容室Moralへ」
(*,,゚Д゚)「ありがとうございます!!」
ξ; ゚⊿゚)ξ「ねえちょっと、あれほっといていいの……?」
(;*゚ー゚)「う、うーん……まぁ、人手が増えるのはありがたいし……」
130
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:25:32 ID:dpCq/qMw0
ζ(゚ー゚*ζ「〜♪」
ζ(゚ー゚*ζ「……あら、もうこんな時間」
ζ(゚ー゚*ζ「二週間ぶりの美容院ね。ふふっ」
ζ(゚ー゚*ζ「今日はスペシャルトリートメントもしてもらおうかしら」
ζ(^ー^*ζ「ああ、楽しみ。早く行きたいわ」
.
131
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:25:57 ID:dpCq/qMw0
第3話 終わり
.
132
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:26:20 ID:dpCq/qMw0
投下は以上になります
ありがとうございました
133
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 22:59:25 ID:7eLuZryU0
乙!これからも期待してる
134
:
名無しさん
:2020/09/14(月) 23:38:18 ID:2Q2yjhKs0
乙!
しぃを追いかけたところで地味にツンが幽霊なの忘れてたw
今後も楽しみ
135
:
名無しさん
:2020/09/15(火) 02:32:07 ID:dJqRfdP20
乙です
これはいいギコしぃ!
あと髪だけでなく肌にも気を配るモララーさん、マジプロフェッショナル
136
:
名無しさん
:2020/09/15(火) 06:44:53 ID:/C/ErELo0
乙、今回も面白い!
137
:
名無しさん
:2020/09/15(火) 11:27:36 ID:.8mXXnyY0
乙です
138
:
名無しさん
:2020/09/16(水) 19:39:44 ID:2RWefcI.0
乙です 伝えたいテーマが心に響き、自分の毒父と毒母を想起させました
もっとも、ギコ・しぃは大丈夫でしょうけど 反省できてますし、二人とも最初の取り分けから優しい部分が見えますから
ただ、服装の件は、ギコにムカついた
しぃがヒールじゃなくても、新品の靴とか履いてたら、普通に歩くだけでも靴擦れのリスクがあるのになあ
まあ、当日はっきり拒否しない、しぃにも問題はちょこっとあるけど
139
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:15:46 ID:kvXHtHqA0
乙ありがとうございます
キャラについて色々考えてもらうのって嬉しいですね
第4話投下します
140
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:16:09 ID:kvXHtHqA0
从'ー'从『みんなぁ〜、こんにちはぁ〜』
从'ー'从『ナベナベちゃんねるを見に来てくれてありがとぉ』
从'ー'从『今日は上手な髪の巻き方を紹介するよぉ〜』
从'ー'从『じゃあ早速、コテを利き手で持ってねぇ〜』
ノハ;゚⊿゚)「ぬぐぐぐ……」
ノハ;゚⊿゚)「髪をしっかり挟んで……内側に……内側にぃぃ……ッ!」
141
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:16:42 ID:kvXHtHqA0
ノハ;゚⊿゚)(しぃちゃんに教えてもらった美容系Youtuber、わかりやすいけど……)
ノハ;゚⊿゚)(実際に手が動くかは別問題なのよね〜〜!)
从'ー'从『コテを抜くときは引っ張らずに、スッと下ろしてねぇ〜』
ノハ#゚⊿゚)「ほりゃあっ!」
ξ ゚⊿゚)ξ クルンッ
ξ* ゚⊿゚)ξ「!! できた!」
142
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:17:22 ID:kvXHtHqA0
ξ* ゚⊿゚)ξ「ちょっとこれうまくできたんじゃない!? 今までで一番綺麗なんだけど!」
从'ー'从『みんな、できたかな〜? 次はいろんなアレンジを紹介するからね〜』
从'ー'从『以上、ナベナベちゃんねるのナベちゃんでしたぁ』
ξ* ゚⊿゚)ξ「ナベちゃんありがとう……!!」
ξ* ゚⊿゚)ξ(チャンネル登録しとこ) ポチッ
143
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:17:45 ID:kvXHtHqA0
ξ* ゚⊿゚)ξ(そうだ、せっかくだからモララーに見せびらかしちゃお)
ξ* ゚⊿゚)ξ「ねえモララー! ちょっと見て!」 ガチャッ
( ・∀・)「おや」
ξ;*゚⊿゚)ξそ「ほぎゃっ!?」
( ・∀・)「申し訳ないが後にしてくれるかい? 着替え中なんだ」
ξ;//⊿//)ξ「あわわわ!!」 バタンッ
144
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:18:34 ID:kvXHtHqA0
ξ;*゚⊿゚)ξ(び、びっくりした……)
ξ;*゚⊿゚)ξ(テンション上がっててノックするの忘れてたわ)
ξ;*゚⊿゚)ξ(あいつ普段パンイチでうろうろしたりしないし、下着姿見たの初めて……)
ξ;*゚⊿゚)ξ(……意外に筋肉あったなぁ……)
ξ;*゚⊿゚)ξ(ななな、何考えてるのよ! 私ってば!)
145
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:19:10 ID:kvXHtHqA0
ξ# ゚⊿゚)ξ(ていうか! すっかり忘れてたけど、私はあいつを呪い殺すためにここにいるのよ!)
ξ# ゚⊿゚)ξ(パンツの一枚や二枚見たくらいで怯んでる場合じゃないわ!)
( ・∀・)「いやはやお待たせ。まったく、共同生活とはいえノックはしてもらわないと困るよ」
( ・∀・)「おや? ツンくん、その髪、自分で巻いたのかい? うまいじゃないか」
ξ* ゚⊿゚)ξ「あっ……そ、そうでしょ? ふふん!」
146
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:19:31 ID:kvXHtHqA0
( ・∀・)「それで、僕に何か用事でもあったのかい?」
ξ; ゚⊿゚)ξそ「はっ!」
ξ;*゚⊿゚)ξ「こ、殺してやるっ!!」
( ・∀・)「えっ」
147
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:19:52 ID:kvXHtHqA0
第4話「カルテ:出連デレ様」
.
148
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:20:19 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「こんにちは、ツンちゃん」
ξ ゚⊿゚)ξ「出連様、お待ちしてました。ご案内します」
ξ ゚⊿゚)ξ「お客様ご来店でーす」 \イラッシャイマセー/
(*゚ー゚)「あ、出連様! いらっしゃいませ!」
ζ(゚ー゚*ζ「しぃちゃん、こんにちは。今日の服素敵ね、とても似合ってるわ」
(*^ー^)「ありがとうございます!」
149
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:20:49 ID:kvXHtHqA0
(,,゚Д゚)「なぁ、しぃ。あの人誰?」
(*゚ー゚)「出連デレさん。月2でうちに来てくれてるの」
(;,,゚Д゚)「月2!? すげえ……」
(*゚ー゚)「超お得意様だから、失礼のないようにね」
(;,,゚Д゚)「お、おう……緊張するなぁ……」
150
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:21:13 ID:kvXHtHqA0
( ・∀・)「出連様、いらっしゃいませ。本日もよろしくお願いします」
ζ(゚ー゚*ζ「モララーちゃん、今日もよろしくね。あなたに切ってもらうのが楽しみなの」
( ・∀・)「それはそれは。出連様にご満足いただけるよう、このモララー全力を尽くします」
(;,,゚Д゚)「お、お待たせしました。紅茶で……」
(;,,゚Д゚)「うわっ!」 ガシャッ
ζ(゚ー゚*;ζ「きゃっ!」
151
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:21:42 ID:kvXHtHqA0
(;,,゚Д゚)「あ、ああ! すみません!」
( ・∀・)「大丈夫かい? 奥にモップがあるから、すぐに片付けて」
( ・∀・)「出連様、うちのスタッフが申し訳ありません。お怪我はございませんか?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ、大丈夫よ。服も汚れてないし」
ζ(゚ー゚*ζ「あの子、新人さんよね? あまり怒らないであげてね」
( ・∀・)「お気遣いありがとうございます」
152
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:22:19 ID:kvXHtHqA0
(;,,゚Д゚)「で、出連様、大変申し訳ありませんでした!」
ζ(゚ー゚*ζ「大丈夫よ、失敗くらい誰にでもあるわ」
ζ(゚ー゚*ζ「あなたにも怪我がなくてよかった。慣れるまで大変だろうけど、お仕事頑張ってね」
(*,,゚Д゚)「は……はい……」
153
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:22:57 ID:kvXHtHqA0
(*,,゚Д゚)「出連さん、めっちゃかっこいいっすね……」
ξ* ゚⊿゚)ξ「わかる。キリッとしてるし余裕あるし、デキる女って感じ」
(*,,゚Д゚)「結婚とかしてるんすかね?」
ξ ゚⊿゚)ξ「してないみたいよ。前にモララーと独身トークしてたから」
(,,゚Д゚)「へぇー、意外っすね。モテそうなのに」
(;,,゚Д゚)「……ていうかツンさん、なんで店長のこと呼び捨てなんすか? それやめたほうがいいっすよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「やべ」
154
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:23:52 ID:kvXHtHqA0
ξ ゚⊿゚)ξ「では、カラー剤塗っていきますね」
ζ(゚ー゚*ζ「最近はずっとツンちゃんがカラー担当ね。いつもありがとう」
ξ* ゚⊿゚)ξ「いえ、そんな。私も出連様の施術楽しみなんです」
ζ(^ー^*ζ「そんな風に言ってもらえるなんて嬉しいわ」
ξ ゚⊿゚)ξ「今日もリタッチ(※)じゃなくてフルカラーですね」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ。秋らしい色にしたくて」
ξ ゚⊿゚)ξ「出連様、いつもフルカラーを選ばれてますよね」
ζ(゚ー゚*ζ「私、気分屋だからコロコロ変えちゃうの。モララーちゃんには面倒かけちゃってるわ」
※リタッチ…髪の根本だけ染めること
155
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:24:39 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「ほら、そのファイル分厚いでしょう。それ、私のカルテなの」
ξ; ゚⊿゚)ξ「えっ、これ全部ですか!?」
ζ(゚ー゚*ζ「ええ。モララーちゃん、私が持ってきた見本の写真なんかも取ってくれてるから」
ξ ゚⊿゚)ξ「あ、本当だ……使ったカラー剤も全部書かれてる……」
ξ ゚⊿゚)ξ「……あれ? 昔はフルカラーじゃなくてリタッチが多かったんですね」
ξ ゚⊿゚)ξ「しかもフルカラーのときも全部ブラウン……」
156
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:25:19 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「ああ、それはね。その頃私、婚活してたから」
ξ; ゚⊿゚)ξ「こ、婚活!?……ですか? 出連様が?」
ζ(゚ー゚*ζ「あら、どうして? 嘘じゃないわよ?」
ξ; ゚⊿゚)ξ「いや、その……出連様、そういうのに興味があるように見えなかったから……」
ζ(゚ー゚*ζ「今は、ね」
ζ(゚ー゚*ζ「ねえ、ツンちゃん。昔話に付き合ってくれる?」
157
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:25:49 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「私、典型的な仕事人間でね。友達が結婚していく中、ずっと仕事に打ち込んでたの」
ζ(゚ー゚*ζ「ふと気が付いたら三十も過ぎてて、周りを見れば二人目を産んでる子もいた」
ζ(゚ー゚*ζ「親からも『良い人いないのか』って言われるようになってね」
ξ; ゚⊿゚)ξ「でも出連さん、モテそうなのに……」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、よく言われるけどそうでもないのよ。社会人になるとなかなか出会いもないしね」
ζ(゚ー゚*ζ「その頃かな……インターネットを見ていたら、婚活パーティーの広告が出てきたの」
158
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:26:27 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*;ζ『は、初めまして。出連デレと申します』
( ^Д^)『あ、はい。初めまして、プギャーです』
( ^Д^)『出連さんはおいくつですか?』
ζ(゚ー゚*;ζ(えっ? いきなり年齢の話……?)
ζ(゚ー゚*ζ『今年で35になります』
( ^Д^)『あー、35かぁ』
ζ(゚ー゚*ζ『……』
159
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:27:21 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「年齢制限は27〜37歳になってたんだけど、私が一番上だったみたい」
ζ(゚ー゚*ζ「歳を言ったらみんな逃げて、若い子のほうに行っちゃった」
ζ(゚ー゚*ζ「『子供がほしいのでアラフォーはちょっと』なんて言ってきた人もいたわ」
ξ; ゚⊿゚)ξ「ひどい」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、しかもね。男性はみんな私より年上だったの」
ξ# ゚⊿゚)ξ「はぁ!? じゃあそいつ、自分の年齢を棚に上げたってことですか!?」
ζ(゚ー゚*ζ「いいのよ、もう昔のことだから」
160
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:28:01 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「他のパーティーにも行ったし、結婚相談所にも登録したわ。でもどこだって同じだった」
ζ(゚ー゚*ζ「初対面の人とぎこちなくお喋りして、お互いに値踏みして、その繰り返し」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがたいことに、私を選んでくれた人もいたけれど……」
ζ(゚ー゚*ζ「なんにも心が動かないの。相手の好きなところを見つけようと頑張ったけど、無理だったわ」
ξ; ゚⊿゚)ξ「それが普通じゃないですか? 恋愛って、好きになろうと頑張るものじゃないですよ」
ζ(゚ー゚*ζ「そうね……でも、私がしていたのは『婚活』だから」
ζ(゚ー゚*ζ「きっと私が煮え切らないから、腹が立ったんでしょうね。相談所の人に言われたの」
ζ(゚ー゚*ζ「『あなた結婚する気ある?』『恋だとか好きだとかうだうだ言う年齢でもないでしょう』って」
161
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:28:41 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「すごく落ち込んだわ。自分が否定された気分だった」
ζ(゚ー゚*ζ「でも結婚してないのは事実だし、婚活をしていて結果が出せないのも事実」
ζ(゚ー゚*ζ「だから何も言い返せなくて、そのまま相談所を出た」
ζ(゚ー゚*ζ「ただ、その日は美容院を予約していたの」
ξ ゚⊿゚)ξ「え、それって」
ζ(^ー^*ζ「そう、ここの美容院よ。私ってば結構古株なんだから」
162
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:29:08 ID:kvXHtHqA0
( ・∀・)『本日はカラーをご希望でよろしかったですか?』
ζ(゚ー゚*ζ『……ええ』
( ・∀・)『出連様、もしかして御気分が優れませんか? 顔色も良くないようですが……』
ζ(゚ー゚*;ζ『えっ? い、いえ、大丈夫よ』
( ・∀・)『でしたらいいのですが……何かあれば遠慮なく仰ってください』
( ・∀・)『ちなみに、カラーのご希望はございますか?』
ζ(゚ー゚*;ζ『あっ……ごめんなさい、何も考えてなかった……』
( ・∀・)『構いませんよ。カタログがありますので、参考にされてください』
163
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:29:44 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ(あ……この髪色いいなぁ)
ζ(゚ー゚*ζ(……でもちょっと派手よね。もうアラフォーだもの、年甲斐もないって笑われちゃうわ)
ζ(゚ー゚*ζ(婚活でも、あまり明るい色は男ウケ悪いって言われてるし……)
ζ(゚ー゚*ζ(無難にブラウンがいいわよね。うん、そうよ。いつも通りがいいわ)
( ・∀・)『この髪色、素敵ですよね。こちらになさいますか?』
ζ(゚ー゚*;ζ『っ!』
164
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:30:14 ID:kvXHtHqA0
( ・∀・)『先程からずっとこのページを眺めていらっしゃるので、ご希望なのかと』
ζ(゚ー゚*;ζ『い、いいの。きっと似合わないもの。いつも通り暗めのブラウンで……』
( ・∀・)『出連様』
( ・∀・)『私たち美容師は、お客様にとって最善のスタイルを提案しています』
( ・∀・)『最善の基準とは、なんだと思いますか?』
ζ(゚ー゚*ζ『……? 似合うか、似合わないか……?』
( ・∀・)『それも勿論ありますが、それだけではありません』
( ・∀・)『少なくとも私は、お客様が最も輝けるスタイルを最善としています』
165
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:30:52 ID:kvXHtHqA0
( ・∀・)『似合う似合わないも、勿論要素のひとつではあります』
( ・∀・)『ですがそれより大切なのは、お客様が輝けるか。ご自身を好きになっていただけるかです』
( ・∀・)『似合う髪型を伝えるだけならご家族やお友達にもできます。私はそこで終わりたくない』
( ・∀・)『出連様が笑顔になれないなら、似合うだの似合わないだの、そんなものは全てしょうもないことです』
ζ(゚ー゚*ζ『…………』
166
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:31:57 ID:kvXHtHqA0
ζ( ー *ζ『……ふふっ、しょうもないだなんて。モララーちゃん、意外に口が悪いのね』
( ・∀・)『申し訳ありません、つい熱が入ってしまいました』
ζ( ー *ζ『ねえ、モララーちゃん』
ζ( ー *ζ『似合うかわからないけど……周りに笑われるかもしれないし、きっと男ウケも悪いだろうけど……』
ζ(^ー^。*ζ『この髪色で、お願いできる?』
( ・∀・)『お任せください。最高の仕上がりにしてみせます』
167
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:33:33 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「でね、そのまま相談所に戻って退会手続きをしたの」
ξ; ゚⊿゚)ξ「おぉ……」
ζ(^ー^*ζ「相談員の人、すごくびっくりしてたわ」
ζ(^ー^*ζ「そりゃそうよね。さっきまで陰気な顔してた女が、派手な金髪になって戻ってきたんだもの」
168
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:34:00 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「よく考えてみたらね、彼氏だとか結婚だとか、そこまで興味なかったの」
ζ(゚ー゚*ζ「ただ周りがそうしていたり、家族にせっつかれたりしたから、そうしなきゃいけないんだって思い込んでただけ」
ζ(゚ー゚*ζ「『既婚者』ってステータスが欲しかった。そんな考えじゃ、うまくいかなくて当然よね」
ξ ゚⊿゚)ξ「……私、婚活したことないし……そういうのよくわからないけど……」
ξ ゚⊿゚)ξ「私、今の出連様がすごく好きです」
ξ ゚⊿゚)ξ「昔の出連様のことは知らないけど、きっと無理して結婚するより、今のほうが輝いてると思います」
ζ(^ー^*ζ「ありがとう、ツンちゃん」
169
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:34:25 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「それにね、私、恋愛よりも楽しいこと見つけちゃったから」
ξ* ゚⊿゚)ξ「え、何ですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ。おしごと」
ξ* ゚⊿゚)ξ「お仕事ですか? 仕事に生きるってかっこいいですね」
ζ(゚ー゚*ζ「あ、違うの。そっちじゃなくて」
ζ(゚ー゚*ζ「『推し事』よ」
ξ ゚⊿゚)ξ「……」
ξ ゚⊿゚)ξ「……はい?」
170
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:34:48 ID:kvXHtHqA0
ξ ゚⊿゚)ξ「えっと、それはアイドルの追っかけ的な……?」
ζ(゚ー゚*ζ「アイドルじゃなくて、ツンちゃんもよく知ってる人よ。ほら、あそこにいる」
( ・∀・)+ 「イッツァマジック!」
ξ ゚⊿゚)ξ「……」
ξ ゚⊿゚)ξ「えっ」
ζ(゚ー゚*ζ「推せるわ〜」
ξ; ゚⊿゚)ξ「え、えええ……」
ζ(゚ー゚*ζ「モララーちゃんしか勝たん」
ξ; ゚⊿゚)ξ「やだ! オタク構文使う出連様なんてやだ!」
171
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:35:25 ID:kvXHtHqA0
ζ(゚ー゚*ζ「私、ここに来るのがすごく楽しみなの」
ζ(゚ー゚*ζ「仕事で嫌なことがあっても『でも来週美容院行けるし』で乗り切れちゃうくらいにね」
ζ(゚ー゚*ζ「推しに会えるし、髪も綺麗にしてもらえるし、いいこと尽くめよ」
ξ; ゚⊿゚)ξ「う、うーん……」
ξ; ゚⊿゚)ξ(私にはちょっと理解できない世界だわ……)
ξ ゚⊿゚)ξ(……でも、出連さんが幸せなら、それ以上に大事なことなんてないわよね)
( ・∀・)+ 「今日の施術も完璧だ。流石僕、天才の中の天才」
ξ ゚⊿゚)ξ(うーん、やっぱり理解できない)
172
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:36:26 ID:kvXHtHqA0
ξ ゚⊿゚)ξ(それにしても、結婚かぁ……)
ξ ゚⊿゚)ξ(……そういうの、人間だった頃は憧れてたなぁ)
ξ ゚⊿゚)ξ(幽霊の今じゃ結婚も何もないけど、もしも生まれ変わったら……)
( ・∀・)「ツンくん、そろそろ休憩だよ」
ξ;* ゚⊿゚)ξ「あ、あんたとなんか絶対に嫌だからねっ!」
( ・∀・)「は?」
173
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:36:56 ID:kvXHtHqA0
第4話 終わり
.
174
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:37:24 ID:kvXHtHqA0
投下は以上です
ありがとうございました
175
:
名無しさん
:2020/09/18(金) 22:38:18 ID:fbbEpNkg0
乙
176
:
名無しさん
:2020/09/19(土) 00:54:36 ID:Ez6MpXfY0
乙乙
突然のオタク構文に笑ってしまった
毎話考えさせられるしギャグは面白い 好きだなぁ
177
:
名無しさん
:2020/09/19(土) 02:57:50 ID:dXpLNWQs0
乙
いくつになっても輝いている人って憧れるなあ
店長の自画自賛で毎度笑う
178
:
名無しさん
:2020/09/19(土) 09:27:18 ID:5Li6Vw960
とりあえず乙
これからも期待
179
:
名無しさん
:2020/09/19(土) 15:13:17 ID:cVPFgU7Q0
デレ輝いてるなー
キャラがどんどん深堀されてきて続きが待ち遠しい!
180
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:46:21 ID:FEmaBN8A0
乙ありがとうございます
いただいた感想何度も読み返してます、嬉しいです
第5話投下します
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