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( ・∀・)カリスマ美容師と地縛霊のようです川д川
181
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:46:49 ID:FEmaBN8A0
『お前は俺がいないと何もできないんだからさ、黙って言うこと聞いてればいいんだよ』
『……』
『何その態度? 何か不満あんの?』
『……ううん。何も、ない』
ξ -⊿゚)ξ「…………」 パチッ
ξ -⊿゚)ξ「幽霊でも、夢見たりするのね」
182
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:47:11 ID:FEmaBN8A0
第5話『スタッフ:恨宮貞子』
.
183
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:48:23 ID:FEmaBN8A0
ξ ぅ⊿゚)ξ「おはよ」
( ・∀・)「やあ、おはよう。ちょうど朝食ができたところだよ」
( ・∀・)「しかし不思議だね。幽霊が睡眠や食事をとるなんて」
ξ ゚⊿゚)ξ「それは私も驚いてる」
184
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:49:05 ID:FEmaBN8A0
ξ* ゚⊿゚)ξ「うまっ! フレンチトーストうまっ!」
( ・∀・)「前日から卵液に漬け込んでおくとしっとり感が増すんだ。朝は焼くだけで済むから、時短になるよ」
ξ* ゚⊿゚)ξ「おかわり!!」
( ・∀・)「そうやって喜んでもらえると作り甲斐があるね」
( ・∀・)「じゃあ、僕は先に行って開店準備をするから。ツンくんはゆっくり食べて来るといい」
ξ ゚〜゚)ξ「ふぁーい」
185
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:49:26 ID:FEmaBN8A0
【美容室 Moral】
(*゚ー゚)「ツンちゃん、おはよう!」
ξ ゚⊿゚)ξ「おはよー。しぃちゃん、これこの前借りたCD」
(*゚ー゚)「あ! どうだった?」
ξ* ゚⊿゚)ξ「めっっちゃよかったぁ〜! ちょっとハマりそう!」
(*゚ー゚)「でしょ!? 今度ギコくんとライブ行くから、ツンちゃんも一緒に行こうよ!」
ξ* ゚⊿゚)ξ「行く行く!」
186
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:49:56 ID:FEmaBN8A0
仕事にも慣れてきたし、周りともうまくやれてる。
正直、前みたいに誰彼構わず恨む気持ちなんて、もうあまりなかった。
このまま穏やかに過ごせていけたらいいとすら思ってた。
『何? 俺に逆らうの?』
『お前、その顔でよく表歩けるよな。隣にいる俺の身にもなれよ』
それでも忘れられない人間が、一人だけいた。
どうしようもなく憎くて、恨めしい人間が。
187
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:50:19 ID:FEmaBN8A0
「あのー」
ξ ゚⊿゚)ξ「あ、すみません。いらっしゃいま……せ……」
「予約してるんだけど」
( ゚∀゚)「15時から、長岡ジョルジュって名前で」
ξ ⊿ )ξ「……っ」
188
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:50:40 ID:FEmaBN8A0
『貞子は本当暗いなぁ』
( ゚∀゚)『お前みたいな根暗と付き合ってやってる俺に感謝しろよ?』
川д川『……うん。ありがとう、ジョルジュくん……』
長岡ジョルジュ。
私が自殺したきっかけになった男。
.
189
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:51:03 ID:FEmaBN8A0
ξ ⊿ )ξ(……どうして)
ξ ⊿ )ξ(どうして、今更)
( ゚∀゚)「ていうかおねーさん可愛いね。バイト?)
ξ ⊿ )ξ「……ご案内します」
ξ ⊿ )ξ「一名様ご来店でーす」 \イラッシャイマセー/
( ゚∀゚)「なんだよー、シカトかよ」
190
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:51:29 ID:FEmaBN8A0
(,,゚Д゚)「なんだよあいつ、態度でかいなぁ」
(*゚ー゚)「ギコくん、お客様の悪口はダメよ」
(;,,゚Д゚)「いや、だってさ、あの態度はないだろ……あんな客初めて見た」
(*゚ー゚)「最近ここのお店、雑誌に載ったらしいの。色んなお客様が来るわよ」
(,,゚Д゚)「有名税ってやつかぁ……確かに今日、ヤバいくらい忙しいもんな」
(*゚ー゚)「店長なんて朝からずっと休憩取ってないわよ。ほら、私たちも頑張らなきゃ!」
(,,゚Д゚)「お、おう。そうだな!」
191
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:52:37 ID:FEmaBN8A0
( ・∀・)「いらっしゃいませ、長岡様。本日担当させていただくモララーです」
( ゚∀゚)「あー、あんたがモララー? 雑誌で見たよ。髪切るのうまいんでしょ?」
( ・∀・)「ありがたいことに、そう評価いただいています」
( ゚∀゚)「とりあえずカラーして、ちゃちゃっと切っちゃって」
( ・∀・)「かしこまりました。ツンくん、カラーを頼むよ」
ξ ⊿ )ξ「……ええ」
192
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:53:06 ID:FEmaBN8A0
( ゚∀゚)「お、さっきのおねーさん。おねーさんみたいな美人に染めてもらえるなんて嬉しいなぁ」
ξ ⊿ )ξ「…………」
( ゚∀゚)「ねえねえ、おねーさん彼氏とかいるの?」
ξ ⊿ )ξ「そういうことにはお答えできません」
( ゚∀゚)「ふーん。じゃあいないってことにしてさ、仕事終わったら遊ぼうよ」
ξ ⊿ )ξ「すみません。無理です」
( ゚∀゚)「えー、冷たっ。そんなこと言わないでさぁ」
193
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:53:28 ID:FEmaBN8A0
ξ ⊿ )ξ「……」 ペタペタ
( ゚∀゚)「おねーさんあんまし喋んないね。クールビューティーって言われない?」
ξ ⊿ )ξ「……」
( ゚∀゚)「俺が前に付き合ってた女もすっげえ根暗でさー。いつの間にかいなくなってて、名前も忘れちゃったけど」
( ゚∀゚)「あいつもおねーさんみたいに美人ならよかったのになぁ」
ξ ⊿ )ξ「……」
194
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:54:01 ID:FEmaBN8A0
( ゚∀゚)『おい、酒ねえぞ』
川д川『え? もうないよ……ジョルジュくんが昨日全部飲んじゃったじゃない』
(# ゚∀゚)『はぁ!? 切らしてるってわかってんなら買っとけよ! 気利かねーなぁ!』
川;д川『ひっ! ご、ごめんなさい……』
(# ゚∀゚)『さっさと買って来いよ。5分で戻らなかったらぶん殴るからな』
川;д川『か、買ってくる! 買うから……もう殴らないで……』
195
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:54:24 ID:FEmaBN8A0
( ゚∀゚)『なぁ貞子、ちょっと金貸して』
川д川『またパチンコ? ダメだよ、今月の家賃がまだ……』
(# ゚∀゚)『っせえなぁ!』
川;д川『ぎゃっ!』
(# ゚∀゚)『お前貯金あるんだから、家賃なんかそこから払えばいいだろうが』
川#)д;川『う……ぁ……』
196
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:55:04 ID:FEmaBN8A0
川#)д;川『……もう、無理』
( ゚∀゚)『は? 何?』
川;д;川『ジョルジュくん、全然好きって言ってくれなくなった。ご飯作っても食べてくれないし、帰りも遅いし』
( ゚∀゚)『……』
川д;川『もう無理、私無理。ジョルジュくんについていけない』
川д;川『……死にたい……』
( ゚∀゚)『……はぁ』
( ゚∀゚)『別にいいよ。死ねば?』
197
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:55:41 ID:FEmaBN8A0
その言葉で、張り詰めていた糸がぷつんと切れた。
すべてがどうでもよくなって、あっさり自分の命を手放した。
恋が報われなかった悲しみと、ジョルジュくんへの恨みを抱いて。
そして私は、どういうわけか幽霊と呼ばれる存在になった。
悲しみは癒えていた。ただ憎しみだけが残っていた。
だから私は、何もかもを恨むことにした。
いつか長岡ジョルジュに出会ったら殺してやろうと決めていた。
なのに。
198
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:56:06 ID:FEmaBN8A0
ξ ⊿ )ξ(なんで今更、生きてた頃の思い出が出てくるのよ)
ξ ⊿ )ξ(なんで足が震えてるのよ)
ξ ⊿ )ξ(あんなに恨んでたのに、殺してやろうって決めてたのに)
ξ ⊿ )ξ(……まだこいつが、怖いなんて……)
( ゚∀゚)「ねえ、おねーさんってば」 サワッ
ξ; ⊿ )ξ「ひっ……!!」
199
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:56:29 ID:FEmaBN8A0
ξ; ⊿ )ξ「……っ!」
(; ゚∀゚)「あ、ちょっとおねーさん! まだカラー途中だよ!?」
(#,,゚Д゚)「お客様。ここからは私が対応いたします」
( ゚∀゚)「はぁ? なんだよお前……」
(#,,゚Д゚)「……」
(; ゚∀゚)「あー……はいはい、わかりました」
200
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:56:51 ID:FEmaBN8A0
【美容室 Moral スタッフルーム】
ξ; ⊿ )ξ「う"ぇっ、うぅ……」
(;*゚ー゚)「ツンちゃん、大丈夫?」
ξ ⊿ )ξ「しぃちゃん……」
(;*゚ー゚)「あの人の接客、ギコくんがしてくれるって。あとはもうカットだけだから、帰るまでここにいていいよ」
ξ ⊿ )ξ「……ごめん」
(*゚ー゚)「ツンちゃんは悪くないよ! 気にしないで、しばらく休んで!」
ξ ⊿ )ξ「……うん」
201
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:57:32 ID:FEmaBN8A0
ξ ⊿ )ξ(何やってるのよ、私)
ξ ⊿ )ξ(今日お客さん多くて、ただでさえ人手が足りないのに)
ξ ⊿ )ξ(あれほど呪うとか殺すとか息巻いてたのに、触られただけでこの有り様なんて……)
ξ ⊿ )ξ(……かっこ悪い)
ξ ⊿ )ξ(私は結局、あの時から何も……)
ξ ;⊿;)ξ(……悔しい……)
202
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:58:11 ID:FEmaBN8A0
(;,,゚Д゚)「店長、長岡様のカラー終わりました」
( ・∀・)「ありがとう。すぐに向かうよ」
( ・∀・)「長岡様のカラーはツンくんに任せたはずだけど、ギコくんと交代したのかい?」
(;,,゚Д゚)「……あの、それが……」
ζ(゚、゚*ζ「ツンちゃん、あの客に触られたの」
203
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:58:50 ID:FEmaBN8A0
(;,,゚Д゚)「で、出連様、見てたんですか?」
ζ(゚、゚*ζ「ええ」
( ・∀・)「……触られた?」
ζ(゚、゚*ζ「腕のあたりをね。その前にも、しつこくツンちゃんに迫ってたみたい」
( ・∀・)「……そうでしたか。ありがとうございます」
204
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:59:18 ID:FEmaBN8A0
( ・∀・)「長岡様、お待たせしました。ただいまからカットに入らせていただきます」
( ゚∀゚)「おっせーなぁ、雑誌全部読んじまったよ」
( ・∀・)「申し訳ございません」
( ゚∀゚)「それとさー、あんたのとこの店員、接客態度なってないよな。カラーの途中でどっか行っちゃったんだけど」
( ・∀・)「……大変失礼いたしました」
( ゚∀゚)「まぁ美人だから許すけど、ちゃんと教育しといてくれよー」
( ・∀・)「……」
205
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 22:59:50 ID:FEmaBN8A0
( ・∀・)「長岡様、こちらでいかがでしょうか」
(* ゚∀゚)「おー、いいじゃん! あんたやっぱりうまいんだなー」
( ・∀・)「ありがとうございます。出口はあちらになりますので」
( ゚∀゚)「はいはい。料金はいくらだっけ?」
( ・∀・)「お代は結構です」
( ゚∀゚)「は?」
( ・∀・)「ですから、お代はいただきません」
( ゚∀゚)「いや、あんた何言ってんの? 意味わかんねえよ」
( ・∀・)「お前は客じゃないから二度と来るなって意味だよ」
206
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:00:38 ID:FEmaBN8A0
( ゚∀゚)「……は?」
( ・∀・)「今日以降、二度とお前の施術はしない。スタッフとの接触も許さない」
(# ゚∀゚)「てめ、客にそんな舐めた態度……」
( ・∀・)「だからお前は客じゃない。うちのスタッフにセクハラしておいて、ただで済むと思ってたのか?」
(# ゚∀゚)「セクハラぁ? ちょっと触っただけだろうが!」
( ・∀・)「これ以上はお客様の迷惑になる。さっさと帰れ」
(# ゚∀゚)「待てやコラ!」
207
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:01:35 ID:FEmaBN8A0
(#,,゚Д゚)「店長、手伝います」
(# ゚∀゚)「な……」
ζ(゚、゚*ζ「…………」
(*゚ -゚)「……」
(; ゚∀゚)「は……? なんだよこいつら……意味わかんね……」
(# ゚∀゚)「……っ、こんなところ二度と来るか、バーカ! さっさと潰れろ!」
( ・∀・)「それは結構。来ても追い返すから、そのつもりでいてくれ」
208
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:01:58 ID:FEmaBN8A0
( ・∀・)「ギコくん、どうもありがとう」
(*,,゚Д゚)「お役に立てて光栄っす!」
( ・∀・)「出連様、不愉快な思いをさせてしまい申し訳ありません」
ζ(゚ー゚*ζ「とんでもないわ。ツンちゃんのケア、ちゃんとしてあげてね」
( ・∀・)「もちろんです」
( ・∀・)「しぃくん、ツンくんはどこに?」
(*゚ー゚)「スタッフルームで休んでます」
( ・∀・)「わかった。ありがとう」
209
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:03:16 ID:FEmaBN8A0
【美容室 Moral スタッフルーム】
「ツンくん、入るよ」
ξ ⊿ )ξ「……」
( ・∀・)「紅茶を淹れたんだ。一緒に飲もう」
( ・∀・)「紅茶にはリラックス作用があって、精神を落ち着かせてくれるんだよ」
( ・∀・)「さあどうぞ、味は保証するよ。なんたって僕が淹れた紅茶だからね」
ξ ⊿ )ξ「……どうして、私が紅茶好きって」
( ・∀・)「初めて店に来たとき紅茶を頼んだじゃないか。お客様の嗜好を覚えるなんて朝飯前さ」
ξ ⊿ )ξ「……」
ξ ⊿ )ξ(……ジョルジュくんは)
ξ ⊿ )ξ(……私の好きなものなんて、ひとつも覚えてくれなかったな)
210
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:04:25 ID:FEmaBN8A0
( ・∀・)「さっきは、怖い思いをさせたね。すまなかった」
ξ ⊿ )ξ「なんであんたが謝るのよ」
( ・∀・)「僕の監督不行き届きだ。もっと早く気付いて対処すべきだった」
ξ ⊿ )ξ「仕方ないわよ。今日バカみたいに忙しかったもの」
( ・∀・)「それでもスタッフを……君を守れなかったのは事実だよ」
( -∀-)「申し訳ない、ツンくん。僕は店長失格だ」
ξ ⊿ )ξ「……謝らないでよ」
ξ ⊿ )ξ「あんたは何も、悪くないんだから」
ξ ;⊿;)ξ「いつもみたいに僕天才とか言って、笑ってなさいよ」
211
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:04:46 ID:FEmaBN8A0
ξ ;⊿;)ξ「……私、何もできなかった」
ξ ;⊿;)ξ「嫌だったのに、言い返すとか、全然できなかった」
( -∀-)「僕たちは客商売だからね。毅然と対応したくても、なかなか難しいものだよ」
( -∀-)「……言い訳がましく聞こえたら申し訳ないが、僕もすぐにでも追い出したかったんだ」
( -∀-)「だけどオーダーの途中だったし、座席で口論にでもなれば他のお客様に迷惑がかかる」
( -∀-)「あんな方法しか思いつかなかった。僕もまだ未熟者だ」
ξ ぅ⊿;)ξ「……」
212
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:05:29 ID:FEmaBN8A0
ξ ゚⊿゚)ξ「……あいつが追い出されてるとき、こっそり見てたの」
ξ ゚⊿゚)ξ「色々言ってくれて、すっきりしたわ。……ありがとう」
( ・∀・)「……」
ξ;*゚⊿゚)ξ「ま、真顔で見つめてこないでよ。あんたがヘラヘラしてないと逆に気持ち悪いんだけど」
( ・∀・)「それはつまり、僕の笑顔が見たいということかな?」
ξ;*゚⊿゚)ξ「なんでそうなるのよっ! どういう思考回路してんのあんた!」
( ・∀・)「ははは。僕の笑顔は万物を魅了するからね」
( ・∀・)「ありがとう、ツンくん」
213
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:06:26 ID:FEmaBN8A0
ξ ゚⊿゚)ξ「あいつ……あの客さ……自分の元カノの話とか、してきて」
ξ ⊿ )ξ「……元カノのこと、根暗だとかブスだとか、散々言ってて」
( ・∀・)「ふむ」
ξ ⊿ )ξ「……その元カノって女、信じられないわよね、あんな男と付き合うなんて。男を見る目がなさすぎよ」
( ・∀・)「まぁ、付き合ってから本性を表わす人間もいるからね」
( ・∀・)「それに『元カノ』ってことはもう別れてるんだろう? よかったじゃないか」
( ・∀・)「その女性もきっと今頃、別の場所で楽しく過ごしてるよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「……別の場所……」
ξ ゚ー゚)ξ「……そうね。きっとそうだわ」
214
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:06:49 ID:FEmaBN8A0
【モララー宅】
ξ* ゚⊿゚)ξ「酒盛りよ〜〜!」
( ・∀・)「君は毎日が酒盛りだけどね」
ξ ゚⊿゚)ξ「クソ客に当たったときは酒、これ接客業の掟」
( ・∀・)「お客様を排泄物呼ばわりするのはいただけないが、まぁ今日はノーコメントとしておくよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「あんたも飲むでしょ? 何にする?」
( ・∀・)「それじゃあ、ビールをもらおうかな」
ξ ゚⊿゚)ξ「はいよー」
ξ ゚⊿゚)ξ「……あっ」 ゴトンッ
215
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:07:31 ID:FEmaBN8A0
( ・∀・)「大丈夫かい?」
ξ; ゚⊿゚)ξ「ごめん」
( ・∀・)「開ける前でよかった。しっかり持たないと危ないよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「……うん、気を付ける」
216
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:07:55 ID:FEmaBN8A0
ξ ゚⊿゚)ξ(私、しっかり持ってたのに)
ξ ゚⊿゚)ξ(まるですり抜けるみたいに落ちていった)
ξ ゚⊿゚)ξ(それに、見間違いかもしれないけど)
ξ; ゚⊿゚)ξ(……私の手、一瞬、透けてた……?)
.
217
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:08:20 ID:FEmaBN8A0
第5話 終わり
.
218
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:09:19 ID:FEmaBN8A0
投下は以上です、ありがとうございました
多分次回が最終話になります
あともう少しお付き合いください
219
:
名無しさん
:2020/09/25(金) 23:37:49 ID:zGkFeX/I0
乙乙
220
:
名無しさん
:2020/09/26(土) 00:35:34 ID:D3AzzE/.0
新しいの来てる!そして次が最後か悲しくなるなー
とりあえず乙
221
:
名無しさん
:2020/09/26(土) 01:11:51 ID:0fyHT7oc0
乙です
ジョルジュがなかなか見ない酷さだった
ツンはよっぽどここが気に入ったんだね
222
:
名無しさん
:2020/09/26(土) 01:30:50 ID:7mPPG6Lo0
乙です
職場のみんなが頼もしくてよかった
ツンちゃんよく耐えたなあ
やり返したいのに動けなかった辛さが……泣きそう
223
:
名無しさん
:2020/09/26(土) 04:31:29 ID:nEKLfsXM0
乙!
224
:
名無しさん
:2020/09/26(土) 07:43:34 ID:2im/P/jw0
お疲れ様です
みんな素敵だなあ 現実でも、こういう性格の人が多ければいいのに
225
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:38:56 ID:ycEbBpzE0
乙ありがとうございます
お陰様で今日まで書いてこれました
最終話投下します
226
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:39:16 ID:ycEbBpzE0
(*゚ー゚)「ツンちゃん、大丈夫?」
ξ; ゚⊿゚)ξ「う、うん……」
( ・∀・)「どうしたんだい? 随分大きい音がしたけど」
(*゚ー゚)「あ、店長……ツンちゃんがちょっとドライヤー落としちゃって」
( ・∀・)「そうか。お客様がいなくてよかった」
(*゚ー゚)「ツンちゃん、最近よく物落とすよね。疲れてるんじゃない?」
ξ; ゚⊿゚)ξ「大丈夫。ごめんね、しぃちゃん」
227
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:40:07 ID:ycEbBpzE0
ξ; ゚⊿゚)ξ(どうしよう……どんどんひどくなってる)
ξ; ゚⊿゚)ξ(気を抜いたら手が透けるし、手袋を着けても手袋ごと落ちちゃう)
ξ; ゚⊿゚)ξ(今はまだ手しか透けないけど、きっとそのうち……)
ξ; ゚⊿゚)ξ(……どうしてこんな、急に……)
ξ; ⊿ )ξ(……ううん、理由はわかってる)
228
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:40:49 ID:ycEbBpzE0
ξ; ⊿ )ξ(あいつが……ジョルジュのことが、もう憎くなくなったから)
ξ; ⊿ )ξ(私はあいつを恨んで幽霊になったんだもの。その恨みがなくなれば、この世にいる意味もない)
ξ; ⊿ )ξ(……だけど……)
( ・∀・)「ツンくん、申し訳ないが鬱田様に紅茶をお出ししてくれるかい? 少し手が離せなくてね」
ξ ⊿ )ξ「……わかった」
229
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:41:25 ID:ycEbBpzE0
(;'A`)「あぁ〜〜、来週のことなのに緊張する……何話せばいいのか全然わからないし……」
( ・∀・)「自分から話すよりも、相手の話を聞くことを意識してみるのはいかがでしょう?」
('A`)「なるほど、聞き役に徹するってやつですね」
ξ ⊿ )ξ「お待たせしました、紅茶で……」 スルッ
ξ; ゚⊿゚)ξ「……あっ!!」 ガチャンッ
(;'A`)「うわっち!」
230
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:41:50 ID:ycEbBpzE0
ξ; ゚⊿゚)ξ「す、すみません!」
( ・∀・)「申し訳ありません、鬱田様。こちらのタオルをお使いください」
('A`)「あ、いや、全然大丈夫ですよ。ちょっと手にかかっただけなんで」
( ・∀・)「ですが、袖に少し……本当に申し訳ありません、クリーニング代は弁償いたします」
('A`)「いや、あの、本当大丈夫です。柄物だから全然目立たないし……それに、モララーさんたちにはお世話になってますから」
ξ; ゚⊿゚)ξ「……」
( ・∀・)「……ツンくん、片付けを」
ξ; ⊿ )ξ「……はい」
231
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:42:19 ID:ycEbBpzE0
【美容室Moral スタッフルーム】
( ・∀・)「なぜ呼び出されたのかは、自分でもわかっていると思うけど」
ξ ⊿ )ξ「……ごめん」
( ・∀・)「それを言う相手は僕じゃない。いいかい、ツンくん」
( ・∀・)「ドライヤーを落とそうが、カラー剤をぶちまけようが、それは構わない。備品はまた買えばいいからね」
( ・∀・)「だけどお客様に迷惑をかけるなら話は別だ」
( ・∀・)「疲れているなら休みを出すし、悩みがあるなら聞く。僕も協力するから改善していこう」
ξ ⊿ )ξ「……無理よ」
( ・∀・)「なんだって?」
ξ ⊿ )ξ「休んだって治らない。聞いてもらっても、意味ない」
232
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:42:53 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「ということは、ミスを連発するほどの悩みを抱えてはいるんだね?」
ξ ⊿ )ξ「……」
( ・∀・)「言うか言わないかは君の自由だけど、少しは信用してくれてもいいんじゃないかい?」
( ・∀・)「……それとも、僕やこの店自体が嫌になってしまったのかな」
ξ ⊿ )ξ「違うっ!!」
( ・∀・)「……」
233
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:43:18 ID:ycEbBpzE0
ξ ⊿ )ξ(私のこと全然怖がらないし、店に来いだとか言われるし)
ξ ⊿ )ξ(バカみたいな値段吹っ掛けられて、働かされて、最初はムカついたわよ)
ξ ⊿ )ξ(ジョルジュを見つけるまでの暇潰しに、呪い殺してやろうと思った)
ξ ⊿ )ξ(……だけど)
234
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:44:24 ID:ycEbBpzE0
(*'A`)『ツンさん、俺今度、素直さんやクラスのみんなと遊びに行くことになったんです』
(*'A`)『このあと服も買いに行こうと思ってるんです。俺、やっと服屋の店員さんと話せるようになったんですよ』
(*゚ー゚)『ツンちゃん、前行ってたライブのチケット取れたよ!』
(*,,゚Д゚)『しぃが頑張って取ってくれたんすよ。運転俺がするんで、みんなで行きましょう』
ζ(゚ー゚*ζ『ねえねえツンちゃん、今日のモララーちゃんの服すごく似合ってると思わない? 推せるわ〜』
ζ(^ー^*ζ『いつも話を聞いてくれてありがとう。私ね、ツンちゃんが来てくれて、この店がもっと好きになったのよ』
235
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:45:02 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)『申し訳ないね、残業に付き合ってもらって』
( ・∀・)『最近はお客様が増えたから忙しくてね。こういった事務作業は後回しになりがちなんだ』
( ・∀・)『ははは、そうだね。そりゃあ疲れるけど、たくさんのお客さんに求められるなんて喜ばしいことじゃないか』
( ・∀・)『むしろこの程度で済んで僥倖だと思っているよ。なんたって僕は、全人類に求められてもおかしくない天才だからね』
( ・∀・)『さて、できた。随分早く終わったよ』
( ・∀・)『ツンくんのおかげだね。ありがとう』
236
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:45:31 ID:ycEbBpzE0
ξ ;⊿;)ξ「嫌になんか、なってない」
ξ ;⊿;)ξ「この店も、お客さんも、みんなも、大好きだもん」
ξ ;⊿;)ξ「髪も綺麗に巻けるようになったし、化粧も上手くなったもん」
ξ ;⊿;)ξ「私、ずっとここにいたい」
ξ ;⊿;)ξ「……消えたく、ない……」
237
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:46:28 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「……ツンくん」
( ・∀・)「……その手は……」
ξ ;⊿;)ξ「……」
ξ ;⊿;)ξ(もう、ダメなのね、きっと)
ξ ;⊿;)ξ(手袋も着けられなくなった。手首から先が、もう何の感覚もない……)
238
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:46:53 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「まだ、髪には触れるかな」
ξ ;⊿;)ξ「……え?」
( ・∀・)「最初に会ったとき以来、ずっと切ってなかったと思ってね」
( ・∀・)「久し振りに切らせてくれるかい? 今回は無料で構わないから」
239
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:47:24 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「では、前を失礼」
ξ ゚⊿゚)ξ「……」
( ・∀・)「髪質も随分変わったね。指通りが格段に良くなった」
ξ ゚⊿゚)ξ「……あんたの家、高そうなヘアケアグッズばっかりじゃない。あれを使い続けたらそりゃ変わるわよ」
( ・∀・)「道具よりも、それを使う人間の心構えだよ」
( ・∀・)「入浴前にしっかりブラッシングして、ドライヤーで丁寧に乾かして、トリートメントでケアしたのは君自身だ」
( ・∀・)「面倒臭がりながらでも続けたことが結果に現れてる。君が頑張ったから、今の髪があるんだよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「……」
240
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:47:45 ID:ycEbBpzE0
ξ ゚⊿゚)ξ「あんたって変人だしキモいしウザいけど、美に対する真摯さだけはすごいと思うわ」
( ・∀・)+ 「光栄だね。もっと褒めてくれてもいいんだよ?」
ξ ゚⊿゚)ξ「そういうところがキモいって言ってんのよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「でもまあ、美容師が天職って感じの人間よね、あんた」
( ・∀・)「この道を選んだのはなんとなくだったんだけどね。運命というものはわからないものだよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「ふーん……」
241
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:48:15 ID:ycEbBpzE0
ξ ゚⊿゚)ξ「……ねえ。美容師って、いつも客の話を聞く立場よね」
( ・∀・)「うん? まあ、基本的には聞き役に回ることが多いね」
ξ ゚⊿゚)ξ「だったらさ、今日はあんたの話を聞かせてよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「どうして美容師になったの? なんとなくで目指す前から、美容が好きだったの?」
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「そうだね。たまには自分の話もいいかな」
242
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:49:12 ID:ycEbBpzE0
最終話『店長:森谷モララー』
.
243
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:49:41 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「ツンくんは、僕のことを美しいと思うかい?」
ξ ゚⊿゚)ξ「だからそういうところが……ああもうわかったわかった、はいはいあんたは美しい」
( ・∀・)「そうだろう。なんたって美しく作ってもらったからね」
ξ ゚⊿゚)ξ「……は?」
( ・∀・)「整形だよ」
( ・∀・)「十八歳のとき、僕は高校を卒業してすぐに美容外科に駆け込んだ」
( ・∀・)「自分の顔が、大嫌いだったからね」
244
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:50:41 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)『こちらでいかがでしょうか』
从*'ー'从『そういう、こういう髪型にしてほしかったの〜! ありがとうございますぅ!』
( ・∀・)『気に入っていただけて何よりです。またのご来店をお待ちしてます』
( ・∀・)『……はぁ』
『仕事中に溜息なんかつくんじゃない。お客様に見られたらどうすんの?』
( ・∀・)『別にいいじゃないですか。お客さんもいないし、今店にいるのは僕ら二人だけでしょ』
『はー、本当可愛くないね、お前って』
('、`*川『ったく、これだから今時のガキは』
( ・∀・)『ガキ扱いするのやめてください、伊藤先輩』
245
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:51:12 ID:ycEbBpzE0
整形したあと、美容関連の職業に就こうと決めた。
だけどそれは『自分のように悩んでいる人達を救いたい』なんて綺麗な動機じゃない。
整形するにあたって集めた膨大な知識が、自分の武器だと思ったから。ただそれだけ。
医者になれるほど頭が良いわけではない。
美容部員は男だと厳しいかもしれない。
美容師を目指したのは、ただの消去法だった。
専門学校で二年間学んで、僕は美容師になった。
246
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:51:39 ID:ycEbBpzE0
('、`*川『あんたって腕はいいんだけどねー、情熱が足りないんだよね』
( ・∀・)『なんですか情熱って。美容師なんだから、テクニックがあれば十分でしょ』
('、`*川『ダメダメそんなんじゃ。あんたね、相手は生身の人間よ? 情熱を持って対応しないでどうすんの』
('、`*川『ただ切るだけなら誰でもできるの。お客様一人一人に向き合って、幸せを提供するのが美容師ってもんよ』
( ・∀・)『……はぁ』
伊藤先輩は数年前から店で働いていて、入れ替わりの激しいこの世界ではそれなりの古株だった。
だけどそれを差し引いても、彼女は周りのスタッフにもお客様にも気に入られていた。
247
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:52:10 ID:ycEbBpzE0
('、`*川『美芹様、いかがでしょうか?』
ミセ*゚ヮ゚)リ『今回もめっちゃ可愛いですっ!!』
ミセ*^ヮ^)リ『伊藤さんに担当してもらったら、もう他の人指名できないですよ〜!』
('、`*川『うふふ、そうでしょう』
+('、`*川『なんせ私は天才ですからね』
( ・∀・)『……その私天才って言うの、ナルシストすぎて引くからやめたほうがいいですよ』
('、`*川『お黙り、このクソガキ』
248
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:52:51 ID:ycEbBpzE0
伊藤先輩は腕が良かった。
だからたくさん指名されているし、周りのスタッフにも一目置かれているんだろうと思っていた。
( ・∀・)『なんですか? それ』
('、`*川『美芹様のカルテ。今までの施術の記録とか、持ってきていただいたスクラップを挟んでるの』
( ・∀・)『……この趣味とか好きな食べ物とか、メモする意味あるんですか? 施術に関係ないじゃないですか』
('、`*川『関係ないからって切り捨てていったら何も残らないでしょうが。こういうのはね、しっかり覚えておかなきゃいけないの』
('、`*川『私達は人間を相手にしてるのに、相手のことを知らずにいてどうすんのよ』
249
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:53:24 ID:ycEbBpzE0
お客様のどんな些細なプロフィールも覚えていた。毎日遅くまでカットの練習をしていた。
天才を自称する代わりに、妥協や手抜きは絶対にしなかった。
だからみんな彼女のことが好きだったんだ。
('、`*川『私、来月で辞めるから。あとよろしく』
( ・∀・)『…………は?』
そんな人が辞めるなんて、考えもしなかった。
250
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:53:51 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)『伊藤先輩、なんで』
('、`*川『実はもう伊藤じゃないんだよねー。盛岡先輩です』
( ・∀・)『誰……ですか、盛岡って……』
('、`*川『そりゃ旦那の苗字でしょうよ。今日の送別会、あんたもくるよね?』
送別会では惜しむ声ばかり聞こえてきた。
花束を渡す係が堪え切れずに泣いて、彼女は笑いながらその背中を擦っていた。
僕は泣かなかった。笑顔で見送ることもできなかった。
誰かが「ドッキリでした!」なんて言い出さないかと思っていた。
当然そんなこと、あるはずもなかったけど。
251
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:54:24 ID:ycEbBpzE0
('、`*川『モララー、このあと暇? 暇よね?』
( ・∀・)『なんですか』
('、`*川『もう一杯だけ付き合ってよ。奢るからさ』
( ・∀・)『まだ飲むんですか? 別にいいですけど……』
彼女はどこかに電話をかけて、それから二人で別の店に移動した。
どこにでもあるような居酒屋のチェーン店。
完全に解凍できてないシャリシャリの枝豆を食べていると、一人の男性が現れた。
('、`*川『これ、私の旦那。盛岡デミタスくん』
(´・_ゝ・`)『初めまして。こんばんは』
( ・∀・)『……はぁ。どうも』
252
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:54:58 ID:ycEbBpzE0
冴えない男。それが第一印象だった。
すっかり酔っぱらった彼女をなだめては、背中をバシバシと叩かれて苦笑いをしている。
見た目通りの人間だな、と思った。
( ・∀・)(服も安っぽいし時代遅れだ)
( ・∀・)(髪の毛だけはきちんとしてるな。伊藤先輩がしてあげてるんだろう)
( ・∀・)(……顔だって、僕のほうがずっと美形じゃないか)
( ・∀・)(……どうして)
( ・∀・)(どうしてこんな奴が、伊藤先輩と……)
253
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:55:23 ID:ycEbBpzE0
('、`*川『はーっ、楽しかったぁ!』
( ・∀・)『ごちそうさまでした』
('、`*川『はっはっは、くるしゅうない』
(;´・_ゝ・`)『支払いしたの僕なんだけどなぁ……』
('、`*川『あ、私トイレ。ちょっとそこで駄弁ってて』
(; ・∀・)『は? ちょ、伊藤先輩……』
('、`*川『あー漏れる! 行ってきます!』
254
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:55:45 ID:ycEbBpzE0
(´・_ゝ・`)『彼女、気を遣ってくれたみたいだね』
( ・∀・)『……あの人に限ってそれはないでしょう。トイレに行きたかっただけですよ』
(´・_ゝ・`)『いや、気遣いだよ。僕が前々から君と話したいって言ってたから』
( ・∀・)『……僕と?』
(´・_ゝ・`)『うん。君のことはペニサスからいつも聞いてたんだ』
(´・_ゝ・`)『クソ生意気なクソガキがいて、腕はいいのに情熱が足りない奴なんだって』
(´・_ゝ・`)『……だけどそんな後輩の世話をするのが、楽しくて仕方ないって』
( ・∀・)『……』
255
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:56:23 ID:ycEbBpzE0
(´・_ゝ・`)『彼女、本当に君に感謝してたよ。メキメキ実力をつけるから自分も負けられないって言ってた』
(´・_ゝ・`)『君のことも、美容師って仕事も、本当に好きなんだと思った』
(´・_ゝ・`)『なのに……僕の転勤が決まったとき、彼女からプロポーズしてくれた』
(´・_ゝ・`)『髪はどこでも切れるからいいんだって、辞める決意をしてくれた』
( ・∀・)『……』
(´・_ゝ・`)『だから僕は、何があっても彼女から離れないって決めたんだ』
256
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:56:53 ID:ycEbBpzE0
(´・_ゝ・`)『モララーくん。僕はね、ずっと君にお礼が言いたかったんだ』
(´・_ゝ・`)『君のおかげで、ペニサスは毎日楽しそうだった』
(´・_ゝ・`)『正直ちょっと悔しかったよ。僕じゃあんな顔させられなかったからね』
(´・_ゝ・`)『でも……ペニサスの幸せは僕の幸せだ。生き生きしている彼女を見ていたら、僕も元気をもらえた』
(´・_ゝ・`)『だから君にはすごく感謝してるんだ。本当にありがとう』
( ∀ )『…………』
257
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:57:13 ID:ycEbBpzE0
('、`*川『おまたせー。何話してたの?』
(´・_ゝ・`)『ペニサスが漏らさずに済んだかなって心配してたんだよ』
('、`*川『このデリカシー皆無男が! 天誅!』
(;´・_ゝ・`)『いだっ! 自分から漏らすとか言ってたくせに……あだだっ、叩かないでってば!』
258
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:57:33 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)『……いと……』
( ・∀・)『……盛岡先輩』
('、`*川『あぁん? 何?』
( ・∀・)『ご結婚、おめでとうございます』
('、`*川『……』
('ー`*川『ありがと。あんたも仕事がんばりなよ、モララー』
259
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:58:24 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「僕はね、自分自身に絶望したよ」
( ・∀・)「外見にコンプレックスを感じて整形までしたのに、そんな自分が外見で他人を見下していた」
( ・∀・)「デミタスさんは僕なんかよりもずっと素敵な人だったのにね」
( ・∀・)「顔を美しくしても、心は昔のままだったんだ。……僕は本当に、自分が恥ずかしかった」
ξ ゚⊿゚)ξ「……その人は」
ξ ゚⊿゚)ξ「ペニサスさんは、今も美容師をしているの?」
( ・∀・)「さあ。もう何年も前のことだし、連絡先もわからないからね。確かめようがないよ」
( ・∀・)「でも美容師であろうがなかろうが、どこかで誰かを幸せにしていると思うよ。あの人はそういう人だから」
( ・∀・)「あの人は僕の目標なんだ。昔も、今も、これから先もずっと」
260
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:59:17 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「さて、完成だ。お気に召していただけたかな?」
ξ ゚⊿゚)ξ「……すごく気に入ったわ。とても綺麗」
( ・∀・)「それはよかった。その言葉を聞くことが、美容師の一番の喜びだよ」
( ・∀・)「またいつでも切りに来るといい。社員割引で安くできるから」
ξ ⊿ )ξ「来れるかなんて、わからないわよ」
261
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:59:38 ID:ycEbBpzE0
ξ ⊿ )ξ「それに、もしも来れたとしても……きっと姿形は変わってるし、私だなんてわかるはずないわ」
( ・∀・)「僕は美容師だよ? 一度触れた髪は絶対に忘れない」
( ・∀・)「ましてやツンくんの髪質はとんでもないタワシっぷりだったからね。間違えるはずがないさ」
ξ ⊿ )ξ「ぶっ飛ばすわよ」
( ・∀・)「ははは」
262
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:00:26 ID:ycEbBpzE0
ξ ⊿ )ξ「モララー」
( ・∀・)「なんだい?」
ξ ;⊿;)ξ「……ありがとう」
( ・∀・)「どういたしまして」
ξ ;⊿;)ξ「また来るわ。きっと来るから」
( ・∀・)「ああ。いつでもおいで」
ξ ;ー;)ξ「 」
( -∀-)「……」
( ・∀・)「……待ってるよ」
263
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:01:36 ID:ycEbBpzE0
.
264
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:02:05 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「もしもし、ギコくん? 無事に産まれたかい?」
( ・∀・)「そうか、それはよかった。……うん、一旦泣き止もうか。何言ってるか全然わからないから」
( ・∀・)「落ち着いたらお祝いに行くよ。しぃくんにもよろしく伝えておいて」
( ・∀・)「本当におめでとう、ギコくん。これからもお幸せに」
( ・∀・)「……さて、何を贈れば喜んでもらえるかな……」
ガチャッ
l从・∀・ノ!リ人「こんにちはなのじゃー!」
∬;´_ゝ`)「コラ! 勝手に入っていかないの!」
( ・∀・)「いらっしゃいませ」
265
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:02:40 ID:ycEbBpzE0
∬;´_ゝ`)「すみません、もう閉まってるかと思ったんですけど……この子がどうしてもって」
l从・∀・ノ!リ人「ここがいいのじゃ! ここで切るのじゃー!」
( ・∀・)「構いませんよ。一応まだ営業時間内ですし、他のお客様もいませんから」
( ・∀・)「お飲み物は何になさいますか? コーヒー、紅茶、オレンジジュースがございます」
∬´_ゝ`)「あ……じゃあ、紅茶で……」
l从*・∀・ノ!リ人「妹者はオレンジジュースがいいのじゃ!」
( ・∀・)「かしこまりました。少々お待ちを」
266
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:03:23 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「おまたせしました、紅茶とオレンジジュースでございます」
( ・∀・)「キャンディもおつけしているので、よろしければお召し上がりください」
l从*・∀・ノ!リ人「飴ちゃん! わーい!」
∬*´_ゝ`)「あ、この紅茶おいしい……」
( ・∀・)「ではお客様、ケープをかけますので、前を失礼いたします」
∬´_ゝ`)「妹者、あまり動いちゃダメよ。良い子にね」
l从・∀・ノ!リ人「はーい」
267
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:03:52 ID:ycEbBpzE0
∬´_ゝ`)「あの……こちらのお店は、お兄さんがお一人で?」
( ・∀・)「ええ。元は別の店で店長をしていたんですが、数年前に独立しまして……今はここに店を構えているんです」
∬´_ゝ`)「独立ですか。すごいですね」
( ・∀・)「一人でぼちぼちとやっている店ですが、ありがたいことにインターネットで口コミもいただいておりまして」
( ・∀・)「お客様も本日は口コミを見てお越しくださったのですか?」
∬´_ゝ`)「あ、いえ、それが……さっき前を通りかかったとき、この子が『ここに行きたい』って言い出して……」
∬´_ゝ`)「そろそろ髪を切ろうと思っていたのでちょうどよかったんですけど、急に言われてびっくりしちゃいました」
l从・∀・ノ!リ人「ピンときたのじゃ! お兄さんならきっと、妹者をもっと可愛くしてくれるのじゃ!」
( ・∀・)「それはそれは。お任せください、今よりもさらに魅力的にしてみせますよ」
268
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:05:24 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「では、少し髪に触れますね」
( ・∀・)「……おや、これは……」
∬;´_ゝ`)「ああ、びっくりしたでしょ? この子すごい癖毛なんです」
∬;´_ゝ`)「どこの美容院でも苦戦しちゃうんですよね……ゴワゴワチリチリの剛毛で」
l从#・∀・ノ!リ人「幼稚園の子たち、妹者のことタワシって呼ぶのじゃ! しつれーなのじゃ!」
∬´_ゝ`)「この髪の毛、なんとかなりますかね……?」
( ・∀・)「大丈夫ですよ。お任せください」
( ・∀・)「なにせ以前、同じ髪に触ったことがありますから」
269
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:05:55 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)カリスマ美容師と地縛霊のようです川д川 完
.
270
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:08:36 ID:ycEbBpzE0
以上で投下は終了になります
お付き合いいただきありがとうございました
長編の投下は久し振りでしたが、沢山の方に乙をいただけて嬉しかったです
またお会いできたら何卒よろしくお願いします
271
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:14:50 ID:EOPgy87g0
乙
272
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:37:06 ID:uvZoDu7Y0
乙!良い話だった!
273
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:38:54 ID:LUXkedUs0
乙です
最高でした
274
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 22:27:43 ID:zJsYQR0U0
乙です
面白かった
275
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 22:56:06 ID:ichhwo0M0
乙!お疲れさま!
276
:
名無しさん
:2020/10/10(土) 22:04:17 ID:FYyxHoGY0
完結、お疲れ様でした!
素敵なお話でした!
ありがとうございました!
277
:
名無しさん
:2020/10/11(日) 23:11:21 ID:i2UH0MHE0
いいお話でした
乙
278
:
名無しさん
:2020/10/13(火) 01:03:36 ID:yTxFivMo0
お疲れさまでした!
モララーの経緯が意外で、説得力があってよかったです!
素敵なお話をありがとうございました!
279
:
名無しさん
:2020/10/13(火) 12:15:52 ID:9vPqJRgc0
乙です
280
:
名無しさん
:2021/03/13(土) 23:56:25 ID:6CiI4qB.0
乙でした!!
楽しかったです!
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