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( ・∀・)カリスマ美容師と地縛霊のようです川д川
1
:
名無しさん
:2020/09/07(月) 20:07:40 ID:/M3NjSU60
ああ、憎らしい恨めしい妬ましい。
幸せそうな笑顔が憎らしい。
希望に輝く瞳が恨めしい。
『生』あるすべてのものが妬ましい。
私は幽霊。
私は、怨嗟の塊。
.
232
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:42:53 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「ということは、ミスを連発するほどの悩みを抱えてはいるんだね?」
ξ ⊿ )ξ「……」
( ・∀・)「言うか言わないかは君の自由だけど、少しは信用してくれてもいいんじゃないかい?」
( ・∀・)「……それとも、僕やこの店自体が嫌になってしまったのかな」
ξ ⊿ )ξ「違うっ!!」
( ・∀・)「……」
233
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:43:18 ID:ycEbBpzE0
ξ ⊿ )ξ(私のこと全然怖がらないし、店に来いだとか言われるし)
ξ ⊿ )ξ(バカみたいな値段吹っ掛けられて、働かされて、最初はムカついたわよ)
ξ ⊿ )ξ(ジョルジュを見つけるまでの暇潰しに、呪い殺してやろうと思った)
ξ ⊿ )ξ(……だけど)
234
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:44:24 ID:ycEbBpzE0
(*'A`)『ツンさん、俺今度、素直さんやクラスのみんなと遊びに行くことになったんです』
(*'A`)『このあと服も買いに行こうと思ってるんです。俺、やっと服屋の店員さんと話せるようになったんですよ』
(*゚ー゚)『ツンちゃん、前行ってたライブのチケット取れたよ!』
(*,,゚Д゚)『しぃが頑張って取ってくれたんすよ。運転俺がするんで、みんなで行きましょう』
ζ(゚ー゚*ζ『ねえねえツンちゃん、今日のモララーちゃんの服すごく似合ってると思わない? 推せるわ〜』
ζ(^ー^*ζ『いつも話を聞いてくれてありがとう。私ね、ツンちゃんが来てくれて、この店がもっと好きになったのよ』
235
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:45:02 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)『申し訳ないね、残業に付き合ってもらって』
( ・∀・)『最近はお客様が増えたから忙しくてね。こういった事務作業は後回しになりがちなんだ』
( ・∀・)『ははは、そうだね。そりゃあ疲れるけど、たくさんのお客さんに求められるなんて喜ばしいことじゃないか』
( ・∀・)『むしろこの程度で済んで僥倖だと思っているよ。なんたって僕は、全人類に求められてもおかしくない天才だからね』
( ・∀・)『さて、できた。随分早く終わったよ』
( ・∀・)『ツンくんのおかげだね。ありがとう』
236
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:45:31 ID:ycEbBpzE0
ξ ;⊿;)ξ「嫌になんか、なってない」
ξ ;⊿;)ξ「この店も、お客さんも、みんなも、大好きだもん」
ξ ;⊿;)ξ「髪も綺麗に巻けるようになったし、化粧も上手くなったもん」
ξ ;⊿;)ξ「私、ずっとここにいたい」
ξ ;⊿;)ξ「……消えたく、ない……」
237
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:46:28 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「……ツンくん」
( ・∀・)「……その手は……」
ξ ;⊿;)ξ「……」
ξ ;⊿;)ξ(もう、ダメなのね、きっと)
ξ ;⊿;)ξ(手袋も着けられなくなった。手首から先が、もう何の感覚もない……)
238
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:46:53 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「まだ、髪には触れるかな」
ξ ;⊿;)ξ「……え?」
( ・∀・)「最初に会ったとき以来、ずっと切ってなかったと思ってね」
( ・∀・)「久し振りに切らせてくれるかい? 今回は無料で構わないから」
239
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:47:24 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「では、前を失礼」
ξ ゚⊿゚)ξ「……」
( ・∀・)「髪質も随分変わったね。指通りが格段に良くなった」
ξ ゚⊿゚)ξ「……あんたの家、高そうなヘアケアグッズばっかりじゃない。あれを使い続けたらそりゃ変わるわよ」
( ・∀・)「道具よりも、それを使う人間の心構えだよ」
( ・∀・)「入浴前にしっかりブラッシングして、ドライヤーで丁寧に乾かして、トリートメントでケアしたのは君自身だ」
( ・∀・)「面倒臭がりながらでも続けたことが結果に現れてる。君が頑張ったから、今の髪があるんだよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「……」
240
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:47:45 ID:ycEbBpzE0
ξ ゚⊿゚)ξ「あんたって変人だしキモいしウザいけど、美に対する真摯さだけはすごいと思うわ」
( ・∀・)+ 「光栄だね。もっと褒めてくれてもいいんだよ?」
ξ ゚⊿゚)ξ「そういうところがキモいって言ってんのよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「でもまあ、美容師が天職って感じの人間よね、あんた」
( ・∀・)「この道を選んだのはなんとなくだったんだけどね。運命というものはわからないものだよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「ふーん……」
241
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:48:15 ID:ycEbBpzE0
ξ ゚⊿゚)ξ「……ねえ。美容師って、いつも客の話を聞く立場よね」
( ・∀・)「うん? まあ、基本的には聞き役に回ることが多いね」
ξ ゚⊿゚)ξ「だったらさ、今日はあんたの話を聞かせてよ」
ξ ゚⊿゚)ξ「どうして美容師になったの? なんとなくで目指す前から、美容が好きだったの?」
( ・∀・)「……」
( ・∀・)「そうだね。たまには自分の話もいいかな」
242
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:49:12 ID:ycEbBpzE0
最終話『店長:森谷モララー』
.
243
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:49:41 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「ツンくんは、僕のことを美しいと思うかい?」
ξ ゚⊿゚)ξ「だからそういうところが……ああもうわかったわかった、はいはいあんたは美しい」
( ・∀・)「そうだろう。なんたって美しく作ってもらったからね」
ξ ゚⊿゚)ξ「……は?」
( ・∀・)「整形だよ」
( ・∀・)「十八歳のとき、僕は高校を卒業してすぐに美容外科に駆け込んだ」
( ・∀・)「自分の顔が、大嫌いだったからね」
244
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:50:41 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)『こちらでいかがでしょうか』
从*'ー'从『そういう、こういう髪型にしてほしかったの〜! ありがとうございますぅ!』
( ・∀・)『気に入っていただけて何よりです。またのご来店をお待ちしてます』
( ・∀・)『……はぁ』
『仕事中に溜息なんかつくんじゃない。お客様に見られたらどうすんの?』
( ・∀・)『別にいいじゃないですか。お客さんもいないし、今店にいるのは僕ら二人だけでしょ』
『はー、本当可愛くないね、お前って』
('、`*川『ったく、これだから今時のガキは』
( ・∀・)『ガキ扱いするのやめてください、伊藤先輩』
245
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:51:12 ID:ycEbBpzE0
整形したあと、美容関連の職業に就こうと決めた。
だけどそれは『自分のように悩んでいる人達を救いたい』なんて綺麗な動機じゃない。
整形するにあたって集めた膨大な知識が、自分の武器だと思ったから。ただそれだけ。
医者になれるほど頭が良いわけではない。
美容部員は男だと厳しいかもしれない。
美容師を目指したのは、ただの消去法だった。
専門学校で二年間学んで、僕は美容師になった。
246
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:51:39 ID:ycEbBpzE0
('、`*川『あんたって腕はいいんだけどねー、情熱が足りないんだよね』
( ・∀・)『なんですか情熱って。美容師なんだから、テクニックがあれば十分でしょ』
('、`*川『ダメダメそんなんじゃ。あんたね、相手は生身の人間よ? 情熱を持って対応しないでどうすんの』
('、`*川『ただ切るだけなら誰でもできるの。お客様一人一人に向き合って、幸せを提供するのが美容師ってもんよ』
( ・∀・)『……はぁ』
伊藤先輩は数年前から店で働いていて、入れ替わりの激しいこの世界ではそれなりの古株だった。
だけどそれを差し引いても、彼女は周りのスタッフにもお客様にも気に入られていた。
247
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:52:10 ID:ycEbBpzE0
('、`*川『美芹様、いかがでしょうか?』
ミセ*゚ヮ゚)リ『今回もめっちゃ可愛いですっ!!』
ミセ*^ヮ^)リ『伊藤さんに担当してもらったら、もう他の人指名できないですよ〜!』
('、`*川『うふふ、そうでしょう』
+('、`*川『なんせ私は天才ですからね』
( ・∀・)『……その私天才って言うの、ナルシストすぎて引くからやめたほうがいいですよ』
('、`*川『お黙り、このクソガキ』
248
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:52:51 ID:ycEbBpzE0
伊藤先輩は腕が良かった。
だからたくさん指名されているし、周りのスタッフにも一目置かれているんだろうと思っていた。
( ・∀・)『なんですか? それ』
('、`*川『美芹様のカルテ。今までの施術の記録とか、持ってきていただいたスクラップを挟んでるの』
( ・∀・)『……この趣味とか好きな食べ物とか、メモする意味あるんですか? 施術に関係ないじゃないですか』
('、`*川『関係ないからって切り捨てていったら何も残らないでしょうが。こういうのはね、しっかり覚えておかなきゃいけないの』
('、`*川『私達は人間を相手にしてるのに、相手のことを知らずにいてどうすんのよ』
249
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:53:24 ID:ycEbBpzE0
お客様のどんな些細なプロフィールも覚えていた。毎日遅くまでカットの練習をしていた。
天才を自称する代わりに、妥協や手抜きは絶対にしなかった。
だからみんな彼女のことが好きだったんだ。
('、`*川『私、来月で辞めるから。あとよろしく』
( ・∀・)『…………は?』
そんな人が辞めるなんて、考えもしなかった。
250
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:53:51 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)『伊藤先輩、なんで』
('、`*川『実はもう伊藤じゃないんだよねー。盛岡先輩です』
( ・∀・)『誰……ですか、盛岡って……』
('、`*川『そりゃ旦那の苗字でしょうよ。今日の送別会、あんたもくるよね?』
送別会では惜しむ声ばかり聞こえてきた。
花束を渡す係が堪え切れずに泣いて、彼女は笑いながらその背中を擦っていた。
僕は泣かなかった。笑顔で見送ることもできなかった。
誰かが「ドッキリでした!」なんて言い出さないかと思っていた。
当然そんなこと、あるはずもなかったけど。
251
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:54:24 ID:ycEbBpzE0
('、`*川『モララー、このあと暇? 暇よね?』
( ・∀・)『なんですか』
('、`*川『もう一杯だけ付き合ってよ。奢るからさ』
( ・∀・)『まだ飲むんですか? 別にいいですけど……』
彼女はどこかに電話をかけて、それから二人で別の店に移動した。
どこにでもあるような居酒屋のチェーン店。
完全に解凍できてないシャリシャリの枝豆を食べていると、一人の男性が現れた。
('、`*川『これ、私の旦那。盛岡デミタスくん』
(´・_ゝ・`)『初めまして。こんばんは』
( ・∀・)『……はぁ。どうも』
252
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:54:58 ID:ycEbBpzE0
冴えない男。それが第一印象だった。
すっかり酔っぱらった彼女をなだめては、背中をバシバシと叩かれて苦笑いをしている。
見た目通りの人間だな、と思った。
( ・∀・)(服も安っぽいし時代遅れだ)
( ・∀・)(髪の毛だけはきちんとしてるな。伊藤先輩がしてあげてるんだろう)
( ・∀・)(……顔だって、僕のほうがずっと美形じゃないか)
( ・∀・)(……どうして)
( ・∀・)(どうしてこんな奴が、伊藤先輩と……)
253
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:55:23 ID:ycEbBpzE0
('、`*川『はーっ、楽しかったぁ!』
( ・∀・)『ごちそうさまでした』
('、`*川『はっはっは、くるしゅうない』
(;´・_ゝ・`)『支払いしたの僕なんだけどなぁ……』
('、`*川『あ、私トイレ。ちょっとそこで駄弁ってて』
(; ・∀・)『は? ちょ、伊藤先輩……』
('、`*川『あー漏れる! 行ってきます!』
254
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:55:45 ID:ycEbBpzE0
(´・_ゝ・`)『彼女、気を遣ってくれたみたいだね』
( ・∀・)『……あの人に限ってそれはないでしょう。トイレに行きたかっただけですよ』
(´・_ゝ・`)『いや、気遣いだよ。僕が前々から君と話したいって言ってたから』
( ・∀・)『……僕と?』
(´・_ゝ・`)『うん。君のことはペニサスからいつも聞いてたんだ』
(´・_ゝ・`)『クソ生意気なクソガキがいて、腕はいいのに情熱が足りない奴なんだって』
(´・_ゝ・`)『……だけどそんな後輩の世話をするのが、楽しくて仕方ないって』
( ・∀・)『……』
255
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:56:23 ID:ycEbBpzE0
(´・_ゝ・`)『彼女、本当に君に感謝してたよ。メキメキ実力をつけるから自分も負けられないって言ってた』
(´・_ゝ・`)『君のことも、美容師って仕事も、本当に好きなんだと思った』
(´・_ゝ・`)『なのに……僕の転勤が決まったとき、彼女からプロポーズしてくれた』
(´・_ゝ・`)『髪はどこでも切れるからいいんだって、辞める決意をしてくれた』
( ・∀・)『……』
(´・_ゝ・`)『だから僕は、何があっても彼女から離れないって決めたんだ』
256
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:56:53 ID:ycEbBpzE0
(´・_ゝ・`)『モララーくん。僕はね、ずっと君にお礼が言いたかったんだ』
(´・_ゝ・`)『君のおかげで、ペニサスは毎日楽しそうだった』
(´・_ゝ・`)『正直ちょっと悔しかったよ。僕じゃあんな顔させられなかったからね』
(´・_ゝ・`)『でも……ペニサスの幸せは僕の幸せだ。生き生きしている彼女を見ていたら、僕も元気をもらえた』
(´・_ゝ・`)『だから君にはすごく感謝してるんだ。本当にありがとう』
( ∀ )『…………』
257
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:57:13 ID:ycEbBpzE0
('、`*川『おまたせー。何話してたの?』
(´・_ゝ・`)『ペニサスが漏らさずに済んだかなって心配してたんだよ』
('、`*川『このデリカシー皆無男が! 天誅!』
(;´・_ゝ・`)『いだっ! 自分から漏らすとか言ってたくせに……あだだっ、叩かないでってば!』
258
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:57:33 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)『……いと……』
( ・∀・)『……盛岡先輩』
('、`*川『あぁん? 何?』
( ・∀・)『ご結婚、おめでとうございます』
('、`*川『……』
('ー`*川『ありがと。あんたも仕事がんばりなよ、モララー』
259
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:58:24 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「僕はね、自分自身に絶望したよ」
( ・∀・)「外見にコンプレックスを感じて整形までしたのに、そんな自分が外見で他人を見下していた」
( ・∀・)「デミタスさんは僕なんかよりもずっと素敵な人だったのにね」
( ・∀・)「顔を美しくしても、心は昔のままだったんだ。……僕は本当に、自分が恥ずかしかった」
ξ ゚⊿゚)ξ「……その人は」
ξ ゚⊿゚)ξ「ペニサスさんは、今も美容師をしているの?」
( ・∀・)「さあ。もう何年も前のことだし、連絡先もわからないからね。確かめようがないよ」
( ・∀・)「でも美容師であろうがなかろうが、どこかで誰かを幸せにしていると思うよ。あの人はそういう人だから」
( ・∀・)「あの人は僕の目標なんだ。昔も、今も、これから先もずっと」
260
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:59:17 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「さて、完成だ。お気に召していただけたかな?」
ξ ゚⊿゚)ξ「……すごく気に入ったわ。とても綺麗」
( ・∀・)「それはよかった。その言葉を聞くことが、美容師の一番の喜びだよ」
( ・∀・)「またいつでも切りに来るといい。社員割引で安くできるから」
ξ ⊿ )ξ「来れるかなんて、わからないわよ」
261
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 20:59:38 ID:ycEbBpzE0
ξ ⊿ )ξ「それに、もしも来れたとしても……きっと姿形は変わってるし、私だなんてわかるはずないわ」
( ・∀・)「僕は美容師だよ? 一度触れた髪は絶対に忘れない」
( ・∀・)「ましてやツンくんの髪質はとんでもないタワシっぷりだったからね。間違えるはずがないさ」
ξ ⊿ )ξ「ぶっ飛ばすわよ」
( ・∀・)「ははは」
262
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:00:26 ID:ycEbBpzE0
ξ ⊿ )ξ「モララー」
( ・∀・)「なんだい?」
ξ ;⊿;)ξ「……ありがとう」
( ・∀・)「どういたしまして」
ξ ;⊿;)ξ「また来るわ。きっと来るから」
( ・∀・)「ああ。いつでもおいで」
ξ ;ー;)ξ「 」
( -∀-)「……」
( ・∀・)「……待ってるよ」
263
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:01:36 ID:ycEbBpzE0
.
264
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:02:05 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「もしもし、ギコくん? 無事に産まれたかい?」
( ・∀・)「そうか、それはよかった。……うん、一旦泣き止もうか。何言ってるか全然わからないから」
( ・∀・)「落ち着いたらお祝いに行くよ。しぃくんにもよろしく伝えておいて」
( ・∀・)「本当におめでとう、ギコくん。これからもお幸せに」
( ・∀・)「……さて、何を贈れば喜んでもらえるかな……」
ガチャッ
l从・∀・ノ!リ人「こんにちはなのじゃー!」
∬;´_ゝ`)「コラ! 勝手に入っていかないの!」
( ・∀・)「いらっしゃいませ」
265
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:02:40 ID:ycEbBpzE0
∬;´_ゝ`)「すみません、もう閉まってるかと思ったんですけど……この子がどうしてもって」
l从・∀・ノ!リ人「ここがいいのじゃ! ここで切るのじゃー!」
( ・∀・)「構いませんよ。一応まだ営業時間内ですし、他のお客様もいませんから」
( ・∀・)「お飲み物は何になさいますか? コーヒー、紅茶、オレンジジュースがございます」
∬´_ゝ`)「あ……じゃあ、紅茶で……」
l从*・∀・ノ!リ人「妹者はオレンジジュースがいいのじゃ!」
( ・∀・)「かしこまりました。少々お待ちを」
266
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:03:23 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「おまたせしました、紅茶とオレンジジュースでございます」
( ・∀・)「キャンディもおつけしているので、よろしければお召し上がりください」
l从*・∀・ノ!リ人「飴ちゃん! わーい!」
∬*´_ゝ`)「あ、この紅茶おいしい……」
( ・∀・)「ではお客様、ケープをかけますので、前を失礼いたします」
∬´_ゝ`)「妹者、あまり動いちゃダメよ。良い子にね」
l从・∀・ノ!リ人「はーい」
267
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:03:52 ID:ycEbBpzE0
∬´_ゝ`)「あの……こちらのお店は、お兄さんがお一人で?」
( ・∀・)「ええ。元は別の店で店長をしていたんですが、数年前に独立しまして……今はここに店を構えているんです」
∬´_ゝ`)「独立ですか。すごいですね」
( ・∀・)「一人でぼちぼちとやっている店ですが、ありがたいことにインターネットで口コミもいただいておりまして」
( ・∀・)「お客様も本日は口コミを見てお越しくださったのですか?」
∬´_ゝ`)「あ、いえ、それが……さっき前を通りかかったとき、この子が『ここに行きたい』って言い出して……」
∬´_ゝ`)「そろそろ髪を切ろうと思っていたのでちょうどよかったんですけど、急に言われてびっくりしちゃいました」
l从・∀・ノ!リ人「ピンときたのじゃ! お兄さんならきっと、妹者をもっと可愛くしてくれるのじゃ!」
( ・∀・)「それはそれは。お任せください、今よりもさらに魅力的にしてみせますよ」
268
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:05:24 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)「では、少し髪に触れますね」
( ・∀・)「……おや、これは……」
∬;´_ゝ`)「ああ、びっくりしたでしょ? この子すごい癖毛なんです」
∬;´_ゝ`)「どこの美容院でも苦戦しちゃうんですよね……ゴワゴワチリチリの剛毛で」
l从#・∀・ノ!リ人「幼稚園の子たち、妹者のことタワシって呼ぶのじゃ! しつれーなのじゃ!」
∬´_ゝ`)「この髪の毛、なんとかなりますかね……?」
( ・∀・)「大丈夫ですよ。お任せください」
( ・∀・)「なにせ以前、同じ髪に触ったことがありますから」
269
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:05:55 ID:ycEbBpzE0
( ・∀・)カリスマ美容師と地縛霊のようです川д川 完
.
270
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:08:36 ID:ycEbBpzE0
以上で投下は終了になります
お付き合いいただきありがとうございました
長編の投下は久し振りでしたが、沢山の方に乙をいただけて嬉しかったです
またお会いできたら何卒よろしくお願いします
271
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:14:50 ID:EOPgy87g0
乙
272
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:37:06 ID:uvZoDu7Y0
乙!良い話だった!
273
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 21:38:54 ID:LUXkedUs0
乙です
最高でした
274
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 22:27:43 ID:zJsYQR0U0
乙です
面白かった
275
:
名無しさん
:2020/10/08(木) 22:56:06 ID:ichhwo0M0
乙!お疲れさま!
276
:
名無しさん
:2020/10/10(土) 22:04:17 ID:FYyxHoGY0
完結、お疲れ様でした!
素敵なお話でした!
ありがとうございました!
277
:
名無しさん
:2020/10/11(日) 23:11:21 ID:i2UH0MHE0
いいお話でした
乙
278
:
名無しさん
:2020/10/13(火) 01:03:36 ID:yTxFivMo0
お疲れさまでした!
モララーの経緯が意外で、説得力があってよかったです!
素敵なお話をありがとうございました!
279
:
名無しさん
:2020/10/13(火) 12:15:52 ID:9vPqJRgc0
乙です
280
:
名無しさん
:2021/03/13(土) 23:56:25 ID:6CiI4qB.0
乙でした!!
楽しかったです!
281
:
名無しさん
:2021/12/13(月) 19:30:59 ID:33LWnaAI0
一気読みしました
面白かった、乙!!
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