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( ФωФ)ロマネスクは誓いを果たすようです
83
:
名無しさん
:2021/11/03(水) 00:53:47 ID:eMcxfsSQ0
学はなく、魔術は扱えず、突出した才もない。
凡才と呼ばれたその男は、ひたすら鍛錬を続けた。
日が暮れ、花が枯れ、雪が積り、芽が萌え、雨が降り、蕾が付き、日が昇り、蕾が綻ぶ。
それが何回も繰り返される中、男はただただ武器を振るい、弦を引き絞った。
振るう剣筋が研ぎ澄まされ、一本の線になり。
薙ぎ払う槍の柄から揺れが消え失せ、風を切る音が限りなく小さくなり。
極限まで引き絞られた弦から放たれる矢は、遥か遠くの的に当たるようになった。
剣を極めた者は地を割り。
槍を極めた者は山を貫き。
弓を極めた者は天を穿つ。
……男は、これらの奥義を開眼する域にまで至ることはなかった。
分かった事はこの奥義の開眼者との間に途轍もなく、高い壁が存在すること。
そして、それは自分では乗り越えられないという残酷な事実だった。
それでも男はあらゆる武器を手に、幾夜も鍛錬を続けた。
皮が剥がれ、爪が潰れ、胼胝だらけの手から痛みすら消え失せるほどの厳しい日々を。
その最中で男は幾多の戦において名を上げ、ただの一兵卒から一隊の長にまで上り詰めた。
剣聖と呼ばれた同期が壮絶な最期を遂げ、鬼才と呼ばれた副官が策に溺れ、絶望の淵に立たされた。
それでもなおその凡才は足掻き続け、勝利という栄誉を背負い生き延びた。
そうして生き延びた命をもって再び戦の最前線へと赴いた。
死で固められているはずの道を、誰よりも先に切り開き続けていった。
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