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( ФωФ)ロマネスクは誓いを果たすようです
82
:
名無しさん
:2021/11/03(水) 00:52:25 ID:eMcxfsSQ0
|::━◎┥「なぜそこまでする。億に一つの可能性もないだろうが、私に勝利したとて貴様が得る益などないはずだ」
_
( ゚∀゚)「益なんて求めてねえよ。ただ、お前に勝ちてえ。この……不安と、渇望から逃れてえ」
|::━◎┥「不安? お前のような男がか?」
_
( ゚∀゚)「わかんねえ、だから勝ちてえんだ。勝てば、この不安を忘れられる」
|::━◎┥「……やはり、似ている」
無機質な声に、初めて感情がこもった。それに気づいたであろう歯車王は背を向けた。
ジョルジュは当初、歯車王のことを人間味のない不気味なやつだと思っていた。
三ヶ月程度の付き合いを経て、その逆だと直感した。
人間味をあえて切り捨てているように感じられたのだ。
魔具の肉体を持つ歯車王の事情を聞いたこともないし、興味もない。
ただ、そう感じただけだ。
でなければ、自分の事をとっくに殺しているであろうし、実験も限界ギリギリを見極めた上で後遺症すら残さないようにしないだろう。
いかに優秀な"実験体"だとしても。毎日のように歯向かってくる奴に律儀に付き合うなど、お人好しでなければ何だというのだ。
_
( ゚∀゚)「似ている? 誰にだ?」
|::━◎┥「些事だ。忘れよ」
_
( ゚∀゚)「聞かせろよ、その話」
何かのきっかけになるかもしれない。何より、弱みを初めて見せたように思えたからだ。
|::━◎┥「今の貴様に語る義理はない。せめて十分は持たせてみせよ」
_
( ゚∀゚)「……覚えておけよ、その言葉をよ」
そう吐き捨てると同時に、歯車王の目が怪しく光る。
それを目にしたジョルジュは悪態をつきながら、意識を手放した。
それから八百三十回の挑戦、歳月にして二年。
ありとあらゆる魔術が乱れ飛ぶ場で、初めて十分保った。
二年前のジョルジュであれば、一秒も保てぬほどのものを。
|::━◎┥「見誤ったか。癪ではあるが、認めねばなるまい」
_
(;゚∀゚)「ハアッ、ハアッ……覚えてんだろ。聞かせて、もらうぜ」
|::━◎┥「……つまらぬ話だ」
歯車王から語られたそれは、ジョルジュと同じく天涯孤独の身一つで、艱難辛苦たる運命を切り開いた男の話だった。
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