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錬金術師は遂せるようです
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◆vXEvaff8lA
:2020/05/03(日) 22:04:00 ID:YLCyI6VU0
川 ゚ 々゚)「いやはや、なかなかの難敵よ」
やおらテーブルの下からそれを取り出して、彼はそう言った。
差し出された瓶の中には、白いダイアモンド――【傷みの王】が鎮座している。
成人男性の握り拳ほどの大きさをしたそれは、
室内の僅かな光さえも糧にし、輝きを放っていた。
一見すると神々しく見える光景だが、入間は石の影に注視する。
【王】が落とす影は赤黒く、微かに脈動していた。
臣下を失い、硝子の檻に閉じ込められてもなお、【王】は己が価値を主張している。
しかし入間は、少々違った感想が浮かんでいた。
それは時を超えてなお身の潔白を主張する、
カリオストロ伯爵の叫び声のように思えたのだ。
……いずれにせよ、不気味で異様な代物には違いなかった。
川 ゚ 々゚)「んふふ」
入間が鑑賞する様を愉しむように、彼は笑った。
そして來狂は、【王】から入間を取り上げるかのように、瓶を持ち上げた。
入間はさして気にも止めず、瓶の行方を見守る。
來狂の手に収まった【傷みの王】は、ゆらりと揺らめく。
それが動揺している様子に思えて、入間は仕方がなかった。
來狂の歩む先は、コレクションの山。
さも抗議するかのように、【王】は七色の光を放ったが、來狂はそれに構う様子はない。
そして彼は、
川 ゚ 々゚)「よいしょっと」
無造作に【王】をしまい込む。
積年のコレクションは、智で智を撲り合う格闘技場のようだった。
ぞぶぞぶと沈む【傷みの王】を、入間は絶句しながら見守る。
さしもの光も、漏れ出でることはなかった。
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