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錬金術師は遂せるようです

92 ◆vXEvaff8lA:2020/05/03(日) 22:01:34 ID:YLCyI6VU0
もし彼女が來狂の行いに納得し、無礼を許すのであれば、
外野である入間が來狂を責める必要はない。
自身を納得させるようにそう結論付けて、入間は暖簾をくぐる。
すると先程まで漂っていた石鹸の香りや、暖かな湿気が幻のように消え失せた。
――このように來狂の住居は、彼の性格と同じくらい空間の作りが狂っていた。
されどその強大さこそ、來狂の覚悟の強さと蓄えた智識の豊かさを示していた。
それは入間が望んでやまない境地の一つでもあった。

( ^ν^)(本当に、すげぇよ、あんた)

ふらつく入間は、それでも智を諦めていない。
幾度か空間を飛び、入間は歩む。
辿り着いたのは、小さな自室であった。
來狂より貸し与えられたその空間は、唯一邪魔の入らない場所でもあった。
壁に据え付けられたベッドに身を横たえて、入間は柔らかな綿に沈んでいった。

( ^ν^)(本当に、疲れた……)

本当は小銃のメンテナンスや、傷の手当てをしなければならなかった。
だがそれ以上に気に掛かることが、彼にはあった。
よって入間は、目を閉じた。
四肢の力を抜き、規則正しく呼吸をする。
弛緩する意識は、深い眠りの淵へと誘われていた。
しかし入間は、完全には眠らなかった。
長年の特訓により、彼の脳は半ば眠りながら思考することが可能だった。
題して來狂はイルカ人間と揶揄ってやまないが、
そんな言葉を無視できる程度に役立つ技能であった。
体を癒し、智を深掘りする彼は、模原と來狂の関係性について考察を始めた――。


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