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錬金術師は遂せるようです

90 ◆vXEvaff8lA:2020/05/03(日) 22:00:03 ID:YLCyI6VU0
***


脱衣所と洗い場はコンパクトで、それが都子には有り難かった。
正直一歩でもいいから、進む距離を節約したかったのだ。

ζ(゚ー゚*ζ「ふわー……」

タオル片手に恐る恐るといった様子で、
浴室を開けた都子は、吸い寄せられるように中へと入った。
ハート形のボトルが三本あり、
それぞれシャンプー、リンス、ボディーソープが詰められていた。
風呂に入ることすら約二年ぶりの彼女は、きしんだ髪を柔らかな泡で包み込む。

ζ(´ー`*ζ(いい匂いする……)

疲れによって穴が空いたような心に、満足感が
注がれるような気がして、都子は入念に体を洗った。

ζ(゚ー゚*ζ(すごい。すごい、楽しい)

ハンドタオルで髪を纏め上げ、少女は浴槽へと近付く。
真珠色のお湯を湛えたそこは、少し変わった作りをしていた。
寝転がるのにちょうどいい大きさのスロープが設けられていたのだ。
都子がためしに身を横たえると、胸までは暖かなお湯に覆われた。
それでいて頭は溺れることがないよう、専用の窪みが設えてある。

ζ(´ー`*ζ(ね、寝ちゃう……)

うつらうつらと夢心地のまま、都子はお湯に揉まれる。
緩やかな勢いのジェットバスが、体を優しく揉みほぐしていく。
極め付けに、花と焼菓子を混ぜたような匂いが彼女の脳へと染み渡った。

ζ(´ー`*ζ(ん〜〜〜〜……)

ムリ、と呟いたのを最後に、都子は意識を手放した。


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