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錬金術師は遂せるようです

85 ◆vXEvaff8lA:2020/05/03(日) 21:56:02 ID:YLCyI6VU0
***


(……――はは、)

入間の回想を見た彼は、蝕まれたように笑った。

( 色香も、空気も、音色も、所作も、何もかもが違うじゃないか)

まるで目の前で起きた出来事のような鮮やかさに、彼は惨めに認めた。

(これが、本物の記憶なんだ)

亡霊のような――もはやそれの名称すらも思い出せない、
虚構の思い出に固執していた彼は、力無く笑って、諦めようとする。

( ^ν^)(それでも、模原)

絶望にうな垂れる彼を、入間は包むように言葉を編む。

( ^ν^)(大宇宙に妹という概念が存在するかぎり、
       模原 臨という小宇宙の中で、それが生を
       享けることは、何ら不思議ではないんだよ)

(――――…………)

黙する彼は、近付く終焉と引き換えに、授かった智恵を取り戻しつつあった。
そして入間の真意を理解した上で、彼は応えなかった。
今更そう言われたところで、矮小なる智の小人へと
彼を引き戻したのは、その言葉が原因であるのだから。
だからこそ、彼は礼も言わなかった。
自分自身を騙す偽りがどんなものであったのか。
刻一刻とそれを忘れ行く彼が、一度でも思い出すことが出来た喜びについて。
彼は、敢えて触れなかった。


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