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錬金術師は遂せるようです

80 ◆vXEvaff8lA:2020/05/03(日) 21:52:20 ID:YLCyI6VU0
ζ(゚ー゚*ζ「小さなフラスコから解放され、あなたは父に恩を感じた。
     だから全智を棄て、後釜を失うことで忠義を示そうとした」

(#o∀o)「煩瑣(うるさ)い……」

ζ(゚ー゚*ζ「そして始終見張らなくてはならない
     わたしに執着する理由立てとして、哀れな妹を――」

(#o∀o)「煩瑣いと言っているんだ!!」

瞬間、模原は見えざる脳波を手繰り、都子の脳を犯した。
己が手足の如く、都子の脳は容易く手中へと堕ちる。
幽けき姿の手弱女――妹を追憶し、恥知らずな侮辱を
紡ぐ口を封じようと、模原は選択肢を刷り込んだ。
都子に与えられた選択肢は四つ。
謝罪。
あるいは沈黙。
はたまた自害。
それとも舌を噛み千切るのか。

(#o∀o)(さあ、選べ――)

どうせ彼女は、どれも選べないだろう。
模原はほくそ笑み、そう決めつけた。
微動だにしない彼女に、模原がいよいよ迫ろうとした時だった。

ピチャ…………

天雫が垂れるような音が、模原の頬より響いた。
遅れて都子の口から、小塊が溢れた。

(;o∀o)「ッ――!?」

それは、舌だった。

ζ( ー *ζ「何度だって、否定するわ――」

些か幼さを含んだ斑声(むらごえ)が、
模原の鼓膜、三半規管、蝸牛――それらを超えて、脳へと響く。

ζ(゚ー゚*ζ「だってあなたの妹には、名前も貌も無いでしょう?」


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