したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

錬金術師は遂せるようです

75 ◆vXEvaff8lA:2020/05/03(日) 21:44:58 ID:YLCyI6VU0
模原は入間に追い、回し蹴りを放った。
綺麗に吹っ飛ぶ入間は、ひび割れた屋上の床へ叩きつけられた。
すると模原は回転の勢いを活かし、夜空へと躍動して見せた。
両手でしっかと握られた刃が、模原の頭上で宵闇と同化しかけている。
入間を縫い付けんとして、それは振り下ろされた。
間一髪転がった入間は、頬に熱い感触を覚える。
ナイフは彼の頬を掠め、薄く傷を生じさせたのだ。
床にナイフが食い込み、模原は微かに戸惑った。
しかしなおも逃げようとする入間の腹を、
模原は踏み潰すようにして、引き止めた。
轢殺された蛙のような声が、入間の喉から迫り上がる。
チカと明滅する思考には、盤上がチラついた。
そちらの戦況は、盤がグロテスクに染まっている。
先程見せた入間の反撃に、模原の手駒は喜び勇んで食い物にしたらしい。
劣勢に追い込まれた入間の手駒は、憎きその陣地を塗り替える隙を伺っていた。

(; ∀・)「イ、ッ――!?」

手にしていたナイフで、入間は模原のアキレス腱を切断した。
あまつさえその刃は、足首の関節へと潜り込む。
ヵッ――と、枯れ木が倒れるような音がした。
それは模原の足を結ぶ関節が、軽妙に外れる音だった。
筆舌しがたい悲鳴を上げ、模原は地に伏せた。
彼に囚われていた入間は、ヤモリのようにするりと流れた。
体制を立て直し、しっかと握った刃が模原の背腹を貫いた。
ただし入間はこの攻撃に、【超加速】を施していた。
柄まで血濡れた刃から衝撃が走り、細かな波として模原の肉を吹き飛ばす。
それでも模原は、ナイフを手放していなかった。
肩が外れることも厭わず、瀕死の怪力によって、
模原は並外れた動きでナイフを振るった。
狙うは彼――入間の首、ナイフは迫りゆく。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板