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錬金術師は遂せるようです

65 ◆vXEvaff8lA:2020/05/03(日) 21:28:55 ID:YLCyI6VU0
都子の元付き人――模原 臨(もばら のぞむ)は、
美府駅より遠く離れた地を歩いていた。
もし彼の周りに、構成員が従属していたら、
駅周辺を探したいと願っていたことだろう。
されど幸いなことに、模原は邪魔な人間を一人も連れてはこなかった。

( ・∀・)(元々取るに足らない無能な集団だ)

彼の中での構成員たちは、そのような位置付けだった。
都子のスケジュールを確認し、詰まりに詰まった予約に嘆息し、
何とか相手に延期を申し出、歓心を買うように謝る。
――そんな仕事を、模原は請け負ったことがない。
電話を切った後の彼らが罵詈雑言を吐き、
部下に当たる様を、模原はよく目にしていた。

( ・∀・)(そんなつまらない人間と、自分は違う)

自負する模原は、己が技術を磨きあげた。
結果彼の人身掌握術――【選択肢の狭窄】は、完璧だった。
ただ一つの弱点を除いては。

( ・∀・)(規約を破るバカがいただなんて)

都子を連れ戻したら、真犯人を探らなくてはならない。
新参会と繋がっている以上、いくら金払いのいい
会員といえど、容赦は出来ない。

( ・∀・)(どうせ無能のバカ共には、
       誰の手引きによるものかなんて分かるはずもない)

肥大した模原の自尊心は、徹底的に彼らを切り刻む。
とはいえ今回の件は、不愉快なことばかりではない。
入間という錬金術師に、お目にかかれたのだ。
参倍郷の抱える一人を除き、模原が
錬金術師と出会ったのは、これが初めてであった。
無論参倍郷の会員も多かれ少なかれ、
錬金術師ではあるが、いかんせん彼は都子のお目付役に専念していた。
よって彼は、入間に強く興味を惹かれていた。
参倍郷の錬金術師よりも、ずっと青臭く、愚直な業を彼は使うのだ。


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