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錬金術師は遂せるようです

63 ◆vXEvaff8lA:2020/05/03(日) 21:27:20 ID:YLCyI6VU0
( ^ν^)「分かったぜ……」

息も絶え絶えといった様子で、入間は言い聞かせるように呟いた。
カリオストロが後世に残した、無限の富の正体。

それは、『その人物が生涯獲得する資産を先出しする』ことで産まれるのだ。

( ^ν^)「最初から裕福な生まれの者でなければ、富は得られない」

カリオストロの定めた裕福が、どれ程の額を指し示しているのかは分からない。
しかしどう考えても、答えはそうなってしまう。
末端の構成員を【王】は殺し、会長の娘である都子を【王】は見初めた。
それは揺るぎない事実なのだ。

( ^ν^)(とんでもねえ自転車操業だな)

懐に入る会員費を願望の巨大さが勝った瞬間、参倍郷も都子もタダでは済まないだろう。
高い買い物の割に、大損としか言えない結末であった。

川∩ ゚ 々゚)「お勉強の時間はもう終わり?」

片肘をつく來狂に、入間は首を振る。

( ^ν^)「カリオストロ伯爵は、たしかに無実だった」

恐れを振り切るように、入間は真実を口にする。
見守る來狂は、破顔を深めた。
――あくまでも入間の推測だが、カリオストロは首飾り事件の
首謀者に数えられて、相当腹が立ったのだろう。
首飾りを彩った五四〇粒のダイアモンド。
その輝きゆえに人は金に目が眩み、あるいは野心を叶える至宝として夢を見た。
それでいて傷みを添加したのは、彼なりの嫌味なのだろう。
腕によりをかけた傑作【傷みの王】を通じて彼は主張する。
あの事件をもし錬金術師である自分が計画したら、
それに関わった相手はどうなってしまうのか。
徹底した破滅を敷くことで、彼は身の潔白を訴えているのだ。

( ^ν^)(きっと、おそらく、そうだと思う)

煮え切らない言い方は、そうであって欲しくないという願いでもある。
けれどもその可能性は、ゼロに近い。
わかっていながらも、入間は願うことを止められない。
それこそが彼の小宇宙を支配する、
正義であり、善性であり、未成熟を示す獣性なのだ。


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