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錬金術師は遂せるようです

33 ◆vXEvaff8lA:2020/05/03(日) 01:11:57 ID:YLCyI6VU0
その瞬間、入間の背後から声がした

ζ( Д ;*ζ「にっ、逃げましょう!」

まごうことなき、都子の声だった
はっと我に返った入間は、模原の足元へ発砲した。
一発、二発、三発。
それでもなお、入間の脳裏からは強迫的な選択肢がこびり付く。

(; ν )(畜生が!)

予備の弾を投げつけ、入間は都子を背負った。
湿った路地裏に、それらが広まった瞬間。
模原は、炎に包まれた。
ナトリウムの錬金記号が刻まれた弾薬は、
水と著しく反応し、水素ガスを発生させた。
おそらく表の飲食店で使われていた火が、
このような惨劇を生み出したのだろう。

(  ∀ )「…………」

メラメラと燃える模原の脳裏には、
店から飛び出す人々の騒乱が反響し続けている。
けれども残念ながら、その中に彼の標的は含まれていないようだった。

(  ∀ )(あーあ、台無しだ)

折角彼が誂えた衣服も、今では黒く焦げた皮膚と見分けがつかない。
フラフラと歩く彼は、熱が冷めやらぬナイフを掴むと、
とうに焼けている肉は、何の痛みも感じることなく、無に近い悪臭を放った。
焼けた気道が新鮮な空気を求め、細い路地を彷徨う。
一歩一歩と踏み出すうちに、彼は衣服を含め、元の模原へと戻る。


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