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錬金術師は遂せるようです

32 ◆vXEvaff8lA:2020/05/03(日) 01:11:24 ID:YLCyI6VU0
あり得ないことだ。
入間の脳は置かれた立場を、そう拒絶している。
何故なら本来の入間は、豊富な戦闘経験によって、
相手の行動を読み取ることができた。
それは使い慣れた辞書を索引なしに、
好きな項目を参照するような、熟練した動作である。
しかし今の彼は、どういうわけかそれが
『出来ない』ということに、気が付いてしまった。
狼狽える入間は動揺を表に出さなかった。
だが隙だらけの模原を前にしても、彼は行動を起こすことが、やはり出来ない。

( ・∀・)「どうかしましたか?」

ここからはさも自分の見せ場だと言わんばかりに、
模原はナイフを取り回してみせた。
気障ったらしい格好に、入間は歯噛みする。

(;^ν^)(相手は素人だというのに、勝つ算段が思いつかない!)

おまけに入間は、余計なことを思い出した。

(; ν )(模原の妹は、病弱であった)

そんな妄言、果たして何の救いになるのだろうか。
はく、はく、と浅い息をする入間は、縋るように小銃を握った。
混乱に満ち満ちた入間は、選択を迫られていた。
まず第一に今すぐここで自殺してみせるか。
あるいは弾を、全弾無駄撃ちしてみせるか。

(; ν )(ダメだ……)

どちらを選んでも、それでは都子を救えないではないか!
打ち拉がれる入間の目は、歩みを止めた模原を映していない。

(; ν )(どっちも出来ない!)

蛇に睨まれた蛙のようになった入間を、模原は悠然と見下している。

( ・∀・)「選べないでしょう?」

僕が選んで差し上げてもよろしいんですよ、と慈善家の模原は言った。


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