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錬金術師は遂せるようです

24 ◆vXEvaff8lA:2020/05/03(日) 01:06:00 ID:YLCyI6VU0
獲物を突きつける二人は、動くことなく互いの動向を探る。
特に入間は、先程の妙な先入観を敵視していた。
模原のみが敵だと判じてしまえば、
手薄となった瞬間に都子を攫われる可能性がある。
日常を演じる表の喧騒と、墓標のように佇むビルの壁、降り出した霧雨の一粒から、
湿り気を帯び始めたアスファルトに至るまで、彼は警戒を怠らなかった。
冗談を口にせども、入間は一流の仕事人であった。
――どれ程の時間が流れたのだろうか。
入間には短い時間のように思えたが、どうやら模原はそうでなかったらしい。

( ・∀・)「はぁ……」

嘆息によって僅かに四肢が弛緩し、刃先がぶれた。
それは模原が次の動作へと移る予兆でもあった。
模原は俊敏な身のこなしによって、入間へ肉薄しようとしていた。
逸早く動向を見抜いた入間は、敢えて模原へと歩みを進める。
ゆらりと陽炎めいた速さで、入間は相手の間合いを狂わせた。

( ・∀・)「!」

模原は目敏く反応し、踏み止まった。
その勢いを利用して、彼は入間に鋭い蹴りを放った。
しかし入間はそれさえも見越していた。
入間は常人離れした跳躍によって、模原の蹴り足に乗ってみせた。
タァン――、と小銃が火を噴いた。
入間の計算は、完璧であった。
模原がどの方向にバランスを崩すのかを予見し、発砲から着弾に
至るまでのラグを考慮した上で、きっちり命中してみせたのだ。
怨めしそうな模原は、顔の左半分を吹っ飛ばすことになる。
本来小銃にそのような威力はないが、予め弾丸には錬金記号を刻んでいた。
その文字が意味する物質は、入間が専門とするナトリウムだ。
水と著しく反応し、時には燃え盛る性質を、彼の弾丸は付与されていた。
よって血肉を糧とし、弾丸は猛烈な勢いで炸裂した。
翻るように飛び越して、入間は着地する。
背中の向こうでは、スプリンクラーのように肉が振り撒かれる音がした。

( ^ν^)チッ...

しかし入間は、弾をリロードした。
模原が落としたはずのナイフがないことに気付いたからだ。
振り返れば入間の予想通り、模原は死んでいなかった。
骨肉を露わにしながらも、彼の手にはしっかりとナイフが握られている。


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