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錬金術師は遂せるようです

19 ◆vXEvaff8lA:2020/05/03(日) 01:01:30 ID:YLCyI6VU0
( ^ν^)(可哀想に、な)

彼女の不信を思えば、無理もないことだった。
長らく日の目を見る事も、学校に行く事も出来なかった。
その上毎日毎日、下衆な連中が強欲を片手に、都子をバラバラに引き裂くのだ。
來狂の見立てでは、どれ程惨く解体しようと、彼女は生き続けているらしい。
つまり【傷みの王】は倒懸(とうけん)という膨れ上がる負債を、
ひと時も数え間違えることなく都子に強要し続けたのだ。

( ^ν^)(本当に、碌でもない代物だ)

参倍郷に潜入し、都子を見つけた時の光景を彼は思い出していた。
鍵のかかっていない扉を開くと、彼女は仰向けで倒れていた。
その目は固く閉じられており、自由な四肢を無気力に投げ出していた。
枯れ木のような手足には縄や鎖といった付属品は一切ない。
暴力によって萎縮した都子は一人で脱走することを諦めていた。
何より拘束の類が設置されていなかったのは、
会員が『利用』する際、邪魔に思ったのだろう。

( ^ν^)(絶対に、許さねえ)

激昂に駆られる入間は、すたすたと路地裏を歩く。
鼻腔を、諸外国から取り寄せた香辛料の香りが擽っていく。
近年、エスニック料理に使われる香辛料は
税関での目を潜り抜ける為に密輸が行われているらしい。

( ^ν^)(何処にでも悪どい輩はいるもんだな)

遥か彼方の記憶が、税関職員の映像を想起させている。
壊れかけている換気扇がキィカラカラと、頭上で悲鳴をあげていた。
――都子を來狂に引き渡した後も、入間には仕事が残っている。
しかし彼女の痛みに較べれば、そんなものは些細な残業と労力であった。


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