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( ^ω^)文戟のブーンのようです[5ページ目]
【このスレについて】
●このスレは何か
→ブーン系の品評会企画です。
作品による競い合いと、それによる作者同士の研鑽を目的としています。
●品評会はどう行うのか→>>2 参照
●どうすれば参加できる?→>>3 参照
●スレタイにある『文戟』って何?→>>4 参照
【その他のルール、細則>>5 】
【生徒名簿>>6 】
【過去スレ】
テストスレ
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[龍川高校理事長室]
_
(-@∀@) 5年後に東大合格者を100人輩出しましょう。そうすれば破産は防げる。
/ ,' 3 何を言っておるんだお前は。
_
(-@∀@)←朝曰アサピー 弁護士 25歳
/ ,' 3 ←荒巻スカルチノフ 龍川高校理事長 58歳
_
(-@∀@)5年後に東大合格者を100人出すと言っておるのです。
/ ,' 3 偏差値35のこの学校でか?
_
(-@∀@) 無論。
/ ,' 3 出来るはずが無かろうが。
_
(-@∀@) 東大など簡単に入れますよ。
/ ,' 3 いや、アサピー君、いくらうちが破産寸前だとはいえ実現不可能な意見はやめてくれたまえ。
/ ,' 3 例えば、生徒の個性を尊重し育む、とかにしないか?ん?
_
(-@∀@) 理事長先生。断言しましょう。そんなもんじゃ生徒は集まらない。
/# ,' 3 じゃあなんだ、東大100人の方が現実味があるというのか?
_
(-@∀@) モチのロンです。
/# ,' 3 言ったな!?男に二言は無いぞ!
_
(-@∀@) 二言はありませんよ。今年の三年生から二人ほど入学させてあげましょう。
/# ,' 3 どうか私を楽しませてくれ、アサピー君。
_
(-@∀@) 承知しました、では失礼します。バタン
/ #,' 3 何なんだあの男は!!
[翌日、龍川高校正門前]
_
(-@∀@) 誰か手頃な3年生は…お?
( ^ω^) こないだの英語のテストテスト5点だったおwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ξ゚⊿゚)ξ あらブーン低いわねwwww私なんか10点よwwwwwwwwwwww
( ^ω^) あのテストで10点とるなんてツンはすげえおwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ξ゚⊿゚)ξ あーらそれほどでもないわよwwwwwwwwwwwwwwww
( ^ω^)ξ゚⊿゚)ξ wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
※100点満点のテストです
_
(-@∀@) アイツら如何にも頭カラッポって顔してんな
_
(-@∀@) 二人とも三年生の校章の色してるし…
_
(-@∀@) ようし、あいつらで決定!
_
((((-@∀@)トコトコトコトコ
_
(-@∀@) ねえ、君たち…バイトしない?
ξ゚⊿゚)ξ 正門前で援交持ちかけるなんていい度胸してるじゃない
(;^ω^) ブ、ブーンは男色の趣味はないんですお、勘弁して欲しいですお
_
(;-@∀@) (コイツらその程度の発想力しかねえのかよ)
_
(;-@∀@) いやいや、援交してもらいたいんじゃない
_
(-@∀@) 君たちにやって欲しいことはただ一つ!
_
(-@∀@) それは…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
[3年B組]
ξ゚⊿゚)ξ もう一回訊くけど、ほんっとに私達を東大に入れるつもりなの?
_
(-@∀@) 勿論!冗談でこんなこと言ったりしないさ
(;^ω^) で、でも、ブーン達は筋金入りの馬鹿ですお。下手したら幼稚園から熱心に勉強をしてる連中と交じって合格出来るとは思えませんお
_
(-@∀@) ほう!馬鹿の割には考えがしっかりしてるじゃないか。君には素質があるよ
(*^ω^) 本当ですかお!?
ξ#゚⊿゚)ξ ブーン!あんた思いっきり馬鹿にされてんのよ!少しは怒ったらどうなの!
_
(-@∀@) 安心しろ、ツン。お前も馬鹿だ。
ξ#゚⊿゚)ξ ぐぬぬ…
ξ-⊿゚)ξ ふう…馬鹿、それも最底辺なのは否定しないわ
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(-@∀@) 君も自信の悲惨な現状を正しく認識出来てるじゃないか。偉い偉い
ξ-⊿゚)ξ それで?その悲惨な生徒を日本で一番の大学に入れるですって?頭沸いてんじゃないの
_
(-@∀@) なあに、簡単に入れるよ。受験に必要なのは頭の良さじゃなくて根気とテクニックだ
_
(-@∀@) 周到に計画を立ててしっかりと訓練を積めば充分合格出来るんだよ
(;^ω^) …で、何でブーン達が東大に行かなくちゃいけないんですかお?
ξ゚⊿゚)ξ そうよ!東大なんかいきたくないわよ
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(-@∀@) そうか…お前ら本当の馬鹿だったんだな
(;^ω^) そこm ξ#゚⊿゚)ξ ホントの馬鹿ってちょっとあんた!
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(-@∀@) 東大出りゃ人生が180度変わるんだが…
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(-@∀@) どうせお前ら、こんなクソ高校を出た後なんてお先真っ暗だろ。
_
(-@∀@) このままじゃ、頭のいい奴らによって作られた社会の中でいいように踊らされるだけだ
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(-@∀@) そんな救いようのない人生を変えてやるっていってんだ、つべこべ云わずについて来い
ξ゚⊿゚)ξ でも…
_
(-@∀@) そんじゃあバイト代の一万返せ
ξ゚⊿゚)ξ …
ξ゚⊿゚)ξ 分かったわよ。やってやろうじゃない
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(-@∀@) よし、一人決定だ
(;^ω^) ブ、ブーンもやりますお!東大に入りますお!
_
(-@∀@) おお、ブーン君も利口だな。そうやって行動する奴だけがこの社会で生き残っていけるんだ
_
(-@∀@) ようし、早速英語の授業を始めるぞ!
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(-@∀@) お前ら、体操着に着替えろ!!
(;^ω^)ξ;゚⊿゚)ξ 「「ええ!?」」
_
(-@∀@) ええ!?じゃない。5分後から始めるからそれまでに準備しろよ!
(;^ω^)ξ;゚⊿゚)ξ イエッサー!!
≡≡( ^ω^)≡≡ξ゚⊿゚)ξ
_
(-@∀@) …
_
(-@∀@) …俺もこれを実現させて、「学校法人に強い弁護士」として新橋に事務所を構えてやるんだからな
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ホラレモンかな?
_
(-@∀@) ようし、英語の授業を始めるぞ!
( ^ω^) ところで、今から何をやるんですかお?
ξ゚⊿゚)ξ 何のために体操着に着替えさせたのよ?まさかJKの体操着姿を見たかったとか言うんじゃないでしょうね
(;^ω^) さっきも言いましたけどブーンは男色家じゃありませんお?
_
(-@∀@) (ほんっとに発想力が無いんだな…)
_
(-@∀@)…
_
(-@∀@) まあ、取りあえず先生を紹介しようじゃないか
_
(@∀@ -) おーいどっくん!!入ってきなさい!!
( ^ω^) (転校生の紹介みたいだお)
(((( ('A`) ほーい ガラッ
('A`) ←宇津田ドクオ 塾講師
( ^ω^) …彼が先生ですかお?
_
(-@∀@) そう。有名予備校の優秀な教師だ。
ξ゚⊿゚)ξ この顔で?
_
(;-@∀@) 教えるのに顔は関係ないだろう
ξ゚⊿゚)ξ イケメンじゃないとやる気が起きないわよ
(*^ω^) ブーンは美人のお姉さんがいいお!
_
(-@∀@) 分かった分かった。とにかく授業を始めよう。頼んだぞ、どっくん。
('A`) へいへい
(-A-) ふぅ…
('∀`) HELLOOOOO!!!!
ξ;゚⊿゚)ξ(;^ω^) うわっ!
('∀`) I'm Dokuo Utsuda! Please call me dokken! OK?
ξ;゚⊿゚)ξ(;^ω^) お、オーケー
('∀`) We're going to dance while singing from now. Are you ready?
(;^ω^) すいませんお。日本語で言ってもらっていいですかお?
('A`) 「今から歌いながらダンスをする。準備はいいか?」って言ったんだ
(;^ω^) (雰囲気が元に戻ったお)
ξ゚⊿゚)ξ 何で英語の授業で踊るのよ
('A`) やってみりゃ分かる
('∀`) Let's sing and dance together!
(;^ω^) (英語と日本語の落差がすごいお)
('∀`) dancing,start!
[曲:プリーズ・プリーズ・ミー(ビートルズ)]
https://youtu.be/czw8eqepir8
♪〜
('A`) 俺の口真似をして歌ってくれい。せーのっ
('∀`) Last night I said these words to my girl
(;^ω^)ξ;゚⊿゚)ξ ア…ノ…ユ…ネバ…イブ…トラ…ガ
('∀`) C'mon! C'mon!
( ^ω^)(ここは歌えるお!)カモン!カモン!
('A`) そう!歌えるところは大きく歌う!
('∀`) I don't wanna sound complaining
ξ;゚⊿゚)ξ (速すぎて分からないわ)
('A`) メチャクチャでいいからとにかく真似て!
('∀`) I do all the pleasing with you, it's so hard to reason
ξ;゚⊿゚)ξ ウィ…ユ…ワ…ダ…ユ…メミ…ドゥ
〜♪
('∀`) Very very good !
('A`) 流石若いだけあるな
('A`) ようし、今度は言える単語を大きく発音して、意味を考えてやってみよう
('∀`) Music, start !!!
〜♪
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
( ^ω^) ふーっ。いい汗かいたお
ξ゚⊿゚)ξ いい運動になるわね
('A`) それじゃあプリーズプリーズミーのおさらいをしていこうか
('A`) ブーン君、最初のフレーズ覚えてる?
( ^ω^) 確か…ラス…ナイ…ア…セ…ゼ…ワ…ト…マ…ガア…ですかお?
('A`) そうだ。意味は、「昨夜、僕は彼女にこういったんだ」
('A`) saidはsayの特殊な形の過去形だから必ず覚える。
('A`) ツン君、次のフレーズは?
ξ゚⊿゚)ξ えっと、ア…ノ…ユ…ネバ…イブ…トラ…ガア…だったかしら
('A`) そう。意味は「君は試そうとすらしないんだね」
('A`) I knowは訳さない方が自然な文章になる。never(決して〜ない)、even(〜さえ)の意味をキチンと抑えておこう。
('A`) この調子でどんどん訳してくぞ!
ξ゚⊿゚)ξ( ^ω^) イエッサー!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
('A`) よし!今日の英語の授業はここまで
ξ゚⊿゚)ξ( ^ω^) ありがとうございましたー!
( ^ω^) いやー分かりやすい授業だったお!
ξ゚⊿゚)ξ 歌から入ると飲み込みが早くなるわね〜
_
(-@∀@) いやー流石はどっくん、いい授業するね〜
('A`) これくらい、朝飯前ですよ
_
(-@∀@) それにしても、わざわざ呼び出して済まなかったね。君も人気講師になって久しいだろうに
('A`) いえいえ、貴方には恩を感じていますから
('A`) 私を救って下さった他ならぬ貴方
の為ならば、たとえ火の中水の中
('A`) どこまでもついていきますぜい
_
(-@∀@) ありがとう。そういってもらえると嬉しいよ。
('A`) そういやこの頃、香港のハン・シナーグループの動きが再び活発になってきたようですぜ
_
(-@∀@) またか…やはり首領のハンを倒せなかったのが大きいな…
('A`) 今度は私m
ド ゴ オ ー ー ー ン
爆音がし、校舎が揺れた
_
(-@∀@) 何事だ!
ドクオとアサピーが外を覗くと、校門前に1台のロールスロイスとグレネードランチャーを構えた3人の黒服がいた。
その内の一人がグレネードランチャーを下ろすと、後部座席のドアを開ける。そして、中から一人の男が降りてきた。
( `ハ´)
その男は
_
(;-@∀@)
(゚A゚)
二人がよく知っている人物だった。
( `ハ´)←ハン・シナー 香港のマフィア「ハン・シナーグループ」の首領56歳
_
(;-@∀@) 何故…ハンが日本に…
(;^ω^) 何があったんだお!?ガラッ
ξ;゚⊿゚)ξ 外に怪しい男達が並んでるわよ!
_
(@∀@-;)('A`;) 「「こっちに寄るんじゃない!!」」
ドクオとアサピーの剣幕に押され、二人はたじろいだ。
( `ハ´) ジョルジュ、ドクオ、久しぶりでアルなあ!!!!!
( `ハ´) 三年前の決着をつけに来たアルよ!!!!!
シナーが拡声器を使って叫ぶ。
(;^ω^) …ドクオは判るけどジョルジュって誰だお…?
_
(-@∀@) ……。
_
(-@∀@) バレてしまったならしょうが無いな…
_
( ゚∀゚)つ-@-@
アサピー、もといジョルジュはメガネを外すと、校舎の窓から校庭へと飛び降りていった。
(;'A`) ま、まって下さいよ、ジョルジュさん!
ドクオも続いて飛び降りていく。
(;^ω^) うわっ飛び下りた!
ξ;゚⊿゚)ξ ここ三階よ!?
ブーンとツンは驚いて、窓の下を身にいく。
校庭には……無傷の状態で立っているジョルジュとドクオがいた。
(;^ω^) えぇ!?
ξ;゚⊿゚)ξ 何で無事なのかしら!?
そんなブーン達を余所に、ハンとジョルジュらは睨み合っている。
_
( ゚∀゚) ハン…よく俺たちの居場所が分かったな。
( `ハ´) 三年前、おまえ達に敗北を喫した際、ワタシは無様にも逃げることしか出来なかった。
( `ハ´) あれから、おまえ達を探しつつ、ワタシは必死に訓練を積んだネ。
( `ハ´) 全てはジョルジュ、お前を倒し、ドクオ、お前を再び手に入れる為に…!
ξ゚⊿゚)ξ あのチャイナ服のジジイ、ドクオを手に入れるとか言ってるけど、ホモのB専なのかしら。
( ^ω^) 世界は広いおね〜。
( `ハ´) それにしても、ジョルジュは弁護士を、ドクオは人気塾講師になってるとは思いもよらなかったアル。
_
( ゚∀゚) 香港で格闘をして金を稼げるような時代ではなくなってきたからな…。
_
( ゚∀゚) 俺とハングループの戦いで出た多くの死人の中に、日本人弁護士がいたんだ。そいつはメガネと眉毛以外は驚くほど俺と似ていたんだ。
_
( ゚∀゚) 俺はそいつに成り代わり、死ぬ気で日本語と法律の勉強をして、今に至るという訳だ。
('A`) …俺はお前からは解放されたが、そもそも帰る場所が無かったんだ。学歴詐称をしつつ、必死に勉強をしてここまで成り上がったという訳さ。
( ^ω^) 衝撃の事実
ξ゚⊿゚)ξ 隙あらば自分語り
( `ハ´) お前たちの日本での生活ももう終わりネ…
( `ハ´) ジョルジュはワタシと戦って負けてもらうアルよ!
( `ハ´) ドクオはワタシに大人しく付いてくるがよろし。
_
( ゚∀゚) しょうがねえ、お前たちを倒すしかねえか…
その時だった。ファンファンと音を立てて、パトカーがこちらへと向かってきた。爆音を聞いた近隣住民が通報したのであろう。
( `ハ´) チッ。勝負の邪魔ね。
( `ハ´) 黒服!パトカーにRPG-7をぶち込んでやれ!
黒服 「はっ。」
黒服の一人がグレネードランチャーの照準をパトカーに合わせる。と、躊躇なく発射した。
当然のごとく、パトカーは爆破される。
( ^ω^) たーまやー
ξ゚⊿゚)ξ 随分と季節外れの花火ねえ
( `ハ´) これで邪魔者はいなくなったある。
( `ハ´) 今回はワタシ一人がジョルジュの相手するアルヨ。
_
( ゚∀゚) 老いぼれ爺さん一人で俺に勝てるとは思わねえけどな…ま、相手してやるぜ。
( `ハ´) フッ…この左手を見るネ
_
( ゚∀゚) …!それは!!
( `ハ´) お察しの通り、中国5000年の歴史を誇る銀の義手ね。
シナーの左手には、ウォーズマンみたいな4本の爪のついた銀の技術が装着されていた。
_
( ゚∀゚) 何それ分からん!
(; `ハ´) そう言うと思ってたアル。
( ^ω^) あいつ動揺してるおwwwwwwwwwwwwwwww
ξ゚⊿゚)ξ wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
(; `ハ´) まあいいネ。ジョルジュ!空を見てみろ!!
_
(;゚∀゚) あ、あれは、死兆星!!!!!
( `ハ´) そう!この義手をつけて戦うと相手に死兆星が見えるアル
( `ハ´) 死兆星を見た相手は一年後までに必ず死ぬ運命にアルヨ!
( `ハ´) この義手も、お前と戦う為だけに伝説の職人に作らせた、世界にただ一つの義手アルヨ!!
( ^ω^) 中国5000年の歴史とは
ξ゚⊿゚)ξ 哲学染みてるわね
_
(;゚∀゚) 俺と闘う為にそれだけの準備を…
_
( -∀-) …
_
( ゚∀゚) 俺もこの鍛え上げた「黄金の左手」を解放するしかないようだ。
_
( ゚∀゚) ハン、お前も空を見てみろ。
(;`ハ´) わ、私にも死兆星が!!
_
( ゚∀゚) カンフーを始めてからずっと鍛え上げてきたこの左手!!
_
( ゚∀゚) この黄金の左手の力を喰らって生き延びた奴は一人もいない!!!
( ^ω^) ツン、あの左手が黄金に見えるかお?
ξ゚⊿゚)ξ いいえ全然
_
( ゚∀゚) ハン・シナー!いざ、尋常に勝負!!
( ;`ハ´) の、望む所ネ!!
ξ゚⊿゚)ξ 攻守逆転したわよ
( ^ω^) 老いには勝てないお
_
(#゚∀゚) ハチャー ボカッ
(#`ハ´) アチョー ジャキン
_
(#゚∀゚) ホヮチャー ボコッ
(#`ハ´) オチョー シャキン
_
(#゚∀゚) オヮチャー バカッ
(#`ハ´) アリョー ザッ
( ^ω^) ……
ξ゚⊿゚)ξ ……
( ^ω^) …物凄い迫力のある闘いの筈なんだが
( ^ω^) この間抜けさは何だお?
ξ゚⊿゚)ξ 作者の力量不足よ
_
(;メ゚∀゚) ハア…ハア…ハア…
(;メ`ハ´)フゥ…フゥ…
_
(;メ゚∀゚) ここまで俺と渡り合った奴は始めてだぜ、ハン
(;メ`ハ´) ワタシもよ、ジョルジュ
_
(;メ゚∀゚) (体力的にも、残された時間は少ないな…)
(;メ`ハ´) (体力的に、あと一撃で決めないとマズいアルヨ…)
_
(メ゚∀゚) ふりゃああああああぁぁぁ!!!!!!!
(メ`ハ´) アリョオオオオオオオオオオォォォ!!!!!!
二人が、お互いに向かって突進していく。そして、お互いの左手がお互いの胸をつらぬいて…
…いなかった。何故か、拳が交わる前にシナーが倒れている。その胸には、長槍が刺さっていた。
(メ゚パ) き、貴様……!!
_
(メ゚∀゚) 出来る男ってのはなぁ……!
_
(メ゚∀゚) 隠し武器を持ってるもんなんだよ!!!!!
( ^ω^)尋常に、とは
ξ゚⊿゚)ξ 長槍って隠し持てるもんなのかしら
(メ゚パ) 悪者の…ワタシが…隠し武器に…敗れ…る…なん…て……
(メ ハ )バタン
_
(#゚∀゚) 勝ったぁぁぁーーーー!!!!
ジョルジュは勝利の雄叫びを上げた。
ジョルジュは、これで完全に闘いが終わったと思っていた。
だが、世間は甘くない。
怒ったのは黒服たちである。自分達の首領が、タイマンで、卑怯な手をもって死んでしまったのだ。報復しない方が無理がある。
彼らは仲間を呼び、既に5台の黒塗りのベンツが校門前に到着して、黒服が銃を引っ提げて降りてきた。
一方で、自衛隊と警察も黙ってはいない。特に、パトカーを1台爆破された警察は怒り心頭に発している。
既に学校から半径500m以内の住民を緊急避難させ、特殊部隊を展開、いざとなればミサイルを撃ち込む気でいる。
_
( ゚∀゚) 駄目かもしれんね、こりゃ
流石のジョルジュもマフィアと警察と自衛隊の網を潜り抜けて逃げおおせることは出来ない。
御年25歳、あまりにも短い一生であった。
「おっとジョルジュさん、俺のことを忘れちゃいませんかい?」
ジョルジュがその声に振り向くと、後ろには
('A`)
が立っていた。
ξ゚⊿゚)ξ あら、ドクオはまだここにいたのね
(;^ω^) 正直、完全に忘れてたお
('A`) 俺の能力を使えばここから簡単にオサラバ出来るじゃないですか。
_
( ゚∀゚) しかしお前は…
('A`) 確かに、三年前まで、俺はカラキシ駄目な奴でした。
しかし、あれから自分の身は自分で守り、今度はジョルジュさんに恩返しをしてあげたい!その一心で修行を重ねてきたんです。そして、俺は成れるようになりました……!!!
('A`) 完 全 な る ド ラ ゴ ン に … !!!!
(#'A`) 変身!!!!!
ξ゚⊿゚)ξ ブーン、聞いた?ドクオがドラゴンに変身するんですってよ?何言ってんのかしら。
( ^ω^)……
ブーンはツンの横で珍しく深刻な表情をしていた。
ξ゚⊿゚)ξ …ブーン?
( ^ω^)…ツンは、ジョルジュ達の言っていた三年前の闘いで思い出すことが無いかお?
ξ゚⊿゚)ξ いや、特に…
( ^ω^) 僕のパパは雑誌の編集者で、丁度三年前のハン・シナーグループの抗争を取材してたんだけど…
( ^ω^) 取材の途中、ハン達がドラゴンを生け捕りにしているって話を頻繁に聞いたんだお。
( ^ω^)どうやら、中国の山奥にはドラゴンが棲みついていて、その中で異様に弱い個体を捕まえたらしいんだお。
ξ゚⊿゚)ξ そんな話あるわけ……あ!
( ^ω^) ツンも気がついたようだおね。このドラゴンの話、ドクオの境遇と似通ってるんだお。
ξ゚⊿゚)ξ じゃあドクオは本当にドラゴン…!、ブーン、ドクオから煙が出ているわ!!
( ^ω^) パパが追い求め命を落としたドラゴンの正体、息子の僕が見届けるお…!!!
ドクオの周りから煙が消え去り、中から巨大な生物、もといドラゴンが現れた!!!!
('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)
('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)
('A`)('A`)('A`)('A`)('A`)
('A`)('A`)('A`)
('A`)
('A`)
('A`)
('A`)
('A`)
┏━━━━━━ ('A`)━━━━━━━┓
('A`)
('A`)
('A`)
('A`)
('A`)
('A`)
('A`)
('A`)
・
そこに現れたのは、ドラゴン以前の問題で、そもそも巨大生物と呼んでよいのか分からないものだった。
まるで、クダクラゲのような、小さな生物の集合体が連なって一つの生物のように見えている、そんなものだった。
( ゚ω゚) こ、これが、ドラゴンの正体…
( ゚ω゚) ブーンのパパはこれの為に命を散らしたのかお…?
一方ジョルジュは、大感激していた。
_
( ;∀;) うぐっ…ひぐっ…
_
( ;∀;) 俺がハンのアジトから救出した時には独房の隅で怯えていたドクオが、こんなに立派なドラゴンになって…
龍
('A`) ジョルジュさん、俺の背中に乗って!速く!!
_
( つ∀;)
_
( ゚∀゚) ふぅ…
_
( ゚∀゚) よし、乗せてくれ!!
ジョルジュはドクドラゴンの背中に飛び乗り、ドクオは上昇を始めた。
_
( ゚∀゚) よし、これで逃げ切れるぞ!!
しかし、そうは問屋がおろさない。マフィアと警察はお互いをそっちのけで、ドクドラゴンを攻撃し始めた。
_
(;゚∀゚) うわっアブね!
ドクドラゴンは厚い鱗に覆われているからノーダメージだが、ジョルジュは生身の人間。弾が当たればひとたまりもない。
龍
('A`) しょうがない。人間を無力化しよう。
ドクドラゴンはそう言うと、思いっきり息を吸い始めた。
ドクドラゴンは全身に35の顔を持つ。鼻の穴の数はその2倍の70。
それらが鼻の穴を膨らませて一気に息を吸い込むから、見た目はかなり気持ち悪い。
そして、ドクドラゴンは攻撃し始めた。
龍
('∀`) There comes a time…When we heed a certain call
龍
('∀`) When the world must come together as one
龍
('∀`) There are people dying
龍
('∀`) Oh, and it's time to lend a hand to life
龍
('∀`) The greatest gift of all
解説すると、上のドクドラゴンは全て違う顔から声を出している。そして、顔ごとに声色が違うのだ。
そして、歌っているのは、そう…
ウィー・アー・ザ・ワールド
https://youtu.be/M9BNoNFKCBI
そして、サビの部分に入ると、35のドクドラゴンの顔全てが歌い出す。
龍
('∀`)×35 We are the world
龍
('∀`)×35 We are the children
龍
('∀`)×35 We are the ones who make a brighter day, so let's start giving
龍
('∀`)×35 We're saving our own lives
龍
('∀`)×35 It's true we'll make a better day, just you and me
警察官、自衛官、マフィアはそれぞれに号泣した。持っていた武器を手放し、警察官、自衛官、マフィア関係なく型を組み、一緒にウィー・アー・ザ・ワールドの合唱を始めた。
そして、どこからともなく「LOVE AND PEACE」の声が聞こえてくると、今度は全員で「LOVE AND PEACE」を叫び合った。
その合間に、ドクドラゴンとジョルジュは何処かへと消え去った。その行方は誰も知らない。
燃えよドラゴン桜のようです
[完]
オマージュ元
・ドラゴン桜
・三年B組金八先生
・燃えよドラゴン
・北斗の拳
(´^ω^`) いや〜終わった終わった!!
(´^ω^`) 人にはあれこれ指摘しておきながら、自身は漢字を間違えたり句読点を付けたり付けなかったり!!
(´^ω^`) なんという有様だろうか!!
(´^ω^`) しかし酒を飲んで酔っ払って上機嫌のショボーン様に
(´^ω^`) 恐れるものなど何もない!!!!
(´^ω^`) さあ男性諸君!!私に罵声を浴びさせるんだ!私を詰るんだ!私を興奮させてくれーーーい!!!!!
¥・∀・¥「投下乙〜」
¥・∀・¥「ドラゴンのドの字も出ねぇ!と思いながら読んでたら怒涛の展開で笑った」
¥・∀・¥「面白かったよ」
乙
あと何作品くるかな
「おっドラゴン桜がベースかな、面白そう」と思ってたのにお前、お前
シュールだ
>>357
(´・ω・`) 一応前半が「ドラゴン桜」、後半の途中までは「燃えよドラゴン」をオマージュしてて、高校名は龍川高校にしたから、ドラゴン要素は満載なんだけどね
(´・ω・`) やっぱモノホンのドラゴンは出しておかないとね
(´・ω・`) >>216 のモララー君の言葉も胸に刺さったし
(´・ω・`) 反省する面は多々あるけど、面白いといって貰えると嬉しいね。ありがとう
>>359
(´;ω;`) ブヒャヒャヒャwwwwwwwwwwwwww狙い通りwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
>>360
(´・ω・`) ありがとう。シュールなのを狙って外れたときの空しさったらないからね
(・∀ ・)「またんき様のぉ。
とーかのじかんだぞー」
幼い頃、大抵の男の子と一部の女の子が憧れる職業。
自由を愛し、自然を愛し、困難を乗り越えて日々を生きる。
それが冒険者だ。
危険な魔物や動植物が溢れる町の外へ行き、
まだ見ぬ土地や洞窟を探検する。
そうして見つけた宝は、時として人知を超越した力を有するのだ。
生きて情報と宝を持ち帰った者を人々は賞賛し、
名誉を受けて冒険者は新たな場所へと足を進めていく。
何とも素晴らしく栄光に満ちた職業だろう。
_
( ゚∀゚)「――って思ってた日がオレにもあったな」
ジョルジュは身の丈程もある大剣を肩に乗せ、ため息をついた。
目の前に広がるのは昆虫型の魔物達。
成人男性と同等の大きさをしたそいつ達は耳障りな羽音を立てながら彼を見ている。
一体一体の力は弱く、群れで統率をとっているわけでも、特殊能力も有しているわけでもない種だ。
歴戦の冒険者として十数年を生きている彼ならば十を超えて対峙したとしても傷一つ負うことなく完勝できるだろう。
だが、視界を多いつくさんばかりの数ともなれば話も変わってくる。
_
(#゚∀゚)「こいやぁ!」
雄叫びと共に剣を振り上げ一匹を真っ二つに。
なぎ払い数匹の体と羽を切り落とし、振り下ろしてはまた一匹を殺す。
食物連鎖の下層に位置する種というのは、
個を増やすことで種としての存続を計る。
ジョルジュが相手取っている昆虫型の魔物もまた然り。
自然界の理に則り、子を産み、その多くを成長途中で失う。
しかし、気候や他生物の出産状況等によって成虫が大量発生することが稀にあった。
_
(#゚∀゚)「面倒くせぇな! おい!」
弱い、というのは他の魔物と比較した際の話。
平和な街で生まれ、暮らす人々にとっては充分脅威となりえる存在だ。
一匹や二匹であれば数で対抗することもできるだろうけれど、
相手の方が多いとなれば敗北を喫するより他に道はない。
畑や家畜への被害だけで済むならばまだマシだ。
問題は魔物の殆どが雑食であり、人間を食らうこともままあるということ。
国を挙げて討伐にかかれば軍の人員が割かれ、他国への隙となる。
一般人では対処しきることができない。
街にいる警備兵達は防御に特化しており、殲滅には向かない。
ならば、誰が人々のため、戦いに赴くのか。
_
( ゚∀゚)「あと何体だ?」
見通しのよくなった周囲を見渡す。
緑色の液体が撒き散らされた地面は汚らしく、
少量であれば気にもとめなかったであろう異臭がジョルジュの鼻をつく。
冒険者。
かつて憧れた職業の実態とは、かくも世知辛い。
夢のような冒険も、地位と名誉も、金銀財宝もない。
あるのは命を賭しての雑用ばかり。
大量発生した昆虫型魔物の駆逐など典型的なものだ。
下を見れば町の外での薬草、素材収集。
上を見れば大型魔物の討伐、要注意特殊取り扱い素材の確保まで。
安全という言葉から程遠い場所で、街に生きる人々の生活を支える。
それが冒険者という存在に与えられた責務だ。
_
(;゚∀゚)「あーあ、こりゃ服は買い替えだな」
羽音が止んだ世界でジョルジュはぼやく。
極力、返り血ならぬ返り体液を浴びぬようにしていたのだが、
袖や裾といった端々まで避けきることはできず、粘度の高い緑色がまとわりついていた。
簡単な水洗いなどでは落ちない汚れを苦労して落とすくらいならば、
新しい物を買ったほうが時間の短縮になり、気分も上がる。
_
( ゚∀゚)「服はヴィップの方が質がいいんだが……。
ま、背に腹は何とやらってやつだな」
ジョルジュが依頼を受けたファイナの町は酪農や農作物を特産としていた。
服を作る素材ならば良いものが手に入るが、それを服に加工する技術はお世辞にも高いとは言えない。
ファイナで素材を購入し、ヴィップで加工してもらう、というのは旅の冒険者がよく使う手であるが、
今すぐに代えの服が欲しいジョルジュにそのような暇はなかった。
ダメになってしまった服も特別な効果が付与されているわけではなく、質に拘ったものでもない。
どこの町で購入しても、大きな差異は見受けられないだろう。
軽く袖を振り、体液を落としたところでジョルジュは帰路へつく。
と、数歩進んだところで足を止めて振り返る。
_
( ゚∀゚)「っと、危ねぇ危ねぇ。
ちゃーんと証拠持って帰らねぇとな」
ぐちゃり、と足音を立てながら彼は近場の魔物へ小型ナイフを差し込む。
討伐系の依頼は、対象となる魔物に一つしか存在していない部位を証拠としてを持ち帰るところまでが仕事となる。
今回の場合ならば証拠は尾についた鋭い針だ。
大量の魔物から素材を採取するのは一苦労だが、
これがなければ依頼達成とは認められない。
獲得した素材はそのまま冒険者のものとなるため、
売り払えば依頼料とは別枠の収入となる。
また、ものによっては武器防具の加工、生成に用いることもできることから、
討伐依頼は冒険者達の中でも人気が高い仕事だ。
_
( ゚∀゚)「よし。今度こそ仕事終わり」
太い針を詰め込んだ麻袋を肩に担ぎ、ジョルジュは依頼のあった町へ戻るべく今度こそ足を進めていく。
ファイナから程近い森は、先ほどまで群れていた昆虫型魔物さえ倒してしまえば静かなもので、
視界の隅に動物や小獣型、中獣型の魔物や鳥型の魔物の姿が映れど、
彼らが敵意を持ってジョルジュを襲ってくることはない。
魔物とはいえ、彼らも生き物。
自身のテリトリーを持ち、ルールを持っている。
森へ足を踏み入れる者が無作法を侵さぬ限り、
余程攻撃的な性質を有しているか、餌を求めているかしなければ、
無用な争いを仕掛けてくることはなかった。
経験を積んだ冒険者が危険な森や洞窟を悠々と歩くことができるのは、
運の要素によるものではなく、れっきとした理由があるのだ。
_
( ゚∀゚)「……ん?」
不意に、ジョルジュは足を止める。
これという確証があったわけではない。
ただ、違和感があった。
無意識のうちに見ていた風景、感じていた匂い、音は、
脳に溜め込まれている情報によって解析され、
何たがあって初めて違和感としてジョルジュの意識へ伝えられる。
自身の五感が鳴らす警鐘を無視するのはド三流の所業だ。
利益や命に直結する問題を放置できるはずもなく、
ジョルジュは警戒心と共に周囲全域に気を張り巡らせる。
風や鳥、魔物による木々や葉のこすれる音。
鳴き声。地面を駆ける振動。
それらを感じ取りつつ見渡せば、
ジョルジュの視界が捉えたらしい違和感の正体に突き当たる。
_
( ゚∀゚)「卵、だ」
完全に警戒を解くことはしない。
茂みの中、隠されるように置かれているそれが本当に卵であるのか、
卵であったとして、動物、魔物、どちらの卵であるか。判別がつく距離ではなかった。
危険な魔物の卵であるならば早めに処理をしなければならない。
ただの動物であるならば自然のあるがままにしておく。
希少なものならば、親には悪いが採取するという手もある。
いずれにせよ、ジョルジュは卵らしき物を確認しなければならなかった。
_
( ゚∀゚)「そーっと、そぉっと」
近くに親がいるかもしれない。
気配を探りつつ、自分のそれを隠す。
足音を立てず、落ち着いた呼吸で、一歩、また一歩。
目標との距離が近づく。
どうやら、何らかの卵であることは間違いないようだ。
_
( ゚∀゚)「――あ」
しまった、とジョルジュは零す。
同時に、張り詰めていた警戒はすっかり解けてしまった。
ここに危険はない。
しかし、厄介事はある。
_
(;゚∀゚)「ドラゴンの卵じゃーん」
手を伸ばせば卵に届く距離まで来て膝をつく。
湿った土が彼のズボンに水分を分け与えてくれるが、どうせ買い換える物だ。
気にとめる必要性は感じられない。
そんなことよりも目の前にある卵だ。
養鶏のものよりも遥かに大きく、人の両手に余るほどの大きさ。
硬質な岩のようにざらりとした表面は灰色で、人の目の形をした赤紫だけが異彩を放っている。
眼前に立つ者を見つめるかのような紋様こそ、この卵がドラゴンのものである証。
この世界には多種多様なドラゴンが存在している。
中には人間と共に暮らし、生活を支えてくれている種もいるのだが、
ドラゴンそのものの生態に関する情報は非常に乏しい。
明確にわかっていることといえば、
並大抵の魔物では太刀打ちできぬ力を有していることと、
彼らの卵はどの種であっても同じ紋様を持って生み出されることのみ。
_
(;゚∀゚)「えっと……この国ではどーすんだっけか」
ジョルジュは懐から革張りの手帳を取り出す。
ドラゴンの卵を発見した場合の処理については世界統一見解が出されておらず、
各国のルールに従うこととなっていた。
国で保護した後、野生に返す場合もあれば、
即座に中身を殺してしまう場合もある。
世界で最も硬い物質であるドラゴンの卵を潰すことは不可能であるが、
国お抱えの魔法使い達のみが知りえる特殊な魔法を行使することにより、
中身のみを殺してしまうことができるらしい。
_
( ゚∀゚)「あー、ギルドに提出、国での保護、か」
各地を旅して回り、ギルドで依頼を受けて生計を立てている冒険者にとって、
ドラゴンの卵の取り扱いは注意しなければならない最重要項目だ。
見つけることは滅多にないが、万が一の場合に手順を誤れば罰金や牢屋、死刑までありえてしまう。
自身のメモから、この国での処理を確認したジョルジュはドラゴンの卵をそっと抱える。
分厚い殻に守られているのだから、雑に扱ったとしても問題はないが、
赤子以下の存在を無碍にするのは気がひけてしまう。
_
( ゚∀゚)「お前はどんなドラゴンなのかねぇ」
卵の色や大きさは種に依存していない。
記録に残っているものと同じものに思えても、
生まれくるドラゴンは全く別の種だった、という例がある。
逆に、何もかもが違っていたとしても、同一の種が生まれることもあった。
未解明のことが多すぎるのがドラゴンだ。
逞しい腕の中にいる卵から、世界を揺るがすおぞましい種が生まれたとしても不思議ではない。
頑強さに見合う重量を持った卵を抱え、
残りの帰路についたジョルジュは日が暮れる前に町へ戻ることができた。
大きくも小さくもない町の人々は明るく、
魔物の脅威を傍らに感じながらも仕事に励んでいる。
大通りを歩き、ギルドへ向かう中、子供達から受ける尊敬の眼差しだけは、
全ての冒険者が自身の仕事に胸を晴れる要素だ。
討伐終わりでかなり見苦しい姿をしている自覚があるジョルジュにすら、
町の子供達は輝かしい目を向け、母にいつか自分もあんな風になるのだ、と報告しに走る。
心の中では辞めておけ、と呟くも、
遠い昔の自分を思い出すような照れくささがあった。
_
( ゚∀゚)「ハーニブルの討伐に行ってたジョルジュです」
ギルドの看板を掲げた建物に入り、カウンターへ麻袋を置く。
名前と仕事との照会を済ませた受付嬢は、
やや躊躇しながらもカウンターに置かれた証拠品を手に取り、繕った笑顔で少々お待ちください、と告げた。
余程小さなギルドでもない限り、彼らの仕事は分業制だ。
新人は受付を担当し、ギルドという場所の役割や冒険者の扱いについて学ぶ。
証拠品や依頼の品の鑑定は奥に控えているベテランが行う。
その他、会計や運営、仕事の斡旋、武器防具屋との仲介などなど、
大勢の人間が個々の役割を全うすることでギルドを成り立たせていた。
(*゚ー゚)「数が数ですので、もう少々お時間をいただくかと思います。
よければそちらの椅子におかけになってお待ちください」
_
( ゚∀゚)「あいよ。
っと、そうだそうだ。忘れるところだった」
奥の扉から出てきた受付嬢に促され、
頷いたところで自分の片手の中にある重みを思い出す。
_
( ゚∀゚)「実はドラゴンの卵を見つけましてね。
ここの国じゃギルドに提出するのが決まりでしたよね」
ごとん、と重い音がカウンターに振動を与えた。
そうして出来上がったのは、見事な間。
受付嬢は目を丸くし、一言も発しない。
周囲にいたはずの冒険者達の声も、喧騒も、何もかもが消えうせた。
_
( ゚∀゚)「……あれ?」
首を傾げる。
ドラゴンの卵は珍しいものだ。
驚かれるのも無理はない。
しかし、その場合、周囲はもっと沸き立つのではないか。
受付嬢は声を上げて取り扱いの方法を尋ねに奥へ戻っていくのではないか。
耳に痛い静寂が生まれて数秒。
受付嬢が口を開く。
(;゚ー゚)「あの、申し上げにくいのですが」
おずおずと搾り出される声は、
ジョルジュが暴れるのではないか、という不安からだろうか。
(;゚ー゚)「我が国は、卵を生命と運命の象徴とし、重んじております。
特にドラゴンの卵は希少。出会いに与えられる意味は大きく、
何人足りともその運命を割いてはならぬ、と定められております」
_
( ゚∀゚)「……つまり」
(;゚ー゚)「卵はギルド預かりでも国預かりでもなく、
発見者が孵化までの間、面倒を見ることが義務付けられております。
また、旅人が発見した場合は孵化まで国を出ることはまかりならぬ、と」
_
(;゚∀゚)「勘弁してくれよ!」
思わずカウンターを強く叩いてしまう。
リスクを嫌っていては冒険者など務まらぬとはいえ、
未知の塊であり、危険の温床でもあるドラゴンの卵を孵化させるというのは受け入れがたいことだった。
活動拠点の固定というのも困った問題で、季節や気候に合わせて国を移動し、
討伐や手馴れたアイテム採取に勤しむための年間計画に狂いが出てしまう。
_
(;゚∀゚)「じゃあ、これ元の場所に戻してくるから」
(;゚ー゚)「心中はお察しするのですが、法で決まっておりますので、
その行為を許すわけにはいきません。ご理解のほど、よろしくお願いいたします」
_
(;゚∀゚)「良いじゃねーか!
どうせ放置型の卵なんだし、放っておいたって無事に孵化するって!」
(;゚ー゚)「そうでしょう。そうでしょう。
ですから、特に大変な手間がかかるわけでもございません。
孵化後の判断は発見者に委ねられますので、売るも捌くもパートナーにするも自由でございます。
しかし! 卵の間は! 見守り、運命を受け入れていただくことになっております」
ドラゴンの卵には大きく分けて二つの種類がある。
産んだ親が一時として巣を離れず、卵を温め続ける養育型。
こちらの場合、卵を採取することはほぼ不可能であり、
無用心に巣の近くへ足を踏み入れた者は一呼吸さえすることなく命を失うこととなる。
極稀に親が死しており、別の魔物や人間が卵を拾うこともあるが、
絶えず暖め、表面を清潔にするなどの手間暇がかかり、親以外が孵化まで面倒をみることは難しい。
そして、もう片方はジョルジュが見つけた放置型の卵。
親は適当な場所に卵を産み、そのまま去っていく。
頑強な殻に守られた卵は外敵によって破壊されることも、天候や温度に左右されることもなく孵化するため、
ドラゴン以外の生物が見つけ、面倒をみるケースが少なくない数報告されている。
_
(;゚∀゚)「そこをどーにか!」
(;゚ー゚)「罰せられるのは私、しいてはギルドになります。
ご要望にはお答えできかねます」
身を乗り出すようにして頼み込むジョルジュであるが、
受付嬢も法を犯したくはない。
それこそ、明日からの生活に関わってくることだ。
おいそれと肯定を返してやることはできなかった。
(;゚ー゚)「もちろん、ある程度の保障はされております」
両手を胸の辺りまで上げ、彼女は言う。
町の外で生活しているドラゴンが卵を産む場所といえば、
当然のことながら町の外、魔物が闊歩する世界になる。
町の周辺に採取に行った人間や、町と町を行き来する商人が卵を見つけることもあるにはあるのだが、
やはり確率を考えれば冒険者が発見することの方が圧倒的に多い。
一つの国や町を縄張りとし、動かぬ者もいるが、冒険者の多くは流浪の旅人だ。
卵のために一箇所へ留めておく法があるのであれば、
旅を引き止める保障も整備されて然るべきこと。
(*゚ー゚)「お部屋は国内のギルドにて一室貸し出しさせていただきます。
食費や雑費に関しましては、上限金額がございますが、
今から発行させていただきますカードを使用していただけましたら国の負担となります」
制度を悪用されぬようにとの対策であるため、
豪遊をしようと思わなければ充分な金額が利用できる、と彼女は語る。
すぐにでも手続きの用紙を取りに行こうとしつつ、
目を離すことでジョルジュが卵を置き去りにしてしまうことを警戒しているのだろう。
受付嬢はそわそわと体を動かしながら賢明に言葉を紡ぐ。
('A`)「兄さん、そっちの事情もわかるがな、
この国にいる以上、この国の法に従わなきゃいけねぇよ」
哀れなお嬢さんを見かねたのか、
ギルドの隅で仕事を見繕っていた男が声をジョルジュの肩を叩く。
_
( ゚∀゚)「……んだよ」
黒々とした防具を胸と肩、手に足と、要所要所に装備したその男は、
ジョルジュよりも小柄で細身であった。
見たところ歳もそう変わらず、主に討伐で金銭を得ているジョルジュならば、
彼の手くらい簡単に振り払うことができる。
しかし、何故だか男に逆らおうという気が起きない。
声をかけられて冷静になったのか、年甲斐もなくわがままを言っている、という自覚がそうさせたのか、
ジョルジュは言葉をこもらせ、乱雑に頭を掻く。
_
(;-∀-)「あー、わかった。わかりました。
仕方ねぇ。この卵が孵化するまではこの国に滞在する。
だからそのカードとやらの発行を頼む」
(*゚ー゚)「はい!」
諦めを口にすれば、受付嬢は安堵の息と共に奥の部屋へと駆けて行く。
次に扉から出てくるときは、ベテランの者が一緒にやってくるのだろう。
_
( ゚∀゚)「すまねぇな。見苦しいとこを見せちまった」
('A`)「いやいや。兄さんの気持ちもわかる。
気楽に見えるこの家業も、ちまちまと年間計画を立ててやってるんだ。
想定外なんてない方が良いに決まってら」
卵を抱えなおし、男に軽く頭を下げる。
成人など遠い昔に越えている男が若い女に詰め寄る図は、
見ていて楽しいものではなかっただろう。
_
( ゚∀゚)「全くだ。でも、だからって若い姉ちゃんにわがまま言うことじゃねぇよな」
不自由はあるものの、この国に留まることが死に直結するわけではない。
ドラゴンがいつ孵化するのかにもよるが、最悪でも来年の都合が変わる程度のことで、
またもう一つ年を跨げば笑い話にでも武勇伝にでもなるようなことだ。
冷えた頭で思い返してみれば、何と無様で傍迷惑なことだったのだろう。
受付嬢が戻ってきたら再度謝らねばなるまい。
('A`)「しっかしドラゴンの卵とは、珍しいねぇ」
_
( ゚∀゚)「オレも冒険者家業を初めて長いが、実物を見たのは二度目だ」
('A`)「二度? そりゃ運が良いんだか悪いんだか。
お目にかからないまま死ぬか引退するかの方が多いだろう」
ジョルジュは複雑な表情を浮かべ、腕の中にある卵を撫でた。
生命の温もりなど微塵も感じられぬ表面は、内側にいる命を守るための冷たさだ。
_
( ゚∀゚)「オレァ、どうもドラゴンってのが嫌いでね」
('A`)「……まあ、ドラゴンライダーなんて職業もあるにはあるが、
人間に友好的な種なんて極わずかだ。大抵は中立。どちらに転んでもおかしくないヤツらばかり。
敵になれば敵いやしねぇ強さとなれば、嫌うのも無理ないだろう」
受付嬢が帰って来る気配はない。
数年に一度もないような手続きだ。
ベテランも書類や細かな説明が記載された用紙を探すのに手間取っているのだろう。
時間を潰すために見知らぬ冒険者との会話を楽しむのも悪くない。
軽く卵の表面を叩いたジョルジュは、昔を懐かしむ目をしながら口を開いた。
_
( ゚∀゚)「まだオレが駆け出しの冒険者だった頃のことなんだがな」
現実と夢の狭間に揺れ、自分だけは昔に憧れたような冒険者になるのだ、と言い聞かせていた時代がある。
体力と無謀さだけを抱え、生まれ育った国を旅立った。
多くの冒険者と出会い、話を聞き、経験を積んではまた次の国へ。
苦しい困難は多かったけれど、同じくらい輝かしい思い出もある。
_
( ゚∀゚)「世話になった冒険者のおっさんがいて、
その人もオレみたいに依頼の帰り道にドラゴンの卵を見つけたんだ」
ドラゴンの卵は発見者が自由にしてよい、と定められていたその国で、
ジョルジュの先輩にあたる冒険者は卵の孵化を選んだ。
御伽噺に見たようなドラゴンとの友情を夢見て。
('A`)「……結果は」
_
( -∀-)「ご想像の通りさ」
およそ一ヶ月。
冒険者は卵を抱え、大切にした。
何をする必要もないというのに、卵に語りかけ、清潔にし、
どのようなドラゴンが生まれてきたとしても対処できるよう、
依頼終わりには必ず図書館へ寄る生活。
血を分けた子供ができた親のようだ、と、
ジョルジュも周囲の冒険者達も笑っていたものだ。
あの日。依頼を受けるために冒険者が足を踏み入れ、
抱えていた卵にヒビが入るその瞬間まで、
冒険者もジョルジュも、ドラゴンの卵に暖かな思いを寄せていた。
_
( ゚∀゚)「孵化したドラゴンは瞬く間に羽を伸ばした。
そして、おっさんを喰った」
止める間もない、一瞬の出来事であった。
生まれたてとはいえドラゴンはドラゴン。
揃った鋭い牙は容易く人間の皮膚を裂き、肉を潰した。
大きく広げられた羽は難なく動き、
死した冒険者を体のわりに大きな腕で掴んだかと思えばそのままギルドから飛び去ってしまった。
_
( ゚∀゚)「今でも忘れらんねぇよ。
おっさんは、本当にドラゴンが好きで、大切にしようって思ってた。
なのに、慈しんだ対象に喰われて死んだんだ」
卵が割れたあの時、冒険者の顔に浮かんでいたのは喜の色。
中から生まれ出る存在が自分を害すなど、微塵も考えていなかったに違いない。
_
( ゚∀゚)「オレは思ったね。
ドラゴンってヤツは何て恩知らずなんだ、って」
世界に命として存在するより以前の話をされたところで、ドラゴンも困るだろう。
そんなことはわかっている。
だが、感情というのは往々にして理屈でどうにかできるものではない。
_
( ゚∀゚)「しかもそのドラゴンの特徴を調べたら、人食い種じゃなかったんだよ。
温厚ってこともねぇけど、敵対しなけりゃ無害だって。
あっと言う間の出来事だったから、オレが特徴を見間違えたのかもしんねぇけど、
おっさんが喰われるに値する理由なんてどうやったって見つかりゃしなかった」
('A`)「だろう、な」
テリトリーに踏み入ったわけでもなければ、相手を害したわけでもない。
慈しみが死へと繋がる無常など言葉で説明できるわけがなかったし、
されたところで納得できるものでもないだろう。
話を終え、何とも言えぬ空気が流れる中、受付嬢はベテラン職員を連れて戻ってきた。
待たせてすみません、という言葉を受けつつ滞在と資金提供の手続きを済ませてしまう。
自身の腕に収まる小さな卵一つのために、目処のたたぬ期間、国は金を出し続けてくれる。
卵というものを神聖化し、法律によって決められているとはいえ、
国家から受ける初めての高待遇にジョルジュは座りが悪い思いだ。
_
( ゚∀゚)「お前さん、頼むからオレを喰わないでくれよ」
ギルドから提供された部屋に荷物を降ろし、
手入れだけはされているらしい硬めのベッドに倒れこむ。
抱きかかえたままの卵を掲げ、
ランプの光を浴びた灰色を見た。
_
( ゚∀゚)「オレも男だ。こうなった以上、運命とやらを受け入れる。
真っ向勝負だ。ちゃんと面倒見てやるからな」
そっと卵を隣に降ろし、共に毛布を被る。
暖める必要が無いことなど重々承知しているが、
やはり卵といえば暖めるのが常識だろう。
何事も形から入るのがジョルジュ式だ。
油断はしない。
孵化したドラゴンが己を喰らう可能性を考慮し、
常に武器を携帯、できる限り警戒を解くことなく生活し続ける。
容易いことではないが、目に見えぬ運命と戦うのだ。
万全を期するに越したことはない。
翌朝。
小鳥のさえずりで目を覚ましたジョルジュはベッドに腰掛けた状態で自身の頬を叩いた。
_
( ゚∀゚)「っしゃ。やるか!」
バタバタと雑な音を立てながら仕度をした彼は卵を片手にギルドを出る。
昨日は気疲れから早々に眠ってしまったが、
一晩ぐっすりで頭も体も切り替えられるのは冒険者の必須スキルだ。
取れたての野菜や酪農品は朝一番が書き入れ時らしく、
市場は活気に溢れ、大勢の大人が出入りしている。
卵を重要視する文化はしっかりと国民にも根付いているようで、
ジョルジュが抱えている卵について怪訝な顔や疑問符を浮かべる者はいない。
一度、ハッとした表情をし、すぐに柔らかな笑みへと変わる。
@@@
@#_、_@
( ノ`)「そこの冒険者さん、うちの肉を買っていかないかい?
子育てには体力が必要だよ!
_
( ゚∀゚)「気が早いってもんだぜ!
でも美味そうだな。今日は別のとこに用事があるけど、
また今度、寄らせてもらうよ」
彼らは卵から生まれるドラゴンがおぞましい生物であるなど考えていない。
運命を象徴するそれは、いつでも幸運をもたらすと無垢に信じているのだ。
市場を抜ければ鍛冶屋や武器、防具。
薬品や魔法道具などを取り扱っている冒険者御用達の店が並ぶ区域へ出る。
一定の需要を得ている店達は滅多なことでは潰れず、
年に数週間程度訪れるだけのジョルジュでも場所を覚え、足を運ぶことは容易であった。
店側も決まった客人がやってくるため顔を覚えやすく、
常連と気楽な会話を楽しみ、要望を聞きながら商売をしている。
双方にとって心地の良い空間がそこにはあった。
_
( ゚∀゚)「よーっす」
( ゚д゚ )「ん。もうそんな時期か」
とある店の扉を開ければ、
カウンターのさらに奥、作業室で一人の男が顔を上げるのが見える。
冒険者向けの店はひっきりなしに客が入ってくるわけではない。
一日中、誰も扉を開けなかった、ということもざらにあり、
店主達は声がかかるまで工房で新たな武器や防具、薬品作りに勤しむのが常である。
ここ、皮細工を担う店の主、ミルナもここいらの常識に則り、
奥で鎧の一つも作っていたところのようだ。
( ゚д゚ )「今日は何の用だ。
胸当てか? 靴か? 鞄か?」
細かな作業で凝り固まっている肩を回しながらカウンターへと向かってくる。
作業部屋を抜けたところで、ミルナはジョルジュが抱えているモノに気づいたらしく、軽く目を見開いた。
_
( ゚∀゚)「いや、実はこれを入れておく鞄を作って欲しくてな。
邪魔になんねぇように肩から提げれる形でさ、
どんな動きをしても転がり落ちねぇようなやつ」
( ゚д゚ )「こいつぁ……。
なるほどなるほど。
そういうことなら、この国の住人として、
ひと肌脱がねぇわけにもいくまいな」
顎に手をやり、しげしげとドラゴンの卵を見つめる。
冒険者相手の商売をしているとはいえ、
ミルナも実物を見るのは初めてだったらしい。
近くの引き出しから測りを取り出し、高さや直径を計る。
( ゚д゚ )「内側に毛皮でも仕込んでおくか?」
_
( ゚∀゚)「そりゃいい。あったけぇに越したことはねぇな」
不要だと知りながら尋ねてきたミルナに、ジョルジュは肯定を返す。
互いに料金を上乗せして利益を狙ったり、国への意趣返しにしようという考えがあったわけではない。
未だ生まれぬ命が眠る場所だ。
暖かなものに包まれている方がしっくりくる。
( ゚д゚ )「今は依頼も入ってねぇ。
さっそく作業に取り掛かって、そうだな、夕方には完成させておく」
_
( ゚∀゚)「サンキュ」
幾つかある魔物の皮からより頑丈なものを選び、
内側に取り付ける毛皮も暖かさを重視した。
普段、自身が装備を買うときは財布との念入りな相談の上、
身軽さと値段を重視した既製品ばかり購入している。
事細かな部分にまで拘れば、それだけ値も張るというもの。
結果、たった一つの鞄は、
ジョルジュがミルナの店で使った最高金額をわずかに超えることとなった。
国支給のカードがなければ、
たかが鞄にこれだけの金額を払うことはなかっただろう。
_
( ゚∀゚)「じゃあよろしくな」
( ゚д゚ )「おう」
カードで前払いを済ませると、
卵を抱きかかえ次の店へと向かう。
仕事に出るときも卵と共に在れる下準備ができたのなら、
次は仕事中の不足に備えねばなるまい。
('、`*川「いらっしゃい」
ミルナの店から数軒挟んだこの店では、
属性や魔法が付与された装飾品が扱われている。
殆ど似通った色で満たされていた皮細工屋とは違い、
赤や青、黄色に緑、黒に白。
様々な色が数多の形となって壁や棚に並べられている。
実用性だけでなく、見た目も重視され、
ただの宝石や金物細工でも得られぬ輝きを持つ装飾品を好む女性は多い。
また、訓練を積んでいない人間でも装備するだけで加護を得られるため、
護身用として祝いの席で送られることも多く、他の店と違って冒険者以外の客も訪れる。
今も店には数名の女性客がおり、退魔のペンダントを見繕っているようだった。
('、`*川「おや、ジョルジュじゃないか。久しいね」
_
( ゚∀゚)「数年ぶりだな」
ファイナには毎年訪れているが、ジョルジュがこの店を訪れることは滅多にない。
消耗の激しい武器や防具と違い、隠すようにして装備されている装飾品が壊れることはなく、
あれやこれやと追加で装備する趣味も彼は持ちえていなかった。
魔法使いであれば、属性の追加や状態異常の付与のため、
頻繁に買い替えや追加を購入するものだが、
剣と己の体でのみ戦うことへ美学すら感じているジョルジュには不要なものだ。
_
( ゚∀゚)「今日は細工してなくていいのか?」
('、`*川「うちは普通のお客さんも来るからね。
バイトが休みの日は私が店番さ」
それで、と注文を聞こうとしたペニサスはジョルジュの腕の中に気づく。
('ワ`*川「おやおや、まあまあ。
そりゃドラゴンの卵かい」
_
( ゚∀゚)「おう。昨日、依頼帰りに見つけちまってな」
('ワ`*川「良縁。良縁。
女にゃ恵まれてないようだが、
運命はあんたを見初めたってことさ」
_
( -∀゚)「だと良いんだけどな」
ジョルジュは肩をすくめる。
死も人間に与えられた運命の一つだ。
硬質な卵がそれをもたらす為にやってきた可能性は十二分にあるだろう。
('、`*川「それで、うちに何の御用?」
_
( ゚∀゚)「仕事にも連れてく予定なんだが、
如何せん、オレは荒事がメインでね。
戦いの中でこいつにダメージが通らねぇように何かつけておいてやろうと思って」
優しく卵を撫でるその仕草に、ペニサスは手を叩いて笑う。
('ワ`*川「何だい。気が乗らない、みたいな顔しておいて、
結構、良いお父さんをしてるじゃないか」
そこいらにいる魔物ごときがドラゴンの卵へ傷をつけられるはずがない。
一筋、数ミリの損傷さえなく、むしろジョルジュの体を守るための盾とすらなるだろう。
料金は国がもってくれるとはいえ、
わざわざ女性客の多い店に足を踏み入れてまで用意するものではない。
_
(;゚∀゚)「やるなら最善を尽くす男なんだよ。オレは」
(うワ`*川「はいはい。そういうことにしておいてあげようかねぇ」
零れた涙を拭い、ペニサスは席を立つ。
丁度良いものがあるのだろう。
_
( ゚∀゚)「ついでによぉ。
ドラゴンに耐性のあるやつも一つくれ」
('、`*川「そんな高価なものがうちにあるわけないだろ」
強大な力に対抗しようと思えば、相応の質と技術が求められる。
さらにドラゴンは数が少なく、比例して買い求める冒険者も少ない。
需要と数が減れば生産が減り、個々の値段が上がっていく。
特に耐ドラゴンといえば専門家に金を積んでようやく受注できるような品だ。
王が住まう城があるわけでもない町の店で売っているはずがない。
('、`*川「ほれ、あんあにはこれがお似合いだ」
_
( ゚∀゚)「これは?」
投げ渡されたのは揃いの魔石がついたペンダントと長い紐。
ペンダントの方は魔石が緑であることに合わせたのか、リーフ型をしていた。
('ワ`*川「引き合わせる効果を付与してある。
ダンジョンや森なんかでパーティがバラバラにならないようつけておくものさ」
強い魔物が跋扈する場において、分断は死に直結する。
そんな時、一つの魔石を砕いて作られたこれらを身に着けていると、
自然と合流するよう体が動くらしい。
('、`*川「互いが効果を正しく認識することが発動の条件だから、
卵に利くかはわからないけど、まあお守り代わりだよ」
_
( ゚∀゚)「願掛けみたいなもんだな」
そう言いつつ、ジョルジュはペンダントを首に通し、卵に紐をくくりつける。
灰色の中に輝く緑は、良い具合に趣があり、見栄えも良い。
('、`*川「で、お求めのものはこっち。
物理耐性だと、孵化の邪魔になるかもしれないから、
魔法耐性と状態異常耐性にしておきな」
_
( ゚∀゚)「あー、孵化の邪魔になるってのは考えてなかったな」
手渡されたのは肌触りの良いスカーフだ。
布の端に小さな魔石が縫い付けられている。
('、`*川「マントみたいに可愛らしく結んでやったらどうだい」
_
( ゚∀゚)「こうか?」
('ワ`*川「あぁ、良いねぇ。
さっきの魔石との相性も良いみたいだ」
薄い黄緑色のスカーフと緑の魔石は灰色を半分以上隠しており、
無機質で冷たい印象があった卵に温度を与えてくれている。
ジョルジュも数秒眺め、満足げに頷いた。
_
( ゚∀゚)「この三つを貰うわ」
('ワ`*川「まいど。良い買い物したね」
_
( ゚∀゚)「店主が言うか? 普通」
('ワ`*川「言うさ。自分の作った物に自信があるからね」
ケラケラと二人は笑いあう。
('ワ`*川「次はその子が孵化した時に来な。
防御でも攻撃でも、ぴったりはまりそうなものを作ってあげよう」
_
( ゚∀゚)「孵化したら金はオレ持ちになるからやめとく」
('ワ`*川「おや! ケチは父親だこと!」
他愛もないやり取りを終えたジョルジュは、
仕事のために己の装備を整えに向かう。
刃こぼれし始めていた愛剣を鍛冶屋に出し、
ダメになった服の変わりを購入する。
自分の懐が痛まぬということもあって、常よりも長く品を見て回り、
多くを買ってしまったのはご愛嬌というやつだ。
帰り道にミルナの店で注文の品を受け取れば、
丸一日をかけた準備が全て整う。
_
( ゚∀゚)「ピッタリじゃねぇか」
( ゚д゚ )「そりゃな。仕事を請けたんだ。きっちりさせてもらう」
触り心地の良い毛皮が張られた中に卵を入れ、
派手に動いても転がり落ちることのないようベルトでしっかりと固定する。
肩への負担も軽減されるよう設計されており、違和感を最小限に抑えてくれていた。
これならば卵を抱えたまま討伐の依頼を受けても問題ないだろう。
_
( ゚∀゚)「急な仕事でこんな変則的なもん作らせて悪かったな」
( ゚д゚ )「気にするな。ままあることだ。
それに、神聖な卵を守るための仕事だと思えば、名誉ですらある」
いつもピクリとも動かぬミルナの表情だが、今ばかりはどこか柔らかく思える。
ジョルジュは再度彼に礼を良い、店を後にした。
人間は十月十日でこの世に生まれ出る。
ならばドラゴンは。
ジョルジュがドラゴンの卵を拾ってから、
早くも二ヶ月が経過していた。
('A`)「お、今日は休みか?」
_
( ゚∀゚)「まあな。昨日、結構稼げたから」
部屋から出たところでドクオと鉢合わせる。
あの日、受付嬢との間に入ってくれた彼は、
一年ごとに拠点とする町や国を変える生活を送っているらしい。
ギルドに住み込んでいるジョルジュとは殆ど毎日顔を合わせており、
互いに他の国や手ごわく思った魔物についての情報交換を行っている。
_
( ゚∀゚)「今日はゆっくり図書館でも行くかなぁ」
('A`)「はは、卵を捨てようと思っていたヤツと同一人物とは思えんな」
諦めがつけば行動も変わる。
一つの行動が変われば未来も変化していく。
卵と共に町周辺の討伐や採取を行っていくうちに、肩にかかる重みに愛着もわき始めた。
寝るとき以外は常に提げているためか、卵を降ろした瞬間など、喪失感さえ訪れる。
衣食住にかかる料金の殆どを国が負担してくれている、というのも大きく、
ギルドの依頼で得た金銭は全てジョルジュの懐に収まり続け、
孵化後も数ヶ月は遊んで暮らせるだけの貯金となっている。
状況としては非常に美味しく、
ギルドを訪れる冒険者達は皆、ジョルジュのことを羨ましげに眺めていた。
('A`)「どんなドラゴンが生まれてくるのかねぇ」
_
( ゚∀゚)「ぶっちゃけ、字を読むのとか面倒だから細かくは見てねぇけど、
さーっぱりわかんねぇわ」
生活に余裕が生まれ、非日常が日常へと変化すれば、
脳は自然と先々のことについて深く考えるようになる。
孵化したドラゴンの種類。
一方的な凶暴性を有した種は少ないのだが、
ジョルジュは今現在、判明している情報だけが全てでないことを知っている。
自身や周囲に危険が及ぶのであれば即時の討伐が必要だ。
高い防御力を有しているドラゴンとはいえ、
生まれたての間であれば多少は弱体化しているはず。
討てる瞬間を見逃してはならない。
_
(;-∀-)「温厚なヤツだったらヤツだったで悩みどころだし」
深いため息をついたジョルジュに、ドクオは笑いを返す。
孵化後のドラゴンについてこの国は関与しない。
全てはジョルジュの一存であり、生かすも殺すも彼しだい。
部位に分けるのであれば売るにせよ、
武器防具へと作り変えるにせよ人を見繕っておく必要がある。
パートナーとして傍に置くのであれば、
ドラゴンを連れていても問題のない国を頭に叩き込んだ上で、
食べるものを始め、小まめに面倒をみてやらなければならない。
その場の勢いだけで全てを決めてしまうには重過ぎる選択だ。
命という概念に込められたもの、ジョルジュの抱いた情。
共に量りにかけることはできずとも、確かな重量を持っている。
('A`)「でも決めるなら早いほうがいいだろ」
_
( ゚∀゚)「わかってっけどさ〜」
先延ばしにすればするほど、
肩にかかる重みへの情が蓄積されていく。
育てる覚悟もないままに孵化を待つのは互いのためにならないだろう。
_
( ゚∀゚)「散々周りから言われてるのもあってさ、
運命的なもんも感じちまうんだよ」
そもそも、ジョルジュが卵を抱えるはめになったのは、
自身のメモを読み違えたことに起因する。
あの森の中で卵を見つけた時、
この国では発見者が孵化まで卵を所持していなければならない、と知っていれば、
間違いなく何も気づかなかったことにしてジョルジュはギルドへ戻っていた。
今頃は次の国へ行き、大金を得られるわけではないが、
食うには困らぬ生活を続けていたことだろう。
_
(;-∀-)「んー」
('A`)「……ま、お前らにとっての最適が選ばれることを願っててやるよ」
_
( ゚∀゚)「おう。サンキュな」
悩みの種を改めて認識させられたところで、ジョルジュは図書館へと向かう。
ページを適当にめくり、気になるところにだけ目を通すような読み方であったとしても、
都度都度に思案を挟めば時間もかかる。
(;´・ω・`)「た、大変だ!」
今、まさに手をかけようとしていた扉が勢いよく開き、
一人の冒険者がジョルジュに体当たりをかます。
_
(;゚∀゚)「うおっ!」
何の心構えもないところへやってきた衝撃にジョルジュはたたらを踏むもどうにか転倒を避け、
やけにボロボロな姿をしている冒険者へ目をやった。
(;´・ω・`)「すまない!
でも、それどころじゃなくて――」
男が次の言葉を告げるより先に、外から甲高い悲鳴が聞こえてきた。
_
( ゚∀゚)「何だ!」
依頼を受けぬ日も欠かすことなく装備している剣を抜き、素早く外へと飛び出す。
何か有事があったことは確定しているのだ。
わざわざ男の説明を待つ必要もあるまい。
('A`)「こりゃ、大変だ」
続けて飛び出してきたドクオは剣を片手に顔を歪める。
逃げ惑う町の人々と、懸命に対抗する警備兵。
彼らに襲い掛かるのは中獣型の魔物だ。
狼と類似した姿であるが、額から生えた一本の角は普通の獣が持ちうるものではない。
角に魔力を溜めることで魔法を放つこの魔物は、群れを成す特徴がある。
はぐれたものの討伐ならば難しいものではないけれど、
現在、ジョルジュとドクオの目に映っているのは大群。
ギルドへの依頼となればかなりの高額になるであろう難易度の高さだ。
_
(;゚∀゚)「とにかく助けねぇと!」
('A`)「だな」
町に魔物が侵入し、人々を襲っている場合、
その場に居合わせた冒険者が対処するというのが常識だ。
守りに重きを置いている警備兵が魔物を討伐できるはずもなく、
だからと言って、目の前で人が食い散らかされているのを傍観しているわけにもいかない。
正式な依頼の手続きを踏んでいるわけではないため、
強制力は持たないものの、町を救ったという名誉と、
討伐に参加した、という裏づけさえとれればそれなりの報酬も与えてもらえる。
冒険者側にデメリットがあるとすれば、命を賭けなければならないという一点につきた。
しかし、それは冒険者として名乗りを上げたときから覚悟しているはずの部分。
命惜しさで退いてしまうような人間は元より冒険者に向いていない。
_
( ゚∀゚)「ここはオレ達が引き受けた!」
警備兵に飛び掛る魔物を切り捨て、
町の人々の避難を手助けするよう告げる。
ジョルジュに続き、幾人かの冒険者が既に町のあちらこちらへ向かっており、
他の警備兵達も手助けを受けているはずだ。
すまない、という言葉を背中に聞きながら、ジョルジュは剣を振るう。
連携の取れた攻撃は厄介なもので、
牙と爪を用いた接近戦と遠距離から放たれる中級魔法の合わせ技を前に、
敵の数を迅速に減らすことは困難なことであった。
('A`)「……ちょっと、ここおかしくないか」
ドクオが呟く。
片手剣を振るい続けた彼は返り血塗れで、
平和に生きる町の人が目にすれば卒倒してしまうような有様だ。
おそらく、自分も同じようなものだろう、と苦く笑いながらジョルジュはドクオの言葉に耳を傾ける。
('A`)「他と比べて数が多い。
まるで、何かを守るように」
_
( ゚∀゚)「そう、かぁ?」
一体を切り捨て、ジョルジュは周囲を見た。
路地の隙間から見える先や、少し離れたところにいる魔物の数に差があるようには思えない。
どこもかしこも魔物だらけで冒険者が不足している。
('A`)「オレにはわかる。
気配が、ここに固まってる」
特殊なスキルでも身につけているのか、
彼は目の届かぬ範囲にある魔物の気配を感じ取っているらしい。
ジョルジュは片眉を上げ、ドクオからもたらされた情報について考える。
無論、その間も魔物を倒す手足を止めることはない。
_
( ゚∀゚)「守る? 攻めてきてる側が?
一体何を、何から」
守るといえば宝。子供。縄張り。
(;'A`)「ジョルジュ! わかったぞ。
こいつらが守っているのは――」
瞬間、群れの中から一頭の魔物が飛び出す。
他の個体よりも一回り大きいそいつは真っ直ぐジョルジュへと向かってきた。
_
(;゚∀゚)「群れのボス、か!」
赤く染まった爪が彼の首を捉える寸前のところで愛用の剣がその進路を阻む。
激しい音が鳴り響き、互いに込めた全力の力が今もギチギチと嫌な音をたてている。
(;'A`)「とんだハズレくじだ」
大群を相手にするというだけで、骨が折れる仕事であるというのに、
さらにボスまで相手にせねばらないとなれば、骨の一本や二本では済まされない。
体の大きさは見せかけのものではなく、毛皮の下に貯えられた筋肉を示しており、
剣先を食い込ませることさえ難しそうだ。
一度に溜められる魔力も多いのだろう。
額から生えた角は厳つさを増しており、上級魔法程度ならば容易に放ってきそうな予感さえある。
_
(;゚∀゚)「こりゃ、ちとやべぇな」
すぐ傍にいるとはいえ、
ドクオはひっきりなしに追加されていく手下達を相手取るので精一杯。
ボスの相手はジョルジュ一人に託された状態だ。
それも、一対一の戦いなどというお行儀の良いものではない。
相手は周囲にいる手下に指示を出し、ジョルジュを翻弄しては隙を突いて攻撃をしてくる。
非常に不味い。
場を落ち着けることに成功した冒険者の援護を待ちたいところではあるが、分が悪すぎる賭けだ。
_
(;゚∀゚)「クッソ」
雑魚の爪をはじき、切り捨て、飛び掛るボスを抑え込む。
距離を開けては放たれる魔法をどうにか避け、その先に待ち受ける手下を一突きにする。
致命傷を負うまではいかずとも、
小さな傷がジョルジュに蓄積されていく。
(;'A`)「死ぬなよ!」
_
(;゚∀゚)「保証しかねるな」
ジョルジュが死ねば、次の標的はドクオだ。
見知った仲の人間が命を落とす光景も見たくないが、
自身の保身も十二分に存在した声かけであった。
猛攻を避け、防ぎ、倒し、また顔を突き合わせては離れる。
繰り返される行動はジョルジュの体力を奪っていく。
荒れた息は肩を揺らがせ、剣先を鈍らせる。
避けるため、蹴りあげるための足は震え、思ったように動かない。
_
(;゚∀ )「そろそろ、退いて、くんねぇかなぁ!」
慣れ親しんだ剣が重く感じる。
振り上げ、降ろすだけの行為が億劫だ。
数が減っているのは目算でも勘定できるのだが、
あと一歩、と言うには多すぎる。
群れのボスを守るべく、他の場所からも手下達が集まってきているのだろう。
どこでこれほどの数が繁殖していたのかは知る由もないことだが、
この戦いを終えた後は大規模な部隊が編成され、
周辺地域の調査が行われるに違いない。
死から少しでも目を背けるため、
ジョルジュは自身が生き残った後のことを考える。
戦いに集中する部分と、生にしがみつくために未来を思う部分。
この二つに思考を占領されたジョルジュは、パキリ、と小さな音がしたことに気づかない。
_
(;゚∀ )「しつけぇな!」
何度目かの突撃を剣で受け止める。
出血と疲労により、力を失いつつある彼の腕は、
ボスの爪を顔の間近にまで寄せることを許してしまった。
あとわずか時間が経てば、
太く鋭い爪がジョルジュの顔を引き裂く。
ドクオの叫びが遠くに聞こえた。
こちらのことを心配してくれているらしいが、
そろそろ己のことを真剣に考える時期がきている。
_
(; ∀ )「まだだ。オレは負けねぇ。
こんなところで死ぬつもりは、ねぇんだ」
爪を弾くと同時に飛び掛る手下を切るも、命を奪うまでには至らない。
胴体から血を流しながら、敵は再度の攻撃を図る。
重い腕を動かし、向けられた爪を受け止めた。
響くのは金属と爪がぶつかり合う硬質な音のはず。
否、それも確かにあった。
しかし、それ以上の音をたてたものがある。
_
( ゚∀ )「――卵が」
どのような金属よりも硬いものが割れる。
ヒビを広げ、隙間を作り、破片を地面へ落とす。
見惚れることができたのは瞬きの間だけ。
数度、激しい音を立てた後、卵は勢いよく破片を周囲へ散らし、
中にいた存在は宙へと飛び出した。
_
( ゚∀ )「生まれ、た」
緩く巻いていたスカーフと魔石が落ちていく中、
ジョルジュは世界に生まれ出たばかりの存在を見つめる。
真っ白な鱗。
背には柔らかで細やかな毛。
一等長い尾は先へ行くにしたがい細く、鋭くなり、
先端は刃のようなきらめきを有している。
神々しささえ感じられる体に対し、
彼、もしくは彼女が持っている瞳は血の赤だ。
ドラゴンは広げた羽を持って宙に浮かび、周囲をぐるりと見渡す。
冒険者であれば、その瞳が何を意味するかすぐに理解できる。
自身の敵を見定め、攻撃する前段階だ。
('A`)「来る」
零された言葉と共にドクオは地面へ伏せる。
既に周囲の魔物達の視線はドラゴンへと集中しており、彼など意識の外側だ。
ひと羽ばたき。
ドラゴンの姿が消える。
_
(;゚∀ )「うおっ!」
ジョルジュの周囲で血が飛び散った。
彼らの首は最小限のであるが致死となる傷を負わされている。
鉄錆びた臭いを滴らせた魔物達は次々に地面へ倒れ、
命なき肉塊へと成り果てた。
_
( ゚∀ )「すっげぇ」
惨状は生まれたばかりのドラゴンによるものだ。
的確に首筋を切り裂く様子を目視することはできないものの、
一筋の線となった白色を追うことはできる。
殆どの手下が死に絶え、何匹かが逃走したところでドラゴンは再度ジョルジュの前に現れた。
ボスを見据えた小さなドラゴンの背はサイズ感と裏腹に頼もしいものである。
互いに退く気はないらしく、ドラゴンの唸り声を聞いても眼前のボスは身を低くして機を狙っていた。
人間が介入する余地はない。
そう判断したジョルジュが剣を降ろしたところで、ドラゴンが動く。
白い線が真っ直ぐボスへ向かう。
相手も黙ってそれを受けることはせず、上級魔法を放ちつつ鋭い爪を掲げる。
勝負は一瞬であった。
白がボスを通り抜けたかと思えば、鮮血が地面を濡らす。
赤の持ち主は群れを仕切っていたボスだ。
('A`)「助かった……」
ドクオはその場に座り込み、天を見上げる。
死ぬつもりなど毛頭なかったものの、
最小限の被害で終えることができたのは生まれたばかりのドラゴンあってこそ。
_
( ゚∀ )「お前、オレを助けてくれたのか?」
白い体をわずかに赤く染めたドラゴンは、
ボスを倒したことを褒めてくれと言わんばかりにジョルジュの頬に頭をこすり付ける。
硬い鱗に若干の痛みを感じるものの、
戦いの中で負った傷に比べれば大したことはない。
キュウ、キュウと鳴き声を上げていたドラゴンは、
ハッとした様子で目を見開き、ジョルジュから離れて地面を見る。
同じところを行き来したドラゴンは何かを見つけたらしく、
機嫌良さ気に尻尾を振って地面へと降りて行った。
見れば、小さくも凶器となる手の中には、あのスカーフと魔石が通された紐がある。
どうやらこれを探していたらしい。
_
( ゚∀ )「これのこと、わかってるのか?」
ジョルジュが問えば、ドラゴンは当たり前だ、と首を縦に振る。
意志の疎通も問題ないらしい。
('A`)「意外と、卵の中でも意識はあるんだよ」
立ち上がる気力を取り戻したらしいドクオは、
ドラゴンと戯れているジョルジュに近づく。
('A`)「良くしてくれたこともちゃんと覚えてるのさ」
_
( ゚∀ )「そっか」
少し、照れくさい。
必要のないものを買い与え、
眠る前には卵に着いた汚れを拭ってやった。
感謝されたいわけでも、恩返しを期待したわけでもない。
まさか本人が認識しているなど、思いもしなかった。
('A`)「あのさ」
_
( ゚∀ )「ん?」
ドクオは仲睦まじい二人の様子を見て、頬を掻く。
きっと、ジョルジュはドラゴンを手放さないだろう。
共に旅をするパートナーとして迎え入れるに違いない。
紫煙
('A`)「許してやっちゃ、くれねぇか?」
_
( ゚∀ )「は?」
ドラゴンの頭を優しく撫でてやっていたジョルジュは怪訝そうな顔をする。
この状況下で誰を許せというのだろうか。
被害の大本である群れのボスか。
既に命なきそれを許すも許さぬもないだろうに。
ジョルジュの抱いた疑問に気づかぬのか、
ドクオは何に対する許しかを告げぬまま話を進めていく。
('A`)「感謝の仕方なんて、礼の作法なんて、
人間だって国や宗教で変わっちまう」
抱きしめ合うことで親愛を伝える国があれば、
全力で殴りあうことで互いの愛を確かめる国もある。
同じ種であるからといって、常識が同一であるとは限らない。
('A`)「あんたが昔に見たドラゴンってやつは、
強くて若いヤツに喰われるってのが最上の喜びだったのさ」
老いて死ぬだけの身ならば、
次を生きる強者の糧となり、血肉となる。
そこに誇りを持つものがいた。
_
( ゚∀ )「何を言ってるんだ?」
('A`)「情がないわけでも、恩を感じてなかったわけでもない。
掛け違っただけだ」
ドクオは苦く、苦く笑う。
('∀`)「件の冒険者の運が悪かったことは、確かだけどな」
瞳に映った暗い色について問うべくジョルジュが口を開くも、
すぐに向けられてしまった背中から感じられるのは沈黙だけ。
何を問うたところで答えが返ってくることはないだろう。
( )「――オレは今更何を言ってるんだろうな」
零された言葉にかける言葉などなく、
ジョルジュは去り行く黒を見つめることしかできない。
しばしの間、そうしていると小さくなっていく彼など放っておけ、と
言わんばかりにドラゴンが視界へ割り込んでくる。
可愛らしい仕草に口元を緩ませて軽く撫でてやれば、喉から甲高い鳴き声が聞こえてきた。
_
( ゚∀ )「お前が良いならだけど」
ドラゴンなど嫌いだった。
他を圧倒し、天災と同一視されるほどの力を有している存在が。
触れることはおろか、近づくことさえ許されぬ気高さが。
あの日見た光景が。
ジョルジュの心に巣食っていた。
けれど、運命がそれを取り払う。
白いドラゴンはジョルジュの言葉を聞き、嬉しそうに声を上げた。
_
( ゚∀゚)ドラゴンと紡ぐ前日譚のようです
了
(・∀ ・)「おーわり、おわり!」
(・∀ ・)+「オレ様はおーどーファンタジーをゆく!」
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