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レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。
(´・ω・`)は偽りの亡霊を捕まえるようです
1
:
◆wPvTfIHSQ6
:2018/08/23(木) 01:38:11 ID:qgB33Ij20
▼シリーズ過去作
(´・ω・`)は偽りの香りを見抜くようです+α
http://boonsoldier.web.fc2.com/ituwari.htm
(´・ω・`)は偽りの根城を突き止めるようです+α
http://boonsoldier.web.fc2.com/ituwariII.htm
(´・ω・`)は偽りの絆をつなぐようです
http://boonsoldier.web.fc2.com/ituwariIII.htm
逃亡しないことを祈ってる
あと作中に過去作に登場した人物の名前が出たりしますけど
特に描写がなければまったくの別人物だと思ってください(スターシステム)
シリーズに複数回登場したAAがかぶることはないです
314
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:41:21 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「?」
座ったばかりの椅子から立ち上がって、ホワイトボートに歩み寄った。
水性マーカーを握って、ミセリの隣に書き足す。
( <●><●>) 「ヴィップ大学…?」
(´・ω・`) 「確か、彼女はヴィップ大学の出だと言ってたよ」
言われて、ワカッテマスはホワイトボードを舐めるように見た。
( <●><●>) 「………擬古と、一致しますね」
(´・ω・`) 「そうだな」
擬古はヴィップ大学、小森はアルプス学院大学。
合致していないが、そこにミセリを加えると、おぼろげではあるが共通点が浮かんでくる。
( <●><●>) 「擬古と一緒の大学なのは、なにかあるのでしょうか」
(´・ω・`) 「小森が外れているのが、いささか気にかかる」
(´・ω・`) 「マイナーな大学ならともかく、ヴィップは今や大手だ、偶然かもしれない」
.
315
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:42:05 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「ただ……」
続けて、ミセリの隣、クックルにも情報を書き加えた。
(´・ω・`) 「嫁さんの言葉を察するに、旦那も、同じ大学の出なんだ」
( <●><●>) 「…!」
クックル、ヴィップ大学?
あえてハテナを付けているのは、確定ではないからだ。
ただ、僕のなかでは、十中八九ヴィップ大学出身だと睨んでいる。
( <●><●>) 「……ヴィップ大学という、共通点」
(´・ω・`) 「その場合、気になるのはヒッキー小森」
(´・ω・`) 「一応、壁には伝えてある。 情報が出てこればいいんだけど…」
( <●><●>) 「十年ほど前の話になりますからね」
( <●><●>) 「しかし、小森を除外すると、他三人は、同い年でヴィップ大学」
( <●><●>) 「加え、小森に限り予告が少々特殊だった」
( <●><●>) 「………ふむ」
.
316
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:42:26 ID:vj1roGtw0
ワカッテマスが、独自に推理を展開している。
しかし、ひとつ忘れてはならないことがある。
(´・ω・`) 「予告が特殊なのは、ミセリも同様だ」
( <●><●>) 「ン…ああ」
(´・ω・`) 「そもそも、明確な殺害予告ではなかったからな」
( <●><●>) 「どこか、噛み合うようで噛み合わないですね…」
(´・ω・`) 「つまり、僕らはまだノイズに惑わされてるんだ」
まだ、核心という核心には歩み寄れていない。
もどかしいこと、この上ない。
(´・ω・`) 「大学、という共通点はわかった」
(´・ω・`) 「他には?」
( <●><●>) 「現状、思い当たりませんね」
( <●><●>) 「クックルは警備員だった、ミセリはスーパーのパート」
( <●><●>) 「旧職が繋がっていたわけでもない」
.
317
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:44:42 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「となると、やっぱり…」
(´・ω・`) 「ホテル殺人が、キーになりそうだな」
( <●><●>) 「大学が接点だったのかどうかだけでも、はっきりさせたい」
(´・ω・`) 「じゃあ、これは壁の働きに期待するとして」
(´・ω・`) 「ライブ殺人の捜査は任せてたけど、どうだった?」
( <●><●>) 「事件自体は、比較的シンプルです」
(´・ω・`) 「というと?」
長くなりそうだったから、僕はパイプ椅子に腰を下ろした。
促しても、ワカッテマスは座ろうとしない。
( <●><●>) 「犯人は、害者を例の植え込みに呼び出した」
( <●><●>) 「雑談でも持ちかけたのか、あるいは後ろ暗いことがあったのか」
(´・ω・`) 「マ、単なるサボリとも見れるしね」
.
318
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:45:16 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「そこで、隙を突いて刺殺」
( <●><●>) 「ただ、それだけなのです」
(´・ω・`) 「犯人特定が難しいだけで、動き自体に妙なとこはなかったんだ」
そうなのですよ、とワカッテマスは言った。
もし、本当にそれだけの事件なら、まだマシだったんだ。
( <●><●>) 「さて、ここからおかしい点を列挙します」
(´・ω・`) 「列挙……か」
嫌な言い方をするなァ。
実にいい性格をしている。
( <●><●>) 「まず…お伺いされているかと思いますが」
( <●><●>) 「害者のインカムが、操作されていた」
(´・ω・`) 「こいつが言ってたね」
(´・ω・`) 「え、なに、あんたらのやり取りが盗聴されてたって?」
.
319
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:46:08 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「迂闊だったのはもう認めています。 さて…」
(´・ω・`) 「しれっと過失を流すなよ」
( <●><●>) 「まず、一点目」
( <●><●>) 「私と東風さんがインカムを付けていたことは、知らされていない」
( <●><●>) 「二点目、警備員とは違うチャンネルに合わせていた」
(´・ω・`) 「警備員が一番で、あんたらが五番だっけ?」
( <●><●>) 「わかりようがないはずなんですよ、本来」
(´・ω・`) 「本来は…な」
( <●><●>) 「三点目」
( <●><●>) 「まあ、百歩譲って盗聴していたのはいいでしょう」
( <●><●>) 「犯人が、インカムを借りて我々の動向を探っていたかもしれない」
.
320
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:49:15 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「だとしても、どうして逃げる前に、一番に戻さなかったのか」
(´・ω・`) 「急ぐ事態だったにしても、チャンネルくらい、一瞬で戻せるんだろ?」
( <●><●>) 「はい。 ボタンを数回、押すだけです」
というと、セミナーの上にあったインカムを持ち上げた。
そんなものがあったのか、と思い、前かがみになった。
( <●><●>) 「ヴィップスタジアムから、サンプルをお借りしております」
(´・ω・`) 「貸してみろ」
( <●><●>) 「はい」
もとよりインカムというものに疎い僕だが、
なるほど確かに、チャンネルを合わせること自体は一瞬で可能だ。
(´・ω・`) 「…」
( <●><●>) 「警部は、どう見られますか」
(´・ω・`) 「忘れていた、それどころじゃなかった……ッて可能性は否めない」
(´・ω・`) 「あくまで、人を殺した直後なんだからね」
.
321
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:51:16 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「それを言うと、身も蓋もないのですが……まあ」
(´・ω・`) 「インカムはわかった。 続けて」
( <●><●>) 「まあ、いいですが」
( <●><●>) 「次に、犯人ですが、内部の人間の可能性があります」
(´・ω・`) 「内部……というと、なんの?」
( <●><●>) 「ライブ側、警備側、そのどちらかです」
(´・ω・`) 「というと」
( <●><●>) 「監視カメラの死角を、把握していたからです」
(´・ω・`) 「…!」
.
322
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:52:08 ID:vj1roGtw0
ワカッテマスは、A3の大判カラーを取り出した。
現場近辺の、監視カメラの捕捉範囲が描かれている。
そして、バツ印の付けられている付近、
すなわち現場の部分が、見事に捕捉エリアから外れている。
(´・ω・`) 「でも、害者の持ち場はカメラのエリア内だ」
(´・ω・`) 「なにか、そこにヒントはなかったのか?」
( <●><●>) 「十九時〇八分に、エリア外に向かって歩き出すのが確認されました」
( <●><●>) 「これが、その時の写真です」
(´・ω・`) 「んー…」
大柄の男が、確かにカメラの外に向かおうとしている。
しかし、面白そうな情報は得られない。
(´・ω・`) 「これだけじゃあ、弱いな」
( <●><●>) 「十九時頃には、犯人はもう現場にいたんです」
( <●><●>) 「害者は、携帯などを使った様子が見られなかった」
( <●><●>) 「ぎりぎり見えるところから呼び出したか、最初から示し合わせていたか」
.
323
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:52:40 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「その点は、どうとでも説明がつく」
(´・ω・`) 「問題は、やっぱり犯人がエリアを把握していたッてことだ」
( <●><●>) 「現状、それらしき解答は見当たりません」
(´・ω・`) 「オーケー、次」
ワカッテマスは、持っていた資料をセミナーの上に戻した。
( <●><●>) 「仮に以上全てのおかしい点を無視したとして」
( <●><●>) 「結論、害者は、犯人の呼び出しに応じているのです」
( <●><●>) 「あるコミュニティの、うち二人が殺されている」
( <●><●>) 「そのうえで、自分が出動するヴィップスタジアムで予告が届いた」
( <●><●>) 「……ふつう、多少は警戒するでしょう」
(´・ω・`) 「そこも、気になる点だ」
.
324
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:53:09 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「害者は、自分が狙われているという実感がなかったんでしょうか?」
(´・ω・`) 「いや、あったんじゃないかな、と思ってる」
( <●><●>) 「というと」
(´・ω・`) 「嫁さんに話を聞いてたんだがね、」
(´・ω・`) 「事件前夜、ふだん無口で感情を出さない害者が、」
(´・ω・`) 「その時に限って、少しだけ、感傷的だったそうなんだ」
( <●><●>) 「……ふむ」
(´・ω・`) 「根拠として弱いッちゃ、弱い」
(´・ω・`) 「ただ、害者は多少はニュースを見る性格だったと聞く」
(´・ω・`) 「知っていてもおかしくないし、勘付いてもいいもんだ」
( <●><●>) 「とすると、この時の害者の心理が問われます」
.
325
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:53:39 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「ヒッキー小森と一緒だ」
(´・ω・`) 「事件前に、犯人からの、」
(´・ω・`) 「050番号の着信があったなら、説明はついたんだけど」
( <●><●>) 「どうだったんですか?」
(´・ω・`) 「少なくとも、害者のスマホにはなかった」
( <●><●>) 「………ふむ」
( <●><●>) 「とにかく、不審な点が多すぎる」
傍らに置いていた、ペットボトルの緑茶に手を伸ばした。
喉を鳴らして、うまそうに飲みやがる。
( <●><●>) 「どうして、犯人は死角を把握していた?」
( <●><●>) 「どうして、害者は我々の無線を盗聴していた?」
( <●><●>) 「どうして、害者は犯人の呼び出しに無警戒に応じた?」
.
326
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:53:48 ID:2bIoUUME0
支援
327
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:54:09 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「何か、根底が狂ってるんだ」
(´・ω・`) 「どこかに、偽りが眠っている」
( <●><●>) 「東風さんが捜査して、これなんだ」
( <●><●>) 「現場以外のどこかに、キーが落ちているはず」
(´・ω・`) 「どこかに、ねえ」
ぎょろ目はさっきから、豪快ないびきをあげて眠っている。
眠いなら、寝ておけばいい。
必要になったら、パイプ椅子を蹴ってでも起こしてやる。
(´・ω・`) 「たとえば、協力者が、いた」
(´・ω・`) 「あんたらにインカムを渡した人ってどいつだ?」
( <●><●>) 「警備チームのチーフリーダーですね」
( <●><●>) 「当日、複数の警備チームが配置されていたのですが、」
( <●><●>) 「言うなれば、彼らの頭です」
.
328
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:54:44 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「害者、事件との関連性は」
( <●><●>) 「私が取り調べ致しましたが、一切の関連性が嗅ぎ取れませんでした」
(´・ω・`) 「まあ、そうよなあ…」
まだ、犯人がカメラの死角を把握していたのはともかく、
警察がインカムを使用していたなんて、そうそう気づけまい。
警備側の人間に内通者がいれば簡単な話だったのだけど。
こいつが対応して手がかりなし、となればその線はない。
( <●><●>) 「各警備チームのリーダーも、全員私が出ました」
( <●><●>) 「結果は同様です」
(´・ω・`) 「…ふむ」
( <●><●>) 「そもそも、内通者がいたところで、」
( <●><●>) 「害者がインカムを盗聴していた直接的な理由にはなりません」
(´・ω・`) 「まあ、そうなんだがよ」
.
329
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:55:09 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「殺害後、害者のインカムを奪って盗聴したとして」
( <●><●>) 「当時の犯人が知りたがる情報とすれば、我々の動きです」
( <●><●>) 「どこにいる、いつ動き出す、といった具合に」
( <●><●>) 「しかし、それらは犯人が盗聴しなければならない情報ではありません」
(´・ω・`) 「ンなもん、協力者がいたらそいつから聞けばいいだけなんだ」
(´・ω・`) 「見張らせてよ」
( <●><●>) 「この点から、内通者の線は私は切っています」
(´・ω・`) 「…」
着実な歩みこそ進められているが、
根本的なところが霞がかったままだ。
仮定を立てるのは容易いが、そこから何も見出せないようでは、ただの寄り道だ。
いま求められているのは、万歩計のカウントを溜めることではない。
歩みそのものは少なくてもいい、とにかくゴールに近づくことだ。
.
330
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:58:39 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「いま判明していることだけでは、これ以上の推理はできかねます」
( <●><●>) 「第四、ヴィップの滝がキーになると睨んでいますが」
(´・ω・`) 「そりゃあそうだ」
(´・ω・`) 「しかも今回は、犯人にとっては急所を晒すことになり得る」
(´・ω・`) 「予告を第三者に告げたんじゃ、ない」
(´・ω・`) 「個人的な連絡が、隣にいた警察に聞かれちまってンだ」
( <●><●>) 「ちなみに、他言無用の脅しは」
(´・ω・`) 「なかったみたいだけど……どのみち、密告は想定されてないだろうね」
( <●><●>) 「根拠は」
(´・ω・`) 「奥さんのキャラ、態度もあるけど…」
(´・ω・`) 「なにより因縁だ」
( <●><●>) 「因縁…」
.
331
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:59:04 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「大学、というコミュニティが正しいかはさて置いて」
(´・ω・`) 「とにかく、何かしらのコミュニティ内で、この事件は続いてる」
(´・ω・`) 「その内部の人間……犯人が、」
(´・ω・`) 「クックルを殺したうえで嫁との密談を望んでいる」
(´・ω・`) 「それも確か、犯人は自首するつもりで、その前に話したい……とか。」
( <●><●>) 「自首、ですか。 まあ、期待しないほうがいいでしょう」
(´・ω・`) 「なんにせよ」
(´・ω・`) 「犯人と彼女の間にも、何かしらのつながりがある筈なんだ」
( <●><●>) 「なにより、関係や電話番号を知っていたわけですからね」
( <●><●>) 「害者のスマホをチェックして、わざわざ電話をかけたとは思えない」
どんな因縁があったかは、わからない。
愛憎劇かもしれないし、違うところに要点があったかもしれない。
考えにくいが、クックルを殺したのはただのきっかけ作りで、
本命は芹澤ミセリだった、というケースも捨てるわけにはいかない。
.
332
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 21:59:40 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「彼女にも、口外しないだけで、心当たりはあるのかもしれない」
(´・ω・`) 「つまり、犯人にとって、今回の会合に第三者の横やりは想定されていないんだ」
( <●><●>) 「しかし、それだけだと弱い」
( <●><●>) 「計画的な犯行を臨む以上、警察の介入というリスクは捨てきれません」
それもそうなんだけど。
嫌味なやつだ。
(´・ω・`) 「もし、介入前提なら、公園の管理人にでも予告するだろう」
(´・ω・`) 「そうせず、ターゲット個人にだけ予告している以上、」
(´・ω・`) 「少なくとも介入される前提の犯行は、計画されていない」
(´・ω・`) 「介入前提の犯行が計画されてない、ッつーのがポイントなんだよ」
(´・ω・`) 「まだ、付け入る隙が残されてる」
( <●><●>) 「…」
.
333
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:01:36 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「一緒に、考えてくれ」
( <●><●>) 「何を」
(´・ω・`) 「前提は、みっつ」
(´・ω・`) 「犯人は、ミセリを殺す」
(´・ω・`) 「犯行に警察という前提は想定されていない」
(´・ω・`) 「ただし、警察に張られても、出し抜ける」
(´・ω・`) 「以上の三点から導き出せる犯人の思惑だ」
( <●><●>) 「……」
.
334
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:02:00 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「そもそも、警察の対応もふたつに分かれるんだ」
(´・ω・`) 「殺されるリスクを消すために、ミセリを現場に行かせない」
(´・ω・`) 「密談を知らないフリをして、急戦に出る」
将棋のように、いくつもの手が考えられる。
犯人は未来人でも超能力者でもない、
警察の進める手を読み切って、見事に思惑通りの犯行をこなせるわけがない。
( <●><●>) 「むろん、警察としては、」
( <●><●>) 「犯人がいるとわかっている現場に、」
( <●><●>) 「関係者を出向かせるわけにはいきませんがね」
(´・ω・`) 「……僕は、違うけどね」
( <●><●>) 「…は?」
.
335
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:02:53 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「僕としては、彼女に当日、約束通り」
(´・ω・`) 「公園に行ってもらっても構わないところなんだけど」
( <●><●>) 「…」
( <●><●>) 「頭おかしいんですか」
ワカッテマスの冷たい視線が、針のように僕を突き刺す。
捜査一課警部、事件担当者として、確かにあり得ない考えではある。
( <●><●>) 「一警察が、市民を人命の危機に晒すおつもりですか」
(´・ω・`) 「…」
( <●><●>) 「確かに、進展があれば、捜査もより進むでしょう」
.
336
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:03:21 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「ですがね」
( <●><●>) 「マスコミはもとより、上層部、国民が許しませんよ」
ぴりぴりしているのか、疲れが取れていないのかはわからないけど、
ワカッテマスは、平生よりはやや語調を強めて、まくし立ててきた。
( <●><●>) 「我々は、推理パズルをしてるんじゃありません」
( <●><●>) 「長期戦になろうが、我々はミセリを保護し、」
( <●><●>) 「別の方法で、犯人にアプローチするしかありません」
(´・ω・`) 「言うようになったな、ワカッテマス」
( <●><●>) 「トチ狂ったことを言い出すからですよ」
.
337
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:04:26 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「犯人は一言も、殺す、なんて言ってないんだぜ」
(´・ω・`) 「じゃあ、僕らにできることは、無い」
( <●><●>) 「それは……、……」
( <●><●>) 「…」
( <●><●>) 「いやいやいやいや」
ワカッテマスが、嘲るような顔で大げさに仰け反った。
この男にしては珍しく、感情的な仕草だ。
( <●><●>) 「どう考えても、殺害意図が含まれている」
( <●><●>) 「第一、殺すだろうというのは警部が言い出したことですよ」
(´・ω・`) 「そりゃあ、殺すつもりだろうね」
( <●><●>) 「何が言いたいんですか」
.
338
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:04:57 ID:vj1roGtw0
、 、 、、 、 、 、 、 、 、、
(´・ω・`) 「警察は現状、彼女を止める権限がないんだ」
( <●><●>) 「…!」
(´・ω・`) 「え、なに」
(´・ω・`) 「ミセリ視点で言えば、こうだ」
(´・ω・`) 「知らない050番号から、電話がきた」
(´・ω・`) 「相手は名乗らないし、声も変えている」
(´・ω・`) 「明後日、滝公園で会って、話がしたい」
(´・ω・`) 「……彼女自身は何もしていないんだ」
(´・ω・`) 「そんな彼女が、滝公園に行く、なんて言い出したら、」
(´・ω・`) 「それを制止する権利は、法的には、ない」
( <●><●>) 「………どういうことですか」
.
339
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:06:26 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「警察視点で言えば、だぜ?」
(´・ω・`) 「その050番号は犯人のものだし、」
(´・ω・`) 「その犯人がクックルを殺したことを認めてやがる」
(´・ω・`) 「どォーー考えたって、こいつァ殺人予告だ、行かせるわけにはいかなくなる」
(´・ω・`) 「むろん、保護に応じることは簡単だよ」
(´・ω・`) 「でも、彼女がそれを拒むようだったら、」
(´・ω・`) 「それは止められないよね、ッて話」
( <●><●>) 「まさか、警部」
、 、、 、 、 、 、 、 、、
( <●><●>) 「あなた、ミセリの意思に委ねるおつもりですか」
.
340
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:08:18 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「だって、仕方ないじゃん」
(´・ω・`) 「無理やり止めたら、それは軟禁だぜ」
(;<●><●>) 「…!」
疲労が積もった身体に堪えたのだろう、
ワカッテマスは少し前屈して、セミナーに手をかけた。
そろそろ、上官命令で休ませないといけないな。
寝かせようにも寝ないだろうし、煙草くらい覚えさせてみようか。
(;<●><●>) 「………」
(;<●><●>) 「私は、反対ですよ」
(;<●><●>) 「私のほうから、公園に出向かないよう、説得しますから」
(´・ω・`) 「まあ、それは自由だよ」
.
341
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:09:15 ID:vj1roGtw0
煙草、煙草か。
ちょっと疲れたし、僕も一服したくなってきた。
(´・ω・`) 「あんたは、これから何をする?」
(;<●><●>) 「…」
( <●><●>) 「そうですね。 ちょっと、情報を整理したい」
ちょうどいいや。
ミセリは、まだ喫茶店にいるだろう。
(´・ω・`) 「ちょっくらブレイクタイムとしゃれ込もうぜ」
( <●><●>) 「お言葉はありがたいですが」
( <●><●>) 「少しでも事件に触れていないと、落ち着けないので」
(´・ω・`) 「いいとこ知ってンだ」
( <●><●>) 「申し訳ありませんが、事件を片付けてから、で」
.
342
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:10:44 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「奥さんは、まだ近くの喫茶店にいるはずだし」
( <●><●>) 「…!」
(´・ω・`) 「一服がてら、彼女に話でも聞いてみるかい?」
(´・ω・`) 「ほら。 公園に行かせないよう説得するんだろ?」
ワカッテマスが、少し目を開かせた。
疲れが取れたかのように、姿勢を戻した。
( <●><●>) 「………」
( <●><●>) 「人にサボらせるの、だんだんお上手になっていますね」
(´・ω・`) 「当ッたり前じゃん」
(´・ω・`) 「僕があんたくらいの頃、どうサボるかを研究したもんだぜ」
( <●><●>) 「だから警部止まりなんでしょうね」
(;´・ω・`) 「なッ! ……どういう意味だ!」
.
343
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:11:27 ID:vj1roGtw0
|`ヽ /|
|. \ /. i
| ヽ / ノ
! `ー‐- '、
| .、
l !
r---ゝ !
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
l :::::::::::::::゙ 、 _| n
イツワリ警部の事件簿 File.4 `,_::::::::::::::::::::`ヽ, ノ,´αm
く l lへ、:::::::::::::::`'ー、r ||\
第三幕 「 霞 」 ' '、-_l ヽ、::::::::::::::::::`>;;::;;:|
` ..‐,,..、 丶、 冫:::::::::::/>;;;;;;;;\
,' /´ ::ヽ.:.:.:::::::::::::::丶_;;::;;::|
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
| l ..,,_ .::::::::ノ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:::::::::::::::l ヽ」
¦ ! ,;:::: ̄'' 7ー-、_....;.;.;.;、:::://::|
Y ;:::::::::│ / `――\/::::|
l ,,;:::::::::l / :::::::::'、:;:;、;;|
/ ,,;;:::::::::::::::// l:::::::l
.
344
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:11:56 ID:vj1roGtw0
┏━─
午後十五時二四分 喫茶店
─━┛
ミセ*゚-゚)リ 「…!」
(´・ω・`) 「やあ」
(´・ω・`) 「向かい、失礼するよ」
ミセ*゚-゚)リ 「……どうぞ」
警察の近く、ということもあって、
警察の関係者やビジネスマンが多い。
事務員を付き添いに出していたはずだけど、
僕が来る少し前に、所用で戻ったみたいだった。
.
345
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:12:21 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「捜査一課のワカッテマス」
( <●><●>) 「よろしくお願いします」
ミセ*゚-゚)リ 「こ、こちらこそ…」
ワカッテマスは好青年でこそあるが、
無表情にひび割れた眉間、堅物なオーラが多くの女性を敬遠させる。
プライベートではそうでもないらしいけど、
奴とは仕事でしか関わりがないから、全然信じられないところではある。
歳も近いだろうミセリだが、ワカッテマスの着席にあわせて少し畏縮した。
その隣に、僕がだらけた姿勢で煙草をくわえだすものだから、
この上ないぎこちなさに、もやもやするのも仕方ない。
( <●><●>) 「少し、お話よろしいでしょうか」
( ´・ω・) 「ラテとブレンド、あとフレンチトーストォー」
( <●><●>) 「…失礼」
.
346
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:12:52 ID:vj1roGtw0
県警から近いだけあって、この店ができた頃から、僕はよく通っていた。
自宅と県警の間に、僕のなじみの店が結構あるけど、
この喫茶店は、そのうちのひとつだ。
(´・ω・`) 「奥さんは、もう一杯、いかが?」
ミセ*゚-゚)リ 「へッ…」
ミセ*゚-゚)リ 「……じゃあ、抹茶ラテ」
( ´・ω・) 「あと抹茶ラテェー」
主人が会釈で快諾した。
常連の僕には、直接オーダーを取りにこないのが気楽でいい。
( <●><●>) 「…」
( <●><●>) 「ちなみに、トーストは?」
(´・ω・`) 「食え」
( <●><●>) 「お気持ちだけ頂戴します」
(´・ω・`) 「上官命令だ」
.
347
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:14:15 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「………わかりました」
( <●><●>) 「さて、本題、よろしいでしょうか」
(´・ω・`) 「ひとクチくらい飲んでからにしろよ」
(´・ω・`) 「あんた、声、結構掠れてるぞ」
( <●><●>) 「………」
( ´・ω・)
っ “
ミセ*゚-゚)リ 「…」
主人が飲み物を運んでくるまでの間、三人に会話はなかった。
ミセリはスマホをいじり、ワカッテマスはただ景色を眺める。
ミセリにも一本やろうか悩んだが、特に求められなければ、いいだろう。
女性は、人前で煙草を吸うのを遠慮するものなのだ。
.
348
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:14:44 ID:vj1roGtw0
'_
( ´・ω・)y- 、
( <●><●>) 「結構、遅かったですね」
( ´・ω・)y- 「こういうもんだよ」
ミセリと僕がひとクチ飲んだのを見たところで、
ワカッテマスもゆっくり、ブラックのそれに口を付けた。
呆れたような顔をしながらも、
ようやく、と言わんばかりに本題を切り出した。
( <●><●>) 「確認ですが」
( <●><●>) 「犯人を名乗る人物から電話がきたのは、間違いないですか?」
ミセ*゚-゚)リ 「そうですね」
( <●><●>) 「具体的に、どんな内容でしたか」
.
349
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:15:18 ID:vj1roGtw0
ミセ*゚-゚)リ 「…えっと」
ミセ*゚-゚)リ 「自首しようと思う」
ミセ*゚-゚)リ 「明後日、ヴィップの滝公園に来てほしい」
ミセ*゚-゚)リ 「ふたりで、話がしたい…ッて」
( <●><●>) 「旦那を殺害した……犯人から」
ミセ*゚-゚)リ 「そうです、ね」
( <●><●>) 「犯人の、声や特徴は」
ミセ*゚-゚)リ 「機械みたいな声だったので、わかんないですね」
ミセ*゚-゚)リ 「特に訛りはなかったです」
( <●><●>) 「番号履歴が残っていたら、見せてください」
ミセ*゚-゚)リ 「ちょっと待って…」
.
350
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:15:50 ID:2bIoUUME0
ワカ、言うようになったな
351
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:16:18 ID:vj1roGtw0
( ´・ω・)y-~~
番号、か。
そういえば、184の非通知設定にはしなかったのだろうか。
あまり知られていない仕様なんだ、
犯人が知らなかっただけという説ももちろん考えられるけど。
三件を出し抜く犯人であることを考えると、少し引っかかるところではある。
( <●><●>) 「……確かに」
( <●><●>) 「例の050番号と合致するようですね」
( ´・ω・)y- 「ンだね」
( <●><●>) 「この番号に、見覚えは」
ミセ*゚-゚)リ 「ないですね」
( <●><●>) 「ふむ。 相手に、心当たりは」
ミセ*゚-゚)リ 「……特に」
( <●><●>) 「そうですか」
.
352
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:16:44 ID:vj1roGtw0
これは、ワカッテマスの話術だった。
何度も話されたような、わかりきっている内容も、
確認だ、と言って話させるところから始まる。
相手は、答えなれたそれらを饒舌に繰り返す。
ある程度温めてから、本題にしれっと入るのだ。
そうすれば、聞かれている側に負担をかけることなく、
あわよくば、それまで思い出せなかったことを思い出させられることがある。
ミセ*゚-゚)リ 「ただ、」
( <●><●>) 「はい」
ミセ*゚-゚)リ 「私と、話しなれてる感じはした」
ミセ*゚-゚)リ 「あんまり、話してて、違和感とかぎこちなさが、なかったから」
( <●><●>) 「なるほど」
加えてもう一点、
相手が核心を突くことをポロッと言っても、動じない。
ですよね、といった具合で相槌を打つ。
もっとも、予想外すぎることを聞かされると、
キャラに見合わないオーバーリアクションを取るのだけども。
.
353
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:17:10 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「ふたりで話したい、と言ってきたわけですが」
( <●><●>) 「芹澤さんとしては、どんな話をされるか予測つきますか?」
ミセ*゚-゚)リ 「………さあ」
心当たりは、なくは、ない。
ただ確信に至る材料が少ないから、言いあぐねている。
そんな口ぶりだ。
( <●><●>) 「既に、旦那が奴の手によって殺されています」
( <●><●>) 「その妻と密談がしたい、なんて申し出……」
ミセ*゚-゚)リ 「会ってみれば、わかるかもしれませんが」
( <●><●>) 「…!」
'_
( ´・ω・)y- 、
.
354
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:17:30 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「つかぬ事をお聞きしますが」
( <●><●>) 「明後日……犯人の要求通り、公園に行くつもりですか?」
ミセ*゚-゚)リ 「………」
ミセリの不意を突いた一言に、多少ワカッテマスが焦った様子を見せた。
その証拠に、コーヒーを飲んで一呼吸置いている。
ミセ*゚-゚)リ 「実感は、ありませんが」
ミセ*゚-゚)リ 「主人を殺した相手が、会いたがってるんですよね」
( <●><●>) 「おそらくは」
ミセ*゚-゚)リ 「……」
( <●><●>) 「ただ、呼び出すだけ呼び出して、」
( <●><●>) 「話す前にあなたを襲う可能性も、高い」
.
355
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:18:59 ID:vj1roGtw0
自然な会話の流れを潰さないように、しかし説得を試みている。
ただ、ミセリの目はどこか虚ろで、ワカッテマスに焦点を合わせていなさそうに見える。
ミセ*゚-゚)リ 「……」
( <●><●>) 「既に、相手は三人も殺してるんです」
ミセ*゚-゚)リ 「でも、自首しようと思ってる、って」
( <●><●>) 「自首する、と言って本当に自首する犯人は、滅多にいません」
ミセ*゚-゚)リ 「……まあ。」
その空虚な瞳に気づいたのか、
ワカッテマスは、もう一度コーヒーを飲んで、前傾姿勢になった。
( <●><●>) 「………そういえば」
( <●><●>) 「本件は、連続殺人です」
( <●><●>) 「ご主人のクックル三階堂は、三人目なのですが…」
.
356
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:19:28 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「フッサール擬古、ならびにヒッキー小森」
( <●><●>) 「彼らの名前に、心当たりは?」
ミセ*゚-゚)リ 「…!」
( <●><●>) 「!」
( ´・ω・)y- 「!」
ワカッテマスが、目を見開いた。
僕も、ついラテを飲んでお茶を濁した。
感情的になっていたミセリを前に、そのことはまだ、聞かないでいた。
( <●><●>) 「……ご存じ、ですか?」
ミセ*゚-゚)リ 「……」
( <●><●>) 「ご存じ、ですか?」
.
357
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:20:10 ID:vj1roGtw0
ミセ*゚-゚)リ 「え、あっ」
ワカッテマスが、語調を強めて再三尋ねる。
少し放心状態だったようで、ミセリはぽかんとしていた。
ミセ*゚-゚)リ 「………え、その。」
ミセ*゚-゚)リ 「連続殺人……殺されたのッて……」
( <●><●>) 「フッサール擬古」
( <●><●>) 「ヒッキー小森」
( <●><●>) 「そして……あなたの、ご主人です」
ミセ;゚-゚)リ 「…………えっ?」
.
358
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:20:33 ID:vj1roGtw0
ミセ;゚-゚)リ 「ちょ……まじで言ってンの?」
( <●><●>) 「逆に、散々ニュースで報じられていますが…」
ミセ;゚-゚)リ 「ごめん、全然、ニュース見てなくって…」
( <●><●>) 「と、いうと…」
(´・ω・`) 「ミセリさん」
ミセ;゚-゚)リ 「!」
(´・ω・`) 「これは、重要なことです」
(´・ω・`) 「フッサール擬古と、ヒッキー小森」
(´・ω・`) 「いったい、誰なんですか?」
.
359
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:21:08 ID:vj1roGtw0
ミセ;゚-゚)リ 「誰、って……」
ミセ;゚-゚)リ 「……」
ミセ;゚-゚)リ 「大学時代の……」
( <●><●>) 「!」
ミセ;゚-゚)リ 「サークルの……友だち……だけど」
(´・ω・`) 「……そうか」
ヴィップ大学、という読みは、的中していた。
しかし、ヒッキー小森だけ違うところがネックでこそあったが。
( <●><●>) 「しかし、ヒッキー小森はヴィップ大学ではないと聞きますが」
ミセ;゚-゚)リ 「そう、ですけど」
.
360
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:21:30 ID:vj1roGtw0
ミセ;゚-゚)リ 「部長の、知り合いで」
( <●><●>) 「部長…」
ミセ;゚-゚)リ 「流石、って人…ご存じですか?」
( <●><●>) 「サスガ、ですか」
ワカッテマスが眉間にヒビを刻み、捜査手帳を開く。
僕の記憶が正しければ、そんな名前の人間は、本件には関わっていない。
ただ、重要な手がかりとなり得るのは明白だった。
ワカッテマスは、記憶をあてにせず、過去のデータと参照した。
( <●><●>) 「…」
( <●><●>) 「いえ。 警察は、把握していませんね」
ミセ;゚-゚)リ 「そう…ですか」
.
361
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:22:07 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「僕、大学は出てないから」
(´・ω・`) 「その、サークルっていうのが、よくわかんないんですけど」
(´・ω・`) 「クラブ活動、みたいなもの?」
( <●><●>) 「要は、同じ趣味趣向を持つ人たちが、」
( <●><●>) 「プライベートの時間を共にする集まりですね」
(´・ω・`) 「クラブ活動、みたいなものか」
ミセ*゚-゚)リ 「私たちは…」
ミセ*゚-゚)リ 「いわゆる、アウトドアサークル、ですね」
ミセ*゚-゚)リ 「バーベキューとか、スキーとかを、楽しんでました」
( <●><●>) 「アウトドア、ということは、釣りなども?」
ミセ*゚-゚)リ 「そうです、ね」
ミセ*゚-゚)リ 「みんな好きだったワケじゃないけど、何人かは」
( <●><●>) 「…」
(´・ω・`) 「釣り、か…」
.
362
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:22:36 ID:vj1roGtw0
ペニーが見つけてきてくれた。
一件目、地下鉄殺人のフッサール擬古は、釣りが好きだった。
釣りも、むろんアウトドアの範疇にある趣味だ。
バーベキューの傍らで楽しんだりすることもある。
アウトドアサークル、となると、合点がいく情報だった。
足音がしたので振り返ると、後ろから主人がフレンチトーストを持ってきてくれた。
僕とミセリはそれに気が付いたが、ワカッテマスだけ、険しい顔をしていた。
( <●><●>) 「その、アウトドアサークルについて」
( <●><●>) 「少し、詳しく教えていただけないでしょうか」
ミセ*゚-゚)リ 「ア……はい。」
(´・ω・`) 「そう慌てなさんな」
( <●><●>) 「なんですか、これ」
(´・ω・`) 「食え」
( <●><●>) 「……」
.
363
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:23:05 ID:vj1roGtw0
ワカッテマスは、出来立てのそれを訝しげな顔で見つめた。
少し、呆気にとられたような顔をしている。
(´・ω・`) 「僕から、聞きましょう」
(´・ω・`) 「そうだなァ……」
煙草に手をやる。
緊張がほぐれてきたのか、逆に緊張が押し迫ってきたのか、
ミセリがそれを物欲しそうな目で見つめてきた。
なるほど、甘え上手な女性らしい。
ミセ*゚-゚)リ 「ども…」
(´・ω・`) 「昔話をするには、酒と煙草、ッて相場がキマっている」
( <●><●>) 「…いただきます」
(´・ω・`) 「まだ食ってなかったのかよ、さっさと食え」
( <●><●>) 「…」
.
364
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:23:31 ID:vj1roGtw0
少し躊躇うワカッテマスを見て、
そういえば奴がパンの類を一切食さない男であることを思い出した。
時間に余裕がない時の食事は、決まってエネルギーを補給するタイプのゼリーだ。
(´・ω・`) 「さて」
(´・ω・`) 「えっと、ヴィップ大学の人らで組まれたサークルだった?」
ミセ*゚-゚)リ 「そうですね」
ミセ*゚-゚)リ 「小森さん以外…は」
(´・ω・`) 「で、その小森サンは、部長の知り合いだった」
ミセ*゚-゚)リ 「うん」
(´・ω・`) 「サスガ、さんだっけ」
(´・ω・`) 「どんな人なんですか?」
互いに煙草を持つと、心なしか、距離が縮まる心地がする。
ミセリも、少し砕けつつあった。
.
365
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:23:52 ID:vj1roGtw0
ミセ*゚-゚)リ 「変…な人ですね」
(´・ω・`) 「変」
第一の印象がそれか。
ミセ*゚-゚)リ 「なんか変なんだけど……憎めない人」
ミセ*゚-゚)リ 「みんなより二歳上だったけど、そんな感じはしなかった」
(´・ω・`) 「みんな……フッサール擬古もだったか」
ミセ*゚-゚)リ 「部長と小森さん以外、みんな同い年なんです」
(´・ω・`) 「…ふむ」
これは、帰ってからホワイトボードに書く内容が一気に増えるぞ。
人物の相関図は、ワカッテマスに書かせることにしよう。
.
366
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:24:14 ID:vj1roGtw0
ミセ*゚-゚)リ 「背が高くて、細くて、でも声は太くて…」
ミセ*゚-゚)リ 「いじられ役を買って出る、まとめ役…って感じで」
ミセ*゚-゚)リ 「基本的に、あの人がいないと、サークルは回らなかったですね」
(´・ω・`) 「なるほど」
(´・ω・`) 「まとめると、イイ人、だったんだ」
ミセ*゚-゚)リ 「まあ…そうなりますね」
いるよな、そういう人。
言いながらワカッテマスのほうを見ると、奴はもうフレンチトーストを平らげていた。
ハムスターのように膨らんだ頬を見るに、一気に食べようとして失敗したらしい。
写真だけ撮っておいた。
ワカッテマスが露骨に嫌そうな顔をしたが、これは面白いものが手に入ったぞ。
.
367
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:24:46 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「続けて」
ミセ*゚-゚)リ 「ア…はい」
ミセ*゚-゚)リ 「部長でしょ、小森さんでしょ、ギコくんでしょ…」
ミセ*゚-゚)リ 「旦那に、私に……あと、盛岡さん」
(´・ω・`) 「盛岡さんも、同い年で」
ミセ*゚-゚)リ 「はい」
(´・ω・`) 「どんな人だったの?」
ミセ*゚-゚)リ 「……オタク?」
(´・ω・`) 「オタク」
もっとマシな第一印象はないのか。
.
368
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:25:11 ID:vj1roGtw0
ミセ*゚-゚)リ 「その……なんていうか」
ミセ*゚-゚)リ 「サークル自体が、インドアなみんなでアウトドアしようぜ…」
ミセ*゚-゚)リ 「そんなコンセプトのサークルだった…んで」
(´・ω・`) 「インドア、っていうと、読書とか」
ミセ*゚-゚)リ 「まあ、そうですね」
隣で、せき込む音が聞こえた。
ワカッテマスがぎょろッと目を開いて、コーヒーを流し込んでいる。
実に愉快だ。
次は、ベーカリーのバイキングにでも連れていってやろう。
ミセ*゚-゚)リ 「アニメキャラがどう、とか」
ミセ*゚-゚)リ 「そんな話を、部長や小森さんと盛り上がってました」
(´・ω・`) 「そ、そうなの」
.
369
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:25:33 ID:vj1roGtw0
確かに、インドアが集うアウトドアサークル、というのはありそうだ。
ただ、偏見かもしれないけど、ミセリがそのインドアに属する人間とは思えなかった。
休日には、友人とのランチを楽しみそうな、
比較的活発な趣味を持つイメージを持たせられる。
(´・ω・`) 「奥さんも、そういったものが好きで?」
ミセ*゚-゚)リ 「いや、全ッ然」
(´・ω・`) 「そ、そうなんですか」
ミセ*゚-゚)リ 「しょーじき、無理でした」
(´・ω・`) 「え、じゃあなんでサークルにいたの?」
( <●><●>) 「…」
ワカッテマスが、ハンカチで涙を拭く。
想像以上に咽たらしい。
.
370
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:25:53 ID:vj1roGtw0
ミセ*゚-゚)リ 「部長に勧誘されて」
(´・ω・`) 「知り合いだったの?」
ミセ*゚-゚)リ 「いや…」
ミセ*゚-゚)リ 「……そういえば、どうしてだろう」
(´・ω・`) 「思い出すのは、ゆっくりでいいよ」
そうすれば、煙草も自然に吸える。
思えば最近、喫茶店で羽を伸ばすことも少なかった。
サボリと言えば聞こえは悪いが、深刻な事件の傍らで寛ぐのも、大切なのだ。
( <●><●>) 「…サークル、ですか」
(´・ω・`) 「何か、閃いた?」
( <●><●>) 「いや」
( <●><●>) 「自分には縁がなかったな、と思い」
.
371
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:26:17 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「まあ、あんたがサークルってのも、想像できんわ」
(´・ω・`) 「ちなみに、大学でサークルに入るのって、普通なの?」
( <●><●>) 「大学にもよりますが、全然珍しくはないです」
ミセ*゚-゚)リ 「あ、そうだ」
ミセ*゚-゚)リ 「ビラ撒きで何回か会って、」
ミセ*゚-゚)リ 「顔を覚えられたのか、あの時の人かい? って声かけられて」
(´・ω・`) 「サスガ、さんが」
ミセ*゚-゚)リ 「で、少し話して、」
ミセ*゚-゚)リ 「気がついたら加入させられてた…ッて感じです」
(´・ω・`) 「結構なヤリ手だね。 クチがうまかったんだ」
ミセ*゚-゚)リ 「実際、あの人、かなり話がうまいですから」
.
372
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:26:40 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「インドアが集まる、とかは知らなかったんだ」
ミセ*゚-゚)リ 「いや、予想はできましたね」
ミセ*゚-゚)リ 「ただ、無理に酒を飲まされるとか、メンドウなことはないから楽だよ、って」
(´・ω・`) 「無理に?」
( <●><●>) 「サークルのなかには、無理やり酒を飲ませたりするところもあります」
( <●><●>) 「浮かれた大学生のノリ、というのですかね」
ミセ*゚-゚)リ 「そうそう」
ミセ*゚-゚)リ 「確かに、アウトドアには興味あったけど、」
ミセ*゚-゚)リ 「どこも、面倒臭そうな感じだったから…」
(´・ω・`) 「奥さんは、それがイヤだったんだ」
ミセ*゚-゚)リ 「ナンパされたり、ホテル誘われたりが、本当に、だるかった」
.
373
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:27:04 ID:vj1roGtw0
大学生、話には聞くけど、想像以上に浮かれているらしい。
僕のなかの、博士号をとる場所というイメージからは随分離れていた。
ミセ*゚-゚)リ 「で、部長は、クチが達者だから」
ミセ*゚-゚)リ 「私としても、気楽に遊べるならいいかな、ッて乗せられて」
(´・ω・`) 「でも、すぐ抜けなかったんだ?」
ミセ*゚-゚)リ 「まあ…」
というと、少しミセリは口ごもった。
ミセ*゚-゚)リ 「なんだかんだ言って、居心地は、よかったので」
ミセ*゚-゚)リ 「旦那とも、そこで出会って」
(´・ω・`) 「そうだ、旦那さん」
(´・ω・`) 「旦那さんは、どんな人だった?」
.
374
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:27:33 ID:vj1roGtw0
ミセ*゚-゚)リ 「当時はお調子者、でしたね」
ミセ*゚-゚)リ 「部長と一緒にイジられる感じ」
クックルは、免許証の写真で見た感じ、好青年そうだった。
インドアのイメージがつかない、整った顔立ちだったと記憶している。
(´・ω・`) 「旦那さんも、アニメとか好きだったの?」
ミセ*゚-゚)リ 「いやあ…サッパリでしたね」
(´・ω・`) 「ほう」
ミセ*゚-゚)リ 「旦那も、部長に乗せられて入ってきたクチです」
ミセ*゚-゚)リ 「ただ、ノリがいい人だから。」
ミセ*゚-゚)リ 「趣味は合わなくても、溶け込んでましたよ」
.
375
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:27:56 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「趣味は合わなくても、ですか」
( <●><●>) 「アウトドアの趣味はなかったのですか?」
ミセ*゚-゚)リ 「お祭りごとは好き、ッて感じでしたね」
ミセ*゚-゚)リ 「バーベキューとか、スポーツはどれも好きだし」
ミセ*゚-゚)リ 「野外ライブとかも、彼が率先して人を集めてました」
(´・ω・`) 「野外ライブ?」
ミセ*゚-゚)リ 「アウトドアサークル、なんて言ってるけど」
ミセ*゚-゚)リ 「要は、部屋に引きこもってないで、遊ぼうぜ、ってトコなので」
ミセ*゚-゚)リ 「場所が野外なら、なんでもありでしたよ」
(´・ω・`) 「へえ…」
.
376
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:28:22 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「じゃあ、小森の」
( <●><●>) 「ギター趣味というのも、そこから?」
ミセ*゚-゚)リ 「ギター?」
( <●><●>) 「どうやらギター趣味があったようですが
ミセ*゚-゚)リ 「ふうん……そうだったんだ」
(´・ω・`) 「家でしか弾いてなかったのかな」
(´・ω・`) 「キャンプなんかの傍らで弾いてても、おかしくないものの」
ミセ*゚-゚)リ 「あいつ、名前のとおり、引きこもりだから」
ミセ*゚-゚)リ 「で…どこまで言ったっけ」
( <●><●>) 「メンバーについてですが、」
( <●><●>) 「あなた、擬古、小森、三階堂、、流石、盛岡」
( <●><●>) 「以上の六人、だったのですか?」
ミセ*゚-゚)リ 「…」
.
377
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:28:51 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「サークル、となると」
( <●><●>) 「OBだったり、新入生だったりが考えられますが」
ミセ*゚-゚)リ 「…」
ミセリは、煙草を根本まで吸いきった。
ミセ*゚-゚)リ 「六人だけ、ですよ」
ミセ*゚-゚)リ 「部長が創ったサークルで、」
ミセ*゚-゚)リ 「その六人の代で、終わったので」
( <●><●>) 「終わったのは、部長が卒業して、」
( <●><●>) 「取りまとめ役がいなくなったから、でしょうか」
ミセ*゚-゚)リ 「そんなとこです」
.
378
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:29:15 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「わかりました」
( <●><●>) 「メンバーについて、もっと詳しく聞きたいのですが…」
ミセ*゚-゚)リ 「後日じゃあ、ダメでしょうか」
( <●><●>) 「どうしてでしょう」
(´・ω・`) 「…?」
ここにきて、ミセリの態度が変わったな、と思った。
いや、表情は変わっていない。
声色というか、声に含まれる感情が、険しいものになった。
もとより、そのアウトドアサークルというコミュニティで、
このたびの連続予告殺人が起こっている。
何もない、はずはないのだ。
逆に捉えると、ここで言い渋るのは、確実に何か裏があった、ということ。
.
379
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:29:47 ID:vj1roGtw0
ミセ*゚-゚)リ 「思い出したくないこと、思い出しちゃって」
( <●><●>) 「思い出したくないこと、とは」
ミセ*゚-゚)リ 「旦那殺されたんですよ、私。」
( <●><●>) 「……失礼」
食い気味だったワカッテマスが引いた。
しくじったか、と言わんばかりに、コーヒーカップを手に取る。
( <●><●>) 「連絡先が残っていたら、教えていただきたいのですが」
ミセ*゚-゚)リ 「何もないですよ」
( <●><●>) 「……はい?」
ミセ*゚-゚)リ 「卒業して、連絡とらなく、なって」
ミセ*゚-゚)リ 「いま、どこで何してるかも、知らないんですよ」
.
380
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:30:11 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「そう、ですか」
(´・ω・`) 「マ、そんなもんよなァ」
(´・ω・`) 「僕だって、高校時代の友だちと、一切連絡ないもん」
( <●><●>) 「…まあ」
腑に落ちないのは、わかる。
だが、今は突っ張る場面じゃないぞ、と目配せした。
ワカッテマスも汲み取ってくれたようで、これ以上食い下がりはしなかった。
ミセ*゚-゚)リ 「…あの」
ミセ*゚-゚)リ 「話は、終わりでしょうか」
( <●><●>) 「今日のところは、とりあえず」
ミセ*゚-゚)リ 「…」
.
381
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:30:40 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「ただ」
( <●><●>) 「本件の、犯人」
ミセ*゚-゚)リ 「…」
( <●><●>) 「間違いなく、そのサークルの誰かだとは思うのですが」
( <●><●>) 「心当たりは、ありますか」
ミセ*゚-゚)リ 「…」
ミセリの言葉を信じるなら、残るは、盛岡と流石の二人だけだ。
ただ、言い渋っているのを察するに、まだいる可能性も高い。
ミセ*゚-゚)リ 「あったら、とっくに言ってます」
( <●><●>) 「では、不明、と」
わざとらしく、手帳に書き込む仕草を見せる。
ワカッテマスの、何か心理的な作戦だろう。
.
382
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:31:20 ID:vj1roGtw0
( <●><●>) 「本件は、当該サークル内の犯行だと思われますが」
( <●><●>) 「動機になり得る何かに、心当たりは」
ミセ*゚-゚)リ 「…」
ミセ*゚-゚)リ 「ありません」
( <●><●>) 「ふむ…不明、と」
ワカッテマスをよく知る僕から見れば、不自然な演技だ。
ただ、初対面のミセリには気づかれないか。
少し緊張しているのか、
これ以上追究しない、という姿勢を見せているつもりか。
( <●><●>) 「最後」
( <●><●>) 「犯人の呼び出しに、応じるつもりは」
.
383
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:31:40 ID:vj1roGtw0
ミセ*゚-゚)リ 「 …。」
( <●><●>) 「………、」
さて、どう出るか。
ワカッテマスとしては、首を横に振ってもらいたいところだろう。
ただ、僕の経験と勘で言えば。
ミセリは、縦にも横にも、振らない。
ミセ*゚-゚)リ 「わかりません」
( <●><●>) 「ッ」
ミセ*゚-゚)リ 「そもそも、今回の電話すら、信じられないので。 私。」
(´・ω・`) 「イタズラなのかどうか、ッてこと?」
ミセ*゚-゚)リ 「犯人なのか、自首するのか、話したいだけなのか」
ミセ*゚-゚)リ 「なにもわからない」
.
384
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:32:07 ID:vj1roGtw0
ミセ*゚-゚)リ 「だから、また折り返し、電話しようと思います」
( <●><●>) 「…!」
そう来たか。
確かに、ミセリの視点からすれば、そう動くのが自然になるか。
( <●><●>) 「犯人が、素直に電話に応じるかわかりません」
( <●><●>) 「むしろ、折り返し電話こそが狙いの可能性もある」
ミセ*゚-゚)リ 「そもそも、本当に犯人なのか、が怪しいんですよ」
( <●><●>) 「それは、そうですが 」
ミセ*゚-゚)リ 「……詳しいことは」
ミセ*゚-゚)リ 「それから、また、警察に相談しようかと」
(´・ω・`) 「そだね。 じゃあ、コレ」
ミセ*゚-゚)リ 「…?」
僕は、そっと名刺とキャンディーを渡した。
.
385
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:32:29 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「110に電話するのって、実は結構メンドウなんだ」
(´・ω・`) 「僕に直接かける方が、信用もできるでしょ?」
ミセ*゚-゚)リ 「それはいいんですが、コッチ…」
紫色の包みを指さした。
(´・ω・`) 「僕、キャンディーが好きでね」
ミセ*゚-゚)リ 「あ…飴?」
(´・ω・`) 「これは、アネモネって花の味がするんだ」
(´・ω・`) 「……アネモネ、食ったことねーけど」
ミセ*゚-゚)リ 「…」
ミセリは少し、難しい顔をしたが、
少しすると顔を歪めて、噴き出して笑った。
.
386
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:32:52 ID:vj1roGtw0
ミセ*゚-゚)リ 「アネモネ、ですか」
(´・ω・`) 「僕も、妻を、事件で亡くしたんだ」
( <●><●>) 「…!」
ミセ*゚-゚)リ 「え…」
(´・ω・`) 「その妻は、花が、好きだった」
(´・ω・`) 「いろんな花を知っていて、いろんな花言葉を知っていて」
( <●><●>) 「……警部」
部下の前でしたい話ではなかったな。
だけど、ミセリには、先に言っておきたかった。
(´・ω・`) 「塩見製菓ッて知ってる?」
ミセ*゚-゚)リ 「大福とか売ってるとこですよね」
.
387
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:33:22 ID:vj1roGtw0
(´・ω・`) 「これ、あそこの花飴ってやつなんだ」
(´・ω・`) 「お徳用のが、通販でしか売られてないんだけど」
(´・ω・`) 「いろんな花の味があるから、オススメしとくよ」
ミセ*゚-゚)リ 「…」
ミセリは、顔を俯けた。
ミセ* ー)リ 「……いい花言葉のがあったら、旦那の墓に備えとく」
(´・ω・`) 「マ、そこまで美味しくないけどね」
ミセ* ー)リ 「お、美味しくないんですか、コレ…!」
(´;ω;`) 「ぶひゃ、ひゃひゃ!」
.
388
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:33:45 ID:vj1roGtw0
そして、ミセリとはそこで別れた。
明言はされてないけど、おそらく彼女は、犯人に会うだろう。
すぐに、対策を進めておかないといけない。
暮れに、みんなを招集した。
眠気がすっかり取れたぎょろ目、
進展を前に俄然やる気になっているペニー、
冷静に大局をうかがっている壁、と。
それぞれが持ち寄った情報や推理で会議は長引いたが、
唯一、ワカッテマスだけは、口数が少なかった。
.
389
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:34:10 ID:vj1roGtw0
序幕
>>2-69
第一幕
>>82-211
第二幕
>>218-296
第三幕
>>304-388
390
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 22:55:38 ID:2bIoUUME0
乙
情報が集まってきたな
391
:
名無しさん
:2018/09/04(火) 23:01:22 ID:D2EwEJdw0
一気に進んできた
392
:
名無しさん
:2018/09/05(水) 00:05:03 ID:Pp0uLn8c0
乙です
393
:
名無しさん
:2018/09/05(水) 19:49:09 ID:dvb8WGGA0
乙
進んできたな
394
:
名無しさん
:2018/09/09(日) 23:51:16 ID:0jcXCX0o0
乙
395
:
名無しさん
:2018/09/13(木) 04:15:56 ID:32UxlRa20
デミタス生きてたのか
396
:
名無しさん
:2018/09/15(土) 05:28:43 ID:FkYkPNxg0
ひさびさに覗いたらイツワリ来てた…!
超乙!
一気に読み返してたら朝になっちまったよ
今後も期待してるぜ!
397
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:01:47 ID:T8wS26JU0
┏━─
五月六日 午後十二時三七分 ファミレス
─━┛
十年ほど前に、ヴィップ大学に存在したサークル。
インドア趣味を持つ内向的な人達で、アウトドアを楽しむために結成された。
芹澤ミセリに情報を聞き、翌日より詳細な捜査がはじまった。
もとよりペニーと壁は、各被害者の情報を集めるために奔走していた。
それらと並行してサークルに探りを入れることになるため、
時間と手数が要求される局面だったと言える。
犯人がミセリに要求した日時は、五月六日、十六時、ヴィップの滝公園。
会議の結果、現場に警備は配置しないことにした。
代わりに、私服に扮した警官を多数、呼び寄せることとなった。
これはぎょろ目の発案だった。
ワカッテマスは、人命がかかっているから強硬手段を取ろうと最後まで否定していた。
ペニーは逆に、数を集めた時のデメリットを嫌い、犯人とのタイマンを望んでいた。
.
398
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:02:21 ID:T8wS26JU0
争点となったのは、犯人の殺意の有無だ。
現状、全員が全員、あると睨んでいた。
しかし、あるにしては疑問点が浮かんだのも事実だった。
ずばり、予告ではない点にあった。
また、人目のつく公園が舞台、という点も怪しかった。
それまでの犯行手口と、まるで違うこと。
予告しないのであれば、ひっそりと殺せばいいだけのこと。
ワカッテマスはこれに、公園から人目のつかない場所、
それこそミセリ宅に上がりこむなどを懸念事項として挙げた。
抗ったのは、ぎょろ目だった。
そこまで人命を警戒するなら、そもそも接触を許すべきではない。
犯人を刺激せず、監視の目を行き渡らせるには、
警官に私服を着せ、一般市民に見せるのが一番効率的だ。
ワカッテマスもその点は認めていた、というのが最終的な決め手だった。
.
399
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:02:55 ID:T8wS26JU0
会議がひとまずの結論を導き出し、
明くる日より求められたのが、サークル人員の徹底的な洗い上げ。
流石、盛岡、というふたりの人物を調べなければならない。
場合によっては、片方が犯人、片方が次なる被害者、となり得る。
事態は急を要したが、盛岡という人物についてはすぐさまアプローチを仕掛けることが叶った。
(;´・_ゝ・`) 「……まさか」
(;´・_ゝ・`) 「こんな形で、再会することになるなんて」
(;´・ω・`) 「まったくだ…」
かつて、オオカミ鉄道がリリースした特急列車にて事件が起こった。
そこは特殊な密室となっていて、偶然、僕も乗り合わせていた。
盛岡、と名前を聞いた時は、まだピンと来ていなかった。
別段珍しくない名前だったためだ。
.
400
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:04:09 ID:T8wS26JU0
(;´・_ゝ・`) 「さ、最近……どうですか!」
(;´・ω・`) 「ぼちぼちだね……ウン、そうそう……」
あの時の密室にも。
盛岡という名前を持つ男が、乗り合わせていた。
盛岡。 オタク。
デミタスという名前を聞いた時、もしや、とは思ったのだ。
ヴィップ大学、在籍年代、名前。
個人を特定するには十分すぎるほどのデータが、あった。
そのため、当時の 「盛岡」 という人物を割り出すまでは容易かったのだが、
そのデータを警察で照会した時、想定外すぎるハプニングが起こった。
ヒットしたのだ。
この男は、過去に事件に関わったことが、あった。
ひょっとすると、そこから事件解決の糸口が。
と思ったところで、担当の事務員が、目を丸くして言ったのだ。
「イツワリさんが……扱った事件ですね……」
.
401
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:05:02 ID:T8wS26JU0
(´・ω・`) 「…」
(´・_ゝ・`) 「…」
不思議な心地に見舞われた。
このたびの、連続する事件。
かつて担当した、誘拐事件を彷彿とさせる。
続けて、かつて担当した、密室鉄道の関係者が現れた。
他方、本件の関係者であるミセリが、自分と似たような境遇にあるのだ。
デミタスに捜査協力を頼むと、快諾してくれた。
彼が連続予告殺人を知っていたのももちろんだが、
何より、彼が僕、ショボーンのことを知っていたのが大きかった。
(´・_ゝ・`) 「いまでも、たまに思い出すんですよ」
(´・ω・`) 「あの時の?」
(´・_ゝ・`) 「そそ」
(´・_ゝ・`) 「刑事さんは、そうでもないんですか」
(´・ω・`) 「……どうだろうね」
.
402
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:05:27 ID:T8wS26JU0
最初、デミタスは警戒していた。
犯人が、警察を装っておびき寄せようとしているかもしれない、と。
事件を知り、デミタスは、田舎に逃げていた。
ヴィップにいると殺されかねない、と思ったらしい。
しかし、話していると、互いに妙な違和感に包まれた。
デミタスが、もう一度お名前、よろしいですかと聞いたところで発覚したわけだ。
(´^_ゝ^`) 「ふーん……そんなもん、なんですかね」
(´・ω・`) 「妙に落ち着いてますね」
(´・_ゝ・`) 「そりゃあ」
デミタスの希望で、人の少ない落ち着ける場所で会うことになった。
結果が、ファミレスだった。
確かに、落ち着ける場所でこそあるが。
喫煙ルームの、一番端のテーブルである。
周りをついたてや壁が囲っている、個室のような印象のテーブルだった。
.
403
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:05:57 ID:T8wS26JU0
(´・_ゝ・`) 「目の前に、いますから」
(´^_ゝ^`) 「あの事件を、鮮やかに解決した…あの刑事さんが」
(;´・ω・`) 「そりゃあどうも」
すんなり話が聞けそうなのはありがたいことだが、
妙にくすぐったくて、嫌だ。
(´・ω・`) 「そうだな…」
(´・ω・`) 「最近、お仕事などは何を?」
(´^_ゝ^`) 「しがないフリーターですよ。 トホホ…」
(´・ω・`) 「というと」
(´・_ゝ・`) 「普段はコンビニで……たまに、日雇いで」
.
404
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:06:20 ID:T8wS26JU0
話しているうちに、当時の景色が脳裏をかすめていく。
確か、当時もこの男は、フリーターだった。
(´・ω・`) 「結構、厳しそうですね」
(´・_ゝ・`) 「まあ、将来なんてありませんが…」
(´^_ゝ^`) 「でも、自由に生きてる感じがして、楽しいですよ」
盛岡も、ミセリの話にあった通り、三十二だ。
独身で、定職にも就いていない。
しかし、とてもそうは思わせない楽観的な姿勢が窺える。
(´・ω・`) 「大学時代、例のサークルに参加してたんだって?」
(´・_ゝ・`) 「ですね。 ハイ。」
(´・_ゝ・`) 「ギコも、クックルも、セリっちも、ヒッキー氏も」
(´・_ゝ・`) 「全員、知ってますよ」
.
405
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:06:40 ID:T8wS26JU0
デミタスがサークルの一員であることは、疑う余地もなさそうだ。
実に流暢で、砕けた様子で話している。
(´・ω・`) 「確か、アウトドアサークル、だっけ」
、 、、 、、 、、
(´^_ゝ^`) 「リア充しようぜ!」
(´・_ゝ・`) 「が、合言葉のサークルですね」
(´・ω・`) 「リアジュウ?」
(´・_ゝ・`) 「リアル……現実を、充実させようッてこと」
(´・ω・`) 「なるほど」
インドアによるアウトドアサークル。
なるほど確かに、この男が言うと説得力がある。
(´・ω・`) 「じゃあ、あんたの趣味も、釣りとか旅行とか?」
(´^_ゝ^`) 「みんなでワイワイするのは、好きですよ」
(´・_ゝ・`) 「そこに、インかアウトかは関係ないです」
.
406
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:07:03 ID:T8wS26JU0
趣味、趣味か。
おぼろげだった記憶が、蘇ってくる。
盛岡デミタス、この男は確か、特殊な趣味をしていた。
なるべく触れたくはないが、事件のためだ。
(´・ω・`) 「確か、漫画…とか好きじゃなかったっけ?」
(´・_ゝ・`) 「そりゃあもう!」
(´・_ゝ・`) 「あの時も、刑事さんに見られたっけ」
(;´・ω・`) 「僕みたいな中年には、理解しかね……エット。」
(´^_ゝ^`) 「いいですよ、いいですよ」
(´^_ゝ^`) 「他人に理解されないッてのは、昔ッから、わかってます」
(´・_ゝ・`) 「だからこそ、わかる人らで、アウトドアしてたんですよ」
(´・ω・`) 「ほう」
.
407
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:07:44 ID:T8wS26JU0
内容がどんなものであれ。
趣味が合う人同士のアウトドアは、さぞかし楽しいことだろう。
そう考えると、インだろうがアウトだろうが、というのは説得力がある話だ。
(´・ω・`) 「となると、フッサール擬古やヒッキー小森も」
(´・ω・`) 「その……まあ、そんな趣味が共通していたんだね」
(´・_ゝ・`) 「ううん……ギコは違うかなァ」
(´・ω・`) 「あら」
デミタスは少し、言葉を濁した。
ギコは、か。
(´^_ゝ^`) 「ヒッキー氏、兄者氏とは盛り上がりましたよ」
(´・_ゝ・`) 「ただ、クックルとかギコは、そうでもなかった」
(´・ω・`) 「ギコって、どんな人だったの?」
.
408
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:08:28 ID:T8wS26JU0
(´・_ゝ・`) 「どんな……か。」
名は体を表す、とでも言うのだろうか。
デミタスは、コーヒーを好んで飲んでいた。
それも、これで三杯目、すべてブラックである。
平日の昼間に、若くはない男ふたりがコーヒーを飲んでいるんだ。
はたから見ても、別段違和感はないだろう。
マスコミの視線などは、一切なかった。
(´・_ゝ・`) 「クックルもだけど、兄者氏が誘った人だよ」
(´・_ゝ・`) 「学生ホールで、ひとりで本読んでたところに声をかけたらしい」
(´・ω・`) 「本、か」
(´^_ゝ^`) 「あ。 いかがわしい本じゃないよ」
(;´・ω・`) 「なんでもいいよ!」
.
409
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:08:54 ID:T8wS26JU0
(´・_ゝ・`) 「兄者氏はなァ」
(´・_ゝ・`) 「むちゃくちゃ、むちゃくちゃコミュ力高いんですよ」
(´・ω・`) 「コミュ力はわかるぞ。 コミュニケーション能力だ」
(´・_ゝ・`) 「はあ」
(´・_ゝ・`) 「セリっちとは、もう会ったんですか?」
(´・ω・`) 「むしろ、彼女からあんたのことを聞いたよ」
(´・_ゝ・`) 「え!なんて言ってましたか?」
(´・ω・`) 「や、名前しか聞いてないね…」
(´・_ゝ・`) 「そっか…」
デミタスも、部員とは仲良くしていたのだろう。
懐かしそうに、寂しそうに目を細めた。
.
410
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:09:25 ID:T8wS26JU0
(´・_ゝ・`) 「マ、いいや」
(´・_ゝ・`) 「あの子、パッと見、ばりばりなパリピ、陽キャじゃん」
(´・ω・`) ???
(´・_ゝ・`) 「オタクの集まりに、全然似つかわしくない」
(´・_ゝ・`) 「でも、兄者氏の勧誘で、入った」
(´・ω・`) 「その話は、聞いたな」
(´・ω・`) 「なんだかんだ、楽しかった、ッて」
(´^_ゝ^`) 「なんだかんだ……か」
(´・_ゝ・`) 「マ、それだけ、一緒にいて楽しい人なんだ」
オタク、というものに対しての嫌悪感は、強かった。
しかし察するに、彼女もデミタス同様馴染んでいたのだろう。
そして、それは部長の功績でもある。
.
411
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:09:58 ID:T8wS26JU0
(´・ω・`) 「当時の彼女は、どんな人だったんだい?」
(´・_ゝ・`) 「女王様、だね」
(´・ω・`) 「はァ?」
(´・_ゝ・`) 「最初は、むっちゃ距離置かれてたけど」
(´・_ゝ・`) 「気がついたら、野郎どもの背中を踏んで、ケラケラ笑ってたかな」
(;´・ω・`) 「それはそれは……」
(*´・_ゝ・`) 「あの子、すんごいドエスなの!」
(;´・ω・`) 「わかった、それはいいよ」
(;´^_ゝ^`) 「おっと……今の話は、ナイショでお願いしますね」
(´・ω・`) 「ハハハ」
誰がするか、こんな話。
.
412
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:10:49 ID:T8wS26JU0
(´・ω・`) 「で、同じサークルだったクックルと結婚したんだよね」
(´・_ゝ・`) 「それ、実は知らなかったんだよね」
(´・ω・`) 「え、まじ?」
(´・_ゝ・`) 「エット………」
(´^_ゝ^`) 「ああ、確かに付き合ってはいたな」
(´・ω・`) 「ゴールイン自体は、知らされてなかったんだ」
(´・_ゝ・`) 「マ、サークル終わってからは連絡もなかったしね」
(´・ω・`) 「うん……、……」
サークルが、終わってからか。
部長の卒業で自然消滅したのか、はたまた、違う理由か。
.
413
:
名無しさん
:2018/09/20(木) 03:11:14 ID:T8wS26JU0
(´・ω・`) 「まあ、それはいいや」
(´・ω・`) 「サークルそのもの……について、聞かせてほしい」
(´・_ゝ・`) 「いいですよ。 どこから?」
どこから、か。
この調子だと、隠し事なしで教えてくれるだろうか。
ミセリは、どこか何かを言いあぐねている様子だった。
デミタスに、それはあるのだろうか。
(´・ω・`) 「そうだな」
(´・ω・`) 「まず、部員だ」
(´・ω・`) 「フッサール擬古、ヒッキー小森、クックル三階堂、芹澤ミセリ」
(´・ω・`) 「あんたと、部長の流石兄者……で全員なんだね?」
(´・_ゝ・`) 「…」
.
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