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('A`)はドクトラセブンのようです

620名無しさん:2019/03/09(土) 22:56:03 ID:A.YRKkos0
俺もヴィプトラ賞だとか最高のヒーローだとかを憧れてヴィプトラの戦士になったよ。
それでずっと上からの命令通り必死に戦った。毎日毎日悪と殺し合いだよ。
そうしていくうちに強くなり気づけば『宇宙最強』さ。

宇宙最強になってからも何も変わらない日々が続いたよ。
ひたすらに上からの命令で悪と殺し合いをする日々。

でもそのかいあってか周りからは尊敬のまなざしとかファンができたりだとかいろいろいい思いもあったさ。
名誉あるヴィプトラ賞も何度か受賞したし。

でもある日ふと思ったんだ。
自分が成りたかったものってこんなものだったのかって。
振り向いた背後にある死体の山を見て思ったんだ。
ただ上からの命令で戦い、命を奪うことが俺のやりたかったことなのかって。

そう考えるようになってからモチベーションが落ちてな。
ある日戦っていた悪党を取り逃がしてしまって宇宙のはずれまで追いかけた。
正直やる気がなくて大盛り上がりな一番の戦場から逃げ出したかったんだ。

その悪党を追って行きついたのが地球だったよ。
その星に着いたら運悪くパトロールしてたVIP特捜隊とぶつかって死なせてしまったんだ。
やべぇと思ってとりあえず俺の命を共有することで事なきを得た。
本当はすぐに戦場に戻るのがいやだったからだけどな。

それからしばらくは一つになった地球人と一緒に生活した。
その地球人の目を通していろいろなものを見て感じたよ。

最初は文明レベルも低い貧弱な連中だと見下していた。
ただサボれる口実があればどうでもよかったからそんな未開な土地でもいいやって。

でもさ、その星のみんなみんな必死に自分の人生を生きようとしてた。
輝かしい未来を信じて明るく平和な世界にしようと。

確かに悪い奴や卑怯な奴もいたよ。
でもそれ以上に家族や恋人を愛し、友と友情を育んでいく地球人を見ているうちに尊敬と敬意を持つようになった。

だから俺はまだ怪獣が暴れる時代、VIP特捜隊と一緒に地球人のために戦おうって思った。
辛いことや悲しい戦いもあった。
だが、信頼できる地球の友と戦えて幸せだったよ。

地球人のために戦っている、その時初めて気づいた。
自分が何のために戦いたかったのか。
ただ上の命令通りに力をふるっていたころにはなかった気持ちに。
地球に来なかったら俺はただ力の強い「だけ」の奴になっていた。それは本当に恐ろしいことさ。


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