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('A`)はドクトラセブンのようです

548名無しさん:2019/01/23(水) 22:58:17 ID:djBPHcOU0
それはひどい嵐の夜、もう使われていない工場でそいつとそいつの戦友は地球を侵略しに来た宇宙人たちと戦っていた。
その日も順調に侵略者たちを倒していったよ。
でもそいつはライバル視していた戦友に一歩及んでいなかった。一度も勝てたことがなかったんだ。
だからくだらない賭け事をしてでも何としても勝とうとした――

ちょうどおあつらえ向きにまだ侵略宇宙人が一人残っていてこれはチャンスだと思ったんだそいつは。
奴を倒せば初めて勝てる。絶対に逃がしてたまるか。
そういった焦りのせいで逃げた侵略宇宙人が仕掛けた罠に気づかなかった。

普段だったら見落とさない物もその時は見えてなかった。
気づいたらもう吹っ飛んでたよ。でも大した怪我じゃなかった。
起き上がって周りを見てようやく状況が呑み込めた。

そいつのことを戦友がかばってくれたんだ。戦友はもう手の施しようがなかったよ。
そして戦友は最後にそいつのことを守れてよかったって言ったんだ。
戦友はそいつのくだらない夢が嫌いじゃないって言ってくれたんだ。

そのお馬鹿野郎は敵も追わずにその場で大泣きしてたよ。
もう息をしていない戦友をずっと抱きしめながら。
そしてずっと憎んで恨んだよその侵略宇宙人を。
誓ったさ、必ず敵をとると。

そうやって自分をごまかしたんだ。他の奴を恨むことで。
大馬鹿野郎は。
ずっと一番に憎んで憎んでぶちのめしたくてボコボコにしてやりたい奴から。

結婚しても、子供ができても、市や早生な時間が訪れても、そいつの心のどこかではそれが許せなかった。
一番憎い奴がなぜ幸せになっている?そう思うたびに逃げた侵略宇宙人を思い浮かべてそいつが憎いと思うようにしていた。
でも何十年と時が経とうとその憎しみは消えなかった。周りにはその侵略宇宙人を絶対に許さないとか言ってるが、本当はもうそんなつもりはないのに。

その大馬鹿野郎が一番許せなかったのは自分自身だったんだ。
あの時の自分の軽率で間抜けなことが許せなかった。
何よりそのせいで同じ釜の飯を食べ、ともに戦い続けた戦友の命を奪ってしまったことが。

その事実を受け入れられなくてずっとごまかし続けたのさ。
心の隅で本当はわかっているくせに。
しまいにゃいまだに自分のことを許せないでいる。


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