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ξ゚⊿゚)ξとG師匠のようです

135名無しさん:2018/07/27(金) 01:09:03 ID:ZHUvospA0
●「実は君と会うには二回目なんだが覚えているかい?君が初めてこの部屋に来た時のゴキブリが私だよ。」

(;゚ω゚)「ああああああ!」

ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン大丈夫?ちょっと変なだけのゴキブリだから危なくはないよ。」

ξ#゚⊿゚)ξ「おい師匠!もう少しオブラートにできないの!」

●「これが普通の反応だよツン。」

●「では改めましてブーン君。私はちょっと変わったゴキブリさ。」

●「私のことは師匠と呼んでくれ。」

●「妖怪でいう猫又のゴキブリ版みたいなものだと思ってくればいいよ。」

(;゚ω゚)「夢だこれは夢なんだ。」

ξ;゚⊿゚)ξ「これは現実よ!気を確かに持って!」

( ^ω^)「ならツン!俺を殴ってくれ!それでわかるはずだ!」

( ^皿^)「さあ来い!」

歯を思いっきり食いしばる。

136名無しさん:2018/07/27(金) 01:09:36 ID:ZHUvospA0
ξ゚⊿゚)ξ「わかったわ。任せて!」

全身を力を顔面に集中させて衝撃に備え、ツンの前に自分の顔を差し出す。

ξ#゚⊿゚)ξ「オラァ!」

ツン渾身のボディーブローがブーンの腹に突き刺さる。

(;゚ω゚)「おごぉ!?」

その場に崩れ落ちる。すさまじい衝撃がブーンを襲った。
自分は死んだのか?そう思えるほどの威力だった。
すぐさまに痛みがブーンを駆け巡る。
痛い。そうだこれは痛みだ。俺は生きている。痛みによって自分の生を実感した。

( ;ω;)「生きている。俺は生きているぞぉ!」

今までの人生でこんなにも生きていることを実感したことはない。

( ^ω^)「いや違う、そうじゃない。」

夢かどうかの話だった。生きているかどうかの話ではない。

ξ゚⊿゚)ξ「え?!今の弱かった?もう一発いく?」

(;゚ω゚)「ちが!それもっと違う!」

ξ#゚⊿゚)ξ「オラァ!」

137名無しさん:2018/07/27(金) 01:10:07 ID:ZHUvospA0
情け容赦ないツンの渾身のボディーブローがブーンの腹に突き刺さる。

(;゚ω゚)「あばぁ!」

●「君は恋人を殺す気なのか!?」

ξ゚⊿゚)ξ「失敬な!ちゃんと加減していますぅ。」

ξ゚⊿゚)ξ「ほらねブーン、夢じゃないでしょ。」

(;゚ω゚)「そ、そうだねこれ現実だね。」

ξ゚⊿゚)ξ「ブーンが驚くのはわかるよ。」

ξ゚⊿゚)ξ「それにこの気持ち悪いゴキブリをどこぞの研究機関に売り払いたい気持ちもわかる。」

ξ゚⊿゚)ξ「でも待って。そうして手に入れたものはこの世のお金で中で最も汚い。」

ξ゚⊿゚)ξ「ゴキブリ並みに汚いお金よ!そんなの使いたい?」

(;゚ω゚)「いやそんな気は全く。」

ξ゚⊿゚)ξ「そう、ならよかった。」

138名無しさん:2018/07/27(金) 01:10:35 ID:ZHUvospA0
●「ブーン君驚かせて悪かったね。でも大丈夫だよ。これで私はこの家から出ていくから。」

ξ゚⊿゚)ξ「待て。誰が出て行っていいって言ったよ?」

●「いいかいツン!私は君のためを思って行動してるんだよ!」

ξ゚⊿゚)ξ「やかましい!いつも上から目線でしゃべりやがって!地べたにはいつくばってるくせに!」

ξ#゚⊿゚)ξ9m「今この場で上から物を言っているのは誰だ!」

ξ#゚⊿゚)ξ9m「テメーを見下しながらしゃべってんのは誰だ!」

ξ゚⊿゚)ξ「そもそもゴキブリの立ち位置ってわかってんのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「人間様を天井とするとよぉ。」

そう言って天井を指さす。

ξ#゚⊿゚)ξp「テメーらゴキブリはマントルくらい下なんだよ!」

今度は親指で床を指す。

●「気分を害したというなら謝るよ。ごめん。でも私は君に幸せになってもらいたいから…」

ξ゚⊿゚)ξ「まだわからんか!テメーは所詮私の父さんの少し上、弟ドクオの少し下程度でしかないんだよ!」

(;゚ω゚)(それはあのゴキブリが人間の最下層レベルなのかツンのオヤジさんと弟君がゴキブリレベルなのか)

139名無しさん:2018/07/27(金) 01:11:07 ID:ZHUvospA0
ξ#゚⊿゚)ξ9m「私たち人間はゴキブリに対して殺そうが何しようが許される立場。お前らは一方的にされるがままなんだよ!」

ξ゚⊿゚)ξ「故に私たちは貴様らからしたら神に等しい存在。どうだ私はあんたにとってどんな存在だ!言ってみろ!」

●「か、神様です。」

ξ#゚⊿゚)ξ9m「誰がゴキブリごときの神じゃ!なんだゴキブリの神って!この世でもっともおぞましい神だぞそんなもの!」

●「もう少し穏やかにしないと…彼氏さんドン引きしちゃうよ?」

ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫だよブーン。私はあなたに乱暴な言葉は使わないから。」

天使のように微笑みながらブーンにそう告げる。しかしそれとは裏腹にブーンは悟った。

( ^ω^)(これ機嫌が悪い時に俺にも来るやつだ)

ξ゚⊿゚)ξ「要するにお前たちからしたら神に近い存在がここに残れって言ってんだよ!」

●「そんなの無理に決まってるじゃないか…受け入れてもらえないよ…」

ξ#゚⊿゚)ξ9m「だから!テメーごときが悲劇のヒロインぶるんじゃねぇ!」

ξ#゚⊿゚)ξ9m「前に言ったよな鏡見ろって!今すぐ見てこいや!」

ξ゚⊿゚)ξ「現実を受け入れろ。そこにどんな不細工で悍ましくて汚らしい生物がいるかを。」

ξ゚⊿゚)ξ「誰がそんなものをヒロインだと思うよ。誰がそんなもんに同情するよ。」

●「自分でもわかってるさ!自分たちが人間からどう思われてるかなんて!」

140名無しさん:2018/07/27(金) 01:11:40 ID:ZHUvospA0
ξ#゚⊿゚)ξ9m「いい加減分かれ!この私が師匠あんたに出て行ってほしくないから残れって言ってんだよ!」

●「!」

ξ゚⊿゚)ξ「それが私の本音!だから師匠あんたはどうなんだよ!本音を言えよ!」

ξ゚⊿゚)ξ「それであんたが出ていきたいってんなら止めない。だから外見通りの汚い建前はいらねえ。あんたの本心を聞きたいんだよ!」

●「私の…本心……」

そんなの決まっている。ずっと一緒にいたいさ。
でもそれが無理なことも私は知ってる。
今でも覚えている昔の出来事。
私が初めて打ち解けられた人間ビコーズとの出会いだ。
彼は人間たちの基準で言えば不細工な顔というものだったのだろう。やることもとろくていじめられていたようだ。
でも彼は人一倍優しい心の持ち主だった。当時まだ人間の言葉がしゃべれるようになったばかりの私は今ほどの生存能力はなかった。
天敵に襲われかろうじて逃げ延びていたが、だいぶ弱っていたのだ。
そんな私をビコーズは助けてくれた。そして友達になった。それからは幸せな日々だった。
そんなある日ビコーズが私のことを他の村人たちに紹介しようとあちらこちらで私の話をしたのだ。それがいけなかった。
村人たちはビコーズを化け物の仲間だとして殺してしまったのだ。
私のせいだ。私と出会わなければこんなことには……
ひたすら自分を責めた。
それからは一匹で生きようと何十年かさまよった。だが寂しさには勝てなかった。

141名無しさん:2018/07/27(金) 01:12:07 ID:ZHUvospA0
それからデレという美しい女性と出会った。まさしく慈愛の女神といえる人だった。
彼女といるととても癒された。
彼女と出会って数か月、デレにも恋人ができたのだ。
その彼もとてもやさしい人だった。そんな彼にデレは私を紹介した。
化け物!そう言って彼は二度とデレの前には姿を現さなかった。
デレは気にしないでと言ってくれたが、あの悲しそうな眼は忘れることができなかった。
だからデレに次の恋人ができたときに私はひっそりと姿を消した。
フィレンクトが念願だったケーキ屋をオープンさせたときっも、一緒になって自慢のケーキ開発を手伝った。
でも店の人気や知名度が上がってくるとそっとフィレンクトのもとを後にした。
あの店はゴキブリと一緒になってケーキを作ってるなんて噂が立たぬよう。
モララーは自分に自信のない奴だった。だから一緒に資料作成など手伝った。そのうちに自信を持つようになった。
自信が出てからはあっという間に出世していった。もう私は必要ないね。君に必要なのは人間の仲間だよ。
今までそうやって私は生きてきた。
人間の役に立つのは光栄なことだ。一緒にいて楽しいし幸せだと感じる。
でもずっとはいられない。私と一緒にいても彼らは人間にとっての一番の幸せは得られない。
人間は人間同士で幸せをつかみ取るものだ。それはわかっているつもりだった。
一人で生きているのは寂しい、辛い、苦しい、怖い。
誰かと楽しくおしゃべりしたい。楽しい思い出を作りたい。ゴキブリだって幸せになりたいんだ。
だがそれはこんな私と友達になってくれた人間たちを不幸にしてまで願っていいものではない。
だから今までそうしてきたんだ。それはこれからも――
でもそれはツンの言う通りだ。そうやって建前を作って人間たちに嫌われないようにしているだけなんだ。
本当はこのまま一緒にいたい。寂しい思いなんてもうごめんだ。

142名無しさん:2018/07/27(金) 01:12:40 ID:ZHUvospA0
●「一緒に…いたいさ……」

●「本当はどこにも行きたくない!」

●「でもそうはいかないだろ人間とゴキブリなんて!」

●「!?」

師匠は気づいた。ツンが笑っているのに。
今まで鬼のような形相はいっぱい見てきたが、こんな優しく微笑んでいるツンは初めて見た。

ξ゚⊿゚)ξ「まったくほら見なさい。それがあんたの本音ね。」

ξ゚⊿゚)ξ「外見だけじゃなくて中身もどす黒い欲望まみれじゃん。」

●「でも私が本音を言ったところで……」

ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫よ。ブーンを信じて。」

(;^ω^)「!?」

ブーンからしたらまったくもって予想できなかった展開である。
今日はツンの返事を聞きに来たはずなのに気づいたら自分が選択を迫られている。
そしてその内容がゴキブリと一緒に住もうというものだ。
こんな展開誰が予想できるのか。
正直ゴキブリと生活なんて『No』としか……

143名無しさん:2018/07/27(金) 01:13:06 ID:ZHUvospA0
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンは言ってくれた。どんな私も受け入れてくれるって。俺を信じろって。」

ξ゚⊿゚)ξ「だから私はありのままの自分をさらけ出した。」

ξ゚⊿゚)ξ「今度は私がブーンを受け入れる番。」

ξ゚⊿゚)ξ「無理なら無理でいいんだよブーン。そしたら私は師匠をあきらめる。」

●「ああ、私もそれで大丈夫だ。君の答えを受け入れるよ。」

(;^ω^)「そ、そんなん、む……」

ごめんそんなん無理だって。

(;^ω^)「む……むr

ガブッ

思いっきりブーンが自分の舌をかんだ。とは言え舌がかみ切れるほどではない。それでも血が出てきた。

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっ!大丈夫?」

144名無しさん:2018/07/27(金) 01:13:45 ID:ZHUvospA0
(;^ω^)「なあにこれくらい!」

( ^ω^)「それに忘れたのかツン、俺は誰だい?」

( ^ω^)b「内藤ブーンだぞ!」キリッ

( ^ω^)「ゴキブリの一匹や二匹……」

(;^ω^)「一匹くらいなら…ら、らくしょ……ギリギリ大丈夫かな?」

なんとも閉まらない返事だ。
でも危なかった。危うく昔の自分に戻るところだった。
ツンはありのままの自分を見せてくれた。日和って無理だって言う俺を受け入れるって言ってくれた。
なのに俺がそんなツンを受け入れないでどうするんだ。男に二言はない。
それに男はいつだってやせ我慢だろ!

ξ*゚⊿゚)ξ「まったくブーンらしい返事ね。」

膝が笑っているブーンに対して言う。その顔は嬉しそうだ。

●「本当にいいのかいブーン君?」

( ^ω^)「ええっと師匠だっけ?よろしく。」

そいって握手よろしく手を伸ばすブーン。

145名無しさん:2018/07/27(金) 01:14:15 ID:ZHUvospA0
●「!」

●「ああ!よろしくブーン君!」

カサッ

師匠も足一本を延ばす。それをブーンが人差し指と親指でつまむ。

( ゚ω。)「お……」

●「まさかブーン君も私を受け入れてくれるなんて本当にありがとう……ブーン君?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!」

( ゚ω。)「」

●「し…死んでる…」

いきなりゴキブリとの接触は早すぎたようだ。

( ^ω^)「いやぁ、一瞬三途の川が見えたよはっきり。」

ξ#゚⊿゚)ξ「いいこと師匠!今後ブーンの半径二メートル以内に入らないこと!」

●「はい。肝に銘じておきます。」

146名無しさん:2018/07/27(金) 01:14:45 ID:ZHUvospA0
( ^ω^)「まあでもたまに二人だけの時間をくれたら全然問題ないよな。」

ξ゚⊿゚)ξ「そうよ、そういう時は下の部屋にでもご厄介になってきなさいよ。」

●「そうさせてもらうよ。」

(;´・ω・`)(なんだろ突然寒気がしてきたぞ)

(;´-ω-`)(まあ僕の人生なんて碌なもんじゃないからな)

(´・ω・`)(どうせよくないことが起きるんだそうに決まっている)

この後ショボンのもとに謎のしゃべるゴキブリが現れ一人と一匹で出世街道を上がっていき、社長にまで登り詰める。
更には世界で有数企業にまで発展させるとは誰も知る由もなかった。

●「まったく出会った時から思ってはいたけど、君は本当にすごいお嬢さんだったよツン。」

ξ゚⊿゚)ξ「あんたは本当に面倒なゴキブリだったよ師匠。」

●「でもこれからもよろしくツン!」

ξ^⊿^)ξ「ああ!よろしくな師匠!」

こうして一人と一匹の物語は終わりを迎えた。
それは同時に二人と一匹の物語の始まりでもあった。
そしてそれはいずれ三人と一匹になっていくことでしょう。

ξ゚⊿゚)ξとG師匠のようです

おわり

147名無しさん:2018/07/27(金) 01:18:46 ID:ZHUvospA0
以上で終わりとなります。
初めての投稿で、誤字脱字があったと思います。
他にもおかしな点があったと思いますが、皆様に応援いただいて何とか完結できました。
本当にありがとうございました。
また何かアイデアがひらめいたら投稿したいと思います。

148名無しさん:2018/07/27(金) 02:37:20 ID:bP5h18vE0
ショボンが突然もの凄い救済をうけててワロタ

149名無しさん:2018/07/27(金) 02:37:46 ID:bP5h18vE0
面白かったぞ乙

150名無しさん:2018/07/27(金) 02:46:18 ID:vzO4RF0Q0
夏?らしくて良いな!!

さてコンバットとブラックキャップ買ってくるか

151名無しさん:2018/07/27(金) 03:19:06 ID:ZuVTQtTg0
ショボンが報われて良かった!

152名無しさん:2018/07/27(金) 06:07:20 ID:ChFb0gxs0
乙でした!
ブーンが最後まで心イケメンで良かった

153名無しさん:2018/07/27(金) 08:46:58 ID:Yi4pfvcY0
面白かった!乙

154名無しさん:2018/07/27(金) 20:43:41 ID:1RnV3Xxo0
最後までテンポが落ちずに読後感も実に爽快
素晴らしかった!

155名無しさん:2018/07/28(土) 09:01:12 ID:vv8L63820
なんだこの爽やかさwwwww乙

156名無しさん:2018/07/31(火) 05:12:29 ID:.4lF88qM0
おつ ツンとG師匠イケメンすぎ

157名無しさん:2018/07/31(火) 12:54:27 ID:l7O6.iAk0
ショボン………

良かったなー

乙だぜ!

158名無しさん:2018/08/06(月) 00:55:48 ID:DHpit5yw0
滅茶苦茶良かった!
G師匠が過去の人間達を回想する所好き

乙!

159名無しさん:2018/08/30(木) 03:01:49 ID:I.Nibk5w0
名作をありがとう
https://i.imgur.com/PtJsG7h.png

160名無しさん:2018/09/25(火) 20:30:49 ID:pZ1sc7ng0
面白かった!
ツンが格好良くて好きだ


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