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ξ゚⊿゚)ξとG師匠のようです

1名無しさん:2018/06/29(金) 01:16:14 ID:c7W46wXw0
これは1人と一匹の物語

今も虫は嫌いだ。昔は大嫌いだった。とりわけ「それ」は死ぬほど嫌いだった。
小さい頃「それ」は恐怖の象徴だった。遭遇したら恐怖で震え上がり、体が動かなくなるほどだった。
そんな私に人生の転機が訪れたのは小学校五年生の夏だった。
夏休み前のある日学校から帰ると、弟のドクオが私のとっておいたプリンを食べていた。
怒った私はドクオをボコボコにしてやった。
その後私は不機嫌ながらもリビングのテレビをつけソファーに腰を掛けながら「ありえない」「人間としておかしい」などとぶつくさ独り言を言っていた。
ドクオはというと私から少し離れた所で涙目になりながら椅子に座りテーブルに置いたままになっている自分が食べてしまったプリンの容器をじっと見つめていた。
それからほどなくしてドクオが席を立ちトイレのほうへと向かっていった。
「あっ!」と言うドクオの驚きの声がしたので何事かと私もトイレに向かった。
するとトイレの前で固まったまま動かなくなっているドクオを見つけた。
そしてよく見るとトイレのドアの前に「それ」はいた。

ξ;゚⊿゚)ξ「……!」

私も恐怖のあまり体が動かなかったが、今は別にトイレには用がないのでゆっくりあとずさりしようとした。その時だった。

(;A;)

2名無しさん:2018/06/29(金) 01:16:59 ID:c7W46wXw0
ついさっき私に怒られボコられ散々な目にあい、ついにはトイレに行こうとたら「それ」と遭遇してしまった哀れなドクオの顔が目についた。
彼は足を震わせながら必死に恐怖と尿意に耐えていた。しかし、涙目だった目からは涙がこぼれていた。
正直怒られたりしたのはドクオのせいだしご愁傷様と思ったが、もしこのまま私がドクオを見捨てたら……
彼は毎年夏が来るたびに思い出すことになる、小学校一年の頃姉にはボコボコにされゴキブリが怖くてトイレに入れず漏らしてしまったと。
そんな惨めな思いは自分の弟にはさせられない、私が助けてやる!そう強く思った。
思ったと同時に体が動いた。リビングに行き新聞紙を丸め右手に持つとと勢いよく「それ」に向かって振り下ろす。

バシンッ

しかし簡単に避けられてしまった。
それでも何度も振り下ろす。

ξ゚⊿゚)ξ「うおおお」

気づけば無我夢中で叫んでいた。
新聞紙の猛攻から余裕の表情で逃れていた「それ」は悠々と私の左側から逃げようとした。
その時自分でも意識せずに反射で左手が動いた。

バンッ
べチョ

左手の手のひらに気持ち悪い感触が……

ξ;⊿;)ξ「お…おぉ…」

私は泣きながら立ち上げり洗面所へと向かった。

3名無しさん:2018/06/29(金) 01:17:30 ID:c7W46wXw0
夕方両親が仕事から帰り家族四人そろって晩御飯を食べている時にドクオがその時の様子を興奮気味に語った。

(*'A`)「その時ね、姉ちゃんがこうバンバンとこうやって。」

J( 'ー`)し「あらあらそれはよかったわねえ。」

( ´∀`)「ドクオには強いお姉ちゃんがいてうらやましいな。」

ξ*゚⊿゚)ξ「べ、別にあんたのためにやったんじゃないんだからね!」

かなり無理をしたがドクオが元気ならそれでいいそう思った。
それが最初のきっかけだった。それからはそんなに時間はかからなかった。

その事件があった週の土曜日の昼頃、そろそろお昼ご飯かなと部屋でくつろいでいた時に

「ぎゃあああ」

という母さんの悲鳴が聞こえた後

「ツンこっちきてぇえ」

母さんの叫びが聞こえた。
慌てて自分の部屋を飛び出しキッチンへと向かう。
腰を抜かした母さんが「それ」を指さし早くやって!と叫び続けている。

ξ;゚⊿゚)ξ「え?」

あの時は無我夢中だったから勢いでできたが正直いまだに怖いのである。

J(; 'ー`)し「ツン早く!あなたならできるでしょ!」

4名無しさん:2018/06/29(金) 01:17:59 ID:c7W46wXw0
うちの家族はみんな虫……とりわけ「それ」がダメだった。
しかたなしにまた新聞紙を丸め応戦してみる。
今回は腰が引けておっかなびっくりであった。
「それ」はそんな私の攻撃を欠伸が出るぜと言わんばかりにかいくぐり私の足元を抜けていこうとした。

ξ;゚⊿゚)ξ「ヒッ」

自分の方に突っ込んでくるものだから思わず一歩下がってしまった。

ぐちゃっ

ξ;⊿;)ξ「あ……」

タイミングが良いのか悪いのか下がった足で踏みつぶしたのだ。
足の裏にまたあの感触が……

J(; 'ー`)し「あ、ありがとうツン。今日はツンの晩御飯はツンの好きなのでいいわよ。」

5名無しさん:2018/06/29(金) 01:18:28 ID:c7W46wXw0
その日の夕飯はカレー、寿司、ラーメンの三点セットだった。

( ´∀`)「くぷぷぷ」

晩御飯の時の父さんはいつになく上機嫌だった。

( ´∀`)「いやあ今日用事さえなければゴキブリ相手に腰を抜かした母さんが見れたのにな。」

J(;'ー`)し「もういいでしょその話は。」

( ´∀`)「いやいやそんな傑作な話はなかなかないよ。くぷぷぷ」

普段母さんの尻に敷かれている父さんは珍しく強気だ。

( ´∀`)「いい年こいた大人が自分の娘に助けを求めるとはね。」

J(;'ー`)し「父さんだってゴキブリはダメでしょ!」

( ´∀`)「いやいや、男というものはそういう場面で真価を発揮するんだよ母さん。」
( ´∀`)「俺だったらババっと仕留めちゃうね。」
( ´∀`)「腰抜かして慌てふためくなんて。」
( ´∀`)「少なくもツンに助けを求めるなんて無様なマネ俺はしないなあ。」
( ´∀`)「くぷぷぷ」

まるでこの家のヒエラルキートップはこの俺だ!と言わんばかりの父さんを見たのは後にも先のもこの時だけだった。
終焉の訪れは早い。

6名無しさん:2018/06/29(金) 01:19:00 ID:c7W46wXw0
次の日、私と母さんとドクオの三人でデパートにショッピングをしに行き、夕方うちの帰りつくとそこには哀れな父さんの姿が……

(;´∀`)「た、た助けて……助けてくだしゃい……」

窓枠に足をかけカーテンレールやエアコンにつかまり床にいる「それ」から少しでも距離を取ろうとあがく父さんを三人は呆然と見ていた。

ξ゚⊿゚)ξ「……。」

もう怖くもなんともなかった。スッと近づくと片手でバンッと一撃で潰しておしまいだった。
そのまま何事もなかったように洗面所で手を洗うと

ξ゚⊿゚)ξ「母さん晩御飯作るの手伝うよ。」

('A`)「あ、ボクも手伝いやりたい。」

J( 'ー`)し「ふふふ、ありがとう二人とも。」

そうして三人で何事はなかったかのようにご飯を作り始めた。

(;´∀`)「あ…うん……」
(;´∀`)「今日は調子悪かったからかな。」
(;´∀`)「いや昨日の疲れがひどいせいだな。」
(;´∀`)「そういうことなんだよみんな。」

父さんのヒエラルキーはもろくも崩れ去った。

7名無しさん:2018/06/29(金) 01:19:24 ID:c7W46wXw0
そのころから私にとって虫……「それ」は恐れなどからくる大嫌いからただ鬱陶しい、うざいだけの嫌いになった。
それからというものうちでは虫が出たら私が駆除する役目になった。
それは学校でも

登山

川;゚ -゚)「アアァ!ツンツンツン!虫ムシむしがぁ!」

ξ゚⊿゚)ξ「はいはい、こんなん片手でとって潰してポイよ。」

部活の合宿

ノハ;゚⊿゚)「へ、ヘルプミーマイフレンド!足がいっぱいある虫がおるよぉ」

ξ゚⊿゚)ξ「踏みつぶして終わりよこの程度。」

授業中

(;^ω^)「窓から変な虫が入ってきたお!」

ξ゚⊿゚)ξ「うるさいわね。」

パンッ

両手で潰して死骸を外に投げ捨てた。

(;^ω^)「お、おぅ」

あれ以来私は何事にも動じず落ち着いて物事に対処できるようになっていた。

8名無しさん:2018/06/29(金) 01:19:51 ID:c7W46wXw0
そんな私にも大学時代恋人ができた。

( ゚∋゚)「ごめん、待った?」

ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫、私も今ついたとこだから。」

クックル君。高校時代はそこそこ強い野球部でキャプテンをしていて大学でも野球をしている。
体は大きくがっしりしていて顔もこわもてだ。そのうえ常に坊主頭にしている。
外見を見れば怖い人だが性格はすごく優しいのだ。
ファミレスのドリンクバーで子供がふざけて遊んでいて誤ってアツアツのスープをかけられた時も

( ゚∋゚)「大丈夫?怪我とかない?」

( ゚∋゚)「あ、俺は大丈夫ですよこれくらい。Tシャツも安物なので弁償といいいですよお母さん。」

( ゚∋゚)「こういうとこで遊んでいると危ないからこれからは気を付けるんだよ。」

と優しく声をかけていた。それ以外でも困っている人がいれば率先して声をかけ、喧嘩があれば持ち前のパワーを生かし、仲裁に入り場をなだめたりしていた。
本当にいい人に出会えたと私は思っていた。本当に大好きだった。
でもことは突然訪れる。

9名無しさん:2018/06/29(金) 01:20:20 ID:c7W46wXw0
prrr

ξ゚⊿゚)ξ「はいもしもし」

(;゚∋゚)「ごめんツン、バイトまでまだ時間あるよね?」

ξ゚⊿゚)ξ「あるけどどうしたの?」

(;゚∋゚)「お願いなんだけど殺虫剤うちまで持ってきてもらっていい?」

ξ゚⊿゚)ξ「ふふふ、いいよまっててー。」

(;゚∋゚)「ありがとー助かる。」

顔に似合わずかわいいとこあるじゃない。
でも殺虫剤なんかいらない。たまには私のかっこいいとこ見せてあげる――そう思った。

10名無しさん:2018/06/29(金) 01:20:51 ID:c7W46wXw0
クックル君の部屋のドアを開け、「大丈夫?私が来たよー」と言って中に入る。
中に入ってみると部屋の隅にあるベットの上に立ちなるべく「それ」と距離を取りながら固まっているクックル君の姿があった。
なんだか昔見た父さんの姿を思い浮かべた。

(;゚∋゚)「あ、ありがとうツン。は、早く殺虫剤を。」

そういう彼をしり目に私は「それ」にスッと近寄りいつものようにワンパンで仕留める。

(;゚∋゚)「え?」

ξ゚⊿゚)ξ「ま、これくらい私にかかれば朝飯前よ!」

ξ゚⊿゚)ξ「それじゃバイトいってくるね。」

そう言い残して私はその場を後にし、バイトに向かった。

(;゚∋゚)「……。」

大学の講義が終わった平日の夕方と土日はレストランでバイトをしていた。
なかなか繁盛している店で平日でも後片付けを終える頃には夜遅くになってしまう。
その日も片付け終えた頃には11時を過ぎていた。
着替えを終えてさあ帰ろうかという時にクックル君から一通のメールが届いた。

「別れよう」


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