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とある英雄譚のようです

5名無しさん:2018/04/22(日) 20:49:21 ID:G.gIoQVo0

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彼のもとにそれが届いたのは、丁度太陽の下で身体を温めていた時だった。
彼らの一族が暮らしている一帯で最も高い山の、頂点に位置する大樹の上。
寝そべっていた男は薄目を開けてその存在を確認し、再び瞼を落とした。

( ФωФ) 「……そうか、もうそんな頃合いなのか」

柔らかい光に包まれながらも、手紙を象った魔力は自身の存在を主張する。
明滅を繰り返しながら、男の周囲に浮かんだまま。

( ФωФ) 「毎度毎度、丁寧なことだな。わざわざこのようなことをしなくてもよいのだが」

深い皺の刻まれた手を伸ばして手紙を受け取り、乱暴に封を破く。
中に入っていた一枚の便箋を読みもせずに、丸めて投げ捨てた。
白い光は風に乗って宙を舞い、山間に消えた。
宛名が無く、差出人の名前も無い封筒もまた、数秒後に同様の末路を辿った。

( ФωФ) 「今年は少し早かったような気もするが……やれやれ……。
         はたして彼か、そうではないか」

男の胸中に浮かび上がる情景は今から十数年ほど前。
今と同じように昼の光を浴びている時に現れた無粋な来訪者。


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