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とある英雄譚のようです

25名無しさん:2018/04/22(日) 21:03:11 ID:G.gIoQVo0

ロマネスクが手を軽く横に振るう。
たったそれだけの行為にどれだけの力が込められていたのか。
汚れた爪は、半ばから半分に折れていた。

「……!」

その衝撃で揺らいだ黒龍の身体は、うめき声をあげる間もなく地面に激しく叩きつけられた。
身体の半分を大地に沈めながら、頭だけをもたげて未だ宙に浮かぶロマネスク睨む。

( ФωФ) 「たかだか精霊術と侮ったか、龍属。
        確かに、三術の中でも最も力が弱いと言われているがな。
        その実、最も汎用性の高く豊富な術式があることを知らなかったか」

「貴様……人間ではないのか?」

( ФωФ) 「ようやく気付いたか。以前戦った龍属の女王は一目で見抜いたぞ」

「妃龍クレシア……龍属の歴史で王の座に就いた唯一の雌龍だ。
 そして我らの歴史の最大の汚点。冗談を言うな。二千年以上前の話だ」

( ФωФ) 「たった二千年だ」

「確かに、精霊術はその者と精霊との干渉が長ければ長いほど強い力を得る。
 ……貴様の話が本当かどうか試してやろう」

( ФωФ) 「さっきので十分だろうに。この星ごと壊すつもりか?」

「貴様が受けきれば済む話だ」


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