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(´・_ゝ・`)ペアリングのようです(゚、゚トソン
318
:
名無しさん
:2018/10/14(日) 21:01:40 ID:dMC0Z1q.0
乙です!ニュッ君と少し打ち解けられてよかった!
次回もすごく気になる!
319
:
名無しさん
:2018/10/26(金) 06:12:18 ID:g0su1mhU0
乙!やっと追いついた
いい飯テロ作品で呑みたくなる
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_2540.jpg
320
:
名無しさん
:2018/10/26(金) 22:34:05 ID:5wCzyPnE0
支援絵おつ
二人ともかわいいw
321
:
名無しさん
:2018/12/14(金) 21:27:34 ID:.rlTyEkw0
つづきが読みたいでふ・・
322
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:38:08 ID:OSDLjeuQ0
( 私の家はいつも、良い匂いがした。 )
.
323
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:38:39 ID:OSDLjeuQ0
10.
324
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:39:10 ID:OSDLjeuQ0
母親は料理上手な人で、毎日手作りのお菓子を作ってくれた。
私は母親が作るものが大好きだった。
きっと年の離れた妹と弟もそうだったはずだ。
(゚ー゚*トソン「お母さん、今日のおやつ何?」
|゚ノ ^∀^)「今日はみたらし団子作るわよ〜」
(・∀ ・)「ハロウィンなのに?西洋文化だよ、和菓子作るの?」
|゚ノ ^∀^)「細かいこと気にしなーい」
(゚ー゚*トソン「私も作りたい!お母さん、お腹に赤ちゃんいるんだから無理しちゃダメだよ!」
|゚ノ ^∀^)「作り方教えてあげるわね、棚の上から白玉粉取ってくれる?」
(゚ー゚*トソン「はーい!」
(・∀ ・)「トソンはお母さんが大好きだなぁ」
(゚ー゚*トソン「うん!」
|゚ノ ^∀^)「あ、トソン!脚立乗るときは気をつけなさい!」
325
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:39:54 ID:OSDLjeuQ0
ごく普通の、普通だけど幸せな家族。
それが我が家だった。
けれどそれは突然壊れてしまった。
326
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:40:39 ID:OSDLjeuQ0
(゚ー゚トソン「…」
私が14の時だった。
高校受験のテスト中呼び出された。
母親は死んだ。妹と弟も。事故だった。
滅多に乗らない車を、何故母親は運転していたのか。
いつも使っている自転車がなかったからだ。
私が受験に遅れそうだったため、了承も得ず勝手に借りた。
家から少し離れた保育園に妹と弟を送りに行くには、車を出すしかなかったのだろう。
飛び出して来た猫を避けようとして、電信柱に突っ込んでしまった。
327
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:41:10 ID:OSDLjeuQ0
(゚、゚トソン
私の受験は当たり前のように落ちた。
例え受かっていても通えなかったと思う。
妻と子を失った父親が、やけになって作った借金が多大だったから。
(・∀ ・)「お前は母親が好きだったもんな」
(゚、゚トソン「……」
(・∀ ・)「だから、良いよな」
父親はある日ことんと消えた。
借金だけを置いて。
それから私は働いた。
色々な所を転々と、色々な仕事を転々と。
328
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:43:14 ID:OSDLjeuQ0
(゚、゚トソン「大丈夫ですか?」
ζ(-、- ;ζ「ん、だ、大丈夫…です、ごめんなさい…」
(゚、゚トソン「同室のよしみですよ。それに、最初のうちはキツイの、私も知ってますから」
ζ(゚ー゚*ζ「…えへへ。トゥインクルちゃん、優しいね」
働き出して数年が経ち、いくつ目かの働き先。
キャバクラだった。
彼女は同じ店で働いてる、可愛らしい女の子だ。私とそんなに年が変わらない筈。
そして私と同じく、店の寮に住んでいる。ルームメイトというものだ。
彼女もそれなりの理由があってここにいるのだろう。
329
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:43:45 ID:OSDLjeuQ0
(゚、゚トソン「これ、食べます?」
ζ(゚ー゚*ζ「わぁ、美味しそう!トゥインクルちゃんが作ったの?」
(゚、゚トソン「はい…シンプルなクッキーですけど…」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがとう!いただきます!」
(゚、゚トソン「…」
ζ(^ヮ^*ζ「美味しい!」
(゚、゚トソン「…」
330
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:44:15 ID:OSDLjeuQ0
ζ(゚ー゚*ζ「私、お酒は好きなんだぁ」
ζ(゚ー゚*ζ「お酒は良いときにも悪いときにも飲めるでしょ。喜びを受け止めてくれて、悪い事を受け流してくれる。だから好きなの」
ζ(゚ー゚*ζ「でも得意じゃないからあんまり飲めなくて…」
(゚、゚トソン「そういうことも、ありますよね」
ζ(゚ー゚*ζ「トソンちゃんはお酒好き?」
(゚、゚トソン「私は酒、嫌いですよ。
…ただ前に、家族に会いたくなってたくさんたくさん飲んだことがあって、いくらでも飲めるようになりました」
ζ(゚ー゚*ζ「?そうなんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあ、トゥインクルちゃんがお酒大好きになったら最強だね!」
(゚、゚トソン「…最強…」
ζ(゚ー゚*ζ「私と一緒に特訓しようよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあまずは泡盛ね!」
(゚、゚トソン「初心者向けからいきましょうよ…」
331
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:44:47 ID:OSDLjeuQ0
彼女は明るくて優しい子だった。
彼女の源氏名はシンデレラといった。
どういう意味でつけたのか聞いたら
ζ(゚ー゚*ζ「私もいつかシンデレラみたいに、素敵な王子様に見つけてもらいたいから!あと本名が名前の中に入ってるからね!」
とのことだった。ちなみに私の源氏名は店に適当につけられた。
332
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:45:28 ID:OSDLjeuQ0
ζ(゚ー゚*ζ「トゥインクルちゃん、私もマドレーヌ作ったの!一緒に食べよ!」
(゚、゚トソン「シンデレラちゃん、それ何入れました?」
ζ(゚ー゚*ζ「こないだお客さんから貰ったイカの塩辛!」
(゚、゚トソン「……シンデレラちゃん、今度一緒にお料理しましょう」
ζ(゚ー゚*ζ「本当?楽しそう!」
ζ(゚ー゚*ζ「私、トゥインクルちゃん大好き!おねーちゃんみたい」
(゚、゚トソン「…」
私も彼女の素直さやあたたかさが好きだった。烏滸がましいと分かりながらも、妹のように思っていた。
けれど彼女のように『好き』と口にするのは怖かった。
私のせいで家族がなくなった事を知ったら
嫌われるんじゃないか、離れてしまうのではないか。
怖くて、今一歩踏み出せなかった。
333
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:46:30 ID:OSDLjeuQ0
それにしても
私は多分、運があまりなかったらしい。
(・∀ ・)「は、はは」
(゚、゚トソン
(・∀ ・)「はははははは!本当に働いてやがる、はは!看板の写真見てまさかとは思ったけどな!」
久しぶりに会った父親の顔は、酒と興奮で赤くなっていた。どこか面影はあるものの、人相がだいぶ変わったように思える。
こんな顔だっただろうか。
驚きからか、声は出ず足も動かない。
それどころか手が小さく震えている。
目の前にいるのは実の父親なのに、私を指差して高笑いをする男が怖くて仕方なかった。
334
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:47:11 ID:OSDLjeuQ0
ζ(゚ー゚*ζ「トゥインクルちゃん?このお客様、知り合い…?」
立ち竦んでいた私を不審に思ったシンデレラが、私と男の間に割って入ってきた。
彼女の優しい声に一緒安堵し、そしてすぐ不安に包まれた。
彼女に、『あの事』をバラされる──
帰って、と言おうとした。口の中がカラカラで声が出ない。
そんな私を見てか、男は高笑いする。
(・∀ ・)「知り合いも何も、父親だよ!父親!なぁオイ、借金全部返したか?今俺金に困ってんだよ、貸してくれよ」
(゚、゚;トソン「……帰ってください」
裏返っていたがやっと声が出た。
手も足も震えていた。目の前の男はニヤニヤしている。
(・∀ ・)「は?何だよ。良いんだぜ、この店と客にお前がした事バラしたって」
全身が冷たくなる感覚
目の前が真っ白になりそうだった。
待って、言わないで、やめて、この子にそんなこと
頭の中で叫ぶ。
335
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:47:46 ID:OSDLjeuQ0
シンデレラを見る余裕もなかった。男を、父親を張り倒す力もなかった。
ただ掠れた声で縋った。
(゚、゚;トソン「やめ」
(・∀ ・)「なぁアンタ!アンタ知ってるか?こいつのせいで母親とキョーダイはしんだんだ!こいつがころしたんだよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「……」
(゚、゚;トソン「あ、あ」
終わった。
知られた。
もうだめだ、もう無理だ。
指先から力が抜けていくのがわかった。
336
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:48:22 ID:OSDLjeuQ0
シンデレラの方を見ることができない。
いつも優しく笑いかけてくれた彼女に、軽蔑されるのが怖かった。
罵られる。嫌われる。
ζ(゚、゚*ζ「…あの」
(゚、゚;トソン「っ…」
ζ(゚、゚*ζ「この人は私のおねーちゃんですけど」
(・∀ ・)「は?」
(゚、゚;トソン「…」
彼女の口から出たのは、私への罵倒ではなかった。
思いもよらない内容に、手の震えが、止まった。
ζ(゚ー゚*ζ「この人は、私の姉です」
ζ(゚ー゚*ζ「どなたかとお間違えじゃないですか?」
(・∀ ・)「んなわけないだろ!」
彼女は凛とした声で言い上げた。さも当たり前のことのように。
(゚、゚;トソン「……」
ζ(゚ー゚*ζ「黒服さ〜ん!お客様お帰りになるみたいでーす!」
(#・∀ ・)「ちょ、おい待てコラ!」
337
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:49:05 ID:OSDLjeuQ0
店内は騒然としていた。
店長に裏に下がってるように言われ、控え室に篭る。
部屋の隅に丸まってじっとしていた。
(゚、゚トソン「…」
ぼんやり、今起きたことを思い返す。
( 、; トソン
(;、;トソン
鬱陶しいくらい涙が出て止まらなかった。
怖かったのか、悲しいのか、悔しいのか、はたまた全てか。
自分でもわからなかった。
338
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:49:33 ID:OSDLjeuQ0
バタン!
ビクッ (;、;トソン
ζ(゚ー゚*ζ「トゥインクルちゃん!」
激しい音と共に開いたドアからシンデレラが駆け寄ってきた。
(;、;トソン「…」
ζ(゚ー゚;ζ「なんで泣いてるの!?あのおじさん怖かった?大丈夫だよ、大丈夫。あ!それとも勝手にお姉ちゃんって呼んだの嫌だった!?」
(;、;トソン「なん…何であんなこと…」
ζ(゚ー゚;ζ「トゥインクルちゃん、いつもデレのこと守ってくれたから…だからね、いつか絶対トゥインクルちゃんを守るって決めてたの…」
(゚、゚トソン「わた…わたしは、ほんとに…」
339
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:50:03 ID:OSDLjeuQ0
優しく私の涙を拭う彼女と目が合う。
その目はいつもと同じく、優しくて温かかった。
話し出そうとして、けれど言葉にならない私の背中をそっと撫でてくれた。
ζ(゚ー゚*ζ「…トソンちゃんて言うんだね、可愛い名前!」
ζ(゚ー゚*ζ「でもデレはトゥインクルって名前も好きだよ!」
ζ(゚ー゚*ζ「トゥインクルって、輝くお星様なんだって!」
(゚、゚トソン「……」
父親が名前を呼んでいたことを思い出す。
本名を呼ばれるのは、本当に久しぶりだった。
夢から現実に引き戻されたような嫌な気持ちになったのだが、彼女が自分の名前を呼ぶのはあまり嫌悪はなかった。
340
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:50:36 ID:OSDLjeuQ0
ζ(゚ー゚*ζ「あ、デレはね!…私はね、デレっていうんだ!」
(゚、゚トソン「…」
ζ(゚ー゚*ζ「本名で呼ぶの、なんか照れちゃうね」
(゚、゚トソン「…そう、ですね」
やっと普通の言葉を返した私を見て、彼女は小さく笑って自分のロッカーに何かを取りに行った。
ζ(゚ー゚*ζ「これ、私の好きなファンタジー小説」
夜空のイラストが表紙の、少し小さな本だ。
ζ(゚ー゚*ζ「嫌なことがあったらね、お星様に願い事をするの」
ζ(゚ー゚*ζ「トゥインクルちゃんは、お星様に何をお願いする?」
(゚、゚トソン「お願い…」
(゚、゚トソン「わた、私は…」
ζ(゚ー゚*ζ「うん」
(゚、゚トソン「ゆ」
ζ(゚ー゚*ζ「ゆ?」
341
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:51:11 ID:OSDLjeuQ0
(;、;トソン「………ゆ、許されたい……」
(;、;トソン「許されないのはわかってる、だからずっとずっと、たくさんのものを諦めて、色んなものを捨てて、お金を作るために働いて、返してきた…」
(;、;トソン「で、でも…私は…。私は…」
(;、;トソン「ゆ、許して…ごめんなさい…ごめんなさい、勝手に自転車を借りて、ごめんなさい…おかあ、さん…妹も、弟も……」
ζ(゚ー゚*ζ「…」
ζ(゚ー゚*ζ「許すよ」
(;、;トソン「っ」
ζ(゚ー゚*ζ「……トゥインクルちゃんのお母さんだもん。
優しくて温かい人だと思うから、トゥインクルちゃんがたくさん頑張ってきたことも、いっぱい後悔してることも、きっとわかってるよ」
(;、;トソン「う…」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔をティッシュで拭われる。
そして先程取り出した本を私に差し出した。
ζ(゚ー゚*ζ「これ、トゥインクルちゃんに貸すね。いつか返しにきて」
ζ(゚ー゚*ζ「私はね。私は、お星様に、トゥインクルちゃんが楽しく幸せになれますようにって、お願いするよ」
342
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:51:52 ID:OSDLjeuQ0
ζ(^ー^*ζ「楽しく、幸せに生きて!約束!」
343
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:52:31 ID:OSDLjeuQ0
私は店を辞めた。彼女も早い段階で察していたのだろう。
借金はすでに完済していた。私はもう、どこにでも行くことが出来た。
(゚、゚トソン「…楽しく幸せに生きる約束しちゃったからなぁ…」
(゚、゚トソン「楽しそうな働き口を見つけなきゃ」
楽しそうな働き口。自分で言った言葉に首をかしげる。
私にとって楽しい事って、果たして何だろう。
(゚、゚トソン「ん?なんだこのでっかい門…金持ち屋敷だ…貼り紙が…」
(゚、゚トソン「『住み込みの使用人募集。おやつを作れる人大歓迎』…」
(゚、゚トソン「…おやつ作り…」
ζ(^ヮ^*ζ『美味しい!』
(゚、゚トソン「……働いてみますか」
この屋敷で働き出したのはたまたま通った道でたまたま見つけたからだ。
楽しく働ければそれで構わない。
ただただ、そんなことを思ってあの日チャイムを押した。
344
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:53:04 ID:OSDLjeuQ0
八の字に下がった眉毛の主人に、毎日おやつを作る。
私は働いて得た美味しいお酒を楽しむ。
そう、楽しかった。平穏な日々が。
私は今 楽しい
でもわからない
奥様はどこに?
写真もないのはなぜ?
使用人がいないのは?
何故いくつもの『仕事』をしているのか
知らない事が、分からないことがたくさんありすぎる
私は今、幸せなのだろうか
あの頃は『好き』だと言うのが怖かった。
今は。
今は違う。
好きなものを好きだと言える。
知りたい。
知って、スッキリしたい。
こんなモヤモヤを抱えたままでは、楽しく働けない。
私は、約束をした。
楽しく幸せに生きる、と。
345
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:53:40 ID:OSDLjeuQ0
(-、-トソン
(゚、-トソン
(゚、゚トソン「……」
目を開くと、ものすごく眉が下がった主人の顔があった。
何だ何だ近い近い怖い怖い。
(´・_ゝ・`)「良かった…もう少しでお酒かけるところだった」
(゚、゚トソン「…それはそれで良かったかもしれません……あれ、私どうしたんでしたっけ」
(´・_ゝ・`)「脚立から落ちて、頭を打ったみたい。もうびっくりしたよ…すぐにお医者さんを呼んだらとりあえず大事無いって言われたけど…丸一日寝てたし」
(゚、゚トソン「ああ…じゃあ今の走馬灯なのか…」
(;´・_ゝ・`)「縁起でもないこと言わないでよ」
君を運ぶの大変だったんだよ、と言いながら主人が何かを取りに行った。
346
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:54:13 ID:OSDLjeuQ0
(´・_ゝ・`)「荷物がさ、届いてね。チャイムが鳴ってるのに何も反応がなかったからどうしたのかと探したら、ひっくり返った君がいて驚いたんだ」
(´・_ゝ・`)「でぃさんから食べ物とか届いたよ。手作りの甘酒入ってたから今温めるね。あ、アルコールは入ってないからね」
(゚、゚トソン「主人」
(´・_ゝ・`)「んー?」
(゚、゚トソン「クリスマスプレゼント、まだ間に合いますか」
(´・_ゝ・`)「え?ああ、うん…お酒はしばらく控えた方が良いと思うけど…」
(゚、゚トソン「確かに酒も魅力的ですけども、今回は違います」
347
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:54:56 ID:OSDLjeuQ0
(゚、゚トソン「私、この屋敷のことも主人のことも何も知りません」
(゚、゚トソン「ただ働くだけだから、知らなくて良いと思ってました。でも」
(゚、゚トソン「知りたいです、幸せに、楽しく働くために」
(゚、゚トソン「教えて下さい。何故この屋敷には私以外働いてる人間がいないのか。主人の奥様はどこにいるのか」
348
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:55:27 ID:OSDLjeuQ0
後ろを向いていたので、主人の表情は見えなかった。
どんな顔をしているのだろう。
沈黙。
私も主人も黙ったまま数分くらいが経った。
(´・_ゝ・`)「………」
主人は黙っていた。
黙って黙って、黙ったままで。
(´・_ゝ・`)「………」
パタン
部屋を、出て行った。
(゚、゚トソン「………」
(゚、゚トソン「……はぁ?」
そうして、主人は完全に自室から出てこなくなった。
(゚、゚トソン「…はぁぁぁ???」
349
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 16:57:03 ID:OSDLjeuQ0
本日の投下は以上になります
ペアリングしてないです
>>319
可愛らしい2人をありがとうございますー!!!
350
:
名無しさん
:2018/12/16(日) 17:59:06 ID:FzbOUgeI0
乙!続き待ってたよー!
トソンに幸あれ
351
:
名無しさん
:2018/12/17(月) 15:04:06 ID:necKVxbo0
乙
久しぶりの投下で急展開ぶっこんできたな
352
:
名無しさん
:2018/12/17(月) 16:10:36 ID:ENNYUun60
乙!
353
:
名無しさん
:2018/12/17(月) 19:08:31 ID:9Nd8Flc60
やっぱりこの作品好きだわ
354
:
名無しさん
:2018/12/18(火) 15:07:42 ID:7HMMgovY0
otudesu
355
:
名無しさん
:2018/12/20(木) 21:11:19 ID:VdyFhTzY0
おつ!思わず涙ぐんでしまったよ…
デレ天使…
デミタスもトソンも幸せになって
356
:
名無しさん
:2018/12/22(土) 20:14:43 ID:6XX4amWY0
来てたのか、乙!
デレ良い子だなあ、トソンには幸せになってほしい
357
:
名無しさん
:2018/12/24(月) 11:25:24 ID:MciMOk1I0
乙!話が進んできたなー
358
:
名無しさん
:2018/12/24(月) 14:20:37 ID:rOnlgUJk0
やはり天使(デレ)が出てきたか
乙!
359
:
名無しさん
:2019/01/01(火) 22:46:41 ID:SSN3SK2c0
おつです
読んでてすごく楽しいです
360
:
名無しさん
:2019/01/12(土) 16:51:52 ID:RpNdODkQ0
まってる
361
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:45:35 ID:zgb/ah/k0
番外編投下します
362
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:46:08 ID:zgb/ah/k0
あの頃の小さな幸せを、ふとした瞬間に思い出す。
.
363
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:46:38 ID:zgb/ah/k0
番外編: チョコレートの数だけ強くなれる
.
364
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:47:23 ID:zgb/ah/k0
(゚、゚トソン トソン。トゥインクル。ツマミになるチョコがけ柿の種とかが好き。
ζ(゚ー゚*ζ シンデレラ。カカオ99%のチョコを食べて絶望したことがある。
.
365
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:48:10 ID:zgb/ah/k0
ガヤガヤと賑やかなスーパーの一角。
季節より少しだけ早めに品物が並んでいるのを見て、ため息をつきそうになる。
(゚、゚トソン「お正月が終わったと思えば豆とチョコのターン」
(゚、゚トソン「小売業界も大変ですね」
(゚、゚トソン「イベント事はなぁ…稼ぎ時な判明、色々面倒だったんですよねぇ…」
前職のことを思い出す。
日本人はイベント事が好きである。
そのイベントに便乗して色々な企画を立てて、金を稼ぎ出す。
企画に合わせたコスチュームを纏い、ゲームをして高い高い酒を頼ませる。
誕生日を始めハロウィン、クリスマス、もちろん2月の大イベントであるバレンタインも例外ではなかった。
「チョコあげるから会いに来てね」と女の子たちは店に誘い出す。
その『釣り餌』であるチョコレートは自分達で用意をしていた。
甘いもののイベントなのに、苦いものを食べたような気持ちになる。
あまり良い思い出ではない。
(゚、゚トソン「ああでも一度だけ……楽しかった時がありましたっけ…」
366
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:49:06 ID:zgb/ah/k0
〜〜〜〜〜〜
ζ(゚ー゚*ζ「トゥーイーンー」
ζ(゚ー゚*ζ「クルちゃん!!」
ζ(゚ー゚*ζ「トゥインクルちゃん!!チョコ作ろう!」
彼女はいつでも元気だ。
たとえ連勤が続いた朝でも。
私はあまり元気ではなかったが、彼女の笑顔に少しだけ力を貰っていた。
(゚、゚トソン「…お猪口ですか?じゃあ陶芸教室探しましょうか」
ζ(゚ー゚*ζ「違うよー!バレンタイン!のチョコレートのお菓子!」
(゚、゚トソン「バレン……タイン…」
(゚、゚トソン「忌まわしきカタカナイベント第3位ですね…ああもうそんな時期ですか…お客に用意するの大変だから嫌いなんですよねぇ…」
ζ(゚ー゚*ζ「そうなの?私はねぇ、イベント事ってワクワクするから大好き!」
(゚、゚トソン「シンデレラちゃんは良い子ですね…」
ζ(^ー^*ζ「本当?えへへ!」
この笑顔を客どもに見せたら指名ナンバーワンに登りつめるだろうな、と思う。
可愛らしい。何なら私が貢ぎそうになる。危ない。
367
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:49:51 ID:zgb/ah/k0
ζ(゚ー゚*ζ「あのね、たくさんは難しいけど、常連さんとかいっぱい指名してくれる人には手作りのをあげたいなぁって思って」
ζ(゚ー゚*ζ「トゥインクルちゃん、いつも手作りのお菓子くれるでしょう?あれすっごく嬉しくて、胸がポカポカになるんだぁ」
ζ(゚ー゚*ζ「だから私も、お客様にポカポカになってもらいたくて…」
(゚、゚トソン「うっ…」
ζ(゚、゚*ζ「ど、どうしたのトゥインクルちゃん!大丈夫?」
(゚、゚トソン「眩しすぎて目が…大丈夫です大丈夫です…」
(゚、゚トソン「シンデレラちゃんに頼まれて断れる人間はいません、是非一緒に作りましょう」
ζ(゚ー゚*ζ「本当?ありがとう!」
368
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:50:30 ID:zgb/ah/k0
(゚、゚トソン「じゃあ簡単なやつ作りましょうね。シンデレラちゃんが怪我とかしないようなやつを…」
ζ(゚ー゚*ζ「頑張るよー!」
(゚、゚トソン「まずはこれ、板チョコを用意します」
ζ(゚ー゚*ζ「しました!」
(゚、゚トソン「湯煎します」
ζ(゚、゚*ζ「ゆせん…」
(゚、゚トソン「チョコをお湯の熱で溶かすことです」
ζ(゚ー゚*ζ「お風呂に入れてあげるんだね!」
(゚、゚トソン「あ、お湯に直接入れちゃダメですダメですそれダメです、五右衛門風呂的な感じで…」
369
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:51:11 ID:zgb/ah/k0
ζ(゚ー゚*ζ「良い匂い〜」
(゚、゚トソン「この溶けたチョコレートの中にクリームチーズを入れます」
ζ(゚ー゚*ζ「チーズだぁ!」
(゚、゚トソン「一緒に溶かして混ぜます」
ζ(゚ー゚*ζ「混ぜるの楽しいね!」
(゚、゚トソン「それは良かった。その中に砕いたナッツ類と洋酒に漬け込んだドライフルーツを入れます」
ζ(゚ー゚*ζ「わぁ!ドライフルーツ大好き!」
(゚、゚トソン「…」
☆゚・*:.。.:ζ(゚ー゚*ζ☆゚・*:.。
@ヾ(゚、゚トソン「……」
ζ(^〜^*ζ"もぐもぐ
ζ(^ヮ^*ζ「美味しい!」
(゚、゚トソン「それは良かった」
370
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:51:48 ID:zgb/ah/k0
(゚、゚トソン「ラップで巻いて筒状にして、冷蔵庫でしばらく固めます」
ζ(゚ー゚*ζ「形が恵方巻きみたいだね!」
(゚、゚トソン「ついでに節分気分にもなれますね」
@ヾζ(゚ー゚*ζ「トゥインクルちゃん、あーん!」
(゚〜゚トソン「んむ」
(゚、゚トソン「…美味しいです」
ζ(゚ー゚*ζ「ね!年の数だけ食べると良いんだよね!」
(゚、゚トソン「豆をですね」
ζ(゚ー゚*ζ「何でお豆さん撒いたりするんだろね?」
(゚、゚トソン「何でですかね?」
371
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:52:33 ID:zgb/ah/k0
(゚、゚トソン「固まりました。これにココアパウダーをまぶして切って、チョコレートサラミの完成です」
ζ(゚ー゚*ζ「わぁい!作れたよトゥインクルちゃん!」
(゚、゚トソン「お菓子名を伝えたら、サラミにチョコレート掛けようとしたのには驚きましたが無事出来て良かったです」
"ヽζ(゚ー゚*ζノ"「よいせ、ほいせ」
(゚、゚トソン「?」
◾️⊂ζ(゚ー゚⊂ζ「はい!簡単なラッピングでごめんね」
(゚、゚トソン「え、っと、あの…これ…は、お客にあげるものでは?」
ζ(゚ー゚*ζ「残りはね!でも、一番にトゥインクルちゃんに渡したかったの」
ζ(^ー^*ζ「友チョコというやつです!」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「ありがとう…ございます…」
ζ(゚ー゚*ζ「こちらこそ、いつも仲良くしてくれてありがとうだよ!」
372
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:53:41 ID:zgb/ah/k0
(゚、゚トソン「お返しを…何が欲しいですか?現金?ブランド物?何でも言ってください」
ζ(゚ー゚*ζ「良いの?じゃあねじゃあね、ホットチョコレートが飲みたいな!」
(゚、゚トソン「そんなもので良いんですか…?」
ζ(゚ー゚*ζ「私、トゥインクルちゃんが作ってくれるあれ大好き!」
(゚、゚トソン「すぐに作りますね」
ζ(゚ー゚*ζ「わーい!チョコレートパーティだね!用意するよ!」
(゚、゚トソン「ありがとうございます」
(゚、゚トソン「小鍋に牛乳を入れて、紅茶のティーパックを煮ます」
(゚、゚トソン「チョコをみじん切りしたものを入れて溶かして」
(゚、゚トソン「コップに移して、ほんの少しブランデーを入れて」
(゚、゚トソン「出来ました」
ζ(゚ー゚*ζ「良い匂いだね〜!」
373
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:54:34 ID:zgb/ah/k0
ζ(゚ー゚*ζ「いただきます!」
(゚、゚トソン「いただきます…」
ζ(゚ー゚*ζ「?食べないの?」
(゚、゚トソン「すぐに無くなってしまうのがなんか…勿体ない気がして」
ζ(゚ー゚*ζ「そしたらね、また一緒に作ろ!それでまたおやつパーティしよ!」
ζ(^ー^*ζ「ね!」
(゚、゚トソン「…」
(゚ー゚トソン「…はい」
ζ(゚ー゚*ζ「ほら食べて食べて」
(゚、゚トソン「むぐぐ…ん…」
(゚、゚トソン「美味しいです」
ζ(゚ー゚*ζ「ホットチョコレートも美味しいよ〜」
(゚、゚トソン「チョコチョコしてますね」
ζ(゚ー゚*ζ「ふふ、本当だねチョコチョコしてる」
ζ(゚ー゚*ζ「でも、幸せ!」
(゚、゚トソン「あっシンデレラちゃん、全部食べるとお客の分なくなりますよ」
ζ(゚ー゚*ζ「あっ、そっかぁ」
374
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:56:37 ID:zgb/ah/k0
〜〜〜〜〜〜〜〜
ココアパウダーのほろ苦さと、クリームチーズと混ざったチョコレートの爽やかな甘さを思い出す。
あの時のあの味は、きっとずっと忘れないだろう。
(゚、゚トソン「……懐かしい…」
(゚、゚トソン「今日の主人のおやつ、チョコレートだらけにしましょうかね」
板チョコを手にして、現職の雇用主のことを考える。
下がり眉の主人は、甘いものなら何でも喜ぶ。
チョコレートだらけのおやつタイムもきっと喜びそうだな、と思う。
(゚、゚トソン「そして私はお高めのシャンパンと一緒にペアリングを楽しみましょうかね」
主人の金で買った秘蔵のものがあるのだ。俄然楽しみになってきた。
少しだけ余ったら、あの雑魚の弟分のような奴にくれてやっても良い。
イベント事は嫌いだが、ほんの少し楽しくなってきたのは久しぶりだった。
ついでに節分ではなぜ豆を撒くのか聞いてみようかと考えながら、おやつの材料を買い物カゴに入れた。
特別編:終
375
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 10:59:00 ID:zgb/ah/k0
以上、特別編でした
ちなみに雑魚はインフルにかかって来店していないのでシンデレラの手作りチョコはもらってません
皆様もハッピーバレンタイン
ありがとうございました
376
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 12:26:27 ID:LxFfe0e20
乙です
雑魚……。
377
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 12:50:11 ID:qe3v8GRM0
シンデレラ可愛い
378
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 17:02:47 ID:6OcaCpGc0
乙ー
379
:
名無しさん
:2019/02/14(木) 22:44:37 ID:6bt6M.zc0
乙です!
今日バレンタインだから来てたら嬉しいなと思ったら本当に来てて感動です!
シンデレラが眩しい…
雑魚…本当に雑魚…
380
:
名無しさん
:2019/02/15(金) 08:26:46 ID:HYtOvJ.U0
雑魚に幸あれ
381
:
名無しさん
:2019/02/17(日) 21:41:01 ID:VBZECl2Y0
投下来てたのか!乙!
雑魚はやはり雑魚…
382
:
名無しさん
:2019/03/12(火) 19:31:25 ID:hMsmf6U60
次は四月かな?
乙
383
:
名無しさん
:2019/03/21(木) 03:21:48 ID:nGslScPk0
乙ュッ
384
:
名無しさん
:2019/07/04(木) 00:45:15 ID:UKch99wE0
まだかな
385
:
名無しさん
:2019/07/04(木) 02:45:29 ID:TrXRz87w0
作者様、お疲れ様です。
続きを楽しみに待っています!
386
:
名無しさん
:2019/08/07(水) 19:27:41 ID:2Kp9M8WI0
待ってる
387
:
名無しさん
:2019/09/27(金) 12:56:56 ID:oPPekz4Q0
続き待ってます!
388
:
名無しさん
:2019/11/29(金) 00:42:13 ID:vZU/m9Z.0
待ってるよ〜
389
:
名無しさん
:2020/08/06(木) 06:54:03 ID:uXY0qjnQ0
デミタスの長い自粛……
続き待ってます!
390
:
名無しさん
:2020/09/26(土) 02:36:08 ID:0X68ED960
甘いものお供えしたらデミも出てくるかな
続き待ってます!
391
:
名無しさん
:2020/09/26(土) 04:41:16 ID:VfqeLqo20
飯描写が本当にウマそう
392
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:09:37 ID:T0GOC9/A0
11 甘酒を点滴に繋ぎたい
.
393
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:10:19 ID:T0GOC9/A0
(´・_ゝ・`) デミタス。屋敷の主人。誰かの主人。絶賛引きこもり中。
(゚、゚トソン トソン。屋敷の使用人。絶賛頭抱え中。
394
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:11:05 ID:T0GOC9/A0
主人が部屋に篭ってから丸一日が経った。
その1日の間、私は何も出来ていない。
そもそも脚立から落ちて目が覚めて、疑問に思っていたことを聞いてみたら主人が引きこもってしまった、という怒涛すぎる展開に、頭も体も心もついていけなかった。
(゚、゚トソン「はー、本当意味わからん…」
キッチンで温めなおした甘酒を飲みながら溜息をつく。
私の貴重な幸せが一つ逃げてしまった。
幸せ
そう、幸せだ。
私は幸せになるために、この館のこと、主人のことを聞いた。
どうやらそれが地雷だったらしい。
.
395
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:11:38 ID:T0GOC9/A0
おやつ抜きと言ったら泣き喚くような、おやつの時間をずらしたら死にそうになっていたあの主人が、1日(私が倒れていたのも合わせると2日だ)甘いものを口にしていない。
まさかまさか中でしん…と思いドアを蹴り飛ばしたら『やめてください』と書かれた紙が隙間から出てきたので、大変なことにはなっていないようだった。
主人の部屋はアホみたいに広く、中にトイレもついているので引き籠るにはうってつけではあるが、食べ物は常備していない。
おやつだけではなく食事も口にしていないのだ。
このまま引き篭もり?立てこもり?を続けられるのは困る。
(゚、゚トソン「どうしたものですかね…雑魚でも連れてくる?いやいやあの雑魚に何かできるとは思えん…というかシンデレラちゃんに告れたかな…」
(゚、゚トソン「んん〜どうしたものか…というかこの甘酒本当に美味しいな…」
この甘酒は蛯沢様から頂いたものらしい。
私が倒れている間に宅配物が届いたそうだ。
今度ぜひ作り方を聞きたい。
396
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:12:12 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「……蛯沢様」
蛯沢様。
蛯沢でぃ様は昔、この屋敷で働いていた。そればかりか主人が小さい頃からお世話になっていたと言っていた。
一度だけ会ったことがある。
色んなものを作っているらしく、そういえばあの時いただいた果物は大変素晴らしかった…
思い出しただけでも涎が…
(゚、゚トソン「ん」
───果物と一緒に頂いたものがあった。
.
397
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:12:39 ID:T0GOC9/A0
ドタドタドタドタ
走って自室に向かった。
私以外の使用人がいなくて良かった。
ガサツな動作にお叱りが入っていただろう。
あまり物を持っていない私の、スカスカの箪笥の2段目を開く。
(゚、゚トソン「これだ…!」
でぃ様から頂いた、『何かありましたら』という一言と住所などが書かれた紙。
一度お礼に主人が撮った写真を送ったことがある。
恐らく、出鱈目な住所ではなくちゃんと住んでいる。
(゚、゚トソン「主人のことをよく知っている人物…」
今の私には大事な大事なアイテムとして、輝いて見えた。
.
398
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:13:15 ID:YGjApy2c0
(゚、゚トソン「お料理するの、久々な感じがしますね」
(゚、゚トソン「そんなことは全くもってないはずなのに2年くらい経った気がします」
(゚、゚トソン「これが少年漫画なら重要なパワーアップイベントでしたね」
(゚、゚トソン「さて、珈琲を淹れます」
(゚、゚トソン「私はそんなに得意なわけではないですが、匂いが好きです。ずっと嗅いでいられる」
(゚、゚トソン「この屋敷には喫茶店とかで見るようなサイフォン式の物もありますが、ぶっちゃけ壊しそうで怖いから触りたくありません」
(゚、゚トソン「普通にハンドドリップで淹れます」
(゚、゚トソン「この珈琲を、でぃ様から頂いた甘酒に入れて混ぜます」
(゚、゚トソン「『き、きみは初めて出逢うね…なんて名前だい?(裏声)』」
(゚、゚トソン「『ワタクシ、甘酒と言います…宜しくお願いしますわ…(高音)』」
(゚、゚トソン「さらにマシュマロをどーん!」
(゚、゚トソン「『あわわ!なんて柔らかくて可愛らしいんだ…(裏声)』
『ちょっと!珈琲さんは私のものよ!(高音)』『ふぇぇん、怖いよぉ〜(ダミ声)』」
(゚、゚トソン「…うーん、何か久々感が拭えないのでトソン料理劇場もうまく出来ませんね」
(゚、゚トソン「しかし品は完成です」
(゚、゚トソン「あともう一品…」
399
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:13:49 ID:T0GOC9/A0
フライパンからジュワジュワという音と、焼けるいい匂いがする。
ぼんやり周りを見る。白を基調とした清潔感のある、広くて大きなキッチン。物も揃っている。
小さなノート。
見つけてしまった、主人に関する大事なもの。
(゚、゚トソン「…貴女に話を聞けたら、1番良いんですけどね」
顔も名前も知らない、ノートの持ち主に想いを馳せた。
.
400
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:14:20 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「しゅーじーんーくーん!!あっそびーまーしょー!!!」
主人の部屋のドアを渾身の力でノックする。
こんな言葉で出てくるとは思っていないし、これで出てこられても嫌だ。
中で物音がしたのを確認して、また大声を出す。
(゚、゚トソン「わたくしトソン、ちょっとお暇をいただきますので!有給使いますので!お給料はください!」
(゚、゚トソン「あっ、ここに一応軽食置いておきますから。罠ではないです。お腹空いたら召し上がってくださいね、罠ではないですので」
(゚、゚トソン「では、いってきまーす!」
「………」
.
401
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:14:49 ID:T0GOC9/A0
返事はなかった。
けれどドアの前に気配を感じたので、良しとする。
何か口にしてくれれば良いなと思い、甘くないパンケーキとベーコン、そして先程淹れたコーヒー甘酒を小さなメモと一緒に置いてきた。
我ながら怪しさ満点だなと思いつつ、屋敷から飛び出す。
(゚、゚トソン「あれ食べる時は部屋から出てくるけど…それ捕まえても根本的な解決には、ならないですよね…」
紙に書かれていたでぃ様の住所は、恐らく遠い。
今から行って話をして、日帰りで戻れるか不安な所だ。
しかし今は行かなければ。
主人と話が出来るヒントを、もらう為に。
(゚、゚トソン「よし、出陣じゃ!」
402
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:15:20 ID:T0GOC9/A0
ガチャリ
(´・_ゝ・`)「……」
(;´・_ゝ・`)「…本当に出かけたのか…」
(´・_ゝ・`)「トソンくんのことだから罠かと思ったけど…」
(´・_ゝ・`)「…いい匂い、コーヒー…?カフェオレかな」
(´・_ゝ・`)「……メモだ」
(´・_ゝ・`)「……」
(´・_ゝ・`)「こっわ…」
『毒は入ってないです by f(@u<トソン 引きこもり菓子無し主人→(´%+_j+`)』
(´・_ゝ・`)「…ブッ、ククク………怖…これはすごいな…絵は苦手みたいなこと言ってたもんな…」
(´・_ゝ・`)「……」
(´・_ゝ・`)「はぁ…」
(´・_ゝ・`)「……トソンくん、帰ってくるかな…」
403
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:16:01 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「帰れるかなこれ…」
蛯沢様の家までの経路を調べた。
私はスマホはおろか携帯も携帯していない(必要がない)のでコンビニで簡単なロードマップを買ったのだ。
聞き慣れない土地だとは思ったが、やはり遠かった。
バスに乗って電車に乗って、乗り換え乗り換え、2.3時間。
小旅行並の距離。
こういうことは切り替えが大事だと、かのシンデレラちゃんも言っていた気がする。
(゚、゚トソン「油物にはビールしか勝たん」
電車に揺られながら缶ビールを呷る。
乗ってる人は他にいなかったので、失礼を承知でぐびりと飲んだ。
コンビニで缶ビールとホットスナック、ワンカップと月餅を買って大正解だった。
404
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:16:26 ID:T0GOC9/A0
ガタンガタン
小さく揺れる車体、窓から見える長閑な景色。
お酒の力もあってかぼんやりしてしまう。
あの屋敷は大きい。
多分、沢山の人間が働いていたはず。
何故誰もいないのか。
何故主人は言いたくないのか。
本当に聞いても良いことなのだろうか。
私にだって聞かれたくないことはある。
拒絶されるのが怖かったからだ。
あまり良い過去を持っていなかった。
──もしかしたら、主人も同じなのではないだろうか。
自惚れかもしれない。
けれど、もしかしたら、主人も人に拒絶されたくないのではないか。
私と主人は数ヶ月しか過ごしていない。
それでも、主人がどんな人間かは少しだけだがわかっているつもりだ。
甘党で、何でもできて、サプライズが好きで、イベント事も好きで、謎があって、いい歳こいてわりと頑固で、何かを抱えているくせに重たいことをサラッと言ってきて、
どこか温かくて、優しい。
そんな人だ。
だから私は、もういいと思った。
主人が聞きたかったら私のことを答えようと思った。
私はずるいのだ。
ずるくて良い、知りたかった。
主人のことを、知りたかった。
主人と、話がしたいのだ。
405
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:16:57 ID:T0GOC9/A0
それすらも拒絶されるなら──、
(゚、゚トソン(その時は……)
その時だ。
.
406
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:17:39 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「はあ、なんと立派な門構え」
メモに書かれた住所はここのはずだ。
なるほど、送られてきた野菜や果物はここで作られたのだとわかる。
お家の隣に広い畑があり、庭にも沢山の植物が…
( ・∀・)「おや?」
( ・∀・)「珍しい、覗きの方ですか?」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「あ、ちが…」
違わない事はないけれど違う。
と言おうとして口籠る。
確かに覗いてはいたけれど…
407
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:18:03 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「決してやましい人間ではありません!」
( ・∀・)「皆そういうんだよね…」
( ・∀・)「僕の奥さん美人で素敵だから覗きたくなる気持ちわからなくはないけどね?まぁ冗談は置いておいて、お嬢さん何か御用?」
(゚、゚トソン「あ、あの蛯沢さまいらっしゃいますか」
( ・∀・)「ん?僕、蛯沢さんだよ」
(゚、゚トソン「いえ、蛯沢でぃ様…」
(#゚;;-゚)「アナタ、お家の前で何を騒いでいるんです…」
(゚、゚トソン「あ」
(#゚;;-゚)「あら」
( ・∀・)「ああ、この人、君に用がある覗きの方だよ」
少し想像していた再会とは違った。
408
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:18:40 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「今思えばアポ取っておけばよかったですね…人を訪ねるのは初めてで、すみません」
(#゚;;-゚)「良いの、良いの。こちらこそ人が訪ねてくるのが久しぶりで、うちの人が浮かれちゃってごめんなさいね」
(゚、゚トソン「いえ…」
主人の屋敷も広いが、こちらのお家も広い方だと思う。
私自身、狭いところにしか身を置いてこなかったので少し落ち着かない。
(#゚;;-゚)「それで、どうしたのかしら」
初めて会った時も思った事だが、この人の背筋がピンとなるような空気と、温かい感じが何か懐かしい。
何でも話してしまいそうになる。
(#゚;;-゚)「あら、あらあら」
(;、;トソン「…あれ、何で泣いてるんだろう私」
(#゚;;-゚)「……長旅で疲れたのもあるんでしょう。大丈夫、ゆっくりでいいですよ」
(;、;トソン「ずみばぜん、ありがどうございばす…」
409
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:19:07 ID:T0GOC9/A0
気付かないうちにずっと気が張っていたようで、第三者を前にして緩んでしまったようだ。
ポロポロと溢れる嗚咽とともに、拙いながらもこれまでの経緯を話した。
でぃ様は静かに聞いてくれた。
ああそうか、『お母さん』みたいな安心感があるんだこの人──
.
410
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:19:37 ID:T0GOC9/A0
(#゚;;-゚)「結論から言うと、坊ちゃんが話さないことを、私から言うことは出来ないです」
でぃ様の言葉に、少しだけ呆けてしまった。
変な顔をしてしまったのか、でぃ様は申し訳なさそうな表情でこちらを見ていた。
(#゚;;-゚)「そうよね、ここまで来てくれたのに。話をしないなんて酷よね」
(#゚;;-゚)「ごめんなさい」
(゚、゚トソン「あっ、いえ!ちが」
(゚、゚トソン「……違くて、ちょっとほっとしたんです」
(#゚;;-゚)「…?」
.
411
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:20:10 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「飛び出してきたは良いけれど、きちんと考えてなかったんです。」
(゚、゚トソン「しゅじ…デミタス様がお部屋から出てくるような、何かヒントを得られれば良いなと思ってましたが、確かにでぃ様の口から聞くのは、違う気がします」
(゚、゚トソン「私は、主人の口を割らせる最終兵器のようなものをご存知かどうか、それが聞きたかっただけですので、でぃ様がそういったことで申し訳なく思う必要はないんです!」
(#゚;;-゚)「ふっ」
(#゚;;-゚)「ふふふ…」
(゚、゚トソン「?あの…」
(#゚;;-゚)「良かったわ。坊っちゃんはいい人がそばに居てくださったのね」
(゚、゚トソン(果たしてどうだろう)
でぃ様はころころとそれは楽しそうに笑っていた。
ひとしきり笑い終わって、ちょっとごめんなさいと席を立った。
帰って来たでぃ様の手に、小さなノートとメモがあった。
(#゚;;-゚)「私が教えられるのは、二つだけ」
.
412
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:20:50 ID:T0GOC9/A0
++++++++
(#゚;;-゚)「本当に泊まらなくて良いんですか?」
(゚、゚トソン「すみません、本当めちゃくちゃ超絶泊まりたいです。ご相伴にもおあずかりしたいし、なんなら今すぐにでも寝たいのですが」
(゚、゚トソン「主人があの屋敷に、ひとりぼっちなもので」
(#゚;;-゚)「…また是非来て、その時はお泊まりしていってね」
(゚、゚トソン「はい、絶対」
これほど後ろ髪引かれるのは、お高いお酒買うのをやめた時以来だ。
でぃ様の温かい人柄に、つい甘えてしまいそうになる。
人の作ってくれたご飯も久々すぎるので味わいたかった。
でもダメなのだ。
私はその誘惑を振り切ってでも、帰らないといけない場所がある。
話さないといけない人がいる。
.
413
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:21:23 ID:T0GOC9/A0
( ・∀・)「駅まで送るよ」
(゚、゚トソン「ありがとうございます」
( ・∀・)「僕の奥さん、素敵でしょう」
(゚、゚トソン「はい、とっても」
( ・∀・)「盛岡くんはもう一人のうちの子だと思ってるんだ」
( ・∀・)「今度来るときは、引っ張ってでも一緒に来たら良いよ」
(゚、゚トソン「……はい」
そのためにはまずは部屋から、引っ張りだせねば。
.
414
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:21:57 ID:T0GOC9/A0
++++++++
屋敷だ。
大きい。
立派だ。
帰ってきた。
この門に貼り紙がされていた。
それを見て働こうと思った。
ただそれだけの、単純な繋がりだ。
蛯沢夫妻のように、深い愛情があるわけでも
雑魚のように、強く慕っているわけでもない
ただこの先も、あの人にお菓子を作って美味しいと言われて
楽しく働きたいと思うくらいには、情はある。
充分だろう。
(゚、゚トソン「よっし!やるか!」
屋敷に入ってすぐキッチンへ向かった。
もう夜だ。
何時間もの電車の旅を1日でやるものではない。
なんならもう明日でも良いのでは?と脳内の悪い自分が言ったけど、無視した。
++++++++
415
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:22:42 ID:T0GOC9/A0
(゚、゚トソン「しゅーじーんくーーん!」
(゚、゚トソン「あっそびーまーしょーーーー!!!」
主人の部屋のドアの、右下を蹴り上げる。
フッカフカのスリッパを入ってなかったらヤバかったであろう音と共に、ドアが勢い良く開いた。
(;´・_ゝ・`)「!??」
(゚、゚トソン「とりあえず面倒なんで、色んなあれこれ置いておいて」
(゚、゚トソン「リビング来てください。ケリをつけましょう」
ドアに蹴りを入れただけに、と上手いことを思ったけれど、足の痛みとドキドキとうるさい鼓動のせいで言えなかった。
つづく
416
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:25:29 ID:hd9.FFSw0
本日の投下は以上です
お休み中もコメントくださった方ありがとうございます
デミタスは長い自粛をし、トソンは甘酒のレシピを聞き忘れました
長い間投下できなかったお詫びにトソンのメモを貼っておきます
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_2640.png
ありがとうございました
417
:
名無しさん
:2020/12/02(水) 17:37:24 ID:mCK7rCOM0
おお、ゆっくり頑張って下さい
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