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(´・_ゝ・`)ペアリングのようです(゚、゚トソン
118
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:22:49 ID:Cv0KIyqg0
(゚、゚トソン「さて、何を作りましょうかね」
出来たら呼ぶので、と主人を部屋に返し風呂掃除を再開した。
ゴシゴシ。ゴシゴシ。ブラシで泡を立てながら汚れを落とす。
風呂掃除はどこに行っても好きじゃない。
頭の中で、南瓜をどうしてやろうか考える。
(゚、゚トソン「煮物…煮物…だめだ、煮物が頭から離れない」
無理もない。南瓜の煮物は私の好物の一つ。甘く煮た南瓜も、酒に合う。
(゚、゚トソン「そういえば最近日本酒さんとお会いしてないな…」
(゚、゚トソン「会いたい…会いたくて震える…」
(゚、゚トソン「いえ、アル中とかじゃないんで」
(゚、゚トソン「あっ、和菓子作ってないし、和菓子にしよう」
ーーーハロウィンは西洋文化だよーーー
そんなツッコミが聞こえた気がしたが、シャワーで泡とともに流して聞こえないフリをした。
119
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:23:27 ID:Cv0KIyqg0
(゚、゚トソン「南瓜良し。はくりっきーとかたくっりー良し。餡子も良し」
(゚、゚トソン「そして今日はゲストをお呼びしました、クリームチーズさんです」
(゚、゚トソン「チーズ入ってても和菓子は和菓子。私が和菓子と言えば和菓子」
掃除を無事に終え、時間も丁度良いのでキッチンに来た。
こんなに広いにもかかわらず、使うのが私だけなのでもはやホームのような居心地の良さ。
まぁホームとかいうもの、あまりよくわからないけれど。
今までどんな人間が使っていたかはわからないが、丁寧かつ几帳面な人だったのではないだろうか。
器具や機器、食器。新しいものではないにしても、汚れも錆れも殆ど無く使い勝手の良いように管理されている。
誰が。
その誰かは、どこへ。
(゚、゚トソン「……まぁ考えても仕方ありませんね」
(゚、゚トソン「きんつば作りますよ」
120
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:24:07 ID:Cv0KIyqg0
とん。たん。南瓜を切る。
ある程度料理に使ってはいたものの、結構な量が残っていたので主人の『ハロウィンぽいもの』というリクエストはちょうど良かった。
食材はなるべく無駄にしたくない。
(゚、゚トソン「これで頂いていた食材は使い切りましたね。美味しかったし有難かったです」
(゚、゚トソン「南瓜を蒸します。」
(゚、゚トソン「そしてマッシュしマッシュ」
(゚、゚トソン「芋栗南瓜は蒸しマッシュしてなんぼです」
スイートポテトを作る時と同様に蒸して潰す。
橙色が綺麗だ。
121
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:25:04 ID:Cv0KIyqg0
(゚、゚トソン「砂糖入れて混ぜ捏ね。餡子用とクリチ用に分けます」
(゚、゚トソン『僕クリチ!君の名は?(裏声)』
(゚、゚トソン『私餡子!(裏声)』
(゚、゚トソン『僕たち今からどうなるんだろう…あっ、餡子さん!(裏声)』
(゚、゚トソン「お前たちはマッシュされた南瓜の中に埋められるんだよぉ〜ひっひっひ」
(゚、゚トソン「……ハロウィンぽく魔女みたいな感じでやってみましたが何か違いますね」
四角く形成し、ひとまず置いておく。
122
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:25:48 ID:Cv0KIyqg0
(゚、゚トソン「薄力粉と片栗粉を水で混ぜましょうね」
和菓子は奥が深いけれど、作ってみると案外簡単なものもあって助かる。
お菓子づくりは苦ではないけど、私は他にもやらなくてはいけないことがあるので、パパッと作れるものは大変有難いのだ。
(゚、゚トソン「皮の完成です」
(゚、゚トソン「包んで焼きます」
一面一面、焦げないように注意をして焼く。
おこげは美味しいけど、ただの焦げは味も匂いも台無しにしてしまう。
(゚、゚トソン「……餃子食べたいな。羽がついたパリッパリの…明日の夜ご飯にしよう」
(゚、゚トソン「できました、きんつばです」
白い皮からうっすら覗く橙色が、食欲を引き立てる。
食欲の秋。
123
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:26:40 ID:Cv0KIyqg0
(゚、゚トソン「……そういえば、この南瓜くれた人…」
宅配便の差出人を思い出す。大きなダンボールいっぱいの秋の味覚を送ってくれた人。
(゚、゚トソン「蛯沢さん…でしたっけ。お礼とかしなくていいのかな」
主人とどんな関係かわからなかった為口出しをしていなかったが、ここ最近の主人のおやつは、『蛯沢氏』からの頂き物で賄われていた。
おやつだけでは無く、普段の食事にも。
これだけ貢献してくれた人に、お礼をしないわけにはと、ふと思ったのだ。
(゚、゚トソン「……あとで主人に聞きますか」
124
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:27:23 ID:Cv0KIyqg0
コンコン。
主人の部屋のドアをノックする。『仕事』に集中しているだろうから、ノックの音だけじゃきっと気が付かない。
返事がないもののドアを開け、声をかけた。
(゚、゚トソン「主人、主人。失礼。おやつ出来ましたよ」
(´・_ゝ・`)「ああ、はぁい」
机に向かっていた主人が伸びながらこちらを見る。
(゚、゚トソン「ちょこっとだけ早いですけどね」
部屋の掛け時計に目をやる。
14時45分。
3時のおやつ、にはまだ早い。
けれど出来たての方が美味しいので、早めに呼びに来てしまった。
(´・_ゝ・`)「ちょうど今ひと段落ついたところなんだ。よし、リビングへ行こう」
125
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:28:26 ID:Cv0KIyqg0
階段を降り、リビングへ向かう。
ちらりと主人を見ると頰がカラフルになっていた。
ハロウィンの仮装でもしようとしたのだろうか…いや流石に違うだろう。
(゚、゚トソン「今回は絵本でしたっけ」
(´・_ゝ・`)「そう。これがまぁ、奥深いんだ」
彼の今の『仕事』は絵本作家だ。
彼は料理以外のことは大体出来ると言っていたが本当にそのようで、色んな『仕事』をしている。
(゚、゚トソン「主人、絵も描けるんですね」
(´・_ゝ・`)「この間トソンくんにあげた小説、あれの表紙僕が描いたんだ」
(゚、゚トソン「えっ、あの表紙の絵、私好きでした」
彼が書いた小説を貰って読んでみたが、案外面白くて、私のお気に入りの一冊となった。
物語を作るのが上手なのだろう。頭も良いから、私のような馬鹿な人間でもわかりやすくスラスラ読める文章だった。
絵本も面白そうだと思う。
126
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:30:08 ID:Cv0KIyqg0
(゚、゚トソン「主人、絵の具使いました?」
(´・_ゝ・`)「よくわかったね!」
(゚、゚トソン「失礼」
ウェットティッシュをポケットから取り出して、主人の彩り豊かな頰を拭った。
ありがとう、気が付かなかったよと主人は少し照れ臭そうにしていた。
(゚、゚トソン「何か描けるだけ凄いと思いますよ。私は昔から何か描いてると誰かが悲鳴を上げる怪奇現象が起こるので、描ききったことはないです」
私自身、真面目に描いているのだが。
(´・_ゝ・`)「えっ何それ怖い…今度何か描いてみてよ」
(゚、゚トソン「ええ…仕方ないですね…覚えてたら、ですね」
(´・_ゝ・`)「僕が忘れないから大丈夫」
(゚、゚トソン「…そうですか」
127
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:31:08 ID:Cv0KIyqg0
(*´・_ゝ・`)「わぁ、なにこれ美味しそう」
(゚、゚トソン「きんつばです。こちらが餡子、こちらがクリームチーズ入りです」
主人の目が輝く。おやつを前にすると、本当に嬉しそうにする。
餡子とクリームチーズを別々に差し出すと、どちらから食べようか悩み出した。
どちらにしようかなを何度かやって、やっと決まったのかクリームチーズの方にフォークを刺す。
(*´・_ゝ・`)「ハロウィンぽいもので和菓子を出すところがトソンくんらしいな」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「私らしい、ですか」
お茶を淹れようとしていた手が、
楽しそうに言われた主人の言葉に、一瞬止まってしまった。
(´・_ゝ・`)「一筋縄じゃいかない感じが、ね。いただきまーす」
128
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:32:50 ID:Cv0KIyqg0
てっきり『洋菓子じゃないのか』とツッコミが入るかと思えば、特に気にせず食らいつく主人。
本当に甘いものなら何でも良いのではなかろうか。
(*´・_ゝ・`)「ああ、美味しいね。クリームチーズと南瓜、よく合ってる」
(゚、゚トソン「……そうでしょう、コロッケにしても美味しいですよ。今、お茶淹れますね」
濃い緑茶を淹れた。
お茶の苦味が南瓜のまろやかさで和らぐだろう。
(゚、゚トソン「そういえば主人、この南瓜をくださった方にお礼をしなくて宜しいのですか」
(´・_ゝ・`)「…ああ、彼女には僕からお礼の手紙を書いておいたから大丈夫だよ」
129
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:35:56 ID:7jcG7j9A0
彼女。
『蛯沢氏』は女性だったのか。
まぁ『野菜もしっかり食べて』と送ってくる辺り、女性ぽいとは思っていたけれど。
女性、女性。
(゚、゚トソン「……元カノとかですか」
(´・_ゝ・`)
誰だ、今の間抜けかつアホっぽく恐ろしいほど愚かな質問をしたのは。
私だ。私か。馬鹿か。馬鹿だ。
先程まで嬉しそうに楽しそうにきんつばを食べていた主人が止まった。
ぱちくりと見たことのない珍しい顔で私を見ている。
(゚、゚トソン「いえ、すみません、違うんです、すみませ」
(*´・_ゝ・`)「っはははははははは!」
(゚、゚トソン「えっ」
えっ。やだ怖い。
動きが止まった主人が、弾けたように笑い出した。
ここまで笑っている主人を初めて見る。…今日は主人の見たことのない表情をよく見る日だ。
130
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:36:33 ID:7jcG7j9A0
(*´・_ゝ・`)「は、はは…いや、すまないね。ああ、あはは。ちょっと面白かった、ごめん、ふう」
主人は一通り笑ったあと、息を整えお茶を流し込んだ。
まだ少し笑いを引きずっているようだった。
(´・_ゝ・`)「ふ、ふ。…彼女はね、結婚していて、お子さんも君と同じくらいじゃなかったかな。」
(´・_ゝ・`)「僕よりいくつも歳上で、僕が小さい頃からお世話になっていた人なんだよ」
(´・_ゝ・`)「元カノ、元カノか、ふふ…元カノに間違えられだと知ったら、でぃさんも笑うだろうなぁ」
結婚。お子さん。歳上。小さい頃。
色々なキーワードが出てきて少し混乱する。
けれど、私が一番気になったのは。
131
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:37:12 ID:7jcG7j9A0
(゚、゚トソン「…お世話?」
(´・_ゝ・`)「そうだよ」
(´・_ゝ・`)「…でぃさんはね、うちの使用人だったんだ」
主人の静かな声が、頭に響いた。
132
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:38:25 ID:7jcG7j9A0
****
(゚、゚トソン「きょーうーもー、おつかれーさまでーしたトソーン」
バサっとエプロンを脱ぎ捨てる。
業務服を脱ぐということ。業務が終わったということ。
業務が終わったということ、私のフリーダムタイムが始まったということ。
酒。酒が飲める。疲れた体に、酒を。
(゚、゚トソン「…なんだか、モヤモヤしますなぁ…」
フリーダムになった私が酒で騒がない理由はただ一つだった。
『蛯沢でぃ氏』
(゚、゚トソン「使用人だったんですね、ここの…」
133
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:39:34 ID:7jcG7j9A0
そう、だった のだ。
主人は「でぃさんはうちの使用人だったんだよ」と言った後、何も気にすることなくきんつばを平らげ、部屋へ戻っていった。
夕食の時も、風呂が出来たことを伝えに行った時も、業務終了を挨拶しに行った時も。
『蛯沢でぃ氏』についての事は、全く何も触れなかった。
意図的かどうかはわからない。私からもそれ以上は聞けない。
ただ、主人の小さい頃からお世話するくらい長く勤めていた人が、この屋敷にいた。
(゚、゚トソン「なのに今は何故1人も居ないんでしょうね」
134
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:40:35 ID:7jcG7j9A0
思えばおかしな話だ。
こんなに大きくて広い屋敷に、主人ただ1人が暮らしている。
他の家族は?使用人は?何故、どうして。
(゚、゚トソン「………」
(゚、゚トソン「ああもうめんどくさ!!!」
(゚、゚トソン「考えたってわからないことを考え続ける意味はありません!
忘れましょう!いつか分かるかもしれないし、わからなければそれはそれ!」
(゚、゚トソン「酒だ酒酒酒!!!酒の時間よトソン!!」
私の脳味噌は、蟹味噌くらいしかないのだと、自分で自覚している。
135
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:41:39 ID:7jcG7j9A0
(゚、゚トソン「きんつばさん。これをちょっとオーブンでブンします」
主人に作ったきんつばの余りを冷蔵庫から取り出す。
オーブンに閉じ込め、ブン。
(゚、゚トソン「温かさが蘇りました、おかえり!」
(゚、゚トソン「そしてそして今日は東北の日本酒いっちゃいましょう!」
(゚、゚トソン「青森!へいへい!」
トクトクトク、いい音を立てて日本酒をお猪口に注ぐ。
お酒を注ぐ音はどんなヒーリングミュージックより、癒される。
(゚、゚トソン「お酒様、お酒の神様。黄金色のお菓子でございます」
(゚、゚トソン『ふぇっふぇっふぇ、お主も悪よのうトソン…(少し悪い裏声)』
136
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:43:32 ID:7jcG7j9A0
(゚、゚トソン「いただきまーす!」
(゚、゚トソン「ぁあー…日本酒が染み渡る…」
少し辛口の日本酒と、南瓜の甘みが丁度良い。
クリームチーズのまろやかさとも相性が良い。
餡子と日本酒は出身が同じだけあって、良い。
(゚、゚トソン「お菓子をあげたのに、面倒な悪戯をされたような気分だ全く」
(゚、゚トソン「飲んで忘れまーす!」
お酒は良いときにも悪いときにも飲める。
喜びを受け止め、悪い事を受け流してくれる。
だから好き。
137
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:44:30 ID:7jcG7j9A0
モヤモヤとした気持ちごと日本酒を飲み込む。
(゚、゚トソン「南瓜が美味しく食べられるなら、ハロウィンも悪くないですね」
それはハロウィンというよりは冬至か、と思いながら
今日のペアリングも良くてどうでも良くなった。
.
138
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 18:46:48 ID:7jcG7j9A0
本日の投下は以上になります。
ありがとうございました。
>>110
料理もお菓子も作ります、ただトソンの説明は物凄くザックリにしてます。
139
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 19:32:06 ID:azuMR0x.0
今回の独り言、オーブンでブンがツボだった 乙
140
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 19:46:52 ID:QJy6roek0
微妙に不穏な雰囲気がある気もするけど飯テロの前には無意味
乙
141
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 20:22:57 ID:AkG6WNbA0
謎よりお酒なトソンさん可愛い
乙
142
:
名無しさん
:2018/01/18(木) 23:29:46 ID:uzWSitu20
陸奥男山!陸奥八仙!
143
:
名無しさん
:2018/01/21(日) 22:46:49 ID:4LQlbvCE0
菓子テロ酒テロ良いなぁ
144
:
名無しさん
:2018/01/27(土) 01:18:15 ID:uEhtVq/s0
フルーティーな日本酒はまんまだけどフルーツと合う、甘味ならゼリーにぴったり。
ただふつうの餡子とか生菓子とかと合うとなると…生酛造りのまったりしたやつかな?常温で飲むようなやつ。
145
:
名無しさん
:2018/02/01(木) 23:25:30 ID:MDgoqnPk0
酒が飲みたいなぁ
菓子も食べたい
146
:
名無しさん
:2018/02/15(木) 21:36:41 ID:BxDjxyQ.0
チョコレートの話とか出てこないかなぁウイスキーと合わせて
147
:
名無しさん
:2018/02/17(土) 23:33:18 ID:0OQG9UHY0
乙です!
続きがすごく気になる…
楽しみにしてます
148
:
名無しさん
:2018/03/08(木) 22:47:34 ID:JHda6p2E0
今更ながら読んだが乙
腹減るし酒飲みたくなって仕方ないなこれ
149
:
名無しさん
:2018/03/23(金) 16:31:06 ID:1kq32u.Q0
来ないかなあ
150
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 22:55:20 ID:6QXsCUSg0
彼は得意なものが多い。
彼の苦手なものも、実は多い。
.
151
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 22:56:14 ID:6QXsCUSg0
風が冷たく、日も沈むのが早い。
季節が秋から冬へゆるゆると変わろうとしていた。
庭掃除は終わった。風呂掃除も終わった。買い出しも済んでいる。
今は休憩中だ。
(゚、゚トソン「庭の木々が紅葉してきてますね」
リビングから見える窓の外の景色も、だいぶ変わってきた。
あっという間に1年が終わろうとしている。あと一月で終わりだなんて、驚きしかない。
去年の今頃は、こんな豪邸で「夜ご飯は何にしよう」だなんて悩むことになるとは思いもしなかった。
そもそも、こんなに平和な毎日を過ごせるだなんてこれっぽっちも思っていなかったのだ。
(-、-トソン「…随分、日和ましたね私も」
(´・_ゝ・`)「トソンくん、トソンくん」
152
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 22:57:17 ID:6QXsCUSg0
頬杖をついてお茶を飲むという少々お行儀の悪い私に、間の抜けた声がかけられた。
そちらを見やれば、主人がこれまた間の抜けた顔して突っ立っている。
(゚、゚トソン「なんです、主人。私は今感傷に浸っているのですが」
(´・_ゝ・`)「そう、悪かったね…?」
(゚、゚トソン「仕方ないですね、許しましょう」
(´・_ゝ・`)「ええ……」
(゚、゚トソン「何か用があったのでは?」
少し不満そうな主人。
「使用人とは…」とテツガクのようなことを呟いていたが、私の問いにパッと表情を変えた。
(´・_ゝ・`)「あっ、そうそう。今日のおやつ、何?」
(゚、゚トソン「まだ考えてなかったです。何か召し上がりたいものはありますか」
(´・_ゝ・`)「まだ決まってないなら良かった。あのさ、チーズケーキが食べたいんだ」
153
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 22:58:09 ID:6QXsCUSg0
6.外国アニメのチーズはやたら美味しそうに見える
.
154
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 22:58:51 ID:6QXsCUSg0
(´・_ゝ・`)デミタス。主人。手先は割と器用。
(゚、゚トソン トソン。使用人。酒に関する事だと殊更器用。
.
155
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 22:59:47 ID:6QXsCUSg0
(゚、゚トソン「ああ、チーズは良いですよね。チーかまチータラクリチの味噌漬け」
私の呟きに、主人のアイデンティティである下がり眉がピクリと歪む。
(´・_ゝ・`)「チーズケーキだってばー」
私も負けじと眉を真ん中に寄せてみせた。
(゚、゚トソン「はぁ、主人。チーズケーキと言いましても、スフレ、レア、ベイクド、たくさん種類があるんですよ。
一言チーズケーキが食べたいとだけ言われましてもね」
わかってませんね、と大袈裟にジェスチャーしてみれば主人は少しだけ悩んで。
(´・_ゝ・`)「どれも捨てがたいけど、今は硬いやつが食べたいなぁ」
(゚、゚トソン「ベイクドチーズケーキですか。良いですね、主人のお好きなコーヒーにも合いますが、元がチーズだけあってお酒に合うんですよ」
(´・_ゝ・`)「君と会話してると大体お酒の話に行きつくよね」
(゚、゚トソン「それは主人、お酒からアルコールを抜いたらただのジュースになるように、私からお酒を取ったらただの抜け殻になりますから」
(´・_ゝ・`)「……君、休憩中にさ、お酒飲んでないよね?」
(゚、゚トソン「嫌ですね主人。私は仕事中は水しか飲みませんよ」
(´・_ゝ・`)「本当に?」
(゚、゚トソン「嫌ですね主人。度数20以下は水です、私の中では」
156
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:00:41 ID:6QXsCUSg0
(´・_ゝ・`)「……」
私が手にしている湯呑みをチラリと窺う主人。
そんなに真面目にとらえないでほしい。これはただの煎茶です。
(゚、゚トソン「冗談ですってば」
(´・_ゝ・`)「トソンくんならあり得そうだから恐ろしいよ…」
小さく長い溜息を私にチクチク刺してくる。主人は姑のようなネチネチさがある。
そんなに心配しなくとも、私はお酒に関しては誠実だというのに。
(゚、゚トソン「お酒を楽しむのは仕事が終わってから、というのが私のポリシーですから」
(´・_ゝ・`)「ポリシー」
(゚、゚トソン「そうですよ。仕事で飲む酒は、色々違いますので」
(´・_ゝ・`)「…お酒を飲む仕事…」
自分で言った後に『しまった』と思った。少し話しすぎた。
主人は私の言葉を反芻し、少し考えるような顔をした。
何か、言われてしまうだろうか。
157
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:01:26 ID:6QXsCUSg0
(゚、゚トソン「……」
(´・_ゝ・`)「…トソンくんには天職だね!」
(゚、゚トソン「…」
(-、-トソン「……そうでもなかったですよ」
不味いものを口にしたような、嫌な気持ちになる。
ふう、と溜め息をひとつ。
──思っていたようなことを言われなくて良かった。
(゚、゚トソン「アレです、お高いお寿司屋さんで大好きな寿司ネタを食べられて嬉しい、でも席がお手洗いのすぐ隣で切ない、っていう微妙な気持ちになるのです」
(´・_ゝ・`)「なるほど…なるほど…?」
心底わかっていない目で主人が見てくる。その顔が少し間抜けで、ちょこっとだけ気持ちが浮上した。
(゚、゚トソン「じゃあ、チーズケーキ作りますからリビングでお待ちください」
(´・_ゝ・`)「うん、よろしくね」
158
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:02:51 ID:6QXsCUSg0
キッチンにて仁王立ち。今から闘い、本気モードだ。
(゚、゚トソン「デデデーン、トソンサンクッキングのお時間です」
(゚、゚トソン「主人はベイクドチーズケーキをご所望でしたね」
(゚、゚トソン「そんな時には」
⊿⊂(゚、゚トソン「クリ〜ムチ〜ズ〜」
(゚、゚トソン「基本的にクリームチーズがあれば大体のチーズケーキが作れます」
(゚、゚トソン「クリームチーズ様は本当に偉大です。私はクリームチーズ教です」
(゚、゚トソン「いぶりがっこに乗せて日本酒と飲むも良し、クラッカーに乗せてジャムと一緒に白ワインと飲むも良し、白味噌と混ぜてまた日本酒にいくも良し…」
ジュルリ
(゚、゚トソン「…」
〃(゚、゚トソン「はっ!」
(゚、゚トソン「びっくりした夢の酒王国に行っていた…現実に帰ってきてしまったただいま…」
(゚、゚トソン「明日またクリームチーズ買ってきて絶対おつまみ牧場と化そ…」
159
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:03:35 ID:6QXsCUSg0
ロ⊂(゚、゚トソン「さて、ビスケットを用意します」
ロ⊂(゚、゚トソン「ポケットを叩くとビスケットが増える歌があるじゃないですか」
ロ⊂(゚、゚トソン「私は幼い頃ずっと『ビスケットを叩くと』と歌っていました」
ロ⊂(゚、゚トソン「ビスケット叩けばビスケット増えるのは当たり前ですよね」
ロ⊂ (゚、゚トソン
ゴシャッ
☆|||(゚、゚トソン「えーい」
ゴシャッゴシャッゴシャッ
(゚、゚トソン「ビスケットを袋に入れて粉々に叩き潰します」
(゚、゚トソン「ミキサーした方が早いですがストレス発散になるので私は叩き潰します」
160
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:04:28 ID:6QXsCUSg0
(゚、゚トソン「いつの間にか溶かしておいたバターさんとビスケッ粉を組んず解れつにします」
(゚、゚トソン『あっ…バターさん…すごく熱い…!(裏声)』
(゚、゚トソン『ボロボロ粉々になったビスケットさんを受け止めてあげるよ…さぁおいで…(少し違う裏声)』
(゚、゚トソン『バターさんなら…私を優しく包み込んでくれる…!(裏声)』
(゚、゚トソン『ビスケットさん…!!(気色悪めな裏声)』
(゚、゚トソン「型に敷き詰めます」ギュッギュッ
(゚、゚トソン「下の部分無い方が良いと言う人もいますが私は有り派です」
161
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:05:31 ID:6QXsCUSg0
(゚、゚トソン「主役のクリームチーズ様を!」
(゚、゚トソン「砂糖と!」
(゚、゚トソン「ひたすらに混ぜます!」
(゚、゚トソン「…」マゼマゼマゼマゼ
(゚、゚トソン「小麦粉を入れ!」
(゚、゚トソン「ひたすらに混ぜます!」
(゚、゚トソン「…」マゼマゼマゼマゼマゼ
(゚、゚トソン「卵を入れ!」
(゚、゚トソン「そう!ひたすらに混ぜます!」
(゚、゚トソン「…」マゼマゼマゼマゼ
(゚、゚トソン「…筋肉痛って労災出るんですかね」
(゚、゚トソン「秘密のアレを入れて」
(゚、゚トソン「クリームチーズをクリーム状にするという発狂しそうな状態にしたら」
(゚、゚トソン「型に流し入れて…」
(゚、゚トソン「湯煎状態で焼きます」
(゚、゚トソン「冷ましたら完成となります」
(゚、゚トソン「…焼けるまで待ちますかね」
162
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:06:48 ID:6QXsCUSg0
オーブンの前でぼうっとする。焼けるまでの待ち時間は、嫌いではなかった。
生地が膨らむ。途中から良い匂いがしてくる。早く焼けないかなと、待ち遠しくなる。
小さい頃もそうだったな。一度待ちきれなくてオーブンを開けてしまった時は怒られた。
ふと、先程までの主人との会話を思い出す。
主人はわかった上であの感じなのだろうか。
ここで勤めることになった際、主人は私が以前まで何をしていたかを一切聞かなかった。
履歴書さえも出していない。
こんな立派なお屋敷で働かせるのに、何の情報も問わないのはどうなのかと思うが、私的にはとても助かった。
(゚、゚トソン「…もし」
もし、私のことがバレたら。
(゚、゚トソン「ここでは、働けなくなるんですかね」
チーーン
(゚、゚トソン「…おや、焼けましたか」
先のことはわからない。
今はただ、美味しく出来上がったチーズケーキを主人に出すだけだ。
163
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:08:02 ID:6QXsCUSg0
(゚、゚トソン「主人、おまたせしました」
(*´・_ゝ・`)「ああー、良い匂いだね」
チーズケーキを持って颯爽とリビングに入る。
嬉しそうな顔の主人が迎える。様式美。
主人の目が早く早くと訴えている。
待てをしたら噛みつかれそうな勢いだ。少し引く。
(゚、゚トソン「紅茶か悩みましたが、コーヒー淹れますね」
(*´・_ゝ・`)「ありがとう!いただきます!」
お皿をテーブルに置いた瞬間に主人は素早い動きを見せた。
普段部屋に引きこもっているとは思えない速さだ。
まだ柔らかいチーズ生地にフォークが刺さる。
ストンと一口分に切り分けられたそれは、主人の口へ。
164
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:09:12 ID:6QXsCUSg0
(*´・_ゝ・`)「美味しい…ほんのりラム酒の味がするね」
(゚、゚トソン「少しだけ入れました。ラム酒に漬けたレーズン入れても美味しいですよ」
(*´・_ゝ・`)「いいね。それにしても出来立てのチーズケーキ、美味しいな。ふんわりしてる」
(゚、゚トソン「本当は一日冷やして置いた方がもっとキュッとして美味しいんですけどね」
早急に召し上がりたいとのことだったので、出来立てを出した。
出来立てというのは大体美味しい。
(´・_ゝ・`)「いやー、チーズの模型見てたらさ、チーズケーキ食べたくなっちゃって」
チーズの模型。そんな物を目にする機会があるものなのか。
あるのである。主人の『仕事』は奥が深い(らしい)
(゚、゚トソン「今回のお仕事に必要なものなんですか?」
(´・_ゝ・`)「いや、前回絵本を作った時に色々資料として取り寄せてたものなんだ。絵本作家の仕事は無事終わったから片付けててね」
(゚、゚トソン「はぁ」
そういえばつい先日、主人は絵本作家の仕事を終えたばかりだった。
私がここに勤めてから、様々な仕事をする主人を見ている。
165
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:10:18 ID:6QXsCUSg0
(゚、゚トソン「主人は本当に、得意なものばかりですね」
(´・_ゝ・`)「え?」
何気ない私の言葉に、主人は一瞬驚いたような顔をした。
(゚、゚トソン「色んなことできるでしょう。食べものも好き嫌いありませんし」
(´・_ゝ・`)「あー…そうだねぇ…」
お菓子作り(というか料理全般出来ないらしいが)を除けばチートだと思う。
料理も、残された食材は今のところ何もなかった。
綺麗に平らげる主人の食べ方は、作り手としては気持ちのいいものだった。
(´・_ゝ・`)「…僕、昔は苦手なものばかりだったんだよ」
(゚、゚トソン「え?」
主人の言葉に、今度は私が驚く。
(´・_ゝ・`)「人参は本当に嫌いで出る度残していたし…今は食べられるようになったけどね。…それに、信じられないかもしれないけど、僕昔は甘いもの苦手だったからね」
166
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:11:09 ID:6QXsCUSg0
アマイモノニガテ?
甘いもの苦手?
誰が?主人が。主人が?
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「……宇宙人に攫われて嗜好が変わったとかですか…?」
(´・_ゝ・`)「ははは、違う違う」
今はスイーツモンスターとなってしまっているのに。
何があったというのだろう。
(´・_ゝ・`)「──色々あって、食べれるようになって。好きになったんだ」
──人参を?
──甘いものを?
文脈から察するにそのどちらかだろうに、主人があまりにも寂しそうな、何かを懐かしむような目で言うから、何の話か一瞬わからなくなってしまった。
そして、その色々が何なのか、聞くことは出来なかった。
****
167
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:11:12 ID:KVrzDwjU0
支援
こんな時間に飯テロつら
168
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:12:35 ID:6QXsCUSg0
(゚、゚トソン「今日はなんだか色んな話をした気がしますね」
就業時間は終わり。私は今から自由の身である。
キッチンに椅子を持ってきて一人、だらりと座る。
モヤッとすることはある。主人にではない、気になっている事を聞けない自分にだ。
主人が言わない事を聞く事で、自分も何か聞かれてしまう事が怖くて、何も聞けないままだ。
(゚、゚トソン「それを見越した上であんな気になる言い方してるんだとしたら、あの下がり眉引きちぎりたいですね…」
(゚、゚トソン「おっといけないいけない、自由時間とはいえ口が滑りましたね」
(゚、゚トソン「気を!!」
(゚、゚トソン「取り直して!!!」
(゚、゚トソン「お酒タイムだぞ〜!!!」
チーズケーキを作った時点でもう飲むものを決めていた。
用意周到、おまけに美人な自分を褒め倒したい。
169
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:13:38 ID:6QXsCUSg0
片手にはお皿に乗ったチーズケーキ。
もう片方の手には白ワイン。
(゚、゚トソン「あら、優雅なマダムみたいですね?」
(゚、゚トソン「しかもこの気怠げな感じ…銀座のママ感ありますね?」
(゚、゚トソン『いらっしゃい…あら、また来たのね人生の迷子ちゃん(優雅な裏声)』
(゚、゚トソン「ママ…もう、主人がよくわからないよう」
(゚、゚トソン『あらあら、困ったちゃんなのね…(優美な裏声)』
(゚、゚トソン「えーんママ〜〜」
(゚、゚トソン「……ト○ガリだこれ。もしくはス○夫」
(゚、゚トソン「そんな馬鹿なことしてる場合じゃない!今は酒!酒タイムだ!」
(゚、゚トソン「いただきます!!」
170
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:13:39 ID:KVrzDwjU0
読んでるだけでチーズケーキ焼いてる匂い漂ってくるわぁ
171
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:15:28 ID:6QXsCUSg0
カチャン
ぱくり
コクン
主人に出した時よりも、冷蔵庫で冷やした分ひんやりとしていてまろやかさが増しているチーズケーキ。
口の中に広がったチーズの風味に、白ワインが柔らかく混ざる。
(゚、゚トソン「…」
(゚、゚トソン「私、今日このために生きてきたのかもしれません…おーいしーい!」
ラム酒は香りづけに少し入れただけなので、そこまで白ワインと喧嘩していない。
(゚、゚トソン「お口の中がまろやか工場や」
白も赤もロゼも全部好きだが、1番好きなのは白ワインかもしれない。
嘘。その時によって変わる。
(゚、゚トソン「…それにしても、主人にも苦手なものがあったのは驚きです」
(゚、゚トソン「…………私も」
(゚、゚トソン「私も昔は、お酒嫌いでしたね。……すっかり忘れてました」
(゚、゚トソン「…昔のことは飲んで忘れましょう!さー飲むぞ飲むぞ!」
ふと、
人参だらけのご飯を出したらどうなるのだろう。
少しだけ嫌な顔するだろうか。得意になった理由を話すだろうか。
そう考えながら飲むワインと、チーズケーキのペアリングはとても良かった。
.
172
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:18:38 ID:6QXsCUSg0
本日の投下は以上になります。
前回から1ヶ月以上空いててびっくりしました。
関係ないですが作者はラム酒教です。ありがとうございました。
あと『読んでるだけで匂い漂ってくる』は最高の褒め言葉です、ありがとうございます。
他の方の言葉も有難いです。
173
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:19:56 ID:KVrzDwjU0
乙乙
チーズケーキ食べたい乙
デミタスの謎は深まっていく一方だな
174
:
名無しさん
:2018/03/26(月) 23:38:20 ID:q7FFNTJM0
トソンは食レポ向いてそう
乙
175
:
名無しさん
:2018/03/27(火) 00:55:35 ID:MQ1PX8qI0
乙乙
チーズケーキ食べたくなってきた
176
:
名無しさん
:2018/03/27(火) 02:14:36 ID:kIchTjI60
待ってた!乙ー
177
:
名無しさん
:2018/03/27(火) 14:32:01 ID:8m9XVWIs0
乙ー
待ってた!
出来立てチーズケーキ食べたくなってきた
178
:
名無しさん
:2018/03/27(火) 23:50:05 ID:LraxLGCA0
乙!
待ってましたー!
ほろ苦い過去がありそうでドキドキ
179
:
名無しさん
:2018/03/28(水) 19:52:47 ID:X3s0QPUI0
乙!チーズケーキ食べたいな
飯テロ好きだからこのスレの更新があると嬉しくなる
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_2515.jpg
180
:
名無しさん
:2018/03/28(水) 20:08:43 ID:mReS7voo0
>>179
読んでたイメージそのまんまのデミタスとトソンだ!
181
:
名無しさん
:2018/03/28(水) 20:49:32 ID:3BU4Yhrs0
ビューティフル
182
:
名無しさん
:2018/03/29(木) 01:41:23 ID:h0C.at/I0
スイーツもらう代わりに酒をせびられてるようにしか見えない
183
:
名無しさん
:2018/03/29(木) 14:27:09 ID:XH8P7EbY0
かわいい…素晴らしい
184
:
名無しさん
:2018/03/30(金) 08:51:51 ID:SS5DkhU.0
乙! それぞれここまで来た経緯があるもんな
相手の背景が気になりだしたの良き
チーズケーキ食べたくなった……
185
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:33:52 ID:o7vWRyjw0
彼は謎が多い。
彼は、それを楽しんでいる節がある。
.
186
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:34:26 ID:o7vWRyjw0
晴天。秋晴れ。気持ちの良い天気。
風が少しだけ冷たいが、日差しは暖かい。
(゚、゚トソン「オヤジさん、これとこれとこれくださいな」
「毎度あり!」
(゚、゚トソン「こちらこそありがとうございます」
ガチャンガチャン。
瓶と瓶が擦れ合う音。
これは幸せの音。
(゚、゚トソン「今日も主人の金で良い酒を手に入れました。今夜は月見でこれを…ぐっしっし」
187
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:35:07 ID:o7vWRyjw0
今日は買い出しの日なので外に出ている。
買い物は好きなものを好きなように買って良いと言われているのだ。
なんと有り難い、金持ち。
こうも素晴らしい天気だと気持ちも弾む。
洗濯物はたくさん外に干してきた。乾燥機もあるが、私は外に干したフカフカふわふわのタオルを使うのが好きだ。
(゚、゚トソン「日光浴…」
たまには主人も外に出して干してしまいたいのだが、いかんせん『仕事』に夢中で家はおろか部屋からも出ない。
おやつの時間以外は。
人間、お天道様の光を浴びないと不健康だと思う。
どうすれば外に出せるだろう。
188
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:36:42 ID:o7vWRyjw0
( ^ν^)「おい」
(゚、゚トソン「お菓子で釣るとか…?いや流石に無理かな…」
( ^ν^)「おい、シカトこいてんじゃねぇぞ」
(゚、゚トソン「……はい?」
何か雑魚臭の強い声がすると思えば、20代半ば程の男性が目の前に立ちこちらに向かって話しかけていた。
仲間にしますか?いいえ。
相手にしますか?いいえ。
即座にあしらいモードに設定した私は、男性の横を通り抜けようとした。
しかし足でガードされる。逃げられない。
( ^ν^)「お前、あの屋敷のやつだろ」
(゚、゚トソン「あの屋敷と言われましてもね。はて、どの屋敷ですか」
(#^ν^)「盛岡サンとこの屋敷だよブス!」
雑魚は苛立ちを隠そうともせず、呪文を唱えてきた。
189
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:37:40 ID:o7vWRyjw0
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「おいコラテメェ今なんつったコラ、あ?つーか盛岡って誰だよそもそもテメェが誰だよ誰がブスだ?あ?」
この絶世の薄幸美女と呼ばれる私、トソン様に向かって呪文を唱えるとは愚かな。
レベル2くらいの雑魚が、ラスボスクラスの私の威嚇に怯んでいる。
(;^ν^)「な、なんだよ……し、知らないフリしても無駄だからな!と、とにかくな!あの人に失礼な事すんなよ!いいな!」
ダダダ…
雑魚は逃げ出した!
(゚、゚トソン「去っていった…なんだあの小物感…」
【(゚、゚トソン ピポパ
【(゚、゚トソン「あ、警察ですか?今、人相も性格も頭も悪そうな男に脅迫されました。はい、場所は韮束酒店の目の前で…」
190
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:38:16 ID:o7vWRyjw0
7.本当だもん、月にうさぎいるもん、うさぎ見たもん
.
191
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:38:52 ID:o7vWRyjw0
(´・_ゝ・`)デミタス。主人。花より団子。でも花も好き。
(゚、゚トソン トソン。使用人。花も団子もつまみにして酒。
.
192
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:39:38 ID:o7vWRyjw0
(゚、゚トソン「ただ今帰りました、よっと」
荷物を台の上に置く。
珍しく主人がおやつ前にリビングに来ていた。
(´・_ゝ・`)「おかえり、少し遅かったね」
(゚、゚トソン「ああすみません、ちょっと警察に事情を説明していて時間を食いました」
私の言葉に主人が瞬時に反応する。
手を小さく震えさせながら、私を指差した。失礼だ。
(´・_ゝ・`)「…トソンくん、ついに酒飲みすぎて何かしでかし…」
(゚、゚トソン「てません。主人、私のことなんだと思ってるんですか」
(´・_ゝ・`)「酒が無いと生きていけない人間」
(゚、゚トソン「その通りですよ!!!畜生!」
193
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:40:25 ID:o7vWRyjw0
荷物を片付けながら、主人に簡単な事の成り行きを話す。
主人は「うんうん、ふんふん」と興味があるのかないのかわからない相槌をうっていた。
(゚、゚トソン「あの小物感、どこかで見たことある気がするんですよね…」
(´・_ゝ・`)「そうなの?」
子供向けのアニメとかに出てくる悪者キャラとかだろうか。
何か、どこか、初めてではないような気がした。
(゚、゚トソン「しかし盛岡がどうとか、何なんですかね最近の不審者は…人違いなら他所でやって欲しいんですけど」
(´・_ゝ・`)「盛岡は僕だけど」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「えっ」
(´・_ゝ・`)「盛岡デミタス、僕」
(゚、゚トソン「主人、いつの間に改名なさったんです」
(´・_ゝ・`)「産まれてからずっと僕盛岡だよ…」
(゚!゚トソン
(´・_ゝ・`)「そんな衝撃!みたいな顔されても、数ヶ月働いてた使用人が名前も覚えてなかった方が衝撃だからね」
(゚、゚トソン「そういえば宅配便受け取るときによく聞く名前でした…」
194
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:41:06 ID:o7vWRyjw0
そうなると、あの小物感丸出しの不審者は人違いでもなんでもなく、『この屋敷の人間』として私に接触を図ったということになる。
(゚、゚トソン「……もしかして、主人の知り合いでした?」
(´・_ゝ・`)「んん?」
(´・_ゝ・`)「んー、ふふ」
(´・_ゝ・`)「……さぁ、どうだろうね」
いかにも『僕はわかってます』という顔で、主人は小さく笑った。
私に呪文を吐いた人間が誰だかわかっているようだが、それを教える気は無さげ。何故。
何かどこか楽しそうなのも、何故。
(゚、゚トソン「…そうですか」
何に対してかはわからないが、
イラっとした私は判決を下した。
(゚、゚トソン「……主人、今日、おやつ無しです」
(;´・_ゝ・`)「僕に餓死しろと!!?」
195
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:41:41 ID:o7vWRyjw0
何故!暴挙だ!良くないよ!と喚き立てる主人。
その叫びを無視しながら買ってきたお酒を仕舞おうとして。
(゚、゚トソン「あ」
(´・_ゝ・`)「?」
とても良いことを閃いたのだ。
(゚、゚トソン「…わかりました主人。
私も鬼畜生ではありませんのでおやつ抜きは勘弁してあげます。
心優しく寛大であり女神のような美しさと温かさにこうべを垂れて感謝してください」
(´・_ゝ・`)「突っ込みどころしかないけど、お菓子抜きにされたら辛いから感謝します」
(゚、゚トソン「ただ一つだけ、条件があります」
(´・_ゝ・`)「……?」
先程とは打って変わって、今度は私がニヤリと笑う。
主人は不思議そうに眉をひそめて私を見ていた。
****
196
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:42:19 ID:o7vWRyjw0
(゚、゚トソン「さてそれでは恒例のおやつ作りターイム」
ロ(゚、゚トソン「今日はなんと、お豆腐先輩をお呼びしています!」
(゚、゚トソン『きゃー!お豆腐先輩よ!おやつ界では一目置かれているあの先輩よ!(裏声)』
ロ(゚、゚トソン『やぁやぁ、みんなヘルシーに生きてるかい?(低い裏声)』
(゚、゚トソン『きゃー!!先輩の角に頭ぶつけたーい!!(一際高い裏声)』
グシャッ
☆(゚、゚トソン「これをぐっしゃぐしゃに握り潰します」
(゚、゚トソン「白玉粉を混ぜてこねます」こねこね
(゚、゚トソン「耳たぶくらいの柔らかさまで…とよく言いますが」
(><トソン「自分の耳たぶが世間一般の柔らかさなのかがわからないんですよね」
(゚、゚トソン「あとこねてる時に自分の耳たぶを触って比べることもできません」
(゚、゚トソン「なのでここは『硬すぎず柔らかすぎず、ちょっとしばらくずっと触っていたいくらいのぷに感』としましょう」
(゚、゚トソン「……よし、これくらいですね」ぷにぷにぷにぷに
197
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:43:03 ID:o7vWRyjw0
(゚、゚トソン「触り心地の良いこれを」ぷにぷに
(゚、゚トソン「等分にちぎります」ブチィッ!
(゚、゚トソン「お菓子作りは時に猟奇的でなくてはいけません…」
(゚、゚トソン「鍋でお湯を沸かして、沸いたらぷにぷに達をぶちこみます」
(゚、゚トソン「その間に別のお鍋にお醤油!みりん!お砂糖!お水!」
(゚、゚トソン「そして片栗粉さんをぶちこみます」
(゚、゚トソン「…良い匂い」
簡単に出来てしまうため、ついゆったりとした空気が流れる。
とろんと、暖かい色の蜜がキッチン中に優しい匂いを充満させた。
198
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:43:57 ID:o7vWRyjw0
ふぅと時計を見ると丁度10時。早くしなくてはと、
出来上がったものと大事なものを手に、頑張ってリビングのドアを開ける。
ソファにはぐったりとした主人が座っていた。
(゚、゚トソン「主人、生きてますか」
(´・_ゝ・`)「…しにそう……」
(゚、゚トソン「それは大変です。さ、上着を羽織ってお庭へ」
(´・_ゝ・`)「庭……?」
おやつゾンビになりかけている主人は、うわ言のように「おやつ…おやつ…」と呟いている。怖い。
けれど私からお酒を取ったら同じかそれ以上になると自覚している。怖い。
主人を庭に用意していたチェアに座らせる。
夜ごはんは食べたくせに、おやつが無いというだけでこんなに萎れてしまうものなのか。
199
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:44:35 ID:o7vWRyjw0
(゚、゚トソン「ほら主人、今夜は十五夜ですよ」
(´・_ゝ・`)「え?あ、本当だ、綺麗だね」
指を指した先に、まん丸のお月さま。
そして私の手には。
(゚、゚トソン「なのでジャジャン、みたらし団子です」
まん丸串刺しみたらし団子。
(*´・_ゝ・`)「わー!食べていい!?」
(゚、゚トソン「…どうぞ」
みたらし団子を出した途端元気になる主人。満月を見てしまったオオカミ男のようで、若干引いてしまった。
(*´・_ゝ・`)「いただきまーす!あ、まだ温かいね。美味しいなぁ」
(゚、゚トソン「それは良かった」
美味しそうに頬張る主人を見て満足する。
暖かい緑茶を淹れ、主人の前に出した。
200
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:45:17 ID:o7vWRyjw0
外に(といっても庭だが)主人を出す事が出来たのだ。
我ながら良いアイディアだった。
『おやつ抜きにはしない代わり、おやつの時間を夜にずらします』
と言った瞬間の主人の驚いた顔はしばらく忘れないだろう。
(´・_ゝ・`)「トソンくん」
ふいに数本目のみたらし団子を手にした主人が私を呼んだ。
(゚、゚トソン「はい」
(´・_ゝ・`)「ありがとね。トソンくんがこうして教えてくれなかったら、僕はお月見もせずに秋を終えるところだったよ」
(゚、゚トソン「……いえ。次は絶対太陽の光に当てますから」
(´・_ゝ・`)「光合成出来ないよ僕」
小さく笑う主人。どこかあたたかいその笑顔は、少しだけ月に似ていると思う。
201
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:46:11 ID:o7vWRyjw0
ぱくぱくとお団子を楽しむ主人。
『おやつを主人にお出しする』という業務が終わった。
(゚、゚トソン「さて」
(´・_ゝ・`)「さて?」
パチン、と両手を鳴らすと音に驚いたのか主人の肩がびくりと跳ねた。
食べかけのお団子から、みたらしのたれがこぼれそうだ。
(゚、゚トソン「実は私の勤務時間はとっくに終了しております」
(´・_ゝ・`)「そうだね、9時までだもんね一応」
(゚、゚トソン「勤務時間外分は残業代を頂くとして」
(´・_ゝ・`)「別にいいけどね」
(゚、゚トソン「ここからは!私の完全フリータイムです!!!」
゙(´・_ゝ・`) ゙ビクッ
202
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:46:58 ID:o7vWRyjw0
(゚、゚トソン「主人がいようと関係ありません!今日この月を見ながら飲むために良いお酒を買ったので、月見酒を楽しむしかない!FOOO!」
(´・_ゝ・`)「え、まだお酒飲んでないの?飲んでない素面でそのテンション?本当に?すごいね?」
(゚、゚トソン「デレレレレン!に〜ほ〜んしゅ〜(だみ声)」
(´・_ゝ・`)「あ、初期派なんだ」
(゚、゚トソン「最近のはちょっと可愛すぎて…」
私はハイテンションで今日購入した良いお酒を取り出す。
お猪口に注ぐ音にうっとりしていると、主人からの視線を感じた。
(゚、゚トソン「どうかしました?」
(´・_ゝ・`)「それ、お団子をおつまみにして飲むの?」
(゚、゚トソン「はい。みたらし団子も日本酒も、和のものなので合いますよ。良いペアリングになります」
(´・_ゝ・`)「……僕も少し頂いて良いかな」
203
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:47:40 ID:o7vWRyjw0
珍しい事もあるもんだ、と思ったけれど
もうすでに『主人が家の外に出ている』という珍しさ全開の出来事が起きているのだから、今日はそういう日なんだと思うことにした。
(゚、゚トソン「主人、お酒飲めるんですか」
(´・_ゝ・`)「飲めないことはないよ。日本酒はあまり得意ではないんだけど、トソンくんが飲むならせっかくだし」
(゚、゚トソン「あら、あまり得意でない。それなら」
(゚、゚トソン「よいしょっと。しばしお待ちくださいね」
お酒飲む前で良かった。手も頭も足もまだまだ正常に動く。
小走りでキッチンへと向かい、あるものを取りに行った。
(´・_ゝ・`)「……?」
戻ってきた私が色々な物を持っていたので、主人が不思議そうな顔をしていた。
⊂ (゚、゚トソン「ポン酒と」
⊂ (゚、゚トソン「緑茶を」
☆(゚、゚トソン「合体!!」
((´・_ゝ・`))ビクッ
204
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:48:35 ID:o7vWRyjw0
(゚、゚トソン「ガムシロとレモンをちょっと入れて」
(゚、゚トソン「はいどうぞ、日本酒の緑茶割りです。一応カクテルみたいなやつです」
(´・_ゝ・`)「日本酒と緑茶…へー、いただきます」
薄緑色が月明かりで綺麗に透けていた。
キラキラしたそれを、キラキラした目で主人が見、ぐびぐびと飲む。
おお、いけるクチです?
(*´・_ゝ・`)「あ、結構飲みやすい」
(゚、゚トソン「お酒は美味しく楽しむものですから。苦手ならば少し工夫するだけで楽しむことができますよ」
(´・_ゝ・`)「トソンくんはお酒博士だなぁ」
(゚、゚トソン「ふっふっふ」
主人の声がいつもより明るかった。私も少し嬉しくなる。
みたらしだんごにかじりつき、酒を仰いだ。
(゚、゚トソン「うん」
(゚、゚トソン「美味しいですねぇ」
月が綺麗で、だんごは柔らかくて、主人が外に出て、酒は美味しくて。
(゚、゚トソン「良いペアリングです」
だんごと緑茶割り日本酒に夢中になっている主人には、聞こえていなそうだった。
205
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:49:15 ID:o7vWRyjw0
(´・_ゝ・`)「あー美味しかった。ごちそうさまでした」
(゚、゚トソン「おそまつさまでした」
(´・_ゝ・`)「あのさトソンくん」
(゚、゚トソン「はい?」
(´・_ゝ・`)「今日、君が会った不審者くんさ……悪い子ではないから、また会ってもあんまり意地悪しないであげてね」
(゚、゚トソン「奴の態度次第ですねー」
(´・_ゝ・`)「ははは」
主人はとても楽しそうに笑っている。酒のせいもあるかもしれないが、やはり外に出ることによって体が喜んでいるのではなかろうか。
206
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:49:47 ID:o7vWRyjw0
(゚、゚トソン「あの不審者とお知り合いなんですね」
(´・_ゝ・`)「うん。多分だけれど、心当たりあるよ」
(゚、゚トソン「正体を教えてはいただけないと」
(´・_ゝ・`)「もったいぶるような物じゃないんだけど、僕、彼の性格が少し心配でね。友達がいるのかとか」
(゚、゚トソン「はあ」
確かにあの雑魚さ加減だと、友達は少なそうだ。その点はまぁ、人のこと言えないのだけど。
(´・_ゝ・`)「せっかくだから、君と仲良くなって欲しいなぁって。なので彼に関することは、また彼に会ったら直接聞いてみて」
(゚、゚トソン「仲良くはならないでしょうけどね」
(´・_ゝ・`)「あはは」
207
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:50:52 ID:o7vWRyjw0
(゚、゚トソン「そろそろ眠くなってきました」
一升瓶はすっかり空になっていた。
美味しいお酒はスイスイ進んでしまっていけない。
(´・_ゝ・`)「12時近いからね。そろそろお開きにしようか」
(゚、゚トソン「12時でサヨナラって、シンデレラみたいですね……ん?」
シンデレラ。
言葉が、魚の骨のように引っかかった。
なんだっけ。誰だっけ。
………。
あ。
(´・_ゝ・`)「どうかした?」
ぽんと手を鳴らす。一連の不審な動きに主人は不思議がっている。
(゚、゚トソン「いえ、シンデレラ。ああ、そうか、なるほどシンデレラ」
(´・_ゝ・`)「?」
━━謎は、少し解けた。
208
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:51:44 ID:o7vWRyjw0
お月見をして一週間経っていたその日、主人が言っていた『不審者とまた会う』機会がやってきた。
酒の買い出しをしていて、また呼び止められたのだ。
(#^ν^)「おい、お前この間通報しやがっただろ。しばらく職務質問の日々だったんだぞ」
(゚、゚トソン「ああ、どうも先日は」
(#^ν^)「呑気に挨拶してんじゃねぇよ」
(゚、゚トソン「私が通報した事と、貴方が職質されたことは何の関係もないんじゃないですか」
(#^ν^)「うるせえバーカバーカ」
あいも変わらず雑魚丸出しの威嚇をしてくる。確かにこれじゃ友達は……
考えるのをやめた。可哀想になったが、私は持っているカードを切ることにした。
209
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:52:26 ID:o7vWRyjw0
(゚、゚トソン「ところで、シンデレラちゃんはお元気ですか?」
( ^ν^)
( ^ν^)「えっ」
不審者の顔色がどんどん青くなっていく。
汗もダラダラと流して、まぁ大変。しかし私の口は止まらなかった。
(゚、゚トソン「『クラブAA』のシンデレラちゃん」
(;^ν^)「えっ、は…何…」
(゚、゚トソン「貴方がずーーーーっと一途に想い続けて店に通いまくり指名しているキャバ嬢、シンデレラちゃん、お元気ですか?」
(゚、゚トソン「まだ毎日のように足繁く通ってるんですか?」
(゚、゚トソン「まだ緊張しちゃってシンデレラちゃんの前ではきちんと話せなくて最初の30分は無言なんですか?」
(゚、゚トソン「まだドンペリを入れる勇気はなくてワイン止まりですか?」
(;^ν^)「な、な、な、な……ん、でおま…」
210
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:53:16 ID:o7vWRyjw0
(゚、゚トソン「童貞卒業できました…あっ間違えた、同伴誘えました?」
(#^ν^)「〜〜〜〜っ!!?!」
青から土色、そして真っ赤に顔色を変える不審者。カメレオンみたいだなと感心していれば、火山のように噴火した。
(#^ν^)「お ぼ え て ろ よ !!!!!!」
ダダダ…
雑魚は逃げ出した!
(゚、゚トソン「……」
(゚、゚トソン「最高に雑魚い…」
(゚、゚トソン「あっ結局主人とどんな関係があるのか聞けなかった」
(゚、゚トソン「…まぁ、もしまた会えばその時で良いですかね」
なんとなくまた会いそうだなと思う。
けど主人が言うように、仲良くなったりは…しないだろう。
そんなことより今日のおやつと、私のペアリングは何しようか。
考えながら、ゆっくり帰った。
211
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 20:56:23 ID:o7vWRyjw0
本日の投下は以上になります
ありがとうございました
>>179
素敵な絵をありがとうございます!
モンブランとブランデーが美味しそうで美味しそうで…
そしてトソンが酒をせびる代わりにおやつを…という構図がとても好きです
本当にありがとうございました!
212
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 21:33:10 ID:9oQdjknk0
乙乙乙
豆腐団子おいしそうだ!!
213
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 21:59:36 ID:y0eJ6Eec0
ニュー(´;ω;`)
214
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 22:17:39 ID:C97wZ04.0
乙
雑魚ニュッくん可愛い
215
:
名無しさん
:2018/04/05(木) 23:23:17 ID:JVJQZwnc0
乙
216
:
名無しさん
:2018/04/06(金) 01:12:10 ID:FCh4e2GA0
不穏なニュッくんかと思えば雑魚だった…
217
:
名無しさん
:2018/04/06(金) 08:31:15 ID:BIsftqmk0
おつー!
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