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('、`*川魔女の指先のようです

61名無しさん:2017/12/18(月) 20:25:11 ID:/.UYpKWU0
('、`*川「おろしポン酢とスダチはあります?」

これが決め手となった。

「へぇ、あんた、この島の人間なのかい?」

島民はこの料理を、スダチを一絞り入れたおろしポン酢で食べる。
酸味のあるポン酢と甘みのある大根おろし、そして漂うスダチの香りは竜田揚げによく合うのだ。

('、`*川「少し離れていたけど、グルーバー島の出身なんです」

全体の空気が軽くなり、少しずつ彼女に対する警戒を解く人間が増えてきた。
隣に座る男性、そして向かいに座る男性は風体からして漁師で、若い異性であるペニーに興味を持ったのか、次々と質問をしてくる。
話を合わせ、次第にこちらのペースに巻き込んでいく。

('、`*川「今朝、何か騒ぎがあったって聞いたんだけど、何があったのか知りませんか?」

「あぁ、密漁船がイルトリアの船に沈められたって噂だ。
いい気味だよ。
あいつら小さい魚も遠慮なしに根こそぎ盗っていきやがったからな」

 「じゃあ、前から密漁があったんですか?」

「そうだよ。
何年も前からずーっとな。
これまでは巡回だけだったんだが、やっと沈めてくれたんだ」

イルトリアはあくまでも海域の警備が担当であって、漁業権というよりも侵略行為からティンカーベルを守るのが主な任務だ。
これはかなり昔にティンカーベルから依頼があったため、イルトリアが今もなおその仕事を継続しているという背景がある。
イルトリアはティンカーベルに大きな利用価値を見出しており、この島に眠る鉱物などの天然資源の一部を手に入れる権利と引き換えにそれを受諾し、今日に至っている。

密漁と言う行為を現行犯で捕まえるためには数が必要なのだが、ティンカーベルとの決め事の中に必要以上の軍隊を駐屯させないというものがあり、どうしても待ち伏せなどの手段を使わざるを得なかったが、それでも長い間に渡って密漁者は警戒網を巧みにすり抜け、密漁を行ってきた。
密漁は以前からあったという言質が得られたのは収穫だが、今欲しいのは早朝の目撃情報だった。
どうにか情報を引き出せないかどうか、ペニーは慎重に言葉を選ぶ。

('、`*川「……ふぅん、何だか大変なことになりそうですね」

「そうかぁ? 密漁者が死んだってだけだから、特に何もないだろ」

彼の言葉で新たに分かったのは、一般人に対して公開された情報は完全ではなく、本当に断片的なものだということだ。
事実を聞いたのであれば、これから戦争が起こりかねないという事を危惧し、恐怖しているはずだ。
恐らくは二つの街の思惑が偶然一致し、沈められた密漁者がジュスティア人であることやイルトリア軍人が射殺されたことを伏せたのだろう。

それから幾つか他愛のない世間話を済ませ、会話の目的を有耶無耶にする。
あまり何度もこの話をすれば不審がられ、ペニーにとって不利な状況になるのは明白だ。
竜田揚げを平らげ、店を出た。
これで、今後はこの店が情報収集の拠点の一つになる。


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