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('、`*川魔女の指先のようです
284
:
名無しさん
:2018/01/08(月) 07:46:52 ID:WgoVE2mI0
最後の理由は、ギコがペニーに協力しているという痕跡や目撃情報の一切を残さないためだった。
戦争終結には二種類の人間を用意しなければならない。
争い合う各勢力にとっての貢献者だ。
ペニーは単独で大勢の兵士を殺害し、負傷しつつも島を脱出するという役割があり、彼には別の役割がある。
ジュスティア陸軍大将を殺害し、民間人を恐怖に陥れた非道な人間を屠るという役割が。
彼は、英雄になるのだ。
一つの戦争に英雄は一人で十分だ。
それに、ペニーは英雄という柄ではない。
この計画を成立させるためには、基地の状況把握や必要な道具を揃える人間が不可欠だった。
堂々と正面から入ることが出来、尚且つ道具を用意できるのはギコしかいない。
最悪の場合はその場で殺されるかもしれないという危険を承知で、ギコは道具を揃えた。
ジュスティアの軍服や隠し通路の上にあった瓦礫の撤去、ギリースーツなどを用意し、ペニーが伝授したイルトリア式の偽装掩蔽壕を山腹に設置した。
彼はその渾名の通り、電光石火の速度で超長距離狙撃を実行した。
セミオートマチックの銃に匹敵するほどの連射力は、彼が驚くべき速さで廃莢と再装填、そして照準を合わせて銃爪を引くという作業を行える才能の賜物だった。
味方を撃ち殺し、銃声を響かせ、彼はその存在を周知させた。
ほぼ全ての人間の意識がそちらに向けられる中、ペニーは基地に侵入し、残っていた人間を皆殺しにする役割を果たした。
次のペニーの役割は、イルトリアの裏切り者に対する決別だった。
血と死体の転がる通信室に陣取り、ペニーはライフルケースからドラグノフを取り出してすぐに構えた。
方角も場所も、ペニーが計画した物であるため、間違えることはなかった。
二〇倍に拡大されたドラグノフの光学照準器には、鬱蒼と茂る森が映っていた。
だがペニーの目には、そこに立つ二人の人間を捉えていた。
夏にはあまり見かけることの無い枯葉色のギリースーツが動き、銃火が光った。
ギリースーツを着たギコが倒れた。
ペニーの中でアドレナリンが一気に噴き出し、全身が総毛立った。
銃を持っている人間の顔は分からないが、ペニーの予想ではフランシス・ベケットのはずだ。
二度目の銃火が、彼女に正確な情報の全てを伝えた。
風。
湿度。
気温。
自然環境の情報を基に狙点を調節。
上向きの狙撃に必要不可欠な重力も計算に入れ、ペニーは銃爪を引いた。
着弾直後、約三キロ先で三度目の銃火が閃いた。
銃を握っていた腕が糸が切れたように垂れた。
息を吐く。
息を吸う。
息を止める。
そして、銃爪を引く。
決別の一発が弧を描いて飛んでいき、呆然とした表情で基地を見つめるフランシスの頭部に着弾した。
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