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('、`*川魔女の指先のようです

274名無しさん:2018/01/08(月) 07:39:11 ID:WgoVE2mI0
一人の狙撃手ではなく、一つの街が動くだけでいいのだ。
そうすれば戦争が始まり、彼の望んだ通りの展開になる。
ジュスティアの強さを、揺るぎなき正義の力を世界に知らしめられるのだ。
そのためには街を一歩動かす必要があった。

彼が大将へと昇進した際に渡されたベレッタM9をホルスターから抜き、弾が込められていることを確認した。
恐らく、本部からは彼を捕えるよう指示が出ている事だろう。
だが混乱を回避するために連絡を受ける人間は限られているはずだ。

その人間を殺せば、一先ず時間を延ばすことが出来る。
市民の一人二人を殺してイルトリアの仕業に仕立てるか、狙撃手を殺して見せしめにするか。
これまでとは違って過激な手段に出なければ、彼の目標は達成できそうにもない。

サプレッサーを取り付け、歪な形となったそれを膝の上に乗せてテックスはゆっくりと深呼吸をした。
今や廃城の主と化した彼には、威厳と呼べるものはほとんど残されていない。
部下も皆怯え、士気は低下の一方だ。
認めざるを得ない。

一人の狙撃手に彼が率いる軍隊は痛めつけられ、疲弊しきっているという事実を。
たった一人と戦争をしている現実は、彼の指揮官としての能力の低さと相手の優秀さを如実に語っている。
砲兵隊を動員し、戦車隊を動員し、体面を無視して山に砲弾の雨を浴びせた。
だが狙撃手は生きていた。

生きて砲兵隊を恐怖のどん底に叩き落とし、今の状態を作り出した。
正に魔女だ。
一人でこの戦場を生み出したのだから、それは、魔法と言い換えてもいい。
忌々しき魔女。

状況は最悪だった。
鼠の処分をするにも新たに駒を揃えなければならないだけでなく、彼の行為が表沙汰になるまでの時間とも戦わなければならなかった。
魔女、鼠、そして時間。
単独で終わらせるのは非常に難しいだろう。

協力者だったフランシスを切ったのは早計だったと反省する一方で、一つ気になることがあった。
どうして本部にこの計画が漏れ出たのか。
すでに鼠が動いたとは考えにくい。
魔女がこちらを突き止めたとも思えない。

どうしてか、彼の頭の中では交わるはずのない二つの線が重なっていた。
イルトリアとジュスティア。
その二つの勢力が手を組み、彼の計画を潰しに来るなど、あり得ないはずだった。

その可能性は最も低く、計画が動き始めた最初に潰れたはずだった。
魔女の仲間を殺させ、魔女に仲間を殺させたのはそのためだ。
互いに憎しみ合い、協力関係など間違っても起きない状態になっているはずだ。

では、別の経緯で情報が流れたと考えるべきだった。
ジュスティア側に思い当たる存在がいないのであれば、残るは一方。
イルトリアからジュスティアに情報が流された可能性だ。


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