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('、`*川魔女の指先のようです

269名無しさん:2018/01/08(月) 07:33:42 ID:WgoVE2mI0
( ФωФ)『死体の数を数えるのは止めておけ。
       俺の話を聞く気があるなら、大人しく黙って聞け。
       俺達の軍の中に、戦争を望む人間がいる。
       ジュスティアとイルトリアの戦争を起こしたくて仕方がない奴が。
       心当たりはあるか?』

一瞬、フォックスはその言葉の意味が正しく理解できなかった。
戦争を起こしたい人間はイルトリアに山ほどいるだろう。
それはなんら不思議な話ではない。
武人の都の人間が戦争をしない時代は一度もなかった。

彼らの生業は戦争そのものであり、戦争経済こそが彼らの生活源なのだ。
だが、そんな当たり前のことを彼が話すだろうか。
緊張状態にある今、このタイミングでわざわざ電話をかけてくるという事は、もっと別の意味があるに違いなかった。

そういう意味では、フォックスはロマネスクの事を信用していた。
イルトリアがその気になれば、わざわざ電話など掛けずに別の方法で混乱を生み出すことが出来る。
宣戦布告抜きで戦争をすることも可能だ。
ようやく意識が彼の言葉の意味を理解し、その重要性故に背筋が自然と伸びた。

イルトリアとジュスティアの戦争となると、話の持つ重要性と危険性が桁違いになる。
それは親子何世代にも渡って語り継がれ、歴代の市長達が次期市長に向けて伝えられてきた、実現してはならない悪夢の一つだった。
世界が終る時が来るとしたら、間違いなく、この二つの街が争う時だろうと語られ続けてきた。
スズメバチの巣に石を投げてはいけない、迫りくるダンプに体当たりをしないといった次元の常識として、誰もがその言葉を記憶にとどめ、知識を身につけるにつれて言葉の正しさを理解した。

実際、戦争が起こって世界が混沌に陥る理由は非常に簡単だった。
二つの街が本格的な戦争を起こせば、関連する全ての街が同時に争いを起こし、全世界が焦土と化す。
自信過剰や心配のし過ぎではなく、この二つの街は世界を二分し得るだけの力を持った街であり、その影響力は絶大だった。
二つの街と関係を持つ町は今なお世界中に拡大しており、片方が滅びればそれに連動する形で次々と町が滅び、経済的に滅んだ街を巡って争いが起こる。

こうして争いの火が世界中に拡散され、最後に残るのは燃えカスの上に立つ勝者だけなのだ。
待っているのは滅び。
見えているのも滅び。
そんな戦争を望む人間は、流石のイルトリアにもいないはずだ。
だからこそ、ジュスティアでもこの事はタブー視され、戦争を起こさないよう教育がされていた。

ロマネスクがそれを口にしたという事は、実際にそう言った動きがあるという事を意味していた。
フォックスはロマネスクの事を信頼していた。
ジュスティア人がイルトリア人の強さを認めているのと同じように、彼もまた、イルトリア市長の性格を信頼していた。
彼は憎むべき相手だが、尊敬の念を忘れたことは一度もない。

爪'ー`)「何か証拠でもあるのか?」

( ФωФ)『こちらは自軍の裏切り者を見つけた。
      次はそっちの裏切り者を見つけてもらいたい』

爪'ー`)「馬鹿を言え。
    ジュスティア軍にいるはずが――」


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