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('、`*川魔女の指先のようです

251名無しさん:2018/01/07(日) 22:09:09 ID:9ft78oqo0
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銃声は雷鳴では誤魔化せない程に激しさを増していた。
グレート・ベルにペニーがいることを突き止めた軍人達はそこを目指して殺到し、唯一の入り口である扉はもう間もなく爆破されて突破される予定だった。
扉程度であれば後で修復が出来るとの判断が下され、指向性爆薬の取り付けは完了していた。
後は、タイミングを合わせるだけだった。

爆破指示が出た時、ペニーはすでにグレート・ベルにいなかった。

彼女はジョン・ドゥが床に空けた穴から下水道を歩き、街の西側へと向かっていた。
グルーバー島の西側には工場地帯が広がっており、砲兵隊や戦車隊からの砲撃も防げるうえに、身を潜める場所には困らない。
もう一人の狙撃手からライフルを奪い取るためには、その狙撃手の動きをこちらである程度指定出来るようでなければならない。

雑魚に用はない。
いくら大勢のジュスティア兵を殺しても、結局のところペニーの利益になることはないのだ。
狙撃手が動かざるを得ない状況を作り出し、その動きを予測出来るように仕向けてさえやれば、ペニーの目的を達成することが出来る。

暗く悪臭のする下水道に流れる水は勢いを増すばかりで、まるで密林の洞窟の中にいるような心地がした。
幸いなことにティンカーベル全体の下水システムは旧世代の物を復旧して使用しているため、雨水と汚水は別の場所を通って処理されるようになっていた。
今ペニーがいるのは、雨水が流れる下水道だった。
雨水や下水が流れる水路の上に設けられた手摺付きのキャットウォークを伝っていけば、迷うことなく目的地に着くことが出来るはずだ。

だが今、ペニーは一つの困難に直面していた。
彼女は何者かに追跡されていた。
追いつかれないよう、何度も道を変え、遠回りをして相手を撒こうとした。
しかし相手は惑わされることなく、ペニーとの距離を縮めてきた。

訓練を受けた優秀な人間の証拠だった。
このままではいずれ追いつかれ、戦闘は避けられなくなる。
背後を狙っている人間の射程距離に入れば、ペニーは背を見せた瞬間に殺される。
どうにかして手を打つ必要があった。

今はまだ互いの姿を目視するだけの距離にいないが、徐々に近づいてくる跫音から分かる距離は四〇メートル。
直線の道に出ないよう気を付けながら、ペニーはどこかで追跡者を排除することに決めた。
恐らく追跡者はジョン・ドゥと共に行動をしていたか、そのバックアップとしてこの下水道に潜んでいたはずだ。

迎え撃つのには開けた場所が好ましかった。
下水道で開けた場所となると、ペニーの頭には一か所しか浮かんでこなかった。
つまり、放水用の終着点である。
しかし、それは海に通じる道であり、島の南側にあるはずだった。

目的地とは逆方向である上に、最後は直線となっているため、相手からしたら絶好の狩場でもある。
どうにかこの下水道を進む間に始末をしておきたかった。

視線を感じ、ペニーは身を屈めて立ち止まった。
反射的に構えたのはグロックではなく、ドラグノフだった。
だが通路の先に広がる暗闇に、何か人影のような物は見えない。
しかし視線は依然としてペニーに向けられ、次いで、明らかな殺意が彼女を狙っていた。
コーナーショットと呼ばれる特殊な器具を使っているのであればその可能性も含めて考えられるが、曲がり角には何も突き出ていない。


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