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('、`*川魔女の指先のようです

241名無しさん:2018/01/07(日) 21:56:56 ID:9ft78oqo0
ペニーは軍人を見つければ撃てばよく、ジュスティア軍は民間人とペニーを見極めなければならない。
その差が、ペニーを優位に立たせた。
アサルトライフルが火を噴き、軍人達は次々と倒れた。
流れ出た血は、すぐに豪雨が洗い流した。

H&KG36には備え付けの照準器がある。
倍率は三倍と低いが、それでも、グレート・ベルで動きがあるかどうかを見ることぐらいは出来る。
人影も不自然な動きも見受けられず、ペニーはそれを不審に思った。
あの場所に狙撃手がいるというのは、ペニーの推測でしかない。
その推測が外れることはあるだろうが、あの拠点をそう簡単に手放すとは思えない。
狙撃手が高所を取ることの恐ろしさを知らないわけではないだろうに。

目立った戦闘も起こらず、ペニーはグレート・ベルの前にまでやって来た。
鐘楼に登るための扉は鍵が壊されており、すでに何者かが侵入していることが分かった。
それを偽装したという事も考えられるが、そうする必要がない。
銃腔で小突くようにして扉を押し開き、罠がないかどうかを確認した。

だが、特に目立ったものはなく、壁沿いに錆が目立つ手摺の付いた階段がある空間が広がっているだけだった。
一歩踏み入れ、ワイヤートラップの類もないことを確認した。
数百発のベアリングを指定した方向に発射する指向性地雷を設置されていたら、ペニーの足は勿論、最悪の場合は命を奪われかねない。
拠点化するのであれば、罠の設置は必須だ。

後ろ手で扉を閉じ、肩付けにライフルを構え、その銃腔を頭上の空間に向けながら慎重に階段に近づいていく。
自らの跫音が雨音に紛れて耳に届く。
何もないはずがない、とペニーは全ての物を疑い始めた。
ジュスティア軍を相手にゲリラ戦を挑むと決めた時から、ペニーは相手の研究を行い、その結果に基づいて行動していた。

正義を信仰する彼らならではの死角を見つけ、彼らの弱点を狙い続けた。
市街地での戦闘がペニーなりに出した結論の一つだった。
民間人への誤射を避ける彼らとは違い、ペニーは一切躊躇うことなく銃爪を引くことが出来るからだ。
その研究の中でペニーが分かっているのは、ジュスティアは拠点を防衛する際、決して警戒の手を緩めることをしないという事だった。

拠点制圧のためには戦車も持ち出すし、野戦砲も持ち出してくる。
そういう連中が今のペニーの相手なのだ。
それが、グレート・ベルという狙撃手にとって最高の環境を易々と手放すというのは、罠以外の何物でもなかった。
正々堂々を旨とする彼らが仕掛ける罠となると、優等生的な物が考え付くが、裏切り者が罠を仕掛けたとしたら、それはジュスティア軍らしさのない物になるだろう。

壁を背にして警戒を続けつつ、階段に足を乗せた、正にその瞬間――

('、`;川「っ?!」

――動物的なまでの直感に従い、ペニーは大きく前に飛び込んだ。
階段の段差に躓きかけながらも、大きく五段上に登ることが出来た。

ペニーの足が五段上の階段に触れるのとほぼ同時に、轟音と共にそれまでペニーの足があった場所に無骨なシルエットの腕が生えていた。
強化外骨格の腕。
機械仕掛けの甲冑の腕。
紛れもなく、ジョン・ドゥの腕だった。


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