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('、`*川魔女の指先のようです
222
:
名無しさん
:2018/01/07(日) 21:36:34 ID:9ft78oqo0
魔女は誰にも疑われることなく、背の高い建物の屋上にその姿を見せていた。
屋上の床と同じベージュのシーツを被り、狙撃銃の光学照準器を覗き、その場に伏せていた。
簡素なカモフラージュだが効果は十分だ。
彼女はタイミングを待っていた。
かつて彼女の戦友達がそうされたように、魔女もまた、その瞬間を待っていた。
______________________∧,、___
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V`´ ̄ ̄
午前十一時五九分。
陸軍砲兵隊に所属するアレン・ラサムとギャレス・グラディは、元イルトリアの駐屯基地に持ち込まれた牽引式榴弾砲の点検整備を行っていた。
昨晩の砲撃によって汚れた砲口内を掃除し、万全の態勢を整え、次の戦闘が始まったらすぐに使える状態にしなければならなかった。
砲兵隊で配備されているM777榴弾砲はその威力と性能からジュスティアのみならず、イルトリアの砲兵隊にも配備されている榴弾砲だ。
その巨大な砲口は基地の北側にある山に向けられ、周囲には土嚢が積み上げられていた。
七人がかりで運用するこの榴弾砲は、チームワークを求められる砲兵隊の象徴でもあった。
「しかし、昨日はすごかったな」
掃除をする手を止めずにアレンはギャレスに話しかけた。
「あぁ、あそこまでぶっ放すのは初めてだったよ」
狙撃手撃退のため、砲兵隊の一部は強力な火砲を基地内に設置し、そこから山腹を狙い撃ちにした。
二人もその役割を与えられ、二〇発近くの砲弾を山に撃ち込んでいた。
その名残である火薬の匂いが基地に漂っていた。
その激しい砲撃によって山火事が起き、森の一部が焼失した。
また、砲撃によって山肌が大きく抉れた場所もあったが、民間人の被害者はゼロだったのは奇跡と言ってもいい。
「死体はまだ見つかってないんだってな」
消火を兼ねて狙撃手の行方を探っていた班からは、狙撃手の血痕一つ見つけられなかったと報告があった。
だが、足跡は見つけ出せた。
使用されたドラグノフの薬莢が榴弾の着弾点の傍から見つかったのだ。
腕の一つでも見つかれば、砲弾が直撃したのだと推測できるが、肉片どころか血の一滴も見つかっていない。
山から下りた車道で爆発炎上したハンヴィーとセダンが発見されていることから、狙撃手は山からどこかに逃げたのだと判明し、すぐに追撃部隊が派遣されたが、発見には至らなかった。
「らしいな。
それに、待機していたゴルドー伍長も殺されたみたいだし、どこに逃げたんだかな」
ゴルドーはセダンに乗り、民間人を装って万が一狙撃手が見つかった際に待機している役割を担っていた。
その彼が乗るセダンは彼の棺桶となっていた。
アレンの言葉に、ギャレスは忌々しげに毒づいた。
「性悪女を早くぶっ殺したいぜ」
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