[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
('、`*川魔女の指先のようです
218
:
名無しさん
:2018/01/07(日) 21:31:02 ID:9ft78oqo0
ここまで状況を整理し、会議に持ち込み、得られた結果は静観と調査だった。
民間人から流れ出たペニーの情報は、ジュスティア軍でさえも正確に把握出来ていなかった事だと、ヒートは思っていた。
ペニーの存在自体は知られているが、そこまで有名な存在と言うわけではない。
女の狙撃手は歴史的に見ても優れた者が多く、それは、女性ならではの精神力がもたらした結果と言えた。
それ故にイルトリアには数十人の女性狙撃兵がおり、名を馳せたことのある狙撃手であれば、数百を越えるだろう。
ペニーはまだ若く、発展途上にある。
だがその存在が容易に知られたのには、イルトリアの人間が関わっている可能性が高かった。
仮にドラグノフの弾丸を見てそこからペニーの存在に行き着いたのだとしても、あまりにも説得力に欠ける話だ。
ドラグノフは民間にも広く出回り、過激派から猟師にまで普及している名銃であり、誰が使ったとしても不思議ではない。
狙撃の精度を加味しても、世界中にいる狙撃手の中からすぐにペニーに辿り着くにはあまりにも早計だ。
ヒートの知る限り、ジュスティアにとって非友好的な組織でドラグノフを使う狙撃手は一〇数人以上いる。
ジュスティア軍に対する報復と決めつけ、ペニーに的を絞って捜索を行うのはあまりにも都合がよすぎる解釈である上に、極めて異常な対応だ。
そうするとやはり、ペニーの存在を仄めかした何者かがおり、その人物はペニーがあの島にいる事を知っていた人物になる。
まず行われたのは、ペニーが島に滞在している事を知っていた人間の身辺調査だった。
先に生者、次に死者の順で調査が行われた。
結果は白だった。
全員がジュスティアに協力する理由もなく、それによって得をする組織に所属もしていなかった。
だが、報告書に記載されていたある人物の言動がヒートには気になっていた。
報告されている限り、それは街にとってプラスに働くはずの物だが、決して無視出来ない何かがあった。
死んだとされるその人物は、あるいは、生きてまだティンカーベルにいるかもしれない。
彼は数多の戦場を戦い抜き、生き抜いてきた猛者だ。
その彼が死んだ状況を考えると、やはりいささか不自然さが拭い切れない。
多くの兵士が狙撃されたのに対して、その男と他の人間は一か所に固まり、そこで爆死した。
それがイルトリア軍人としてあるまじき死に方であり、不自然極まりない最期だった。
まるで、そこに集まるよう誰かに唆され、殺されたかのようだ。
次に吐いた溜息は、その日ヒートが吐き出した中でも最大の物となった。
同じ軍人を疑うのは海兵隊の頂点に立つヒートにとって、気持ちのいいものではなかった。
そして何より、それが分かったところで、現場にいるペニーにそれを伝える手段はない。
こちら側から決着をつける手立てはなく、全てをペニーに任せる他なかった。
裏切り者の正体やそのヒントを伝えることも、イルトリア軍は出来ない。
一計を講じてイルトリアとジュスティアを争わせようとする者の目的は、正に、戦争そのものにあった。
戦争を引き起こせば、姦計に巻き込まれて死んだ両軍の兵士にとっては本望ではないだろう。
ジュスティアに連絡をするか否か、その提案を次の会議でヒートはするつもりだった。
裏切り者の存在に気付いているのは、彼女だけではないだろう。
特に今大混乱を極めているのは、間違いなく海軍のアサピー・クリークだ。
彼は直属の部下が裏切りを企て、大勢のイルトリア軍人を死に至らしめたとあっては、管理責任を問われるだけでなく、どう決着をつけるのかが注目される。
手出しの出来ない状況下では手を拱くしかないため、アサピーは厳しい戦いを強いられている。
無論、市長もそのことを理解はしているだろうが、このまま黙っている人間ではない。
何かしらの対抗手段や反撃を講じるだろう。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板