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('、`*川魔女の指先のようです
215
:
名無しさん
:2018/01/07(日) 21:27:28 ID:9ft78oqo0
全身が海水に濡れ、染みるような痛みのおかげでようやく擦過傷が顔に出来ていることに気付けた。
手を当ててみると、左の頬に幾つか細かな傷があった。
だが痛みは彼女にとって、気にするべき様なことではなかった。
それが顔に負った深い傷であったとしても、ペニーは一ミクロンたりとも気にしなかった。
上陸する前にペニーはカービンライフルを海中に捨てていた。
ジュスティアのライフルを持っていればどう言い訳をしても疑われるし、持ち運ぶ利点がこれと言って見いだせなかったからだった。
結局橋を通る際にも一発も使わず、邪魔になったほどだ。
それに、使い慣れない銃をいつまでも持っている趣味はなかった。
濡れた体に風が吹き付け、軽く身震いをする。
ライフルケースからドラグノフに巻き付けていた衣類を取り出し、素早く着た。
幸いにしてライフルケースに浸水はなかった。
まだ復讐は果たせる。
油断をしていたつもりはなかったが、より一層気を引き締めなければならないだろう。
ペニーの動きを想定したのか、それとも聞いていたのかは分からないが、あれだけの距離から正確にペニーをマークしていた人間は相当な腕前を持っているのは間違いない。
一般兵ではなく、狙撃の力を持つ人間に違いなかった。
腕時計で時間を確認すると、明け方の三時を回っていた。
漁の準備をする人間がいるかもしれないため、ペニーは何食わぬ顔で浜から街中に姿を溶け込ませ、誰ともすれ違うことなくホテルに戻った。
無人のロビーを通り過ぎて自室に戻って施錠をし、ペニーはすぐに熱いシャワーを浴び、同じぐらい熱い湯を張った浴槽に体を漬けて疲労を体から抜くことに注力した。
体中から疲労が湯船に抜け出すような感覚に、深い溜息を吐いた。
瞼を降ろし、何度も深く呼吸をする。
全身の筋肉を弛緩させ、体と湯との境目を曖昧にしていく。
短い戦闘だったが、これで分かった事がいくつかある。
ジュスティアにはペニーがまだ接触していない狙撃手が数人おり、その狙撃手が最初の基地襲撃を助長した可能性が大いにあるという事。
軍の持つ戦闘力は想像を越えないが、それを振るう事に彼らは一切のためらいを捨てているという事。
キャンプ場にいる民間人の事を考えていれば、昨夜は砲撃などしないはずだった。
避難命令もしていなかったことから、なりふり構わず攻撃をするよう指示を受けているに違いなかった。
つまり、状態としては非常に興奮しているということだった。
このような場合、相手の冷静さが欠如している点を狙うのだが、ペニーの行動を予測することの出来る人間が指揮を執っていることから、それは避けて、更に大胆に攻めた方がいいだろう。
ゲリラ戦の基本は攻撃と撤退によって相手の混乱を助長し、爪先から細切れにして殺すことだ。
そのためには恐怖や情報を利用し、最小限で最大限の戦果を得なければならない。
恐怖の生産は狙撃手の得意分野だ。
そして、相手の出来る事、出来ない事は分かった。
つまり、不完全ではあるが情報が手に入ったという事だ。
戦いの舞台を街中に持ち込み、砲撃と戦車の機動力を削ぎつつ、確実に死体を増やしていく。
昨夜の事は威力偵察の盛大な成果だったと考えればいい。
また、自分が多少なりとも油断していたことを戒めるいい機会にもなった。
たっぷり一時間、ペニーは風呂でその身を清めた。
その間に戦術を考え、戦略を練り、次に起こすべき行動は睡眠と食事、そして戦闘である事を決定した。
風呂から上がり、ペニーは下着姿のままで仮眠を取り、次に目を覚ましたのは朝の八時だった。
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