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('、`*川魔女の指先のようです

20名無しさん:2017/12/17(日) 08:00:07 ID:YAAXsb060
( ・∀・)「ねぇ、ちょっと待ってよ」

馴れ馴れしい声だった。
獲物を前にした動物の吐息のように、詐欺師が使う甘言に似た響きがある。

( ・∀・)「俺達と一緒にツーリングしない?」

視線だけを男の声の方向に向ける。
先ほど喫茶店にいたバイクグループの一人だ。
いや、彼の周囲にすでに数人が集まり、値踏みするようにしてこちらを見ている。
これは別に特別な光景ではない。

バイク乗りの多くは男性で、女性の比率は非常に低い。
故に、バイク乗りの中には女性を見つけたら声をかけるのが礼儀だと思っている輩がいる。
それに喜ぶ人間も中にはいるが、ペニーは逆だ。

('、`*川「遠慮しておきます」

( ・∀・)「まぁそう言わずにさ。 どこに行くの?俺達は――」

('、`*川「言い方を変えますね。 興味ないんです、貴方達に」

こういった状況の場合、相手にしないのが得策だ。
下手に相手にするような素振りを見せればつけあがり、やがて面倒な事態に発展する。
バイクに乗り、早々にこの場を去るのが賢い選択だった。

(;・∀・)「待ってくれよ」

語気の変化は、彼らが純粋にツーリングを楽しむ輩ではないことの証だった。
ペニーは頭痛を覚えずにはいられなかった。
ツーリングには二種類ある。
ソロツーリングとマスツーリングだ。

単独か、それとも多人数か。
些細なことにも思えるが、その実、心理学的に考えればそうではない。
一人の行動と複数で行う行動では心理的な余裕、すなわち大胆さが圧倒的に違うのだ。
旅の恥など一時の恥と開き直った輩の行動は時に大胆不敵を通り越し、無礼の領域にまで踏み込んでしまうことがある。

( ・∀・)「折角の〝一期一会(フォレストガンプ)〟なんだ、お互いにバイク乗りだから分かるだろ?」

('、`*川「それはそうですが、興味がないと言いましたよね?」

別に、ペニーはマスツーリングが嫌いなわけではない。
単独でも複数でも、それぞれの楽しみがある。
しかし、相手に下心があるのが明白な場合はツーリングの目的が変わるため、断ることにしている。
無論、話しかけてくる全てのライダーが下心を持った人間なわけではないが、ペニーはこれまでの経験から人の本質を見抜くことにかけては自信があった。


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