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('、`*川魔女の指先のようです

188名無しさん:2018/01/07(日) 20:49:56 ID:9ft78oqo0
工具を使って壁と一体化していた通信機器を外し、分解し、部品取りを行う。
スクイッドの実家は家電の修理を行う傍ら、発掘された太古の技術の復元作業を趣味半ばで行っていた。
幼い頃から親の仕事を見て育ったスクイッドは、簡単な構造の電子機器ならば作り上げることが可能だった。
特に得意としていたのが、無線機器の修理と組み立てだった。

ドライバーとハンダごてさえあれば、ある程度の無線機修理は彼の手に負えた。
その応用として、彼は無線の傍受を行う装置を作ることが出来た。
基盤を見て無事な物を選び、それを積み上げていく作業が続く。

地道な作業だったが、スクイッドはこの作業が好きになり始めていた。
無線傍受が出来れば、彼らを貶める何者かの正体に迫り、順調にいけばその相手の特定も夢ではない。
つまりこの無線傍受器作成という任務は、大きな役割を担っているのだ。
スクイッドは久しぶりに自分が重要な仕事をしている実感を覚え、部品探しに精を出した。

床に付着している血が、悪夢の夜を思い出させた。
何者かが武器保管庫を爆破し、監視の仕事を担っていた狙撃チーム四人を殺した夜。
イルトリアの生き残りと思われるその人間は、パレンティ・シーカーヘッドとヒッキー・キンドルを新たに殺害していた。
その人物がどちら側の人間なのか、スクイッドには想像も出来なかった。

裏で糸を引く人間の手先なのか、それとも本当にイルトリアの復讐鬼なのか。
考えがぐるぐると頭を巡り、もやもやとした気持ちが抜けきらない。

「精が出ているじゃないか」

突如、背後から声がかけられたことにスクイッドは心臓が止まる思いをした。
その声の主をスクイッドは良く知っていたが、この基地に派遣されているとは思わなかった。
作業を中断して敬礼をすると、その人物はスクイッドに楽な姿勢をするよう指示をした。

「無線機なんて分解してどうしたんだ?」

「はっ、小型の無線機があれば、街中での潜入捜査も容易になるかと……」

「はははっ、誤魔化さなくていい。
大方無線傍受装置でも作ろうとしているんだろう?やはり、君も同じ考えか」

「いえ、自分は……」

「この事件、背後で糸を引く人間がいる。
そうは思わないか?」

突如として投げかけられたその言葉に、スクイッドは内心でたじろいだ。
計画を知る人間は狙撃チームだけであるため、如何に信頼に足るこの人物とはいえ、安易に肯定は出来なかった。

「……どういう、ことでしょう」

「何ね、私も少しは話を聞いているんだが、君達が最初にこの基地を攻撃した時の事を考えると、
イルトリアとの衝突を望む何者かが介入していると考えても不思議ではないからね」

「一体、どこでその話を」


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