[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
('、`*川魔女の指先のようです
178
:
名無しさん
:2018/01/07(日) 20:34:27 ID:9ft78oqo0
感情を露わにした市長を前に、今度は誰も反論をしなかった。
そして、そうなるように仕組んだ人間は内心でほくそえんでいた。
______________________∧,、___
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V`´ ̄ ̄
陽が頭上で輝き、青々とした夏の空が広がる。
白い綿のような雲が流れ、海鳥が気持ちよさそうに風に乗って飛翔する。
銃撃戦から一夜明けたティンカーベルは、いつもと変わらない様子の穏やかな風が流れていた。
しかし、噂話は夜明け直後から街中に広まっていた。
山で響いた銃声。
それも、バンブー島とグルーバー島の二か所でそれが聞こえたというのだから、軍属でない人間にはいささか刺激の強いニュースだ。
イルトリア軍がジュスティア軍に撃滅され、銃声は止むものと思われたが、結局のところ銃声は続き、死者は増えるばかりだった。
中にはジュスティア軍が無能なだけなのではと噂する者もいたが、関心事はすぐに別の方向に移った。
この後どうなるのか、ジュスティア軍はどう出るのか。
ある種のゴシップネタとして人々は重大な事件に捉えず、ほとぼりが冷めるのを待つことにした。
連日の銃声と死者のニュースが、島民の神経を麻痺させていた。
漁師の反応は少しだけ違っていた。
密猟者を懲らしめたイルトリア軍を排除したジュスティア軍が何者と争っているのか、その正体に興味があった。
一部の漁師がイルトリア軍の生き残りがジュスティア軍に対して反抗しているのだという情報を入手し、それは瞬く間に島中に広まり、正午には全島民に知れ渡るところとなった。
午後一時。
狙撃手を追い詰めるはずだった作戦に失敗し、悪戯に兵を失ったジュスティア軍は一度基地に戻り、上層部からの指示を待っていた。
出し抜かれたことに対して憤る兵士も入れば、司令官と仲間を失ったことに対してショックを受ける兵士もいた。
戦意は高いとは言えず、いつどこから狙われているのかも分からない不安にストレスを感じた兵士の中には、早くもこの場から故郷に帰りたいと思う者もいた。
哨戒が増え、厳戒態勢となった基地の片隅では普段よりも遠い距離の標的を狙い撃つ射撃訓練が行われていた。
それが狙撃手と中距離で遭遇した際の訓練であることは、今さら説明の必要もなかった。
隊狙撃手用の訓練以外に、兵士達は不安を解消するかのように体力トレーニングにも精を出していた。
それが絶好の標的となると分かっていても、彼らは日課であるトレーニングを行う事で精神を安定させようと試みていた。
人は日常が継続すればそれだけで安心する生き物だ。
精神的に不安定な場合、取り分けプレッシャーやストレスに押し潰されそうな時に日常的行動を行えばリラックスすることが出来るのは科学的にも証明されている。
優れた運動選手達は試合直前やここぞという時に日常的に行っているある種のまじない的な行動をすることで、精神を安定させるという。
一方で、兵舎の中で休憩をする者もいた。
昨夜の捜索活動で山を登り、探し、下り、そして再び見つかった死体とその近辺の捜索に参加したことにより、二四時間以上起きている者がほとんどだった。
疲労の色はまだ顔には出ていないが、精神的な疲労は戦闘経験豊富な人間にも見えていた。
狙撃手がもたらした被害は、死体袋の数以上に深刻だった。
割り当てられた部屋に集まる海軍狙撃チームの三人は海兵隊のそれと同じく自由行動の権限を与えられていたが、
必要な出撃はしばらく後だろうという事で、粗末な食事を摂った後に各々のやり方で休憩していた。
精神的な緊張や疲労はあるが、同じ狙撃手としてその動きは見習うべきだし、次の機会には必ずや返り討ちにするという決意があった。
ベッドの上に寝転がり、ペーパーバックの短編小説を読むのはスクイッド・マリナー。
ブロック食糧を食べながらコーヒーを啜り、机の上に広げたティンカーベルの地図を睨むのはハインリッヒ・サブミットだ。
ジョルジュ・ロングディスタンスはベッドの上でライフルの分解整備を行い、ガンオイルを染み込ませた布で部品を磨き上げている。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板