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('、`*川魔女の指先のようです
16
:
名無しさん
:2017/12/17(日) 07:50:10 ID:YAAXsb060
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第一章 【小さな謎、小さな旅】
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V`´ ̄ ̄
――気の遠くなるほど昔、世界の歴史を変える大きな戦争があった。
第三次世界大戦と呼ばれるその世界大戦は地上の生物を滅ぼし、都市を消し飛ばし、生命の在り方を長年に渡って変えることになった。
戦争が破滅に向かって激化する過程で多くの兵器、多くの武器が生まれた。
平和を求める人間達が作り出した強すぎるその力はやがて国だけでなく、世界そのものを滅ぼすことになったのは、何とも皮肉な話だ。
だが発明とはそういう物であり、人間の望みとは大半が己の願いとは別の方向に進むものだ。
やがて文明と呼べる物の名残が全て朽ち果て、人の生活の跡地は汚染された危険地帯と化し、人の手が介入しない空白の時代が生まれた。
時は流れ、新たに誕生した人類は新たな文明を手にした。
それは国がなくなり、代わりに数多の街が存在する文明だった。
人類の滅亡から悠久とも言える長い時間が流れ、新人類は二〇世紀半ばまでの文明を回復することに成功した。
長い時間は地球と月の距離を縮め、夜空は世界大戦以前の黒ずんだものから様変わりし、銀河と星々が作り出す見事な輝きで満たされ、さながら宝石箱の様だった。
絢爛豪華な文明を象徴した建物は軒並み風化し、崩れ落ち、そして土へと還ったその上に新たな建物が聳え立っている。
人類発展の一役を担っていた娯楽は収縮し、テレビは金持ちだけの娯楽へと移り、価格の暴落を続けていた携帯電話は豪邸を買えるほどの高級品と化した。
一般人に残された娯楽は音楽、そして少々値の張るラジオから流れる陽気な番組ぐらいだった。
デジタル製品も一部が復活をしているが、未だに民間人の手の届く値段ではない。
いつの時代、どの文明も大きく発展したと言われる時期には必ず大きな発明が伴う。
例えば、石器に代表される道具の発明や、火の発見とその活用が動物と人間を隔て、核兵器の登場によって貧困国でも大国に侵略をされずに済むようになった。
やがて道具とエネルギーという二つの発明が共に歩調を合わせ、人はより大きな力を手に入れていく事になった。
蒸気機関や電気は新たな移動手段や効率の良いエネルギーの生産を可能にし、安価で大量生産された質の良い武器や道具は戦争や生活そのものを塗り替えた。
それは、今も昔も変わっていない。
道具が進化する過程で、腕力を必要としていた弓矢は銃爪を引く力だけを要求する銃になり、従順な友であった犬は無機質な道具であるロボットへと変化した。
だが、人間が取り扱う乗り物の進化に於いて、特異な性質を持つ物があった。
それは、バイクである。
古より人の移動手段として共に在った馬の形が色濃く残され、その取扱い方なども馬にかなり近い。
時代が変わっても双方を乗りこなす者を騎手(ライダー)と呼び、バイクを鉄馬と呼ぶ名残があるのはこのためである。
鋼鉄の心臓が放つ心地よい振動が腰の下から伝わり、乗り手がそれを感じ取ることでバイクの状態を把握する。
鉄と歯車で作られた心臓は言葉ではなく音で己の状態と要求を伝え、最適なギアを要求する。
太古より人間と共に暮らしてきた馬は今ではほとんどが鉄製の機械に置き換わっているが、
それでも人間は長距離ないし短距離を駆け抜けるこの乗り物に、本来あるはずのない命の存在を少なからず感じ取っていた。
四本あった脚は二本のタイヤになり、鬣は消え失せ、空気力学の結晶とも言える鎧を纏い、餌や水の代わりに求めるのは燃料として使う少量の水と電気。
乗り手の世話に応じてその状態を生物のように変化させ、風を切り裂く爽快感を己の主に与えもするし、地獄に叩き落としもする。
人間が生み出した機械の中でも、これほどまでに心があると信じられている物はそうないだろう。
バイクは今も昔も、旅人の想いを乗せてその鋼鉄の心臓を震わせ、より遠くに、より速く駆けていく。
八月五日。
豊かな自然に囲まれた島に、バイクを自分の愛馬のように扱う人間が上陸した。
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