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('、`*川魔女の指先のようです

158名無しさん:2017/12/25(月) 23:22:31 ID:ZLy5QeVs0
脚部に力を入れ、パレンティは一気に駆け出した。
補助装置が働き、不安定な足場をものともせずに斜面を駆け登る。
肉眼では見ることの出来ない夜の森でも、ジョン・ドゥのカメラには昼間よりも鮮明な映像が映っている。

事故を起こしてからまだそう時間は経っていない。
人間の足で山道を駆けたとしても、せいぜい八〇〇メートルほど進むのがやっとだろう。
それに対してジョン・ドゥはその倍以上の速度で動くことが出来る。
追いつくのは時間の問題だ。

人間の体温に近い何かを見つけ、それが武装をしていれば間違いなくイルトリアの軍人だが、万が一民間人だった場合を考慮すると、索敵殲滅とはいかない。
今の時期、グルーバー島にはキャンパーが大勢いる。
間違えて捕まえてしまった場合、謝罪だけでは到底済まない問題へと発展するだろう。

しかし、パレンティは幸運だった。
彼の視線の先に、ライフルケースを背負った人影が駆けているのが見えたのだ。
ライフルを肩付けに構え、足元に発砲する。

〔Ⅲ゚[::|::]゚〕『動くな!イルトリアの狙撃兵!』

これで、長い夜は終わりになる。

______________________∧,、___
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V`´ ̄ ̄

ペニーは足元に着弾したのを見て、相手がこちらをすぐに殺す気がないことに確信を持った。
殺すつもりなら、重機関銃を発砲した際に殺せたはずだ。
だが相手はそうしなかった。
それは彼らがジュスティア人だからという事と、事件の濡れ衣を全てペニーに被せようと考える人間がジュスティア軍内部にいるため、
生きたまま連れ帰りたいという考えがあるというのが、ペニーの想像だった。
二度にわたってペニーを生かした彼らの行動は、生け捕りこそが彼らの主な狙いだという事に違いなかった。

想像は所詮想像だが、事実、彼らはペニーを殺さなかった。
これは、ペニーの想定通りだった。
想定外だったのは、彼らが強化外骨格を持ち出したことだった。
たった一人を追い詰めるのに貴重な強化外骨格を持ち出すというのは、言ってしまえば破格の待遇だ。
それを遊撃隊的な部隊に与え、山狩りの際に使わなかった事が疑問として残ったが、ひょっとしたら、それすらも見越して強化外骨格を配置したのかもしれない。

銃腔が背中を向いている事を感じ取り、ペニーは走るのを止めた。
優位性は今、向こうにある。

〔Ⅲ゚[::|::]゚〕『大人しく、ゆっくりとライフルケースを地面に置くんだ』

その声は、間違いなく聞き覚えのあるものだった。
喫茶店で会ったパレンティ、と呼ばれていた男のそれだ。

〔Ⅲ゚[::|::]゚〕『抵抗はするなよ』

強化外骨格には共通した弱点と呼べるものが一つしかないが、今はそれを狙えない。
狙うためには、背中を見なければならない。
背中にあるバッテリーを徹甲弾で撃ち抜けば、強化外骨格を強制的に停止させることが出来る。


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