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('、`*川魔女の指先のようです

152名無しさん:2017/12/25(月) 23:15:47 ID:ZLy5QeVs0
今回ペニーが持ち出したのは、軍で借りたオフロードタイプのバイクだった。
スピードを出すことに特化していないが、障害物を乗り越えることに関しては強みがある。
選んだ理由としては、山道を電子制御のサスペンションなしでも走破出来る事と、イルトリア軍の生き残りがいるという恐怖を彼らに植えつけられるという点からだった。
強烈な印象はその後の行動にも影響を与える。
特に、それが最初の遭遇であればなおさらだ。

例えば、どれだけ根が真面目な人間でも、偶然その人間が怒り狂っている時に出会った人間は、その後彼の事を怒り狂った人間である、という印象を持ち続けることになる。
それ以降何か善行をしたとしても、それは一生覆ることの無い印象として、残り続ける。

ペニーの狙いは正にそれにあった。
恐ろしい死神の印象を与え、戦闘経験の浅い人間の心に恐怖を植えつけることで、今後の戦闘で有利になるように仕向けるのだ。
そのためにはまだ恐怖が足りない。

狙撃手の得意分野の一つが、恐怖の拡散だ。
どうすればいいのかは、よく分かっている。
司令官を失ったことに部隊が気付くのには時間がかかる。
その間に新たな死体を生み出せば、経験の少ない人間は、次は自分の番ではないかと恐れ、一歩を踏み出すのが遅れ、顔を動かす領域が減る。
本来、狙撃手はその遅れを稼ぐのに特化した兵士であり、そのための工作を得意としている。

道路を南下し、グルーバー島に通じる橋へと走る。
司令官を殺した以上、山中にいる部隊に用はない。
用があるのは別の人間達なのだ。

検問所の明かりが見えて来た時、ペニーは徐々に速度を落としていった。

人の顔が分かるまでの距離に来たところで、ペニーはバイクを停めた。
検問所の兵士が二人、ライフルを下げた状態でペニーの前に立ちはだかる。
他に兵士はいなかった。

「すみません、現在検問中でして。
ご協力いただけますか」

視線と素顔を見られるのを避けるためにヘルメットのバイザーを上げることなく、ペニーは頷いた。
ギアをニュートラルに入れ、逃走する意思がないことを示す。
運転手が女性であることに安心しているのか、兵士達の物腰は柔らかい。

('、`*川「勿論です。
    先ほどから銃声のようなものが聞こえているのですが、何か知りませんか?」

兵士二人が顔を見合わせる。
何事かを話し、手前の男が首を横に振った。

「それについてはまだお答え出来る段階になくて」

('、`*川「そうですか。
     それで、身分証をお見せすればいいですか?」

「そうしていただけますか?」


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